押し込まれる時間が続くも、4連勝で首位キープ

ア式蹴球女子
第33回関東大学女子リーグ戦
早大 2-2
1-0
東洋大
【得点】
(早大)1’松本茉奈加、10’源関清花、55’山田仁衣奈
(東洋大)21’塩谷瑠南、26’久保真理子

 関東女子選手権(選手権)による中断を経て、約1ヶ月ぶりに関東大学女子リーグ戦(関カレ)が再開。中断期間中に選手権3連覇を成し遂げ勢いに乗るア式蹴球部女子(ア女)は、東洋大と対戦した。開始早々にMF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)のゴールで先制すると、10分にも追加点を挙げる。その後は東洋大にペースを握られ一度は同点に追いつかれるも、55分にFW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)がゴールを奪い、これが決勝点。関カレ4連勝を飾った。

 ア女は試合開始直後、いきなりみせる。右サイドで高い位置を取ると、クロスは一度跳ね返されるもセカンドボールを拾ったDF源関清花(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉)がボックス内へ柔らかなクロス。ファーサイドで待ち構えていた松本がドンピシャリで合わせ、幸先よく先制点を奪う。3分には松本が左サイドを抜け出しカットイン、5分にもMF村上真帆(スポ3=東京・十文字)のポストプレーから山田がミドルシュートを放ちさらに東洋大ゴールを脅かす。すると10分、左サイドでFW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が基点をつくるとテンポよく右サイドへ展開し、源関が低めの位置からクロスを上げる。これを小雨が降りボールもスリッピーな中、相手GKがファンブル。そのままゴールへと吸い込まれた。「(立ち上がりに)自分たちがやっていこうとしていたことがしっかり出せた」と山田が語るように、ア女は前半の早い時間帯に2点のリードを手にする。しかし、時計の針が進むにつれて試合は徐々に東洋大ペースに。21分にサイド攻撃から失点を許すと、続く26分にはCKから同点弾を献上してしまう。「相手の10番(FW大内梨央、3年)に入った時の対応がうまくいかなかった」とMF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)や山田は口をそろえ、またDF根間陽彩(1年)らスピードあるサイドプレイヤーへの対応にも手を焼いたア女。ただ局面での体を張った守備で逆転ゴールは許さず、前半を折り返した。

2点目を奪い、喜ぶ源関(写真左から2人目)ら選手たち

 流れを変えたいア女は後半開始からMF中條結衣副将(スポ4=JFAアカデミー福島)を投入し、システムを4-1-4-1に変更。開始早々のピンチをクロスバーに救われると55分、左サイドの深い位置までドリブルで切り込んだ松本が、マイナス方向へのクロスを供給する。ボールはゴール前を通過し「トラップしてからすぐにシュートというイメージがあった」という山田の元へ。素早い振りのシュートをゴールネットに突き刺し再びリードを奪った。一方またもビハインドを背負った東洋大は59分、選手権での対戦でもア女からゴールを奪っているFW牛久保鈴子(2年)を投入し攻勢を強める。東洋大に押される時間が続いたが「ディフェンス陣が集中していて失点しそうという雰囲気はなかった」(高瀬)と最終ラインが気迫を見せるとともに、「まず守備からという意識」(山田)と攻撃的な選手も守備意識の高さを見せ、1点のリードを死守。中断を挟み関カレ4連勝で首位をキープした。

決勝ゴールを決めた山田

 『勝てば官軍、負ければ賊軍』。攻め込まれる時間が続き、運に助けられる場面もあったとはいえ勝利をもぎ取る強さを見せつけたア女。「悲観的にならず、崩れないように前半を終えられた」と山田が語るように、苦しい試合となっても守備の集中を高め、勝ち点3を獲得できたのはポジティブだ。「しっかり勝ち切るという自信をどんどんつけていけたら」(高瀬)。関カレ制覇に向け、負けられない試合が続く。

(記事 橋口遼太郎、写真 齊藤里和、石井尚紀、永池隼人、手代木慶)

スターティングイレブン

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早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 川端 涼朱 スポ3 東京・十文字
DF 源関 清花 スポ4 ちふれASエルフェン埼玉
DF 小林 菜々子 スポ4 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 35 船木 和夏 スポ1 日テレ・メニーナ
DF 中田 有紀 スポ4 兵庫・日ノ本学園
MF 17 阪本 未周 スポ3 大阪・大商学園
→HT 中條 結衣 スポ4 JFAアカデミー福島
MF 10 村上 真帆 スポ3 東京・十文字
MF ◎8 高瀬 はな スポ4 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
MF 11 松本 茉奈加 スポ3 東京・十文字
FW 34 廣澤 真穂 スポ1 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 山田 仁衣奈 スポ4 大阪・大商学園
→87分 32 高橋 雛 社1 兵庫・日ノ本学園
リザーブ:GK33近澤澪菜(スポ1)、DF31井上萌(スポ1)、MF13蔵田あかり(スポ2)、MF14田中実夏(スポ4)、MF19桝田花蓮(スポ2)、MF26加藤希(スポ2)FW土居明日香(スポ4)
◎=ゲームキャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

コメント

MF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

内容も結果もタフな試合だったのですが、こういう試合で勝ち切ることが自分たちの目標だったので、まず勝ててよかったと思います。

――関東女子選手権でも対戦した相手でした

皇后杯の予選の時は自分たちも相手もメンバーがかなり違ったので、どういう戦いになるかわからなかったのですが、かなり難しい試合でした。

――前半早い時間帯で2点を先行しました

点のかたちは、マツ(MF松本茉奈加、スポ3=東京・十文字)のヘディングは狙い通りというか良いかたちだったのですが、2点目はラッキーゴールで、うまく勢いに乗れないまま(試合に)入ってしまいました。その後の前半の失点は痛かったです。

――前半のうちに同点とされました

こういう試合の流れになるのが今年に入って多かったので、やっぱり防ぎたかったです。崩されて(ゴールを)入れられたことは事実なので、そこは受け止めて、次に生かすしかないかなと思います。

――相手のプレスをうまくいなし切れない場面もありました。相手のプレスについて

プレッシャーというよりも、相手の10番(FW大内梨央、3年)に入った時の自分たちの対応がうまくいかなかったので、そこを早いうちに改善できれば自分たちのペースになったのかなと思います。

――後半は中條結衣(副将、スポ4=JFAアカデミー福島)選手を投入し、システムを変更しました。チームとしてどのように戦うことを意識していましたか

4-1-4-1は今までやってきてはいたのですが、メンバーが新しかったりして。ですが、自分たちがどう守っていくのか明確にはできていたので、フォワードのスイッチだったり、その後の絞りはよかったと思います。

――その守備について具体的には

今まではガツガツ前からいく感じでしたが、しっかりセットしてフォワードが良い状態でスイッチをかけて後ろがついていくというが自分たちのスタイルだと思います。

――勝ち越しシーンを振り返って

ゴール前でごちゃごちゃする場面は多かったですが、その中で仁衣奈(FW山田、スポ4=大阪・大商学園)がしっかり決めてくれたので、そこは本当にありがたかったです。

――勝ち越した後、サイドの選手もより多く攻撃に絡むようになっていた印象です

前半のうちに同点に追いつかれて、後半得点するまではみんな動きが硬かったりしたのですが、点が入ってからみんなが余裕を持って、連動した動きが取れていたのかなと思います。後半の得点はそういった意味でも大きかったです。

――その後は相手に押し込まれる場面が続きましたが、なんとか無失点に押さえました

後半もかなり危ないシーンがあって。ですが、スズ(GK川端涼朱、スポ3=東京・十文字)だったりディフェンス陣が集中していた部分はあったので、失点しそうという雰囲気は自分たちの中にはありませんでした。今後は前半から無失点を続けられるようにしていけたらと思います。

――試合を通じてビルドアップやバックパスの部分で、ミスが目立ちました

ビルドアップのところは良い部分もかなり出てきているのですが、失点に直結してしまうようなミスは減らしていかないといけないです。内容が拮抗(きっこう)した中だとかなり失点につながる危険があるので、そういうところは極力減らさないといけないと思います。

――難敵から勝ち点3を取りましたが、今後チームとしてどのように戦っていきたいですか

関カレは今後もこういう1点差、2点差の試合がかなり続くので、こういう中でもしっかり勝ち切るという自信をどんどんつけていけたらと思います。

FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)

――きょうの試合を振り返って

きょう久しぶりの関カレ(関東女子大学リーグ戦)だったので、インカレ(全日本大学女子選手権)につながるリーグ戦ですし、しっかり負けられない気持ちを持って全員で戦っていこう、という話をして試合に入りました。

――早い時間帯に2点を奪うことが出来て、試合にいいリズムで入ることができました

自分たちがやっていこうとしていたことがしっかり出せて、その中でラッキーな得点と言ってはなんですが、スッと得点が入ったので、そこの入りに関しては、ア女は入りを課題にしているのでよかったと思います。

――前半の早い時間帯に点を奪うことが出来た中で、前半の中での後半は押し込まれる場面も増えました

相手の攻撃パターンは結構一緒で、10番の選手が横からのパスに対して体を入れて、体を張ってそこでターンしてシュートや落としてシュートというかたちだったのですが、それに対してそこに簡単にボールを入れさせてしまったことと、その後の入ってくる選手に対してマークがしっかりつけていなかったのは自分たちの反省点です。ただそこで悲観的にならずに自分たちの中で声をかけて、崩れないように前半を終えられたところは前期の関東リーグ(関東女子リーグ戦)とかを考えると成長した部分だなと思います。

――前半かなりポストプレーなど良いプレーがあった中、後半はシステムの変更があり山田選手に求められる仕事も変わったかと思います

まず守備からというのは意識をしていて、相手はサイド攻撃が特徴なのでサイドから結構崩される場面もあったので、そこを封じ込めるという点ではしっかりと中で声をかけて、やることは一緒だったので、球際に行くというところもそうですし、約束して次全体で行こうという声かけをできた点はよかったと思います。

――ゴールのシーンではファーサイドで待ち構えていました。ゴールシーンを振り返って

中に入ってくるな、という時点でFW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が触るかなとは思ったのですが、自分のことをしっかり見えていて、そこで連携が取れたというのと、東洋の選手の寄せが早かったのでトラップしてからすぐにシュートというのはイメージとして持っていたのでそこの準備の点はよかったかなと思います。

――次節に向けての意気込みをお願いします

次節は神奈川大戦なので。神奈川大も結構勢いに乗っていて、今はそんなに良くはないとも聞いていますが、前の攻撃陣のパワフルさであったり、神奈川大らしさで結構苦しめられることも多いので次節しっかり勝って次の日体大戦に向けて準備できるようにまず一戦一戦こだわってやっていきたいと思います。

GK川端涼朱(スポ3=東京・十文字)

――試合を振り返って

前半の早い時間帯で2点入ったのでそれは良かったと思いますが、2失点を流れの中というか場面で取られてしまったのが良くなかったかなと思います。でも全体で慌てないようにできたのでそれは良かったです。あとは、後半やっぱり崩れてきちゃって、点を取ってからの流れがあまり良くなかったのでそこは今後の課題かなと思います。

――2点目はセットプレーから得点されてしまいました

CKをしてくるというスカウティングがあった中での失点だったので、準備が足りなかった部分もあったかなと思うのですが、前向きにとらえるとしたらあそこだけ抑えていたら失点はなかったかなと思います。

――後半相手ペースでしたが、失点しませんでした

個人的にプレーがあまり良くなかったので、ディフェンスの人が頑張ってくれて、その前の人たちも体張ってくれて良かったです。良かったというか、だから後半ゼロにできたし、相手もそんなに枚数かけている訳ではなかったので、そこで対応できればそんなに怖くなかったというか、やられている感じがあったのですが、守れるかなというのはありました。

――味方は最終ラインのビルドアップがうまくいかず、相手のプレスに苦しめられた印象でしたが

前半はセンターバック2枚に対して1枚ずつ相手のフォワードがいて、べたべたにはまっていた感じなのですが、自分が動かしたりボランチの人が押し出したりして臨機応変に対応できたかなとは思うのですが、もうちょっと良いやり方があったかなとも思うので、そこは今後みんなで考えていきたいです。

――難敵に対して勝ち点3を獲得しました

リーグ戦なのでまず勝ち点が大事なのですが、失点を抑えることができれば今後得失点などに影響してくるので、次からは勝ち点と得失点にこだわってやっていきたいと思います。

――今後の意気込みをお願いします

皇后杯予選も終わってチームもだんだん一つになって、チームのプレースタイルも決まってきて、「じゃあみんなでさあ行くぞ」となっているので、このままの勢いで勝っていきたいなと思います。

MF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)

――試合を振り返って

最初の早い時間2点を取れたことはよかったのですが、すぐに2点返された部分はこれからも課題になると思います。

――先制点を早く決めました

たまたまです。とりあえず、げんちゃん(DF源関清花、スポ4=ちふれASエルフェン埼玉)が入った時には良いボールがくるって思ってたので。自分が入った所にげんちゃんが良いボール入れてくれたので点取れたと思います。

――皇后杯予選の決勝に続きヘディングシュートで点を決めましたが

コーナーとかは得意ではないですが、流れの中の高い打点でヘディングするのは得意なので。ヘディングで点取るのも足で点取るのも自分の武器だと思ってるので、これからも狙っていきたいと思います。

――前半リードしていましたが、追いつかれた時の心境は

2点取られても焦ることはないと思ってました。早い段階で取り返されてしまったことは、どこか悪い部分や自分たちの中で気が抜けた瞬間だったかもしれないので、そういう部分が出ないように今後やっていきたいです。それにしてもみんな落ち着いて試合を運べていたので焦るということはなかったです。

――後半システムが変わった中で松本選手自身意識したことはありますか

自分のポジションの5番(久保真理子、3年)がキックに自信のある選手で、そのキックを封じれば相手のチャンスは減ると思ったので、自分たちは右側に追いやって右側で取ろうという意識でやってました。

――後半リードを奪ってから、それ以前より積極的なプレーが増えました

まだ一点差だったのでもう1点ほしいと思っていましたし、ディフェンスラインがボールを回したり危ないシーンを守ってくれたりしたので、自分たちは点を取らなきゃいけないなと思っていました。取れなかったのは少し残念です。

――守備でも体を張るシーンが多く見られましたが

自分は守備が課題なので、自分なりにできることを試合ごとに増やしていきたいと思ってます。少しは(チームを)救えたのかなと思います。

――次の試合に向けて一言お願いします

次もどんどん強い相手が来るので、一週間の練習でどれだけ自分たちが相手を意識してできるかが次の試合にかかっていると思います。一つひとつの練習を相手を意識して、一日一日を大切にしていきたいと思ってます。

DF船木和夏(スポ1=日テレ・メニーナ)

――試合を振り返って

前半の最初に1点決めて、追加点を取ることができたのは良かったのですが、その後に守備の面で集中力が欠けて2失点をしてしまったのは、反省しなければいけないなと思います。

――東洋大の2トップは個の力が高かったと思います

10番の選手が収められるという認識はしていたので、ボールが入ったときにもう少し強くいければ良かったなと思います。

――後半に東洋大は13番の選手を投入して、攻勢を強めてきました

前半の反省を生かして、しっかりと強くいけていて、集中力を持ち続けてできたと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

対人のところが強いということを強みとしてやっていたのですが、結構負けてしまうところがあったので、そこを強くしていかなければいけないなと思いました。