第35回関東大学女子リーグ戦 後期第11節 | ||||
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早大 | 5 | 3-0 2―0 |
0 | 筑波大 |
【得点】 (早大)11分 廣澤真穂、32分 吉野真央、44分 三谷和華奈、69分 髙橋雛、90+1分 木南花菜 (筑波大)なし |
浜風が頬をなで、潮の香りが漂うアウェイ会場で関東大学女子リーグ(関カレ)後期第11節、筑波大戦が行われた。ここまで6勝3敗と、関カレ前期に比べて成績が低迷しているア式蹴球部女子(ア女)。勝利でチームに流れを取り戻すべく挑んだ今節、FW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が先制点を挙げると、その後も順調に得点を追加。5-0で快勝するが、他会場の結果を受け、ア女は関カレ連覇を逃すことが決まった。
先制弾を決めた廣澤(右)に駆け寄る選手たち
4-1-4-1の布陣で臨んだア女は序盤からテンポよくボールを回し、流れを引き寄せる。すると11分、CKの流れからMF並木千夏(スポ4=静岡・藤枝順心)がエリア内にボールを送ると、左サイドからエース廣澤が走り込む。難しい体勢から鮮やかな先制シーンを演出し、筑波戦のゴールラッシュは幕を開けた。2点目は32分、1トップのFW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)が起点となってチャンスを作ると、MF三谷和華奈(スポ2=東京・十文字)がクロスを上げる。最後は再び吉野が頭で合わせ、関カレでは6月以来となる得点に、喜びを爆発させた。さらにア女の多彩な攻撃は続く。前半終了間際の44分、FW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)が左サイドをえぐり、タイミングをうまくずらしてパス。2点目のアシストで貢献した三谷が混戦の中から、3点目を押し込んだ。
後半に入るとインカレ出場枠を争う位置にいる相手が攻勢を強め、一進一退の攻防が繰り広げられる。時に訪れる危機にもGK近澤澪菜(スポ=JFAアカデミー福島)が冷静に対応。その働きに攻撃陣が応えたのは69分。筑波大のCKがこぼれたところを並木がカウンターに持ち込み、相手DFを置き去りに。廣澤を経由したボールはエリア内の髙橋に渡る。そのままGKと1対1を制し、4点目を奪うことに成功した。その後もチャンスをつくるが、得点には至らない。守備ではプレーの意図がかみ合わずミスし、相手のシュートがサイドネットを強襲する場面も見られる。それでも最後は90+1分、近澤の低い弾道のロングフィードを前線のFW黒柳見美裕(スポ4=宮城・聖和学園)が胸でトラップ。右サイドに展開すると、MF木南花菜(スポ1=ちふれASエルフェン埼玉マリ)が豪快なシュートを放ち、ダメ押しの5点目を獲得。ア女は、大量得点で白星を飾った。
久々に得点した吉野(奥)と抱き合う三谷
同時刻に行われた試合で、帝京平成大や日体大といった優勝を争うチームが勝利。残り関カレで1試合を残すア女は、最終節を待たずして目標に掲げた関カレの『冠』を失うことが確定した。連覇の夢はついえたが、相手のミスは逃さず即座に奪いきる姿勢や、あと一歩足を伸ばしてパスカットするプレー、積極的にシュートする闘争心が目を引いた。敗戦を重ねた後に、切り替えて最高のパフォーマンスが見られたことはポジティブな要素だ。
「関カレで培ったものはインカレ(全日本大学女子選手権)に必ず生きてくる」(廣澤)。「(ここまでの)敗戦からはい上がって進んでいけたからこそ、(今日の)勝ちにつながった」(髙橋)。11月中旬に行われる関東女子リーグ(関東リーグ)、11月末から始まる皇后杯本選、そして大学日本一へ。筑波戦で弾けた笑顔は、ア女の快進撃の序章にすぎない。『挑』戦者として、己の限界を『越』えていけ。
(記事 手代木慶、写真 小山亜美、ア式蹴球部女子部提供)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 近澤澪菜 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
DF | 2 | 船木和夏 | スポ3 | 日テレ・メニーナ |
DF | ◎10 | 加藤希 | スポ4 | アンジュヴィオレ広島 |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
DF | 29 | 田頭花菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 6 | ブラフ・シャーン | スポ3 | スフィーダ世田谷FCユース |
→64分 | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
MF | 8 | 並木千夏 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
MF | 18 | 三谷和華奈 | スポ2 | 東京・十文字 |
→60分 | 26 | 木南花菜 | スポ1 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→76分 | 12 | 黒柳美裕 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
FW | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
→54分 | 7 | 蔵田あかり | スポ4 | 東京・十文字 |
◎=ゲームキャプテン |
FW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)
――今日の試合を全体的に振り返っていかがですか
みんなが生き生きとしていて、やりたいことをできた試合だったと思います。楽しかったです。
――生き生きとできていた要因は何がありますか
一回苦しい状況をみんなで味わって、ミーティングをした時に、チームとしての目標ややるべきことが定まりました。その中で、「サッカーを楽しみたい」という気持ちが全員にありました。そこからは吹っ切れて、自分たちのサッカーをやろうという空気をつくれたので、良かったのではないかと思います。
――5得点の猛攻の皮切りとなった先制ゴールを奪いました。振り返っていかがですか
(FW髙橋)雛さん(社3=兵庫・日ノ本学園)からボールが出るタイミングで自分のスペースは見えていました。ゴールがなかなか入っていなかったので、今日は狙っていこうという気持ちが強かったです。悪い姿勢のシュートが入って、逆に良い姿勢のシュートは入らなかったのですが、そこは改善点だと思います。これから大事な試合が続くので、その中でしっかり決めていけるように頑張りたいと思います。
――他会場の結果から、関カレ優勝の可能性がなくなりました。そこについてはどのように考えていますか
自力優勝が厳しい状況はわかっていました。自分たちは四冠を掲げていましたが、やはりその中では日本一を獲ることが一番にあります。この関カレの順位を受け止めながら、関カレで培ったものはインカレに必ず生きてくると思うので、ここからいい雰囲気になって、日本一を獲れたらいいと思います。
――次戦に向けて意気込みを聞かせてください
ア女の良さはいろいろな立場の人が全員で戦う気持ちを持つ熱い部分だと思っているので、そこはぶらさずに、他の部分はより勝てるサッカーに全員で取り組んでいきたいと思います。
FW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)
――今日の試合を全体的に振り返っていかがですか
前回もそうでしたが、試合に出ていない人も練習から良いシミュレーションをしてくれたり、練習に関わる人も上手くいかない時にコミュニケーションをとって「どうしたら上手くいくか」というところを、同じ方向を向いて考えることができていました。その結果が今日のいい試合につながったと思うし、5-0で勝てたことで、みんなの力が発揮されたと改めて感じました。
――海風など難しいコンディションのように感じました
自分はそこまで感じませんでした。ピッチ状況や雰囲気はみんなアップから慣れられたと思うので、試合のいい入りにつながったと思います。
――1カ月ぶりのゴールとなりました。振り返っていかがですか
やっぱりゴールを決めることは簡単じゃないと思いました。その中でゴールを決めるということは、何にも代えがたいくらいうれしいと思います。得点というかたちでチームに貢献できたことが改めてうれしいことだと感じました。
――他会場の結果から、関カレ優勝の可能性がなくなりました。そこについてはどのように考えていますか
難しいですが、関カレという冠を獲れなかった、目標が達成できなかったことは悔しいです。これまでの自分たちの敗戦が大きくかかわってきたと思いますが、そこからはい上がって進んでいけたからこそ勝ちにつながったと思います。優勝できなかったことは悔しいですが、成長できたことは成果だと思います。
――その成果を今後どのようにつなげていきたいですか
一試合一試合全員で準備するというのがア女の良さだと思うので、一戦一戦みんなで同じ方向を向いて戦って、勝って喜び合えたらと思います。
FW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)
――今日の試合を全体的に振り返っていかがですか
最近苦しい試合が続いていたので、この試合でしっかりと勝ちきることができたので良かったと思います。
――関カレでは6月5日以来のゴールとなりました。今日のゴールシーンを振り返っていかがですか
結構けがやコンディションの部分で辛い時期があったのですが、そのような時期を振り返ってみても、今日のゴールは入った瞬間感極まってしまいました。
――攻守にわたって活躍するシーンが数多く見られました。今日のプレーは振り返っていかがですか
守備の面では雛(髙橋、社3=兵庫・日ノ本学園)と連携して、しっかり追い込むことができて良かったと思います。攻撃の面では、しっかりと起点になって攻めることができて、攻撃のリズムを作り出せていたと思うので、そこは良かったと思います。
――果敢に攻めていこうというお話は試合前からされていたのでしょうか
チームの中で、距離感良く、(シュートを)うてる時はうっていこうという話はしていたので、そこを体現できた試合になったと思います。
――次戦に向けて抱負を聞かせてください
次戦は関カレ最後の試合になるので、自分たちがやってきたことは変わらないので、そこに向けて自分たちらしく一からやっていけたらと思います。
MF三谷和華奈(スポ2=東京・十文字)
――今日の試合を全体的に振り返っていかがですか
結構ここのところは負けてしまったり、チームとしては苦しい時間が続いていました。しっかりと自分たちらしいプレーで勝ちきることができて、すごくほっとしています。どんな状態でも自分のやるべきことは、縦に仕掛けてチームに勢いをもたらすことだと思っていて、平常心で戦えたので、自分としても成長できた部分かなと思います。
――1アシスト1ゴールのプレーを振り返っていかがですか
後藤コーチからは、とにかく相手の左サイドバックのオーバーラップがあったので、その選手にあがらせないくらい仕掛けて押し込め、と言われていました。そこを意識した上で、チャンスがあれば(シュートを)うっていいと、思い切りクロスを上げていいとも言われていたので、そこを重点的にやっていました。特にサイドバックは同じ高校の同期だったので緊張したり苦手意識があったりしたのですが、しっかりしたマッチアップで戦えました。自分の中では勝ち切れたと思うので、そこは良かったと思います。あとは、いろいろな立場の選手がいるア女の中で全員が戦っていましたし、ベンチにいる選手が声をかけてくれたし、たくさんの人たちの支えがあったから活躍できたと思っています。決して自分だけの力ではないと、今日の試合を通して、身に染みて感じました。
――ここからの試合に向けて、課題だと感じる点はありますか
チームとしてはまだビルドアップの部分や守備の部分に課題があると思います。なので映像などを見て、チームとして改善できるところを取り組んでいきたいと思います。個人としてはトラップの質やクロスの質はもっと上げられると思っているので、突破回数やクロス数を上げて、数も質もより高められたらと思います。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
ア女の良さはいろいろな立場の人が全員で戦う気持ちを持つ熱い部分だと思っているので、そこはぶらさずに、他の部分はより勝てるサッカーに全員で取り組んでいきたいと思います。