第35回関東大学女子リーグ戦 後期第3節 | ||||
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早大 | 0 | 0-0 0―0 |
0 | 武蔵丘短大 |
【得点】 (早大)なし (武蔵丘短大)なし |
雲一つない青空の下で、順延されていた関東大学女子リーグ(関カレ)後期第3節が行われた。ア式蹴球部女子(ア女)が関カレ最終戦に迎えたのは、武蔵丘短大。前期には4-0で圧巻のゴールショーを披露した相手に対し、サイドを中心とした多彩な攻撃で何度もゴールに迫る。しかし粘り強い守備に苦戦し、90分を通して決定機を生かすことができず。連覇を期した関カレは、3位という結果で終幕した。
多くのチャンスを生み出した三谷
関カレ11位の武蔵丘短大にサイドを崩されCKを与えるなど、試合開始直後は緊張感が漂う。14分にようやく攻撃に転じると、右サイドからMF三谷和華奈(スポ2=東京・十文字)がクロスを供給。左サイドから走り込んできたFW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)の頭には、惜しくも合わせられない。しかし、ここからア女は攻撃のリズムをつかみ始めた。17分には再び三谷がボールを奪い、MF並木千夏副将(スポ4=静岡・藤枝順心)に縦パスを通すことに成功。並木から、流動的なポジショニングで右サイドにいた廣澤にボールが渡り、クロスがあがる。相手GKが弾いてこぼれたボールに詰めたのはFW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)。しかしオフサイド判定で、幻のゴールになってしまう。その後も三谷を中心に多くのチャンスを創出するが、エリア内で合わせきれず最後の質に苦しむ。相手の巧みなラインコントロールでオフサイドにされる場面も多く、0-0で前半を終えた。
後半は相手のカウンターからクロスを上げられ、不穏なスタートとなる。GK近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)が落ち着いてキャッチし事なきを得ると、ア女は一気に攻撃のギアを上げた。MFブラフ・シャーン(スポ3=スフィーダ世田谷FCユース)、DF加藤希主将(スポ4=アンジュヴィオレ広島)のミドルシュートや吉野のヘディングなど、積極的にゴールマウスを狙い数多くの好機をつくる。だがいずれも枠を捉えられず、もどかしい思いを抱えたまま時計の針は進んでいった。81分にはFW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)が枠内に強烈なシュートを放つが、相手GKのファインセーブにより、ゴールを挙げることはできない。その後も攻め続けたものの、相手DFのポジティブな声がけで武蔵丘短大は結束。最後までゴールをこじ開けることはできず、勝ち点はわずか1に留まった。
精度のよいボールで攻撃の潤滑油となった並木
11月最終週から待ち受けているのは、トーナメント方式の皇后杯本選、全日本大学女子選手権。負ければ終わりの戦いに、今節のような引き分けは存在しない。「負けない」チームではなく「勝ちきる」チームへの脱皮が急務だ。「うまいだけでは勝てない」(船木)。「最後きれいなかたちでなくても、決め切ることをモットーにする」(並木)。見据える課題はただ一つ。最後は大輪の花を咲かせられると信じて、泥臭い『挑戦者』であり続ける。
(記事 手代木慶、写真 杉﨑智哉)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 近澤澪菜 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
DF | 2 | 船木和夏 | スポ3 | 日テレ・メニーナ |
DF | ◎10 | 加藤希 | スポ4 | アンジュヴィオレ広島 |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
DF | 29 | 田頭花菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 6 | ブラフ・シャーン | スポ3 | スフィーダ世田谷FCユース |
→70分 | 5 | 後藤若葉 | スポ2 | 日テレ・メニーナ |
MF | 8 | 並木千夏 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
MF | 18 | 三谷和華奈 | スポ2 | 東京・十文字 |
→55分 | 26 | 木南花菜 | スポ1 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
FW | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
FW | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
→64分 | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
◎=ゲームキャプテン |
MF並木千夏副将(スポ4=静岡・藤枝順心)
――引き分けという結果について、どのように捉えていますか
昨日(東洋大戦)は失点から引き分けに持っていくことができたので、チームとして良かったなと思っているのですが、今日は決め切れなかった中でも負けなかったので、そこまで落ち込む必要はないのかなと思っています。
――今日はオフサイドも多かったですが、それはチャレンジした結果でしょうか
相手が(自分たちが)クロスを上げてくるタイミングでラインも上げてくるというのもあったのですが、後半でもクロスは良いボールが入っていたので、あとは決め切ることができなかったのかなと思います。
――相手は順位が下のチームで、本来は実力差を見せなくてはいけない相手に引き分けになってしまったことに対して、チームとして思うところはありますか
自分たちはどの相手に対しても挑戦者、『挑戦』していくということが今年の目標なので、余裕で勝つというスタンスではありません。その中でも勝たなければいけない、勝ちたいと思っていますし、チャレンジできたところはあるので、そこはプラスに捉えて、出た課題をしっかりと消化して、次の試合で改善していきたいなと思います。
――どのようなところに課題を感じましたか
最後の決め切るというところとか、クロスを合わせるところとかを、チーム全体で共有して合わせていきたいなと思います。
――これからの試合に向けて今日の学びをどのように生かしていきますか
負けていないというのは大きいのではないかと思っていて、課題のところを改善できれば自分たちは結果につなげられると思うので、あまりマイナスに捉えないようにしたいです。どの試合でも結果につなげていくためには、リーグ戦、トーナメント関係なく勝つことになっていきます。緊張感や危機感はトーナメントの方があると思うのですが、今週勝ちきれなかったことの課題はみんなすごく感じていると思うので、最後きれいなかたちでなくても、決め切ることをモットーに練習からやっていかなければいけないなと思います。
DF船木和夏(スポ3=日テレ・メニーナ)
――引き分けという結果をどのように捉えていますか
関カレ(関東大学女子リーグ戦)の最終戦ということで、自分たちがこれまでやってきたことを全部出そう、集大成としてやろうというところで、自分たちがボールを持つ時間が長い中で、なかなか決めることができずに、その流れを自分たちで試合中に変えることができないまま終わってしまいました。ふがいない試合だったとは思いますが、これから試合は続くので、この引き分けをプラスに捉えてやっていきたいなと思います。
――連戦の中で、コンディション面はいかがでしたか
今シーズンはけがが多かった中で、だいぶ良くなってきたのですが、2試合とも勝てなかったということで、自分の力不足を感じました。
――サイドから上がって攻撃参加をされて、クロスもたくさん上げていた中で、得点を奪えませんでした。現時点で引き分けの要因をどのように考えていますか
今日は両サイドともクロスを積極的に入れることはできていて、あとは決めるだけというところまで来ているので、練習からすり合わせをして、最後決められるようにしたいです。うまいだけでは勝てないので、最後は泥臭くても決めるという強さや根性を見せていかなければいけないなと思います。
――来週は関東女子リーグ戦があって、その後は皇后杯、全日本大学選手権と、トーナメント方式になって、1試合で自分たちの力を出していかないと次がないという試合が続きます。そこに向けて今日の学びをどのように生かしていきますか
今日は引き分けで終わりましたが、トーナメントになったら点を取らないと勝てません。そういう面では今日の引き分けが良い糧になっていくのではないかと思うので、これを忘れずにまたやっていくしかないなと思います。