第35回関東大学女子リーグ戦 後期第4節 | ||||
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早大 | 8 | 7-0 1-0 |
0 | 慶大 |
【得点】 (早大)17分 木南花菜、20分 三谷和華奈、25分 ブラフ・シャーン、31分 廣澤真穂、32分 髙橋雛、34分 三谷和華奈、40分 廣澤真穂、63分 三谷和華奈 (慶大)なし |
涼しい秋風が吹き抜けるホーム東伏見で、ア式蹴球部女子(ア女)は慶大と対戦した。関東大学女子リーグ(関カレ)後期第4節、前半を7-0の大量リードで折り返すと、後半はMF三谷和華奈(スポ2=東京・十文字)がもう1点を追加し、ハットトリックを達成。慶大相手に臙脂(エンジ)の誇りを見せつけ、6週間ぶりの公式戦を白星で飾った。(※後期第2、3節は延期)
久々の公式戦で得点を決めた三谷(18番)と駆け寄る選手たち
試合は序盤からア女ペースで進む。17分、MF木南花菜(スポ1=ちふれASエルフェン埼玉マリ)が先制点を奪うと、直後に三谷が続く。大けがからの復帰試合でゴールを決め、「多くの方々に支えられてこのピッチに立つことができた」と感謝の思いを体現した。その後もMFブラフ・シャーン(スポ3=スフィーダ世田谷FCユース)、FW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)、FW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)が立て続けに得点を創出し、 瞬く間にリードを広げた。それでもア女の勢いは止まらない。三谷と廣澤がそれぞれ自身の2得点目を押し込み、7点差をつけて前半を終えた。
迎えた後半は選手交代を敢行。起用されたMF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)が積極的にサイドを崩し、何度かゴールを脅かすも得点には至らない。FW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)もオーバーヘッドキックを試みるが、相手GKがキャッチ。前半とは対照的に、なかなかゴールには結びつかない。そんな停滞した流れが断ち切れたのは63分だった。DF夏目歩実(スポ2=宮城・聖和学園)が左サイドに張っていた三谷にパスを供給。三谷はそのまま2人を抜き去って中央に侵入する。右足から放たれたボールは相手DFに当たり、ゴール左上に突き刺さった。これは三谷の3点目であり、ア女の8点目となった。そしてキャプテンマークを巻いたGK近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)が最後まで盤石の守りを披露。全く隙を見せず、ライバルを零封に仕留めた。
伝統の一戦で2得点した廣澤
「気持ちで絶対に負けない、プライドを持ってやる」。約3カ月公式戦から離れ、今試合で復帰したDF船木和夏(スポ3=日テレ・メニーナ)は早慶戦への思いを口にした。結果は大勝だったが、前半と変わらないシュート数にもかかわらず、後半は1点にとどまった。相手がア女の戦術に適応した際に、どれだけ上回れるかが今後の課題となるだろう。負けられない戦いを制したア女は、次週から頂奪還を目指して皇后杯関東予選に挑む。
(記事 手代木慶、写真 手代木慶、渡邊悠太)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | ◎1 | 近澤澪菜 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
DF | 2 | 船木和夏 | スポ3 | 日テレ・メニーナ |
DF | 5 | 後藤若葉 | スポ2 | 日テレ・メニーナ |
→HT | 28 | 白井美羽 | スポ1 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
DF | 20 | 浦部美月 | スポ2 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
MF | 6 | ブラフ・シャーン | スポ3 | スフィーダ世田谷FCユース |
MF | 18 | 三谷和華奈 | スポ2 | 東京・十文字 |
→72分 | 29 | 田頭花菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 19 | 笠原綺乃 | スポ2 | 横須賀シーガルズJOY |
MF | 26 | 木南花菜 | スポ1 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
→HT | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→HT | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
FW | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
→85分 | 27 | 栗田彩令 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
◎=ゲームキャプテン 監督:福田あや(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園) |
DF船木和夏(スポ3=日テレ・メニーナ)
――久しぶりの公式戦でしたが、試合を振り返っていかがでしたか
チームとしては6週間ですが、自分としては3カ月ぶりの復帰戦でした。試合勘が戻っているか不安だったのですが、サッカーができること、楽しむことを意識していました。
――サイドから積極的に攻撃に参加していましたが、けがの具合はいかがですか
もう大丈夫です。まだベストパフォーマンスではありませんが、徐々に調子を上げていければいいなと思っています。(サイドからの上がりは)自分の武器のひとつは監督からも言われているように、積極的な攻撃参加なので、そういった面で得点やアシストで勝利に貢献したいです。上がるタイミングは良かったかなと思います。
――どんな準備をして臨みましたか
「早慶戦」ということで、気持ちで絶対に負けない、プライドを持ってやるということを確認しました。あとは自分たちがボールを持つ時間が長いだろうということで、焦らずゴールを積極的に狙うということですね。
――浦部(美月、スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)選手と頻繁にポジションチェンジをしていましたが、どんな意図があったのですか
去年は右サイド(バック)が多かったのですが、今年は左も右もやっています。やはり左と右では違う攻撃の仕方ができるので。サイドハーフの誰と組むかというので(攻撃の仕方が)変わってきます。いろんなパターンがあることで相手も読みにくいということで、左も右もできるようになりたいです。
――後半は1点しか奪えませんでしたが、相手は戦い方を変えてきたのでしょうか
後半は相手が(ラインを)下げてきて、ゾーンを引いてきました。それに対して1点しか決められなかったことは課題かなと思います。ずっと(相手を)揺さぶってはいるけれどテンポが悪く、相手が動いていない状態だったので、もっと自分たちの距離感を良くしないとこれから先強い相手を崩していけません。練習していこうと思いました。
――来週から皇后杯予選が始まりますが、意気込みを教えて下さい
一発勝負なので絶対に勝つこと、内容よりも結果にこだわってやるということですね。あとは感謝の気持ちを忘れずに楽しみたいです。去年獲れなかったので絶対優勝して終わりたいと思います。
MF三谷和華奈(スポ2=東京・十文字)
――復帰戦となりましたが、試合を振り返ってください
とにかく力が入りすぎずに、でも頑張る! という感じでした。得点できて率直にうれしかったです。
――ハットトリックを達成されましたが、手ごたえはいかがですか
結構思い切って足を振ったので、(ゴールが)入って良かったです。この復帰戦までに多くの方々に支えられてこのピッチに立つことができました。その感謝を持ってプレーで表現しようと思いで頭がいっぱいでした(笑)。その思いが得点というかたちで現れて良かったです。まだまだ課題もたくさんあるので、チームとしても個人としても再出発地点なので、課題を克服していきたいです。
――得点した後、チームメイトが一目散に駆け寄っていく姿が印象的でした
久しぶりの感覚でしたね。めちゃくちゃうれしかったです。やっぱりこれがあるから大けがしてもサッカーをやめられないってすごく感じました。
――けがの経緯を教えてください
4月3日に大宮アルディージャ(VENTUS)さんと練習試合をした時にけがをして、顔面多発骨折で頬とか眼底とかを折ってしまって手術をしました。体は元気ですが、筋肉が落ちてしまいましたし、恐怖心があったので徐々に慣らしながらリハビリを続けました。その中でもコロナで活動停止期間があったのですが、トレーナーさんと協力してコツコツ練習して今回復帰戦を迎えることができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
――先ほどおっしゃっていた課題とは何か教えてください
個人としては、試合に集中すると視野が狭くなってしまうところです。特にフェイスガードを付けているので、なお狭くなってしまうので。後半に疲れがたまっている中でも、相手との駆け引きをして味方とも連動して、どのプレーを選べばゴールに近づくのかというところをより突き詰めていきたいです。チームとしては、前半あれだけ点を取れたのに後半なかなか点が生まれなかったので、ゴール前の崩しやコンビネーションをよりこだわりを持って練習していきたいです。でも久しぶりの試合にもかかわらずこれだけ得点を取れたことはポジティブに捉えて、できたところとできなかったところを整理して次に向けて頑張りたいです。
――来週の皇后杯関東予選に向けて、抱負を聞かせてください
去年は本戦に行ったにもかかわらずけがで途中交代したので、特別な思いがあります。(実力が)上のチームと対戦できる素晴らしい機会だと思うので、WEリーグ参加チーム撃破を目指して頑張りたいと思います。