2週連続引き分けるも、首位交代は許さず 

ア式蹴球女子
第35回関東大学女子リーグ戦 前期第10節
早大 0-0
0-0
東洋大
【得点】
(早大)なし
(東洋大)なし

 東伏見から遠く離れた群馬の地で、関東大学女子リーグ(関カレ)前期第10節が開催された。相手はア式蹴球部女子(ア女)を勝ち点2差で追う東洋大。負ければ首位交代となる気が抜けない一戦だ。前半は相手に押し込まれるが、GK近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)を中心に守り切る。後半は攻撃に転じる場面も見られるようになったが、相手のゴールマウスをこじ開けることはかなわず。2週連続、関カレを0-0で引き分ける結果となった。

 

ロングフィードが冴えた加藤

 

 関東女子リーグ(関東リーグ)で対戦し2-0で下した相手だったが、試合開始早々に裏を取られてペナルティエリア内で強烈なシュートを浴びる。さらに8分にも相手のロングフィードからピンチを迎え、序盤から一方的な攻撃にさらされた。対するア女は、DF加藤希主将(スポ4=アンジュヴィオレ広島)が積極的にエリア内にロングフィードを供給。しかし相手ゴールを脅かすシーンはつくれず、時間だけが過ぎていった。相手優勢で迎えた33分、パスカットを許しエリア内でシュートを打たれる。近澤のストップで事なきを得るが、守備陣はぎりぎりの戦いを強いられる。さらに前半終了間際には左サイドの突破を許し、クロスを上げられてしまう。ここはバーに救われ、0-0で試合を折り返した。

 後半のは前半に比べてピンチの場面は減ったものの、拮抗した展開となった。反撃の糸口をつかみたいア女は、63分に右サイドからFW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)が切り込み、シュートに結びつける。しかし惜しくも枠をそれ、先制点を奪うことはできない。さらに73分、「パスの配球やセットプレーのキッカーもうまくできた」と話すMF笠原綺乃(スポ2=横須賀シーガルズJOY)のCKから再びチャンスが生まれる。こぼれ球をFW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)蹴り込むが、相手DFに跳ね返された。前半に比べてチャンスが増えるものの、最後の質が高まらず苦しむア女。84分には、右サイドの崩しから廣澤が豪快なシュートを放つが相手GKの正面。両校に得点が生まれないまま、0-0で試合終了のホイッスルが鳴った。

 

試合後に曇った表情で互いをねぎらう選手たち

 

 MFブラフ・シャーン(スポ3=スフィーダ世田谷FCユース)は「今までで一番組織的に戦ってくる相手でやりにくかった」と振り返る。今試合で見えてきた課題は、やはり「(ボックス内の)立ち位置やクロスの精度」(加藤)だろう。次戦は筑波大との連戦が予定されている。関カレ2位の東洋大をひざまずかせることはできなかったが、筑波戦では白星を重ね、首位でリーグを折り返すことが期待される。

(記事 手代木慶、写真 朝岡里奈)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 1 近澤澪菜 スポ3 JFAアカデミー福島
DF 5 後藤若葉 スポ2 日テレ・メニーナ
DF 22 夏目歩実 スポ2 宮城・聖和学園
DF 20 浦部美月 スポ2 スフィーダ世田谷FCユース
DF ◎10 加藤希 スポ4 アンジュヴィオレ広島
MF 6 ブラフ・シャーン スポ3 スフィーダ世田谷FCユース
MF 19 笠原綺乃 スポ2 横須賀シーガルズJOY
MF 30 築地育 スポ1 静岡・常葉大橘
→78分 26 木南花菜 スポ1 ちふれASエルフェン埼玉マリ
FW 15 吉野真央 スポ3 宮城・聖和学園
FW 9 廣澤真穂 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 11 髙橋雛 社3 兵庫・日ノ本学園
◎=ゲームキャプテン
監督:福田あや(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園)

DF加藤希主将(スポ4=アンジュヴィオレ広島)

――試合全体を振り返っていかがですか

相手が上位のチームってところで、最後の攻撃のところがうまくいかなかったかなという印象です。守備のところは自分たちがやろうとしていたところが狙えていました、そこで取り切れたりつなげたりしたところは、前の試合と比べてできるようになったかなと感じています。

――相手にはどんな印象を持っていましたか

スカウティングで、結構回してきてビルドアップでサイドから崩してくると予想されていました。自分たちとやろうとしていることは、いっしょかなというような印象です。

――前半は右サイドから突破されるシーンが多く、後半は逆サイドから突破されるシーンが多かったです。相手が戦い方の変化を感じたところはありましたか

自分でひろ(廣澤真穂、スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)に外からいかしたので、あまり自分のところにボールが来なかったです。前半はサイドハーフに高い位置を取られて裏を取られました。左から右に展開されてスライドが間に合わなかったということが多かったかなと思います。そこはひろと話し合ったりして修正できるかなと思います。

――ハーフタイムは、選手間でどのような確認をしましたか

自分がビルドアップの時に右にはまってしまう場面が多かったので、そこのポジショニングだったり、空いているスペースはどこか共有しました。

――ビルドアップを大切にするがあまり、いつもより前向きな攻撃が少なかったという印象がありました

個人的には、勢いがなかった感じはしなかったかなと思います。でも最後のゾーンは攻撃のクロスやその1個前の部分で、確率の低い方のボックスからのシュートという選択するというシーンが多かったので、そういう印象につながってしまったかなと思います。

――引き分けの要因はどこにあると考えていますか

最後のボックスのところのちょっとしたところ、ほんと立ち位置やクロスの精度ですね。ちょうど(練習で)取り組んでいるところが引き分けになった要因かなと思います。

――今日の引き分けで、リーグ首位で折り返す確率はまた上がりました。次の試合の意気込みをお願いします。

勝ち点は2しか差がないですし、一試合逃せば、ひっくり返ってしまう可能性は十分に考えられます。次は(延期になっている)慶応戦はありますが、(関カレ)前期は一回終わりっていうところで、しっかり勝ちにいって終わりにしたいと思います。

MFブラフ・シャーン(スポ3=スフィーダ世田谷FCユース)

――試合を終えての感想をお願いしします

自分は今までで一番組織的に戦ってくる相手でやりにくかったです。先週に続いて勝ち切れなかったのが課題だなと思います。

――東洋大への具体的な対策はありましたか

相手が3―4―3で特に(アンカーの)自分の両脇が空きやすいので、そこをしっかり守備でカバーするところと、ゴール前のところを決め切るところを意識していました。

――その対策は結果としてはまらなかったということでしょうか

試合が進んでいくにつれてどんどんできるようにはなってきて、守備も先週はディフェンスラインに吸収されてしまったんですが、その一つ前のラインで戦えるようになっていました。それは収穫だったと思います。

――笠原綺乃選手(スポ2=横須賀シーガルズJOY)とのコンビでしたが、やりやすさはありましたか

だんだん良くなってきたかなという感じです。でももっと二人でつながって試合をつくっていけたらなと思います。

――個人としては、競り負けないところや全体のバランスを取る力が優れているように感じました。ご自身ではどう評価しますか

相手の中盤の6番の選手が、自分も今まではずっと(競り)勝ってたんですが、負けてしまったのでまだまだだなと思います。

――チームとしては引き分けてしまいました。勝ち切れなかった要因はどこにあると考えますか

後半は自分たちの時間帯はつくれていて、先週の試合もチャンスはあったんですが、焦らないでゴール前でしっかり決め切るというところが一番だったかなと思います。

――相手の寄せが早かったときにパスミスをしてしまうのが課題かと思いましたが、いかがですか

相手のプレスが早いとあまり周りが見えない時間帯もあったので、自分を中心に全体を落ち着かせられるようにしたいなと思います。

――明日以降も試合が続きますが、抱負をお願いします

明日は関東リーグ(関東女子リーグ戦)ですが、絶対に勝ち切って、来週も頑張ります。勝っていいイメージで次に進めたらなと思います。

MF笠原綺乃(スポ2=横須賀シーガルズJOY)

――関東大学女子リーグ戦(関カレ)1位と2位の直接対決でした。振り返っていかがでしたか

この試合で勝ち切れば2位を大きく離せる試合で、絶対勝ち切ろうと思って臨みました。結果的には0-0という引き分けで悔しいです。攻撃の選手なので、点に絡みたいという気持ちは強くあったので悔しいです。

―ケガしている選手が多い中での出場でした。ご自身の調子はいかがでしたか

うまくいったところもあるんですが、パスの簡単なミスとかもあったので、納得いくような、良かったなという感じではないです。

――アウェイ会場で、天候も湿度が高い状況でした。コンディションについてはいかがでしたか

一度試合したことがある場所で、湿度は高かったのですが雨も降っていなくて暑すぎない環境だったので、比較的やりやすかったかなと思います。多少ボールが滑りやすいことはありましたが、今週末ずっと雨でボールが止まってしまう勢いでしたし、そのあたりは相手も同じ状況なので、個人的には気にならなかったかなと思います。

――ハーフタイムに福田あや監督(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園)からの指示はありましたか

監督というより選手同士で細かいポジションの修正は話しました。ゴールキーパーからのハンドキックやゴールキックのセカンドを前半は拾われていたので、そこをしっかり取り切ろうという話はしました。

――後半になって、笠原選手からのパスでチャンスをつくった部分が多くありました。そのあたりは振り返っていかがですか

直接得点に関われなかったことは悔しいですが、ボールの配球ができたところもあったのは良かったです。でも完璧ではなくて、もっとつなげられるところはちゃんとつなげ切って、細かいところまでこだわりたかったなと思いました。

――今日の試合でご自身のポイントを挙げるとしたらどんな点でしょうか

さっき言ったようなパスの配球、こぼれ球を拾って左右に展開したり、セットプレーのキッカーもうまくできたかなと思います。

――次の試合に向けて意気込みをお願いします

最近は関カレが引き分け続きで勝ち切れていないので、次の試合こそは自分が点にも絡みたいですし、チームとしても勝ち切りたいです。最後まで集中を切らさず、勝ち切ることを意識したいと思います。