第27回関東女子リーグ戦 前期第5節 | ||||
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早大 | 1 | 1-0 0-0 |
0 | 浦和レッズレディースユース |
【得点】 (早大)5分 築地育 (レッズ)なし |
強い日差しが照りつけた前日の試合とは打って変わって、大きな曇り空が広がる中で迎えた関東女子リーグ(関東リーグ)前期第5節。ア式蹴球部女子(ア女)は浦和レッズレディースユースと対戦した。前半開始直後にMF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)がゴールを決めるが、そこからは相手がボールを持つ時間が長く続く。後半も流れを取り戻せず危ういシーンがあったが、要所を押さえて守り切り無失点。1―0で関東リーグ連勝記録を5に伸ばした。
先制点を挙げた築地(30番)と祝福する選手たち
前日には関東大学女子リーグ(関カレ)の武蔵丘短大戦があり、試合は2週連続2連戦という過密スケジュールの中で行われた。それでも、FW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)とDF夏目歩実(スポ2=宮城・聖和学園)が2日連続でスタメンに名を連ね、ア女は積極的に白星を狙う。5分、良い位置でボールを受けた築地が「真ん中で勝負できた」と、冷静にボールをゴールへ流し込み先制した。それからは相手がボールを持つ機会が多くなるものの、DF桝田花蓮副将(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉マリ)のFKやFW黒柳美裕(スポ4=宮城・聖和学園)の強烈なシュートなど、主導権を握っていたのはア女。相手を自陣には立ち入らせず、得点を許さない。
後半は雨も降り始め、強い風も吹き始めるなど難しいコンディションに。その中でも懸命にゴールを狙いにいくが、なかなかシュートまで結びつけることができない。そして、相手が前線から圧力をかけてくるようになったことで、ゴールを脅かされる時間が長くなる。49分、相手にCKを与えてしまいあわや失点の場面も、DF浦部美月(スポ2=スフィーダ世田谷ユース)が落ち着いてクリア。さらに80分にも、再びCKからヘディングで合わせられピンチを招くが、GK近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)のファインセーブで事なきを得る。その後も「押さえるべきところはしっかりと押さえて無失点で終えられた」(近澤)と、近澤を中心にディフェンスラインをコントロールして重要な場面は押さえ切り、1―0で関東リーグ5連勝を飾った。
度重なるピンチをしのぎ、零封の立役者となった近澤
公式戦8連勝となったア女だが、これまでに完封できた試合は今試合を含めて3試合だけと、詰めの甘さが目立っていたのもまた事実。それだけに、この試合を無失点で終えられたことは大きい。この日キャプテンマークを巻いた桝田も「あれだけ攻め込まれた中で守り切れたのは良かった」と振り返る。交代選手も含めて、10人もの選手が前日の試合と今試合の両方に出場しているア女は、この春シーズンをチームで戦っているとも言える。関東リーグの優勝だけではなく、『四冠』へ。そして、『頂』へ。ア女の戦いはまだ始まったばかりだ。
(記事 内海日和、写真 冷水睦実、手代木慶、ア式蹴球部女子部提供)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 近澤澪菜 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
DF | ◎3 | 桝田花蓮 | スポ4 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
DF | 17 | 井上萌 | スポ3 | 東京・十文字 |
DF | 20 | 浦部美月 | スポ2 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
DF | 16 | 木南花菜 | スポ1 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
DF | 29 | 田頭花菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 28 | 白井美羽 | スポ1 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→90+1分 | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→84分 | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
FW | 12 | 黒柳美裕 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
→79分 | 8 | 並木千夏 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
◎=ゲームキャプテン 監督:福田あや(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園) |
DF桝田花蓮副将(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉マリ)
――今日の試合を振り返ってください
前半の早い時間に点が取れたのでチームとしても落ち着いて戦いやすくなりました。前半は自分たちが主導権を握ってできたのですが、後半に相手の守備がより前から来るようになった時に押し込まれる展開が続いて、なかなか自分たちでボールを持てなかったというのが課題かなと思います。でも、あれだけ攻め込まれた中で守り切れたのは良かったです。
――先制点はまたもやア女でした
立ち上がりからチャンスができていたのも、ひろ(廣澤)のところにボールが収まってから周りが前向きに動き出していて、そこがチャンスだと思っていました。あそこで1点取れたというのは、この試合において大きかったなと思います。
――天気が悪くてピッチコンディションに苦しんだ印象がありました
(雨で)ピッチは滑るし、結構ボコボコしていて東伏見とは違っていましたが、そこがアウェイの難しさですね。特に後半は向かい風になってしまったのですが、それを自分たちで理解しながら、その上でどうプレーを選ぶのか、外からの声も中からも声がけができていたので、そこは対応できたかなと思います。
――後半は相当攻め込まれる展開になりました
相手は負けている状態で、勢いを持ってくるだろうなと思っていたのですが、あそこまで攻め込まれるとは思っていなかったです(苦笑)。GKを中心にDFラインは結構声をかけあって、不安はあるけれどみんなで守りきろうということしか考えていなかったです。
――無失点に抑えられた要因はどこにあるのでしょうか
これまでの試合を踏まえて、ボールを奪いきる質や守備でのハードワークというのを自分たちの強みとしてやろうと、試合前のミーティングで監督から言われていました。自分たちとしてもそこは極めたかったので、今日のゲームでそこの意識はすごかったですし、球際などの最後のこだわりが今日の試合で出せたからこそ、ギリギリのところで無失点で終われたと思います。
――次戦に向けての意気込みを聞かせてください
次もアウェイなのですが今週で課題が明確になったの、試合でやればいいじゃなくてもっと練習からこだわりたいです。攻撃は、最後はシュートで終わること。今日はいいところまで運べているけれど結局シュートは打てていなかったので、ゴール前のもう一工夫だったり、最後のパスの質ですね。今日は無失点でしたが、守備は球際やボールを奪いきる技術ですね。まだ伸びしろはあると思うので、練習から攻撃も守備も一つ一つ丁寧にやってレベルを上げていきたいです。
GK近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)
――今日の試合を振り返っていかがですか
グラウンド状況もそうですが、雨や風がある中で自分たちのやるべきサッカーをスカウティングの時点で確認していました。その中で体現できた部分もあるのですが、やはり課題も少し残る試合だったと思います。
――グラウンドの状況はいかがでしたか
凹凸があったり芝が短かったりということがあって、予想以上にボールが跳ねるということはありました。
――今日はどのような気持ちで試合に臨まれましたか
関東リーグも関カレも全勝中で、先週も今週も2連戦ということで山場でもあったので、絶対に勝ちたいという思いはありました。
――無失点で試合を終えられましたが振り返っていかがですか
今まで休んでいた分不安な要素もあったのですが、押さえるべきところはしっかりと押さえて無失点で終えられたので、自信につながりました。
――足の状態はいかがでしょうか
元々膝にケガは抱えていて、今日のようにボールを蹴る回数が多い試合になると、痛みも少しは出てしまいます。しかし、しっかりとケアをして次の試合に向かって調整していきたいです。
――今後の意気込みを教えてください
四冠という目標を掲げている中で、ここまで勝ち切ることができているので、気持ちとしては全勝して、四冠を目指して戦っていきます。それをしっかりと実現させていけたらと思います。
MF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
全体的に入りからみんなで気持ちを上げていって試合に取り組めたので良かったと思います。
――強風と雨でコンディション調整が難しかったですよね
前回の試合でもアウェーのピッチ状況に入りから慣れていくようにという振り返りをしたので、今日も濡れているなど、いつもと違うグラウンド状況を考えながらみんなで意識していました。
――先制点を振り返ってください
久しぶりの得点でした。みう(白井美羽、スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)からいいボールをもらって、真ん中で勝負できたので良かったです。
――その後は膠着状態でしたが、どんな意識でプレーしましたか
追加点を狙うのはもちろん、まず相手の流れに持っていかれないように自分たちで声をかけるという意識をしました。ハーフタイムには監督から、相手もやり方を変えてくると思うからそれにしっかり対応できるようにという話があったので、いちから気持ちを入れ直して頑張ろうとみんなで声をかけました。
――相手は後半どのように変えてきましたか
前半は細かくつないで低い位置からパスで崩してこようとしていましたが、後半はシンプルに落として蹴るという背後の狙いが増えたので、最終ラインの人たちがラインを下げたり上げたりと頑張ってくれました。
――次の試合に向けて抱負をお願いします
またチームの得点に関われるように、攻守ともにハードワークしていきたいです。