第27回関東女子リーグ戦 前期第1節 | ||||
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早大 | 3 | 2-0 1-2 |
2 | 大東文化大 |
【得点】 (早大)8分 木南花菜、45+2分,90分 築地育 (日体大)58分 池田千織、84分 高野千春 |
ホーム東伏見にフレッシュな風が吹いた――。関東女子リーグ戦(関東リーグ)前期第1節。昨年度、全日本大学女子選手権(インカレ)の初戦で負けた因縁の相手との対戦となった。ア式蹴球部女子(ア女)は序盤から積極的に仕掛け、8分に先制。45+2分に2点目を追加して折り返すも、後半は同点まで詰め寄られてしまう。焦りが見られる苦しい展開になったが、試合終了間際にMF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)が値千金の3点目を決め、開幕戦を白星で飾った。
前半、追加点を奪う築地
スタメンを下級生中心でそろえ、関東リーグを『育成』の場と位置づけるア女は、序盤からテンポの良いパス交換で主導権を握る。8分、ゴール前で粘ったFW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)のアシストで、MF木南花菜(スポ1=ちふれASエルフェン埼玉マリ)が先制。幸先の良いスタートを切った。その後も吉野が相手DFを引きつけ、空いたスペースに木南、築地らが走り込むかたちで好機を演出する。最終ラインは、DF桝田花蓮副将(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉マリ)を中心に強固な守備を見せ、危ないシーンを作らせない。そして45+2分、ペナルティーエリア内にいた築地が、ハーフライン付近にいたDF堀内璃子(スポ2=宮城・常盤木学園)から直接パスを受けて反転、冷静に右足を振り抜いた。待望の追加点を奪ったア女は、2-0で試合を折り返す。
良い流れを継続したいア女だったが、相手もさるもの。58分には、ゴール前の混戦でクリアしきれなかったボールを押し込まれてしまう。1点返された動揺からかコンパクトな距離感を保てず、ア女は防戦一方に。そして84分、相手の得意なセットプレーから再び失点し、追い打ちをかけられる。前半までの攻勢は鳴りを潜め、焦りがピッチ全体を覆った。しかし、このままドロー決着かと思われた90分、DF井上萌(スポ3=東京・十文字)のCKから頭で合わせたのは、またもや築地。「ヘディングが得意なので、(CKの時は)ずっとファーに入らせてもらっていた」(築地)と狙い通りの3点目を決めることに成功した。ボールがゴールネットを揺らした瞬間、ベンチも総立ちで劇的決勝弾を祝福。最後はGK丸山翔子(スポ1=スフィーダ世田谷)のスーパーセーブもあり、3-2で勝利を収めた。
3点目を獲得し、歓喜に湧くア女
粗削りだが勢いを感じさせ、2021シーズンの幕開けにふさわしい戦いであった。2失点はあったものの「守備の連携が課題だが、普段から声をかけあって改善していけるので、むしろ早めに課題として出てきてよかった」(桝田)と言えるだろう。シーズンは始まったばかりだ。今後も、前線ではアグレッシブにゴールを狙い、守備では堅実に守り切る姿勢を期待したい。
(記事 手代木慶、写真 新井万里奈、吉岡直哉)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 21 | 丸山翔子 | スポ1 | スフィーダ世田谷 |
DF | ◎3 | 桝田花蓮 | スポ4 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
DF | 4 | 堀内璃子 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
→65分 | 10 | 加藤希 | スポ4 | アンジュヴィオレ広島 |
DF | 17 | 井上萌 | スポ3 | 東京・十文字 |
DF | 20 | 浦部美月 | スポ2 | スフィーダ世田谷 |
DF | 26 | 木南花菜 | スポ1 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
DF | 29 | 田頭花菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 14 | 關陽南子 | 文構4 | 大阪教育大附 |
→72分 | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 28 | 白井美羽 | スポ1 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→88分 | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
MF | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
FW | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
◎=ゲームキャプテン 監督:福田あや(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園) |
DF桝田花蓮副将(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉マリ)
――今日の試合を振り返っていかがですか
前半の早い時間に点が入って、試合の入りも相手コートに押し込めていたのでよかったです。その分、後半失点してから慌てないように声をかけていたのですが、プレー的には慌ててしまいました。2失点した後に、チームの中では3点目取りに行くしかないというところで、崩れずにチャレンジし続けられたのが3点目を取れた要因かなと思うので、そこはすごく良かったです。
――前半は桝田さんを中心に守備の統制が取れていましたが、何を意識していましたか
相手の背後を狙おうという意識がチームで共通になっていたので、狙い通りにそこにボールを送っていました。FWもしっかりそこで収めてくれたので、自分たちがやろうとしていたことができていたことが前半の流れにつながったのかなと思います。
――失点シーンの反省点を教えてください
シーズン開幕戦でメンバーも新しく、1年生も多く出ているなかで守備の連携が課題として分かりやすく出てしまったということが個人的には反省点です。ですが、普段から声をかけあったりすることで改善していける点だと思うので、むしろ早めに課題として出てきてよかったと思いました。
――1失点目の状況は
DFがすごくゴールに近くて処理が難しく、クリアしきれないボールを押し込まれたという感じでした。ゴール前ではっきりしたプレーとか、せめてコーナーに逃げるとかということをチームのなかで徹底していかないと、このような失点につながってしまうと思います。
――2失点目についてはいかがですか
スカウティングでも相手が長いボールを蹴れるということはチームとして分かっていたので、あの位置でフリーキックを取られて嫌だなという感じはあったのですが、セットプレーなので仕方ない部分もあります。
――2失点してしまったことについてどう感じていますか
2点目はセットプレーだったので、相手がすごくうまかったというのがあるのですが、1失点目は防げた失点だったからこそ悔しい失点になってしまいました。練習で、これを教訓にやっていくしかないなと思います。
――後半苦しんだ中、3点目をとって開幕戦白星発進となりました
最後勝ち切れたということが私自身にとってもチームにとってもポジティブな成果だったと思うので、ここで勝てたからこそ試合内容の課題をちゃんと見直して練習を続けていきたいなと思います。
――レイア戦の抱負をお願いします
まずはこの試合で出た課題をチームとして1週間で修正できるところはしていきたいですし、まだア女としてはシーズンが始まったばかりなので、自分たちのサッカーをつくっていけるように、レイア戦でも今日のようなチャレンジしていく姿勢というのはア女の今年の強みとしてつなげていきたいなと思います。
MF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)
――まず、試合を振り返っていかがですか
試合の入りからすごく良いかたちができていて、結構ア女の流れに持っていったと思うのですが、 後半にやはり大東がやり方を変えてきたときに対応しきれない部分で押し込まれてしまいました。それでもしっかり3点取って勝てたので良かったです。
――前半停滞した時間に堀内選手からのパスで2点目を決めました。そこの得点シーンを振り返っていかがですか
福(田監督)さんから「もっと高い位置を取って攻撃参加して」と言われていて、そこを意識し始めてすぐに、璃子さんと顔が上がって目が合ったので、トップが開けてくれたスペースを上手く使い、狙い通りに攻撃ができたかなと思います。
――飲水タイム、ハーフタイムでは全体でどんな指示がありましたか
「試合が45分とすごく長いので、一回そこでしっかり気持ちを切り替えて、頭を休められるように、また、20分ー20分―20分と区切って考えられるように、体も頭もフルで動かしすぎず、最後までピッチで頭を使えるように」という指示を貰っていました。
――土壇場で3点目を追加しました。その得点シーンを振り返っていかがですか。
自分はヘディングが得意なので、最後にコーナーが何度も続いたところで、場所を決めるときにずっとファーに入らせてもらっていたのですが、そこで萌さんの良いボールがきたので、しっかりと頭で合わせられて良かったです。
――次戦のレイア戦に向けてひとことお願いします。
初戦勝てて、チームが勢いに乗ったので、また勝利に貢献できるように自分の武器を出していきたいです。