MF木南が救世主に! 途中交代組の躍動で連敗ストップ

ア式蹴球女子
第35回関東大学女子リーグ戦 後期第2節
早大 0-0
1―0
東京国際大
【得点】
(早大)81分 木南花菜
(東京国際大)なし

 延期されていた関東大学女子リーグ戦(関カレ)後期第2節、東京国際大戦が行われた。関カレ連覇に向けて許してはならない敗戦が続き、何とか勝利したいア式蹴球部女子(ア女)。前半は幅を使った攻撃で相手の守備を翻弄(ほんろう)したが、前節の東洋大戦(10月30日、●0―1)と同様に、好機をものにできない。しかし81分、途中出場のMF木南花菜(スポ1=ちふれASエルフェン埼玉マリ)が値千金の決勝ゴールを奪う。そのまま3試合ぶりの白星を完封勝利で飾った。

 

試合終盤にゴールを決めた木南(左)とハイタッチする並木

 

 最近の試合ではゴールを割れない攻撃とともに、ここ一番での失点も目立っていたア女。今節はGK近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)とMFブラフ・シャーン(スポ3=スフィーダ世田谷FCユース)のスタメン復帰戦でもあり、停滞していたチームに勢いを与えたいところであった。すると序盤から、ブラフを中心に右サイドで攻撃を組み立てる。22分、最終ラインで右にサイドチェンジすると、裏に抜け出したFW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)からゴール前のFW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)にクロスが入った。しかしボールにわずかに届かず、シュートは打てない。その後もチャンスは作るものの、なかなか決め切ることができずに前半を終える。もどかしさの残る45分となった。

 MF三谷和華奈(スポ2=東京・十文字)を投入し、前線の陣容を変更して挑んだ後半。ビルドアップからチャンスを作った前半とは打って変わり、縦に速い攻撃が目立った。60分には、左サイドを駆け上がったMF蔵田あかり(スポ4=東京・十文字)からゴール前の廣澤にクロスが入るが、得点とはならない。前半の流れを断ち切れず、1点が遠い戦況が続いた。ここで投入されたのが「絶対に点を決めてやろう、という思いを持って入った」という今節のヒロイン、木南だ。81分、左サイドを縦に突破した三谷からのクロスに合わせ、先制弾を流し込んだ。チームにとって山梨学院大戦(10月16日、○2―1)以来、329分ぶりとなる得点にベンチも大興奮。無観客のホーム東伏見に大きな歓声が響き渡った。直後に、アシストした三谷が切れ味鋭いドリブルからシュートを放つが、惜しくもバーを叩く。追加点とはならなかったが、近澤をはじめとした強固な守備陣を擁するア女にとって、リードは1点で十分。1-0で久々の勝利を手にした。

 

途中出場で存在感を見せた三谷

 

  勝利はしたものの、内容と釣り合わない得点数に歯がゆさが残る結果となった。「やろうとしていることはできている」とブラフが話すように、得点を奪うための過程は充実している。課題は最後の詰めの部分だ。得点に限らず、パスの質や球際などについても向上の余地がある。近澤は「もっとできる。お互いに要求しあって強くなりたい」と自他の更なる成長に言及した。シーズンが終盤に差しかかる中、超過密日程の今が一番の耐え時だ。勝利をつかみ一歩前進したア女は、歩みを止めずに駆け抜ける。

(記事 前田篤宏、写真 大幡拓登)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 1 近澤澪菜 スポ3 JFAアカデミー福島
DF 2 船木和夏 スポ3 日テレ・メニーナ
DF ◎10 加藤希 スポ4 アンジュヴィオレ広島
DF 22 夏目歩実 スポ2 宮城・聖和学園
DF 29 田頭花菜 スポ1 東京・十文字
MF 6 ブラフ・シャーン スポ3 スフィーダ世田谷FCユース
MF 7 蔵田あかり スポ4 東京・十文字
→72分 26 木南花菜 スポ1 ちふれASエルフェン埼玉マリ
MF 8 並木千夏 スポ4 静岡・藤枝順心
FW 9 廣澤真穂 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 11 髙橋雛 社3 兵庫・日ノ本学園
FW 15 吉野真央 スポ3 宮城・聖和学園
→HT 18 三谷和華奈 スポ2 東京・十文字
◎=ゲームキャプテン

 

GK近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)

――今日の試合を振り返っていかがですか

負けたりなかなかうまくいかない試合が続いていた中で挑んだ試合でした。全員で勝とうという気持ちがありましたし、全員で戦うところをやり切った結果が今回の勝利につながったと思うので良かったです。

――個人としては復帰戦をクリーンシートで終えました

失点が続いていて、自分が出た関カレでは合計2失点なので、クリーンシートというのは関カレ通して目標にしていました。久しぶりでしたがそこは達成することができて良かったです。

――相手のシュートが少ない中で、足元でのプレー機会が多かったですが、いかがでしたか

シュートは打たせないようにコーチングして、リスク管理を徹底して意識しながらやっていました。足元の面では、自分の強みがサイドハーフへのボールや裏返す(相手の裏のスペースへの)ボールでもあります。納得いかなかったプレーもありますが、久しぶりにしては大丈夫という感じです。何とかチームには良い雰囲気をもたらすことができたのではと思っています。

――離脱期間中にチーム状況を見ていてもどかしさはありましたか

とても感じていて、早く戻ってやりたいなという気持ちがずっとありました。それがずっとあったから逆に気負ってしまって、緊張していました。途中で硬いなと思ったり、今日あまりうまくいかないなと思いました。ただ、みんなで試合前の円陣を組む前に楽しもうと再認識したので、緊張はすぐになくなりました。

――故障者も徐々に戻ってきていますが、チームの状態はどのように見ていますか

できていることは多いですし良いところもありますが、やっぱりもっとできるという部分はあります。パスの質だったり球際のところであったり、まだまだ突き詰めないとインカレ(全日本大学女子選手権)で、去年と同じ思いをしてしまうと思います。いろんな選手が戻ってきたことはありがたいですし、うれしい気持ちはありつつ、そこはお互い要求しあって、組織として今よりもっと強くなれるように頑張っていきたいです。

――インカレの前に過密日程の期間があります

正直きついですが、この夏もそういう試合が多かったですし、乗り越えて積み重ねてきた部分はあります。もう一つ山場が来ますけど一戦一戦負けられない試合が続くので、今日と同じようにチーム全員で戦って良い準備をしていけたらなと思います。

 

MFブラフ・シャーン(スポ3=スフィーダ世田谷FCユース)

――スタメン復帰初戦、チームとしては3試合ぶりの勝利となりましたが、振り返っていかがですか

とりあえず勝てたことが一番大きいですが、個人としても納得のいくプレーができなかったので、次につなげていければ良いかなと思います。

――納得できなかったのは具体的にどのようなところですか

前半から自分がボールを持てる時間が多かったですが、大きくサイドに振ろうとしても引っかかりました。東京国際大が(前に)蹴ってきましたが、ファーストで弾いてセカンドで拾えなかったり、そういうところが課題だと思います。

――関カレ優勝が厳しくなった今のチームの雰囲気はいかがですか

関カレ優勝は目指していましたが、まだインカレや皇后杯もあります。前回の東洋大戦(10月30日、●0―1)は負けてしまったのですが、自分たちのやろうとしていることもできているので雰囲気も良いし、それが今日につながったと思います。

――今週末から2週連続で連日の試合になります

今日勝てたことは次につなげるために大きいと思いますし、今こそチームの総力が求められると思うので、上げていきたいなと思います。

――次の試合に向けて一言お願いします

今日出た課題もいっぱいありますけど、勝てたことは大きいと思うので、あと3日しかないですが、チームで合わせていけるところは合わせて絶対勝ちたいと思います。

 

MF木南花菜(スポ1=ちふれASエルフェン埼玉マリ)

――今日の試合を振り返っていただけますか

チームとして敗戦が続いている中で、今日の試合もなかなか点が入らず、難しい試合でした。勝つことができて、ほっとしています。

――途中交代での出場でしたが、どういった指示を受けて試合に入りましたか

サイドの選手として、しっかりと(ピッチの)幅をとってプレーするよう指示を受けました。逆サイドからのクロスであればしっかりと幅を取ってから中に入り、自分がボールを持っている時には、得意なクロスを活かせるようにポジションをとりました。

――そういった指示を受けて、どのようなことを考えて試合に入りましたか

前半も含め、チームとしてうまくいっていなかったというのもありますが、個人的にもなかなか結果を出せていなかったので、絶対に点を決めてやろう、という思いを持って試合に入りました。

――ご自身の得点シーンを振り返っていただけますか

最初に三谷(和華奈、スポ2=東京・十文字)選手にボールが入った時は、かなり(ボールサイドからは)距離があったんですが、廣澤(真穂、スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)選手がクロスボールに対してスピードを持って(ゴール前に)入っていったので、それに続くかたちで全力で走った結果、得点することができました。

――最後に次戦への意気込みを聞かせて下さい

筑波大との一戦ですが、前期に負けた相手でもあるので、またチーム一丸となって今日の勝利を次戦につなげていければ、と思っています。