残すところ2試合のみとなった第34回関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)。現在6勝1敗、勝ち点18で首位を快走する早大は2位以下との勝ち点差を4に拡げているため、次節に勝利すれば無条件で関カレ優勝を決めることができる。4年連続2位と苦渋を飲まされ続けてきたこの大会。5年ぶりの優勝への道筋を展望する。
まず注目したいのは好調な攻撃陣だ。9月に行われた皇后杯予選では4試合3得点と振るわなかったが、その後の関カレでは5試合15得点。そのうち4試合で複数得点を重ねるなど好調を維持している。中でもFW廣澤真穂(スポ2=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)、FW高橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)の2年生2トップの活躍は必見だ。廣澤が4得点、高橋が5得点と2人で早大の得点の大部分を奪っている。3位の帝京平成大や対戦相手である4位の山梨学院大の総得点数が9であることからも、その数字の高さが分かるだろう。また、その他の6得点は当然2トップ以外の選手たちから生まれている。決めるべき人が決める『勝負強さ』、そしてどこからでも点が狙える『勢い・怖さ』を兼ね備えている早大攻撃陣に、死角はないだろう。
チームトップの5得点の高橋
続いては試合ごとに安定感を増す若きDF陣だ。皇后杯予選1回戦から2年生1人、1年生3人の4枚で早大の守備を担っているが、「歳が近いからこそなんでも楽に言い合える関係」とDF後藤若葉(スポ1=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)は語り、「年齢は気にせずいい選手を起用する。経験面の不安もない」(福田あや監督、平20卒)と監督からも全幅の信頼を獲得。4人全員が高い守備能力を有しており、前からの連動したプレスとともに早大の守備を支えている。その活躍は数字にも表れている。関カレ7試合を終え、総失点はわずか3。2試合で1失点しないペースという驚異的な数字だ。関東リーグ、皇后杯を合わせても1試合平均1失点以下の強固な守備陣が、チームに安定感をもたらす。
そして、センターラインでチームを支える4年生2人の活躍も忘れてはならない。GK鈴木佐和子主将(スポ4=浦和レッズレディースユース)は安定感のあるセービングと的確なコーチングで最後方からチームをサポート。チームとして守備が安定しているため目立つ場面はあまり多くないが、カウンターやセットプレーでのセービング、また神奈川大戦(〇4-2)で見せたロングフィードなど、要所で存在感を発揮している。もう1人の4年生、MF村上真帆(スポ4=東京・十文字)は中央でチームをけん引。多彩なキック、的確な攻撃参加など『違い』を見せつけている。攻守の中心であり監督から求められる質も高いが、現在のチームで最も替えの利かない選手の一人だ。ピッチの中では年齢は関係ないが、『経験』が時にチームを救うこともまぎれもない事実だ。特に、3年連続2位という悔しさを味わっている4年生。彼女たちの一層の活躍にも期待がかかる。
最後方からチームを支える主将の鈴木
対戦相手の山梨学院大は2連勝で現在4位につけている。この試合に負ければ上位進出の目がなくなるため、かける思いも強いだろう。だが、負けられないのは早大も同じだ。今節勝利すれば無条件で優勝が決まる一方で、敗れれば2位と同勝ち点で3位の帝京平成大最終節で直接対決することになる。昨年は残り3試合で2分1敗と失速し優勝を逃しているため、この試合で優勝を決めたいところだ。また、今節で優勝を決めることができれば、重要な公式戦の舞台で新たなオプションを試すことも可能になる。この先に待っている皇后杯、全日本学生選手権を見据えれば願ってもない機会だ。山梨学院大に勝利し、今季1つ目の『頂』を獲得する。
(記事 稲葉侑也 写真 手代木慶)