強豪対決は我慢比べの90分に スコアレスで勝敗決さず

ア式蹴球女子
第36回関東大学女子リーグ戦 前期第9節
早大 0-0
0-0
山梨学院大
【得点】
(早大)なし
(山梨学院大)なし

 関東大学女子リーグ(関カレ)は前期9節を迎えた。相手の山梨学院大はこの試合を前にして同リーグ2位につける強豪。ア式蹴球部女子(ア女)は、序盤から山梨学院大の激しいプレスに苦しんだ。ビルドアップになかなか成功パターンを見いだせない中、FW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)やMF宗形みなみ(スポ1=マイナビ仙台レディースユース)が攻撃でリズムを作る。試合終盤には、1対1のピンチをGK近澤澪菜主将(スポ4=JFAアカデミー福島)が片手で防ぐ好プレー。綱渡りの90分は0-0で決着し、勝ち点1を分け合う結果となった。

 分厚い雲が空を覆う東伏見。過密日程によってベンチメンバーが揃わないのはもはや見慣れた光景だが、他リーグ戦が同日開催であったことで今節は輪をかけて控え選手を欠く形となった。山梨学院大は4-3-3で構え、ア女がサイド攻撃を志向する上でどうしても手薄になる中盤で強度の高いプレスを展開。バックラインを高く維持し、FW廣澤真穂(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)の裏への動きを封じ込めにかかる。18分、左後方から流れるようなパスワークで相手のプレッシャーをはがすと、一気に右サイドへ展開。高橋がはたいてDF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園)がクロスを上げた。惜しくもシュートまではいかなかったものの、相手に一度も触らせずに自陣深くからゴール前までたどり着く、印象的なプレーとなった。この後もCKからいくつかチャンスを作るが両チームに得点は生まれず、前半を折り返す。

 

今節が始まるまで7試合20ゴールと得点力が高い山梨学院大だが、今節はア女相手に素晴らしい守備を披露した。廣澤はまるでメッシのように4人に囲まれることも

 

 後半に入っても両チーム、互いに相手の良さを消しあう我慢比べの展開が続く。57分には、狭いスペースでターンした髙橋がミドルシュートを放つが枠を外れた。63分、今度はクリアミスを拾われ逆にミドルシュートを打たれるが、MF築地育(スポ2=静岡・常葉大橘)がすんでのところでブロック。まさに一進一退の攻防が続く。給水タイムを挟んだ後の73、74分には、繰り返しゴール前の廣澤にボールが集まる。先制点も時間の問題とも思われたが78分、中盤で奪われたボールをシンプルにつながれ一気にピンチに。ほぼキーパーと1対1の局面を作られたが、GK近澤澪菜主将(スポ4=JFAアカデミー福島)が右手一本ではじき出した。このプレーに勇気づけられたか、試合は一気にア女ペースに。85分には左サイドで深みをとった宗形が際どいクロスを上げる。続く86分には途中出場のFW生田七彩(スポ1=岡山・作陽)がうまく体を使ってスクリーンし、パスを受けたMFブラフ・シャーン(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)がクロス。しかしいずれも相手の好守備に阻まれてしまう。つかんだ勢いをそのままに得点が欲しかったア女だが、ここでタイムアップ。0-0で痛み分けとなった。

 

1週間の負傷離脱から復帰した笠原。今季は左WGのスタメン出場が続いている。中盤の選手らしい激しい守備や、正確なクロスなどで、船木、宗形と共に今季の左サイドを活性化させている。ア女が今季重要視するセットプレーではキッカーも務め、欠かせない存在となっている

 

 えてしてリーグ戦には、そのチームにとって現在位置を確かめるための指標となってくれる試合がある。その爆発的な得点力でもって好調を維持する山梨学院大との一戦は、ア女の選手たちにとって、まさにそんな収穫の多い試合となったに違いない。圧される時間も続いた中で無失点に終わることができたこと、これは自信にもなったはずだ。代替わりに新戦力の加入、過密日程にけが人続出と、良い意味でも悪い意味でも大いに悩まされた前期も山場を迎えている。次節は昨季関カレ女王の帝京平成大、その後は今季未だ無敗で首位に立つ東洋大と対戦。今節得た収穫と課題をどう生かせるか、ア女の真価が問われる。

(記事 大幡拓登、写真 大幡拓登、前田篤宏)

 

相手の背番号9、浜田は関カレ7試合11得点を記録する大学トップクラスのFW。マッチアップした堀内はその対人能力とスピードで浜田を抑え込みクリーンシートに大きく貢献した。以前「(自分の強みは)格上の相手に発揮できる」と話していたが、まさに有言実行となった

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 近澤澪菜 スポ4 JFAアカデミー福島
DF 夏目歩実 スポ3 宮城・聖和学園
DF 堀内璃子 スポ3 宮城・常盤木学園
DF ◎5 船木和夏 スポ4 日テレ・メニーナ
MF ブラフ・シャーン スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 三谷和華奈 スポ3 東京・十文字
MF 14 笠原綺乃 スポ3 横須賀シーガルズJOY
→81分 27 生田七彩 スポ1 岡山・作陽
MF 19 築地育 スポ2 静岡・常葉大橘
MF 26 宗形みなみ スポ1 マイナビ仙台レディースユース
FW 廣澤真穂 スポ4 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 10 髙橋雛 社4 兵庫・日ノ本学園
◎=ゲームキャプテン

 

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