第35回関東大学女子リーグ戦 前期第1節 | ||||
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早大 | 2 | 0-0 2-1 |
1 | 日大 |
【得点】 (早大)47分 浦部美月、90+2分 笠原綺乃 (日大)74分 小林結奈 |
今シーズンは『挑越』と『四冠』をスローガンに掲げ、関東大学女子リーグ(関カレ)連覇を狙うア式蹴球部女子(ア女)。開幕戦は、今季から1部に昇格した日大との一戦となった。女王の貫禄を見せたいところだったが、前半を0-0で折り返す。しかし47分、DF浦部美月(スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)の右足で先制。終盤に一度は追い付かれたものの、90+2分にMF笠原綺乃(スポ2=横須賀シーガルズJOY)が2点目を押し込むことに成功し、土壇場で勝ち点3を手にした。
積極的な攻撃参加を見せた浦部
日大は昨シーズン2部で首位となった侮れない相手である。対するア女は、関東女子リーグ(関東リーグ)から継続して4ー4ー2の布陣で迎え撃った。最終ラインからの声がけもあり、守備は比較的安定。しかし、中に人数をかけて堅固な守備を敷く相手に対してサイドをうまく使うことができない。福田あや監督(平20卒)も「ものすごく入りが固くて、なかなかやりたいことが表現しづらいゲームになった」と振り返るほど、膠着(こうちゃく)した展開に。ようやく40分にMF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)が惜しいシュートを放つが、前半は終始攻めあぐね、スコアレスで折り返した。
ハーフタイムには、FW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)がいつもより早く投入され、貪欲に勝利をつかみにいくア女。すると後半開始早々に、浦部が魅せる。「攻撃にはどんどん参加しようという意識だった」(浦部)と、ボールは美しい弾道を描き、ゴール右隅に突き刺さった。この先制点で落ち着きを取り戻すと、選手同士の距離感を整えて追加点を狙う。しかし75分、ロングボールからゴール前の混戦を経て、同点ゴールを献上してしまう。さらに、相手GKがスーパーセーブを連発。引き分けが脳裏に浮かび、緊張感がピッチを支配した。それでも、焦りを静めようと互いに鼓舞しあうア女。そして試合終了間際、「最後の笛が鳴るまで絶対に諦めないで、絶対に点を取ってやるという気持ちを意識し続けた」という笠原が待望の勝ち越し点をねじ込み、2-1とする。そのまま1部女王が2部女王に意地を見せる格好で、白星を奪取した。
アディショナルタイムに決勝点を放つ笠原
昨季は折り紙つきの実力をもちながら、思うような結果に恵まれなかった。関カレは苦闘の中で手にした唯一の『頂』だけに、何としても連覇したいところだ。そして、今シーズンまだ一度も負けていないア女は、どこまで連勝記録を伸ばせるだろうか。「簡単な試合なんてひとつもない」(福田)。勝利にあぐらをかかず、挑戦者として臨み続ける姿に期待がかかる。
(記事 手代木慶、写真 小野寺純平)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 石田心菜 | スポ1 | 大阪学芸 |
DF | 2 | 船木和夏 | スポ3 | 日テレ・メニーナ |
DF | 4 | 堀内璃子 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 20 | 浦部美月 | スポ2 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
MF | 6 | ブラフ・シャーン | スポ3 | スフィーダ世田谷FCユース |
MF | ◎8 | 並木千夏 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
MF | 19 | 笠原綺乃 | スポ2 | 横須賀シーガルズJOY |
MF | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
FW | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
→HT | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
◎=ゲームキャプテン 監督:福田あや(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園) |
福田あや監督(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園)
――初戦を勝利しましたが、試合を振り返っていかがですか
みんなものすごく入りが固くて、開幕戦らしい試合でした。上手く解き放ってピッチに送り出したかったですね。なかなかやりたいことが表現しづらいゲームになったかなと思います。
――どんなプランを持って臨まれましたか
守備のところで、圧倒的に前からプレッシャーをかけ、その上で中央を取ってゴールに迫るというのをゲームプランに持って入りました。
――初めて日大さんと対戦するにあたって、やりにくさは感じましたか
映像などでスカウティングはしていたのですが、映像では分からない部分はありました。それに、開幕戦で向こうがどう戦ってくるか分からないので、いくつか想定をして準備はできていました。
――前半はボールを保持しながらも、ゴールには結びつきませんでした
相手がすごく中央をケアしてきて、中がすごく閉まった状態で、逆に自分たちが前に急ぎすぎました。スペースを自分たちで無くしてしまったりもしていたので、ハーフタイムを含めて立ち位置や攻撃の回し方も修正しました。
――昨年よりも積極的に指示を飛ばされていますが、スタイルの変化はいかがですか
最終的には選手がピッチ上で判断してプレーすることが必要ですが、今年のチャレンジとして、去年のチーム作りのひとつ上を行くためにトップアップを掲げています。コーチングも去年とはまた違ったスタイル、刺激を与えながら成長を促しています。
――今年は廣澤(真穂、スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)選手がベンチスタートで、吉野(真央、スポ3=宮城・聖和学園)選手がスタメンに起用されていますが、どんな意図がありますか
まだ選手を固定していない中で、吉野がFWの競争に対してこれまですごくいいパフォーマンスを発揮しているので、スタメンを勝ち取っています。ただ、私もFWだったのですが、筑波戦(4/24、〇3-0)のようにFWって結果が全てです。廣澤も負けじと練習から点を取るというところで、お互いにやりあっています。好調の2人がポジションを争っているところは、私としてはポジティブですね。今日は吉野をスタメンに抜てきしたのですが、他のポジションでもチーム内でギラギラやりあうことが望む姿です。
――スタメンに抜てきされた浦部(美月、スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)選手も、得点というかたちで結果を残しました
浦部は出場するチャンスをものにしたし、練習から今日に至るまで非常にいい準備ができていた結果だと思います。よくアジャストしてきたなと、素直にほめてあげたいなと思います。
――今日も最後劇的な決勝弾で勝利しました。次戦に向けて一言お願いします
簡単な試合なんてひとつもないのが関カレだと改めて思いましたし、相手もうちをとことん分析してくる中で戦い続けなければいけません。でも、一戦一戦全力出して戦い抜くだけですね。まだまだ試合の中で成長するところがたくさんあると思うので、一つ一つ積み上げて勝利するまで90分間諦めない。(今季は)結果としても表現できている部分だと思うので、そこは変わらずに高めたいです。志しているサッカーはもっともっと高いレベルだし、みんなで目指しています。(結果に)一喜一憂せず、一戦必勝で頑張っていきます。
MF笠原綺乃(スポ2=横須賀シーガルズJOY)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
開幕戦というのもあって、全体的に前半はみんなが落ち着いておらず、焦って前に前にみたいな感じでうまく自分たちのペースがつかめなくて結構苦しみました。後半は相手がブロックを敷いてきたので、みんなの距離感と段差を作ることを意識して勢いに乗れて入れたと思います。
――後半開始直後に先制点を決めましたが、ハーフタイムにはどのような指示が出されたのですか
前半はみんなの距離感やポジショニングが少しバラバラだったので、段差を作ることを意識して、距離感を近くしてテンポよくパスを回す、焦れずに相手を動かして空いたスペースに向けてパスを入れるということを話しました。
――失点シーンを振り返っていかがでしたか
相手陣地でボールを失ってからのカウンターで、ディフェンスラインも自分たちもバラバラだったというか焦ってしまいました。(ディフェンスが)整ってない中で、しかもあの時間帯で失点してしまったのは、ここから修正していかないといけないなと思います。
――アディショナルタイムに決勝点を決めましたが振り返っていかかでしたか
先週と同じように途中の決定的チャンスを1回外してしまったし、1対1の同点でしたが、最後の笛が鳴るまで絶対に諦めないで、絶対に点を取ってやるという気持ちを意識し続けた結果、点を取れて勝てたのは良かったと思います。
――最後に次戦への意気込みをお願いします
次の試合も苦しい戦いというか簡単な試合ではないと思うんですが、今回の試合で結構課題が出たので、そこを修正してまたチーム全員で勝ちたいと思います。
DF浦部美月(スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)
――試合を振り返っていかがですか
前半はいいかたちを作れていたわけではなかったのですが、相手が攻めてきて(自分たちが)攻めあぐねるシーンが結構多くて、それを後半は一人一人が三角形や段差を意識して焦れずにやっていこうと話していた中での得点でした。相手に追いつかれてしまいましたが、みんなが最後まで諦めなかった結果、勝てたので全員の勝利でした。
――出場が告げられたのはいつだったのですか
今週の練習でAチームの方に出させてもらっていて、告げられたのは今日のミーティングでした。でもいい準備をしていこうと思っていました。
――ハーフタイムにはどのような指示があったのですか
一人一人の距離感を小さくして、三角形や段差をもっと意識してといった感じの話でした。
――後半開始直後の先制点を振り返っていかがでしたか
自分は攻撃にはどんどん参加しようという意識でしたので、いい位置で育(築地)がキープしてくれて落とせという感じでした。そうしたらいいボールが来たのであとは思い切り打つだけでした。
――追いつかれてしまった際の雰囲気はどうでしたか
あの得点は自分のところでの失点だったので個人的にもチームの雰囲気的にも焦りがあったと感じたのですが、それでも周りの仲間の声とかピッチ内でも「焦らない」だとかしっかりと声をかけあっていたのが最後の得点につながったと思っています。
――次戦への意気込みをお願いします
今日はみんなで勝ち取った勝利だったと思うし、次節も全員で戦って、いい準備をして勝ち点3を積み重ねられるようにしていきたいです。