関東女子リーグ戦(関東リーグ)もいよいよ最終節を迎え、日テレ・メニ―ナ(メニーナ)と対戦した。全日本大学女子選手権(インカレ)前最後の公式戦であるため、結果だけではなく内容にもこだわりたい一戦だ。試合は、関東リーグ第7節で1-3で黒星を喫している相手と一進一退の攻防を繰り広げ、徹底した守備で相手に得点を許さない。76分に、一瞬の隙を突いてDF中田有紀(スポ3=兵庫・日ノ本学園)が待望の先制点を挙げると、この1点を守り切り、春の雪辱を果たした。
世代別日本代表も擁するメニーナに、前半は攻撃を仕掛けつつも守備に重点を置いた展開となる。「相手にボールを回させて、取り所でしっかりボールを奪うというのは意識してやっていた」とDF渡部那月(社4=兵庫・日ノ本学園)が話すように、要所で素早く体を寄せて相手からしっかりボールを奪い攻撃につなげるが、なかなか最後のシュートを決めきることができない。8分には、この日先発出場のMF中條結衣(スポ3=JFAアカデミー福島)がインターセプトすると、FW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)、MF村上真帆(スポ2=東京・十文字)とパスをつなぎ、最後は村上が中央からロングシュート。しかし、これはGKに阻まれゴールラインを割ることができなかった。その後も中條から前線にボールを供給するものの、得点には至らず0-0で前半を終えた。
中盤で攻撃の起点となった中條
後半も、前半同様に守備の時間が続く。相手のカウンターが連続する場面もあり、あわや失点というシーンもあったが、GK木付優衣(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)が決して相手に得点を許さない。懸命に守備で耐えている中で、75分についに先制点が生まれる。早大がゴール前まで迫り、GKがせり出していたのを見逃さず、ゴール前に詰めていたDF中田有紀(スポ3=兵庫・日ノ本学園)が体制を崩しながらシュート。「チャンスかなと思って足を出した」(中田)。苦しい時間帯に待望の先制点が生まれ、中田もガッツポーズで大きく喜びを表現した。この1点が勝ち越しゴールとなり、1-0で試合終了のホイッスル。春の雪辱を果たし、勝利で関東リーグを締めくくった。
点を決めた中田に駆け寄る選手たち
インカレ前最後の公式戦でリベンジを果たし、インカレに向けて弾みをつけた。試合後、「いまいち攻撃の部分で形が作れていない場面が今日の試合でも多い」(渡部)、「決めるための攻撃のプランを増やして、積極的にゴールに向かうことが必要だと思う」(中田)と振り返るように、特に攻撃面で選手たちはまだまだ満足していない。残された戦いはインカレのみ。最高の舞台で前人未到の4連覇を達成するために、最後の調整に入る。
(記事 下長根沙羅、写真 守屋郁宏、菅沼恒輝)
スターティングイレブン
★来季早大入学の船木、「高校最後に優勝して大学へ」
河野とマッチアップえをする船木
日テレ・メニーナ(メニーナ)の元U17日本代表DF船木和夏は、早大のアスリート選抜入試に合格し、来季から『ア女』の一員となる。メニーナでは主将2頭体制の一翼を担ってきた、身長166センチの大型DF。中学1年時にメニーナに加入すると、すぐに左サイドで地位を築き、主にサイドバックとして試合出場を重ねてきた。攻撃的なプレーが魅力で、昨季は3季ぶりの早大撃破を呼び込む決勝点をアシストした。最高学年となった今季はセンターバックに挑戦。「落ち着きとか、周りを動かすコーチングは意識している」とプレーの幅を広げている。
2013年から6年間、関東リーグなどで10回以上早大と対戦してきた。「(早大には)圧倒されてばかり。互角の試合がやれるようになっては来たけど、本当に強い」。そのレベルの高さを肌で感じてきたことも後押しして、「日本一の大学で磨いていきたい」と早大進学を決めた。
メニーナは皇后杯にも出場。U17女子W杯に参加した主力5選手が不在の中でも、なでしこリーグ1部のセレッソ大阪堺レディースに0-1と肉薄し、力を示した。残りの高校生活では、来年1月に全日本U18女子選手権が控えており、4年ぶりの優勝を目指している。その準備の第一歩だったこの日の試合では、早大の我慢強い守備に苦戦。「あまり良い手応えはなかった」と残念がったが、それでも「高校生活最後に優勝して、大学へ行けるように頑張っていきたい」と日本一奪回へ向けて意気込んだ。
なお、同じくアスリート選抜入試に合格したFW廣澤真穂も、ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエの一員として全日本U18女子選手権に出場する。
(記事、写真 守屋郁宏)
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第24回関東女子リーグ戦 | ||||
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早大 | 1 | 0-0 1-0 |
0 | 日テレ・メニ―ナ |
【得点】 (早大)76’中田有紀 (日テレ・メニ―ナ)なし |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属(加入内定) |
GK | 1 | 木付 優衣 | スポ4 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 2 | 渡部 那月 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 32 | 小林 菜々子 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 4 | 三浦 紗津紀 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 中田 有紀 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 6 | 柳澤 紗希 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
→85分 | 13 | 高瀬 はな | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
MF | 20 | 中條 結衣 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
MF | 7 | 村上 真帆 | スポ2 | 東京・十文字 |
→90分 | 18 | 八神 友梨弥 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | ◎11 | 熊谷 汐華 | スポ4 | 東京・十文字 (スフィーダ世田谷FC) |
FW | 9 | 山田 仁衣奈 | スポ3 | 大阪・大商学園 |
→76分 | 33 | 蔵田 あかり | スポ1 | 東京・十文字 |
FW | 10 | 河野 朱里 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
◎=キャプテン 監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘) |
コメント
DF渡部那月(社4=兵庫・日ノ本学園)
――きょうの試合を振り返って
日テレ・メニーナは個のレベルが高く、組織として繋いでくるチームで、この前の皇后杯でも1部のチーム(なでしこリーグ1部・セレッソ大阪堺レディース)にしっかり戦えていたので、チームとしてしっかり前回の反省を含め、しっかりスカウティングして挑んだ試合でした。
――インカレ前の最後の公式戦でしたが、この試合の位置付けというのはどのようなものでしたか
インカレに向けてというのもありますし、ボランチのところで相手に自由にやらせないとか、一人一人が声をかけて守備でも攻撃でもプレーを合わせていくということを考えながらやりました。
――春に日テレ・メニーナには敗れていますが(関東女子リーグ第7節、●1−3)、何か対策などはありましたか
最初は18番のボランチの選手(日テレ・メニーナ、大山愛笑)にボールを入れさせないようにしていたのですが、メンバーが変わって、サイドハーフとサイドバックの守備の連携をしっかり話し合いながら、相手のサイドバックが高い位置をとってくるのでそこの守備の話とかをして、中盤が引き出されないようにというのは全員で話し合いながらやっていました。
――きょうの守備を振り返って
相手はボールを回しながらせめてくるチームなので、そこで自分たちが我慢できずにいってしまうと崩されるとわかっていたので、そこをみんなで相手にボールを回させて、取り所でしっかりボールを奪うというのは意識してやっていたので、最後のところで粘り強くいけたのでそこはよかったと思います
――インカレ前に調整したいことなどはありますか
いまいち攻撃の部分で形が作れていない場面が今日の試合でも多く、朱里(河野)だけに一本の縦パスだけでは点は奪えないので、いろんな形でもう少し点に絡めるよう全体が攻撃の部分でもっと工夫していかないといけないかなと思います。
――インカレに向けて意気込みをお願いします
4年にとっては最後ですし、このチームにとっても最後の大会で、最後ここを目標にずっとやってきたので全員で優勝して終われるように頑張りたいと思います。
DF中田有紀(スポ3=兵庫・日ノ本学園)
――インカレ前最後の公式戦でした。きょうの試合はどのような位置づけでしたか
インカレ前ということで、勝ちにこだわるというのは一つ目標というか意識していました。(関東リーグの)最終節ということで、勝って終わりたいなというのは強くありました。
――春には負けているメニ―ナが相手でした
スカウティングでは、相手の足元がうまくて中盤で細かくつないでくるというのを何度も言われていたので、守備の部分で意識できた部分も多くあったと思います。
――今お話にもありましたが、きょうのチームの守備の出来は振り返っていかがですか
前半の最初は、どういう感じでいくのかがうまくいっていない部分がありました。時間が経つにつれて、(ボールを)相手に持たせる時間も長かったんですけど、最後も我慢できていたと思います。
――その中で、中田さんが先制点を決められました。得点シーンを振り返ってみていかがですか
シュートっていう感じではなかったんですけど、ボールを失った後の切り替えに関しては意識してできました。思った以上に相手のバックパスが緩かったので、「チャンスかな」という感じで足出したって感じです(笑)。
――きょうの試合を受けて、インカレに向けて調整したいことはありますか
点を決めないと勝てないし、インカレだとトーナメントになるので負けたら終わりという中で、決めきるところにこだわりたいです。決めるための攻撃のプランを増やして、積極的にゴールに向かうことが必要だと思います。守備の部分でも、持たれる時間が多かったとしても、自分たちからアクションして守備のスイッチを入れられたらいいなと思います。