圧巻の5-0で関カレ優勝! 1つめの『頂』獲得!

ア式蹴球女子
関東大学女子リーグ戦
早大 3-0
2-0
山梨学院大
【得点者】(早大)33’髙橋 38’加藤 39’村上 83’松本 89’阪本   

 ホーム東伏見で、勝てば5年ぶりの戴冠が実現する一戦が行われた。関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)第8節、対戦相手は山梨学院大学。全日本学生選手権(インカレ)出場を確定させたい相手にとっても、負けられない戦いであった。それでも、前半だけで3-0と試合の行方を決定づけたア式蹴球部女子(ア女)は、勢いそのままに後半にも2点追加。歴代の先輩から受け継いだ関カレ優勝への想いを体現した4年生を中心に、待望の『頂』を手にした。

 スカウティングをもとに相手の流動的なFW陣を警戒したア女は、「ディフェンスからサイドに追いやって(ボールを)回収するという共通認識(阪本)」をもって試合に臨んだ。キックオフ直後から主導権を握るが、相手のファイブバックを崩しきれず、相手GKの好セーブもあって得点に結びつけることができない。そんな時間帯から抜け出す怒涛(どとう)のゴールラッシュは、堀内璃子(スポ1=宮城・常盤木学園)が前線に供給したロングフィードから始まった。33分、狙いすましたキックでボールは相手の最終ラインの裏に落ち、球際の争いを制したFW高橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)が奪取。そのまま右足で押し込んで先制点を挙げた。すると、プレッシャーから解放されたかのようにア女の連携がはまりだす。38分、ゴール前で待ち構えたMF加藤希(スポ3=アンジュヴィオレ広島)がGKと一対一を決めきり、2点目を追加。それでもア女の勢いは止まらない。直後に得たFKで、MF村上真帆(スポ4=東京・十文字)が「狙い通りのゴールになった」と振り返る、壁を外側から巻く技ありの3点目。わずか7分間で3得点の猛攻を浴びせ、試合を折り返した。

村上(中央)の得点でリードを広げ、喜び合う選手たち

 リードして迎えた後半は、相手のプレッシャーを前に押し込まれる時間帯が続く。味方同士の距離感に苦しみ、あわや失点という場面が散見された。しかし、鈴木佐和子主将(スポ4=浦和レッズレディースユース)を中心に「粘って失点せずに守り切る(鈴木)」姿勢を崩さないア女。すると味方の堅守に応えて、4年生の二人が躍動する。83分、FW吉野真央(スポ2=宮城・聖和学園)からのアシストに、「いかに自分が楽しんでいるか、マイナスな気持ちではなく、常にポジティブにいけるかということを追求していきたい」と語るFW松本茉奈加(スポ4=東京・十文字)が頭から飛び込み、3か月ぶりのゴールを奪うことに成功した。締めくくりは試合終了間際の89分、久々のフル出場を果たしたMF阪本未周(スポ4=大阪・大商学園)が「途中交代や全く出られなかった時期など、どんなときでも準備だけはしておこうと思っていた(阪本)」と、想いをぶつけるだめ押しの5点目。終了を告げるホイッスルが鳴り響くと、ピッチ上にア女の笑顔がはじけた。

安定した守備と待望の得点で、攻守ともに活躍した阪本

 「得点を決めたことよりも、みんなが喜んでくれたことが一番うれしかったです(阪本)」。この言葉こそ、ア女の強さを象徴している。チームが一体感をもって勝利のために邁進(まいしん)しているからこそ、「スタメンで出ている人に気持ちは託すことができます(松本)」という信頼感につながっているのだろう。この試合は5-0の大差で勝利したが、得点者はすべて異なっている。誰が出ても何かやってくれるという期待感もア女の魅力だ。次戦の対戦相手は、昨年優勝校の帝京平成大学。優勝に花を添えるためにもア女が積み重ねてきたことを継続し、7連勝を成し遂げたい。皇后杯上位進出、関東リーグ12連覇に向けて、ア女の快進撃は続く。

(記事 手代木慶 写真 内海日和 山崎航平)

スターティングメンバー

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 鈴木佐和子 スポ4 浦和レッズレディースユース
DF 船木和夏 スポ2 日テレ・東京ヴェルディメニーナ
28 浦部美月 スポ1 スフィーダ世田谷
DF 24 夏目歩実 スポ1 宮城・聖和学園
18 關陽南子 文構3 大阪教育大付
DF 25 後藤若葉 スポ1 日テレ・東京ヴェルディメニーナ
DF 29 堀内璃子 スポ1 宮城・常盤木学園
MF 阪本未周 スポ4 大阪・大商学園
MF 10 村上真帆 スポ4 東京・十文字
MF 14 加藤希 スポ3 アンジュヴィオレ広島
26 吉野真央 スポ2 宮城・聖和学園
MF 27 三谷和華奈 スポ1 東京・十文字
26 笠原綺乃 スポ1 横須賀シーガルズJOY
FW 髙橋雛 社2 兵庫・日ノ本学園
FW 廣澤真穂 スポ2 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
11 松本茉奈加 スポ4 東京・十文字
◎はゲームキャプテン
監督は福田あや(平20卒)
コメント

GK鈴木佐和子主将(スポ4=浦和レッズレディースユース)

――大事な一戦でしたが、振り返っていかがでしたか

今日勝てば(関東大学女子リーグ戦)優勝ということは分かっていましたが、緊張しませんでした。前半で3点入ったので、いい試合だったかなと思います。

――どのような対策をして臨みましたか

スカウティングでは、ファイブバックでくるというのは分かっていました。攻撃はサイドからやろうと言っていて、守備では今までやっていた前がかりのプレスを継続しようと話していました。山梨は前線の選手が流動的に動くので、マークの受け渡しをはっきりさせようというのは意識していました。

――終始優勢でしたが、最後方から見ていていかがでしたか

ボールを前で保持できる時間帯が多かったのですが、やっぱり(相手が)守備が堅いチームだったので怖いなと思って、リスク管理をしっかりしようと思って見ていました。

――その中でも、後半に押し込まれる時間帯があったかと思います

あの時間帯は疲れてきて、ラインの押上もそうですし技術のミスも多くなってくるので、そこを改善しつつもそこで粘って失点せずに守り切ることが出来たのは、私たちの一つ自信になったかなと思います。

――優勝した瞬間はどのようなお気持ちでしたか

正直ほっとしましたね。皇后杯関東予選で優勝を狙っていたのですが、できませんでした。これまで1つめのタイトルが欲しいと思っていましたが、今まで私が入学してから(関東女子大学リーグ戦で)優勝はしてこなかったので、とても嬉しかったです。

――主将としてのプレッシャーがあったのではないでしょうか

そうですね(笑)。やっぱり(皇后杯)関東予選で(頂が)とれなかったので、例年以上に関カレ優勝という期待がありました。キャプテンというより、4年生としてプレッシャーを感じていましたね。

――今日は4年生が大活躍の試合となりました

嬉しいですね。4年生が試合に出て点を取ってくれるのは。一番一緒にサッカーをしてきたので一番信頼していましたね。

――次戦は昨年引き分けて優勝を逃した帝京平成大学との一戦ですが、意気込みをお願いします

一回皇后杯の関東予選でも戦って勝ったのですが、やはり課題が残る試合でもあったのでそこは改善しつつ、今点数をたくさん取る試合が続いているのでそれを継続していきたいと思います。

MF村上真帆(スポ4=東京・十文字)

――本日の試合を振り返っていかがですか

今日で優勝を決めることができて本当によかったと思っています。

――ご自身のゴールシーンを振り返ってください

練習ではあまり入ってはなかったのですが、練習での位置より少し近かったこともあり、いけるかなと思って蹴ったらもう狙い通りのゴールになったのでとても良かったです。

――ゴールは壁の上だったのでしょうか

いや、壁の外側から巻いて横から入れました。

――先ほどあった通り、本日の勝利で関カレ優勝を決めました

やっぱり私たちの学年が1年生の頃からずっと準優勝ということで毎回毎回悔しい思いをしていたので、次の試合ももちろんあるんですけど、やっぱり優勝を決められるときに決めきりたいという思いが強くあったので、そのチーム全員の強い想いが今回結果につながったのかなと思います。

――ここ最近は攻撃陣が非常に好調だと思いますが、要因はどのようなところでしょうか

シーズンの序盤は守備の練習を重視していましたが、最近は守備は継続しつつ、その中で攻撃の共有だったり、共通認識、同じいいイメージを持ってやるというのを、みんなのプレーの幅が広がっているというのもあり、最近はうまくやれているのかなと思います。

――関カレ全体を振り返っていかがですか

筑波大戦での敗戦と、神大戦での失点という反省を活かして関カレで修正してこれたのが、失点の少なさだったり、得点の増加につながっているかな、というのが日々成長できている、という感覚があります。

――関東リーグも終盤戦に入り、11月後半には皇后杯も始まります。今後に向けての意気込みをお願いします

関東リーグは、このあと皇后杯予選の決勝で負けている群馬ホワイトスター戦なので、そこは絶対勝つという思いでやるのと、皇后杯は負けたら終わりのトーナメント戦なので一戦一戦本当に大事に戦って、上位にいけるように頑張りたいと思います。

FW松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを教えてください

うれしいです。今まで先輩たちがこの関カレではあともう少しというところで優勝を逃していたので、そこで自分たちが優勝できたということはすごくうれしいですし、自分たちの力では勝てなかった思います。これまで先輩たちの試合を見ていて優勝したいという気持ちが強くなっていたので、今までの先輩たちがいたから勝てたという部分もあり、先輩たちにはとても感謝しています。

――きょうの試合を振り返っていかがでしょうか

全体的に試合開始から気持ちが入っていたので、ベンチから見ていてすごく楽しかったです。その一個一個のプレーを全員が100パーセントでやっているのが分かったので、自分たちも熱くなれましたし、やっている人たちも楽しかったのではないかなと思います。

――最近は途中出場が続いていますが、どのようなお気持ちですか

率直に悔しい気持ちはあります。しかし、スタメンで出ている人に気持ちは託すことができます。出られなくても勝っているので、そこはチームとしてもすごく良いことですし、自分自身も成長できました。自分的には成長できた一ヶ月間だでした。

――きょうはゴールも決められました

3ヶ月ほどゴールがなかったので、すごくうれしかったです。点を取ったことよりも、みんなが喜んでくれたことが一番うれしいので、そのような点が取れるように、今後も頑張っていきたいと思います。

――チームの中でのご自身の役割は何だと思われますか

今の自分の立ち位置はスタメンではないです。途中出場することもありますし、しないこともあります。その中で試合当日は、スタメンが楽しく気持ちよくできるようにすることが大事だと思っているので、盛り上げる声を出すことやベンチから見えることについて積極的に声をかけていきたいです。「それで少しでもスタメンのやりやすさや勝利につながればいい」と考えて常に行動しています。どんな立場であれ、それはピッチにいたとしてもやらなくてはいけないことなので、そこは続けていきたいです。

――今後の意気込みをお願いします

残り2ヶ月しかないので、いかに自分が楽しんでできるか、マイナスな気持ちではなく、常にポジティブにいけるかということを追求していきたいです。自分たちのチームが日本一であることは自分たちが認めるだけでなく周りからも認められる必要があると思います。そんなチームになれるように継続して楽しくやっていきたいです。

MF阪本未周(スポ4=大阪・大商学園)

――優勝おめでとうございます!今の心境を教えてください

シンプルにうれしいという気持ちと、安心というか、まだタイトルが今シーズンに入って一つも取れていなかったので、ほっとした気持ちです。また、次に向けてやっていこうと思っています。

――きょうの試合を振り返っていかがでしょうか

スカウティングのときから、スカウティング係を筆頭に、自分たちがディフェンスをどのようにはめるかということをやってきました。それが勝つための重要な鍵となって、試合を進めることができたと思います。しかし、途中から相手が前がかりからかけるようになったり、引いてきたりするシーンがあったので、そのような攻撃のときのポジショニングや全体の関わりが難しかったです。

――どのような試合展開を予想されていましたか

相手はフォワードにつけて勢いを持ってくるという特徴があったので、それを相手にやらせたくありませんでした。そこで、ディフェンスからサイドに追いやって回収するという共通認識を持ってプレーをしてました。

――フル出場は久しぶりとのことですが、いかがですか

緊張しないようにと思っていたのですが、緊張しました。途中交代や全く出られなかった時期など、どんなときでも準備だけはしておこうと思っていたので、それがきょうは生きたと思います。

――得点もされました

得点を決めたことよりも、みんなが喜んでくれたことが一番うれしかったです。

――きょうの課題をあげるとしたら何でしょうか

個人としては、ボールを奪うことやディフェンスでスライドすることの運動量の確保を自分が意識した通りにできました。攻撃のところでもう少し慌てずに、味方を動かすパスやスペースと時間を作るパスを使って、組み立てたりゴールに向かっていったりしたいと思います。

――チームとしてはいかがですか

課題であった流動的な攻撃やディフェンスのスライドはできてきたと思います。最初に話した通りに、相手が前がかりや後ろがかりになったときのスペースなどをもう少し早く全員で察知して、ゲームを作っていくということが課題です。

――次戦の帝京平成大戦に向けて意気込みをお願いします

優勝は決まりましたけど、完封優勝をしたいので、最後まで気を抜かずに、全員で勝ちきりたいです。