第35回関東大学女子リーグ戦 前期第5節 | ||||
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早大 | 2 | 0-0 2-0 |
0 | 神奈川大 |
【得点】 (早大)61分 廣澤真穂、73分 髙橋雛 (神奈川大)なし |
慶大と対戦予定だった前節が延期となり、2週間ぶりの関東大学女子リーグ(関カレ)前期第5節が行われた。ア式蹴球部女子(ア女)の相手は、5月9日に関東女子リーグ(関東リーグ)で対戦したばかりの神奈川大(○4-0)。前半は両校無得点だったものの、61分にFW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)、73分にFW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)がゴールネットを揺らす。守備陣も相手の攻撃を跳ね返し続け、この試合で今シーズン公式戦10連勝を飾った。
先制点を決めた廣澤(右)と抱き合う笠原
前回の対戦とは相手のスタメンの半数以上が異なる中、久々にGK丸山翔子(スポ1=スフィーダ世田谷FCユース)がスタメンに名を連ねた。開始早々、廣澤の頭で得点のチャンスが生まれたが、相手GKに阻まれる。対する神奈川大は細かなパスで自陣に侵入。さらに「ブロックを敷かれ、相手がゴール前を固めてきた」(髙橋)と、攻め手に困る展開に。相手陣地でボールを回す時間は多いものの、ゴールは遠い状況が続いた。ようやく前半終了間際に、サイドの好連携から何度かシュートに結びつけたものの、得点には至らない。そのまま0―0で試合を折り返した。
迎えた後半、相手にロングシュートを浴びたり、FKを与えたりとピンチを招く場面が散見される。そのたびに丸山が冷静に対応し、主導権は渡さない。すると、ハーフタイムで確認した流動的なパス回しにより、徐々にスペースが生まれる。「ワンタッチやくさびのパスが入ったところに、周りの選手が良いかたちで関わっていけた時に(相手を)崩せた」(後藤若葉、スポ2=日テレ・メニーナ)と、リズムをつかみ始めた。そして61分、DF浦部美月(スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)のクロスに反応した廣澤が、ゴール前の混戦を経て待望の先制点をもぎ取る。さらに73分にも、再び浦部のパスから前向きでボールを受けた髙橋が「自分の好きなシュートのかたちができるシーンだった」と右足を一閃。ペナルティーエリアの外から豪快なシュートを放ち、追加点を奪う。その後も果敢にゴールを目指したア女は、2-0で試合を終えた。
追加点に歓喜するア女
今年のア女は強い。たとえ前半に得点が取れなくても、先制点を取られても、攻撃陣が必ず点を取り返して勝利に導く。守備陣も、ここ最近行われた公式戦3試合は全て無失点に抑えた。これからの関カレは、前々回インカレ(全日本大学女子選手権)女王の日体大や前回インカレ女王の帝京平成大など、レベルが高い相手ばかりだ。「いかに点を取って守っていけるかが、今後の成長につながっていく」(後藤)だろう。自分自身を『挑越』するために、ア女は歩みを止めない――。
(記事 手代木慶、写真 ア式蹴球部女子部提供)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません。
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 21 | 丸山翔子 | スポ1 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 2 | 船木和夏 | スポ3 | 日テレ・メニーナ |
DF | 5 | 後藤若葉 | スポ2 | 日テレ・メニーナ |
DF | ◎10 | 加藤希 | スポ4 | アンジュヴィオレ広島 |
DF | 20 | 浦部美月 | スポ2 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
MF | 6 | ブラフ・シャーン | スポ3 | スフィーダ世田谷FCユース |
→57分 | 17 | 井上萌 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | 19 | 笠原綺乃 | スポ2 | 横須賀シーガルズJOY |
→83分 | 8 | 並木千夏 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
FW | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
→83分 | 12 | 黒柳美裕 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
◎=ゲームキャプテン 監督:福田あや(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園) |
※インタビューはオンラインで行いました。
FW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)
――試合を終えての感想を教えてください
前半はボールを保持していたけれど、なかなか思うようにゴールに行けなかったです。でも、後半に入ってから流動的な動きが出てきて、チャンスも生まれてきました。結果2-0で勝てて良かったです。
――相手にどんな対策をして臨みましたか
結構細かなパスで侵入してくるという情報があったので、球際だったりセカンド(ボール)の部分だったりで相手を上回ることと。そして、相手よりも早く準備してどこに(ボールが)出ても対応できるようなギラギラした準備を、みんなが試合前にテーマにして臨みました。
――前半は得点のチャンスがあったにも関わらず、決めきれなかったと思います。前回の対戦(5/9、○4-0)とは何が変化していたのでしょうか
ブロックを敷かれたというのもあるのですが、相手がゴール前を固めてきました。自分たちは相手陣地でボールを回している時間が多かったのですが、スペースがあまりなくて誰かがスペースを開ける動きをしなかったというのは、得点できなかった原因かなと思います。ブロックを敷かれた時にどれだけ相手を動かす動きができるかというのも、これから大事になってくるのかなという感じですね。
――それに対して、後半は流動的なパス回しができていました
流動的に動いたことでテンポも生まれて、相手もケアしだしたのでスペースももっと生まれて、楽にボールを回すことができ始めました。それがゴールにつながっていったし、チャンスも多く生まれてきたのかなと思います。
――追加点のシーンを振り返ってください
美月(浦部、スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)からいい感じに前向きでボールを受けたので、まずは仕掛けようと思いました。自分の好きなシュートのかたちができるシーンだったので、切り返してそのまま右足を振ったら入ったので嬉しかったです。自分の理想とする得意なかたちだったので嬉しかったですね。
――次戦に向けての意気込みを教えてください
チームとして絶対に勝ちたいし、どんどんゴールを狙っていきたいし、最終的には勝てたらいいと思います。
DF後藤若葉(スポ2=日テレ・メニーナ)
――今日の試合を振り返っていかがですか
久しぶりの暑い中での試合というのと、相手のペースが最初からがつがつ来るという感じではなかったです。それに私たちが飲まれてしまってふわふわした入りになった中で、後半いい時間帯に1点取って、追加点も取って、関カレ(関東大学女子リーグ)初めての無失点だったので良かったなとは思います。
――けがから回復されて公式戦3試合目ですが、状態はどうですか
足首はテーピング巻きながら出て痛みがあるのですが、全体的には調子は上がっているかなと思います。でもロングキックの質だったり、まだ元に戻さなきゃなという部分は実際あります。
――前回の神奈川大戦とは試合の流れが全く違いましたが、何が要因だと考えていますか
前回は相手も関東リーグ(関東女子リーグ)だったのでメンバーも違うというのはひとつ大きな点だと思います。あとは去年の皇后杯予選(関東女子選手権(兼)皇后杯JFA全日本女子選手権関東地区予選)でもそうだったのですが、前半は相手が右サイドに(ボールを)持っていかせない守備をしていて、(右サイドの)自分の方にボールを入れさせないようにしているって考えたら、その中でも自分が上手くやっていかないといけないと思います。でもだからこそ空いている部分もあったので、そこをもっと上手くやっていけたら前半のうちから点につなげられたのかなと思います。
――ハーフタイムではどんな確認を行いましたか
前半は自分たちの中盤のラインが、相手のラインに対して入り込みすぎている部分があって、自分たちのバックラインからボールを入れられないということがありました。そこで、1個相手のラインの手前で受けよう、(ボールを)テンポよく回したときに相手が崩れていたので、テンポを意識していこうという話はしていました。後半のゴール前まで運べたシーンは、ワンタッチやくさびのパスが入ったところに周りの選手が良いかたちで関わっていけた時に(相手を)崩せていました。あとはゴールの前のフィニッシュの質を上げていけば、これからの試合でももっと点が取れるようになるのかなと思います。
――最近は無失点勝利を重ねて、今日で10連勝目ですが手応えはどうですか
点は取られても点を取り返して勝てているのは今年のア女の強みだと思います。失点も多かった中でここ3試合は無失点でいけているのは、守備の自分からしたらいいと思います。でも、これからの関カレの相手はレベルも高くなっているので、いかに点を取って守っていけるかが今後の成長につながっていくのかなと思います。
――次戦に向けての抱負をお願いします
明日は関東リーグ前期の最終戦になって皇后杯予選の組み合わせが決まってきます。一旦落ち着いて超えるべき一つ目の山場の最後だと思うので、今日出た人たちのもいい準備をして明日チーム全員で2連戦の最後を勝って終わる。ホームですし、全員で力を合わせて勝って終わりたいです。