東洋大に決勝でリベンジならず 皇后杯関東予選は準優勝

ア式蹴球女子
第44回皇后杯関東予選 決勝
早大 0-1
0-0
東洋大
【得点】
(早大)なし
(東洋大)39分:北川愛莉

 第44回全日本女子サッカー選手権大会(皇后杯)関東予選は決勝戦を迎えた。ア式蹴球部女子(ア女)は順当に勝ち上がり、最後に決勝で相対したのは東洋大。開始直後の5分、いきなりMF笠原綺乃(スポ3=横須賀シーガルズJOY)のシュートがクロスバーに当たるなど、序盤はア女が試合のペースを握る。しかし39分、相手の見事なミドルシュートが決まり0-1。後半に入っても拮抗(きっこう)した戦いが続いたが、同点に追いつくことはできず。たった一つの失点に泣く展開で試合は終了し、皇后杯関東予選は準優勝という結果になった。

 

準優勝の賞状を受け取る近澤。コンディション不良で決勝はベンチからチームを後押しした

 

 台風の影響で強い風雨が断続的に降る中、前橋の地で関東予選の決勝戦は行われた。相手はつい先週にも関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)で対戦し、0-1で敗北した東洋大。優勝だけでなく、リベンジに向けたぎる選手たちの思いは想像に難くなかった。試合はお互いに相手の良さを消しあう我慢比べの展開。ア女は「(前週から)やり方はあまり変えていない」とMFブラフ・シャーン(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)が話すように、前週の守備を踏襲したゾーンディフェンスで東洋大に対抗した。5分、笠原のクロス性のシュートがゴールに向かったが相手GKの手をかすめクロスバーに直撃。すると13分、今度は逆に高い最終ラインの裏を抜けだされ、キーパーと1対1の状況を許す。しかし関カレの試合に引き続きゴールマウスを守ったGK丸山翔子(スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)が見事な距離感で詰め、左足一本でシュートを弾き出した。しかし37分、ついに均衡が破られる。バイタルでボールを持った相手選手が、ア女のプレッシャーが弱くなった一瞬を逃さず左足でシュート。高く舞い上がったボールは、立ち尽くす丸山の頭上を越えて弧を描き、ファーサイドのゴールネットに突き刺さった。

 

5分にバー直撃のシュートを放った笠原。15日に続き、最後まで東洋大GK今井のビッグセーブに阻まれ続けた。

 手痛い失点を食らった前半はそのまま終了し、勝負の後半へ。攻勢に出たいア女だが49分、強烈なミドルシュートを右、左と連続で食らう。一度目は丸山がはじき出したが、二度目はクロスバーをかすめる際どいシュートで肝を冷やした。相手の好守備に手を焼き、シュートまでいけない展開が続いたが64分、前線のプレスでボールを奪うと落としをダイレクトでFW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)がシュート。強烈な一撃だったが相手キーパーの好セーブに阻まれる。75分、83分には前がかりになったところで逆にカウンターを食らったが、いずれもDF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園)が凄まじいスピードで戻り食い止めた。なんとか得点が欲しい追加タイム、右サイドのDF田頭花菜(スポ2=東京・十文字)が中にクロス。髙橋がジャストで合わせたが、惜しくもバーを越えた。このシュートがラストプレーとなり、0-1で試合終了。前橋の地での皇后杯関東予選、全5回戦の終幕は僅差での悔しい敗戦となった。

 

敗戦後のイレブン

 

 「ここでちゃんと勝ち切らないといけない」と苦々しげに語ったのはGK近澤澪菜(スポ4=JFAアカデミー福島)。昨年の、そして前週のリベンジを期したこの試合で、結果は振るわなかった。本選の出場をすでに決めたとはいえ、いや決めていたからこそ少々モヤモヤ感が残る。ひとまず苦しかった過密日程もこれで一区切り。関カレ、関東女子リーグの終幕に向け、いろいろな意味で切り替えが必要だ。そして今季のア女の最終目標であるインカレ連覇、皇后杯ベスト8に向けては、単なる切り替えでない「ギアチェンジ」が必要ともいえるかもしれない。DF船木和夏主将(スポ4=日テレ・メニーナ)は「言ってしまえば大学は(皇后杯で)勝てないと思われている。それを払しょくしたい」と話す。チームの地力が試されてくるシーズン終盤。ア女の捲土重来(けんどちょうらい)は、ここから始まる。

(記事 大幡拓登、写真 前田篤宏)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 21 丸山翔子 スポ2 スフィーダ世田谷FCユース
DF 夏目歩実 スポ3 宮城・聖和学園
DF 堀内璃子 スポ3 宮城・常盤木学園
DF 井上萌 スポ4 東京・十文字
DF 15 田頭花菜 スポ2 東京・十文字
MF ブラフ・シャーン スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 14 笠原綺乃 スポ3 横須賀シーガルズJOY
FW 廣澤真穂 スポ4 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 10 髙橋雛 社4 兵庫・日ノ本学園
FW ◎11 吉野真央 スポ4 宮城・聖和学園
FW 27 生田七彩 スポ1 岡山・作陽
→63分 17 木南花菜 スポ2 ちふれASエルフェン埼玉マリ
◎=ゲームキャプテン

 

スターティングフォーメーション

 

 

MFブラフ・シャーン(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)

――悔しい結果になりましたが、今日の試合振り返ってください

 前回対戦時と同じく入りはすごく良かったのですが、失点した後に自分たちで慌ててしまった部分がありました。決め切るべきところで決め切ることができず、逆にワンチャンスで決められてしまったので課題は前回と変わっていないかなと思います。

――前回対戦から戦い方など変えた部分はありますか

 やり方は基本的にあまり変えていないのですが、サイドの崩し方の部分でもっとサイドバックから中に当てたいと話はしていました。センターバックから裏に蹴ったりするより、サイドバックを活かすことを考えていました。

――力のあるFWとのマッチアップの中で守備面で意識したところはありますか

 特別意識したことはあまりないですが、足が速く難しい対応がいくつかありました。相手は2トップで来ていたのでラインバックを早くしたりの工夫は必要だったかなと思います。

――リーグ戦も含め失点が増えてきている部分はあると思います。解決したい具体的な課題はありますか

 チームとしてボールの失い方が悪いという部分があります。そこは攻撃の終わり方も意識なければいけないですし、全員で集中を切らさずにプレーすることが大事になってくると思います。

――失点に関してはアンラッキーな部分はありました。課題としては最重要ではないイメージですか

 最終ラインの選手としては失点はすごく悔しいです。ただゲームを作っていくのがディフェンスラインだと思っているので、守備がというより全体をしっかりコントロールできなかったのが一番の課題かなと思います。

――前線や中盤の守備は先週に引き続きゾーンでセットしました。そこに関しての評価はいかがですか

 先週の方が守備はハマっていたかなと思います。今日はファーストディフェンスがあまりちゃんと行けていなかったので、ゾーンでやるとしたらそこをもっとこだわるべきだったと思います。

――皇后杯や残りのリーグ戦など大一番が増えてくると思います。意気込みを聞かせてください

 やはり皇后杯はWEリーグのクラブと戦える良い機会ですし、去年は負けてしまって(WEリーグクラブと試合が)出来ませんでした。今年は絶対に試合をして、自分たちがどこまで通用するのかを知りたいです。今後の関カレ後期含め、しっかりと勝ち切れるように力をつけていきたいと思います。