第28回関東女子リーグ戦 前期第3節 | ||||
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早大 | 5 | 4-0 1-0 |
0 | 大東文化大 |
【得点】 (早大)12分:井上萌、17分・33分・45+2分・50分:生田七彩 (大東文化大)なし |
関東女子リーグ前期3節が行われ、ア式蹴球部女子(ア女)は大東文化大と対戦した。今節は3連戦の最終戦。ここまでの2戦を9-0、3-0で圧勝していたア女。出場メンバーはこの2戦から大きく変更されたものの、立ち上がりからその勢いをもって試合を進めた。12分、CKを獲得しDF井上萌(スポ4=東京・十文字)がコーナーでボールをセットすると、左足で蹴ったインスイングのボールはそのままゴールマウスに向かいゴールイン。なかなか見ることのできない通称『ゴール・オリンピコ』で先制したア女は、ここから怒涛のゴールラッシュで関東女子リーグ女王の力を見せつける。
CKを直接ゴールに入れた井上。自身のSNSで「左足で直接入れる練習してたから偶然じゃなくて必然ですよ」と絵文字も交えて振り返った
その主役となったのがFW生田七彩(スポ1=岡山・作陽)だ。水曜日に大学初ゴールを決めていた1年生FWはこの初得点を機に「吹っ切れた」と、今節は得点を量産。まずは17分、FW栗田彩令(スポ2=静岡・藤枝順心)が左サイドでボールを奪い取ると、そのまま持ち上がり左足でクロスを入れる。これに生田が合わせゴールに押し込んだ。33分にはまたもや栗田のアシストから得点。生田が「コースは甘かった」と振り返ったが、ペナルティエリア外から放たれたシュートは威力があり、相手のゴールに突き刺さった。
4得点の生田。すでにチームの主力となっている同学年の宗形に負けじと大量得点をして見せた。FW陣は4年生を中心にハイレベルで、壁は高く分厚いが関カレでの得点にも期待がかかる
不慣れなサイドバックで出場したDF堀内璃子(スポ3=宮城・常盤木学園)から生田へ相手の裏を狙うロングボールが出たのが前半アディショナルタイム。ゴール前まで駆け上がった生田はそのまま右足を振り抜き、前半だけでハットトリックを達成。大学でも開花した得点能力はハーフタイム明けの50分にも相手ゴールに襲い掛かった。中盤でボールを受けると中央レーンを駆け上がり遠目からゴールを狙う。シュートはきれいな弧を描き、ゴール左隅に入った。
この日最大のピンチは相手のミスで何とか失点を防いだ。とはいえ近澤はコースは完璧に読んでいた
ア女はまたもや大量得点で勝利し、1週間では合計17本のシュートを相手ゴールに突き刺した。そして3戦全てを無失点で終えたこともまた大きな収穫である。8日、11日のゲームではピンチといったピンチも無かったが、今節は2度のピンチを迎えていた。15分と48分、どちらもカウンターで裏を取られる形からのピンチ。それぞれ守護神・GK近澤澪菜副将(スポ4=JFAアカデミー福島)のビッグセーブ、相手がPKを外したことで何とか無失点をキープした。課題はいくつか見えたものの、このハードスケジュールを乗り切ったア女。最高の1週間を過ごしたことは間違いない。
(記事、写真 前田篤宏)
GK陣の台所事情も相まって、普段は驚異のキープ力と得点力で前線を支える吉野が控えGKとしてベンチ入りした。指揮官も急造GKに関して「井上か吉野か」と言及。各ポジションで大学トップレベルの競争が生まれているア女だが、『第4GK争い』でも熾烈な競争を繰り広げている。のかもしれない
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | ◎1 | 近澤澪菜 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
DF | 4 | 堀内璃子 | スポ3 | 宮城・常盤木学園 |
→HT | 2 | 夏目歩実 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
DF | 8 | 井上萌 | スポ4 | 東京・十文字 |
DF | 17 | 木南花菜 | スポ2 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
DF | 22 | 藤田智里 | スポ3 | 神奈川・大和 |
DF | 28 | 小林舞美 | スポ1 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
MF | 18 | 白井美羽 | スポ2 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→61分 | 24 | 生谷寧々 | スポ2 | 東京・吉祥女 |
MF | 20 | 大森美南 | スポ3 | 東京・八王子学園八王子 |
MF | 29 | 阪本環 | スポ1 | 日体大FIELDS横浜U18 |
→81分 | 6 | ブラフ・シャーン | スポ4 | スフィーダ世田谷FCユース |
FW | 23 | 栗田彩令 | スポ2 | 静岡・藤枝順心 |
FW | 27 | 生田七彩 | スポ1 | 岡山・作陽 |
→55分 | 12 | 渡邊奈美 | スポ4 | 埼玉・大宮開成 | ◎=ゲームキャプテン |
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
――今週の3連戦を全て完封、大量得点で勝利しましたけど、この1週間を振り返っていかがですか
3連戦でしっかり勝ち点9を取って終えたことと、ハードスケジュールの中だったんですけど、けが人も出さずに終えれたことは、選手たちが良く頑張ってくれたなと。一番はそれですね。
――今節は前半終えて勝負はついていましたけど、特に前半を振り返っていかがですか
2トップにして生田と大森が、落ちるのと裏に出るというところの狙いをしっかり体現してくれて、かつしっかり決め切ってくれて、いい入りからいい流れを作ってくれたなと思います。
――阪本選手はボランチの位置でのスタメンは初めてになりましたけど、今日の阪本選手は監督の目にはどう映りましたか
元々高校でも中盤をやっていたとは聞いていたんですけど、彼女は受験では行って来てたので、フィジカルコンディションを徐々に上げていく中で、体もしっかり動けるようになってきたし、いいパスを出せるようになってきたので、今日もしっかり仕事をしてくれると思っていました。セカンドボールの回収、そこからつなげる部分でもいい仕事をしてくれたなと思っています。
――GK陣では、近澤選手が2日連続出場、吉野選手が控えGKとしてベンチに入っていました。ここの起用意図はどういったものがありましたか
石田の代表の事情と丸山の怪我があったということです。近澤は昨日の試合展開的に、今日もコンディション的に大丈夫だと、そういう台所事情です。
――今まで井上選手が第4GKという位置づけにいましたけど、第5GKが今日生まれたということですね
(笑)。吉野は候補というか、井上か吉野かというところだったので、いい感じでした。
――近澤選手は今日序盤にセーブがありました。フィードも含めて存在感は大きかったなと思いましたけど、どうでしたか
精神的な存在感はもちろんなんですけど、ビルドアップで(相手が)2枚でプレスをかけてくるのに対して最初左サイドで取られがちだったのを、れながしっかり高い位置を取ってビルドアップしてくれたり。そういう部分で存在感はしっかり発揮してくれたと思います
DF堀内璃子(スポ3=宮城・常盤木学園)
――今週の3試合全てバックラインでスタメンで出て無失点で終えましたけど、率直にどういう感想を持っていますか
守備としては失点しないことがベストなので、その役割を果たせたことは良かったなと思うんですけど、個人的には課題ばかりの1週間だったので、今後も連戦となっていく中でそこは改善していかなきゃなと思います。
――具体的にどういったプレーが課題ですか
水曜土曜と同じ筑波大でしたけど、その筑波大の特徴として引いてくる中で、そこを狙っていくか。元々FWに対する背後へのボールを得意としてるんですけど、引いてくるとGK前のスペースがなくなるじゃないですか。そこが狙えない時にどこを使っていくか。近くの選手を使って崩していくことができなかった、判断のところですね。
――昨季けがに苦しんで、今季からまた再起をかけて、というシーズンだと思いますけど、スタートするときに何か意気込みはありましたか
一番はけがをしないというところです。再発もあったのでそこは気を付けていきたいというところと、去年は試合(経験)を詰めなかったからこそ、試合勘が序盤は特に薄れている部分があるので、そこはゲームを通して取り戻して行かなきゃいけないなという部分、あとは何といっても自分の特徴、強みをチームに最大限還元していきたいなと思っています。
――後藤選手などが復帰するとバックラインの競争がさらに激しくなると思いますけど、その中でどのようにスタメンを勝ち取っていきたいと思っていますか
守備はそれぞれ特徴が違うと思うんですよ。私はその中でも対人、守備のカバーリングが強みだと思っているので、そこって格上の相手に対しては発揮できるんですけど、今大学リーグの中では攻撃の局面が増えるので、自分自身はもっと攻撃の部分の強みを見つけて、生かしていきたいなと思っています。
――一つ過密日程を乗り切って、ここから7月末まで前期日程を戦いますけど、意気込みはありますか
とにかく過密で、けが人も増えている中で特に今日みたいに守備がいないという試合も増えてくる(DFが足りない)ので、そうなるとこういう形で連戦も増えてきますけど、自分のコンディショニングの管理は徹底したいと思います。だからこそチーム全員で戦うことが求められると思うので、それぞれがどこの立場にいても自分を生かす、その上でチームで戦うというところを強めていけたらなと思います。
――あとは今日は左サイドバックでの出場でしたけど、そこについてはいかがでしたか
難しかったです。普段は中央から動かしていく部分が多い中で、自分がサイドにいると動かしきれない部分があったり、最近は右CBが多かったので、左足の持ち方なども変わってくるので、そこは難しかったですね。
FW生田七彩(スポ1=岡山・作陽)
――今週は5得点されましたけど、振り返っていかがですか
公式戦で初ゴールを決めることができて、(それまでは)悩んでいたんですけどやっと1点取れて、そこで吹っ切れて今日も4得点できたので良かったです。
――悩んでいた中で、普段のトレーニングなどから何か変えたことはありましたか
自分の得意な背後の抜け出しが消極的になっていたので、トライしてみようと思って改善したら点までつながりました
――前半でハットトリックもされました。1点1点どのように振り返りますか
1点目は流し込むだけだったんですけど、2点目はボールを持った時にシュートを打とうと決めていたので打ったらコースは甘かったんですけど入りました。3点目はSBからいいボールが来て、自分のスペースがあったので、ゴールだけを見て得点することができました。4点目も相手がボールに食らいついてこなかったので、ゴールまで行けたかなと思います。
――自分の特徴を発揮できた得点も多かったと思いますけど、得点の内容に関してはどうでしたか
もっと一つ一つ質にこだわっていかないと、他の相手にも戦えないと思うので、相手のプレーに合わせるんじゃなくて、自分たちの流れを作り出せるように自分はチームに勢いを持たせられるような選手にならないとなと思いました。
――今週の5得点で大学でのプレーにもいい感触を持ったのかなと思いましたけど、ここまでア女に来てからのプレーを簡単に振り返っていただけますか
先輩から学ぶことも多くて、今まで通用してたことも通用しなかくて、そういう時にも自分の強みであるスピードとかは負けていないと思うので、そこをうまく自分の中で生かして、得点を取って自分がチームを勝たせられるようになればいいなと思います。