皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)の2回戦。ア式蹴球部女子(ア女)はマイナビベガルタ仙台レディースと対戦が組まれ、早くもなでしこリーグ1部のチームと激突することになった。格上相手にも果敢にチャレンジする姿勢を見せたいア女は、前半には互角の戦いを繰り広げていたものの、後半にコーナーキック(CK)から2失点。下克上を果たすことはできず、2回戦敗退で皇后杯から姿を消した。
女子日本代表選手を擁するベガルタ。要所でそのレベルの高さを痛感する試合となった。サイドからの攻撃を中心に仕掛けたいア女は、8分にMF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)が相手のクリアミスを奪い、得意のドリブルで左サイドを突破。大きくサイドチェンジをし、右サイドで待ち構えていたFW山田仁衣奈(スポ3=大阪・大商学園)にボールを送るが、山田仁のシュートは相手DFにブロックされてしまう。得点には結びつかなかったが、早い時間帯にシュートまで持ちこむことに成功した。しかしその後はなかなか決定的なチャンスが訪れず、ベガルタに押し込まれる時間が続く。マッチアップで熊谷と火花を散らしていたのは、OGであるDF奥川千沙(平30スポ卒)。その奥川が右サイドから高いクロスを供給し、そこからベガルタにシュートを許してしまう。危機一髪の場面でもDF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)の懸命なクリアで事なきを得て、0-0で前半を終えた。
奥川を抜き去る熊谷
後半、最初にチャンスが到来したのはア女だった。51分、まずはカウンターから形を作ると、DF中田有紀(スポ3=兵庫・日ノ本学園)がロングボールを前線に供給。ゴール前で詰めていたDF渡部那月(社4=兵庫・日ノ本学園)に渡ったが、相手GKにキャッチされてしまった。好機を逸した後は守備に回る時間が増え、必死に耐えていたア女だったが、66分に相手にCKを与えてしまう。「相手はセットプレーが強いことが分かっていたので、CKにはしたくないと思っていた」(GK木付優衣、スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)。相手のCKには最初から警戒していたア女だったが、クロスボールを長身のDF坂井優紀に頭で押し込まれてしまった。立て直したいア女は、71分、81分とFKを獲得。キッカー・MF柳澤紗希(スポ4=浦和レッズレディースユース)が直接狙ったが惜しくもゴールラインを割ることができない。そして87分には相手にCKを与え、再びDF坂井優紀に頭で決められて失点。同じ形で2失点を喫し、悔しい敗戦となった。
試合後に肩を落とす選手たち
格上相手にチャレンジャーとしての強い気持ちを持って挑んだア女だったが、1点が遠かった。また、CKから同じような形での2失点と悔いが残る試合となった。「それ(CK)以外では失点していない、同じ人に決められたという点でも、まだ受け入れられない」(三浦)。しかし、チャンスを見つけ出しては格上相手に臆することなく攻撃を仕掛け、最後まで諦めることは決してなかった。この悔しさは、最重要視される全日本大学女子選手権(インカレ)で晴らすしかない。4連覇という偉業を成し遂げるために、万全の状態でインカレを迎えたい。
(記事 下長根沙羅、写真 守屋郁宏、森迫雄介、永池隼人)
スターティングイレブン
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快勝で2回戦へ駒を進める/第40回皇后杯全日本女子選手権(2018.11.04)
第40回皇后杯全日本女子選手権 | ||||
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早大 | 0 | 0-0 0-2 |
2 | マイナビベガルタ仙台レディース |
【得点】 (早大)なし (マイナビベガルタ仙台レディース)66’、87’坂井優紀 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属(加入内定) |
GK | 1 | 木付 優衣 | スポ4 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 2 | 渡部 那月 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 32 | 小林 菜々子 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 4 | 三浦 紗津紀 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 中田 有紀 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 6 | 柳澤 紗希 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
→88分 | 12 | 山田 彩未 | スポ4 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
MF | 13 | 高瀬 はな | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
→69分 | 20 | 中條 結衣 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
MF | 7 | 村上 真帆 | スポ2 | 東京・十文字 |
MF | ◎11 | 熊谷 汐華 | スポ4 | 東京・十文字 (スフィーダ世田谷FC) |
FW | 9 | 山田 仁衣奈 | スポ3 | 大阪・大商学園 |
→57分 | 17 | 松本 茉奈加 | スポ2 | 東京・十文字 |
FW | 10 | 河野 朱里 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
◎=キャプテン 監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘) |
コメント
MF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)
――今のお気持ちはいかがですか
勝ちたかったという悔しさが一番ですね。
――今回の皇后杯をどのような位置づけで考えていましたか
去年ベスト8まで行ったというのもあって、チームとしてことしはベスト4を目標に掲げてやっていたので、その先に進むという意味でもきょうの試合は負けられないという気持ちで挑みました。
――格上の相手との対戦となりましたが、どのような戦術で挑まれましたか
格上ではあるんですけど、分析で相手のセットプレーの強さだったり、後ろから蹴って前のスペース、サイドのスペースを使ってくることがわかっていたので、そこを自分たちがやらせないで、自分たちの良さであるサイドからの攻撃を狙っていこうと話していました。
――本日の攻撃面を振り返っていかがですか
前半の立ち上がりはけっこうサイドを使えていて。相手のサイドバックがあまり蹴ってこなかったので、守備ではそこではめることができて、奪った後早い展開でというのは前半意識できたのかなと思います。
――後半はいかがでしたか
後半は相手も戦術を変えてきて蹴る場面が増えてきたので、自分たちがボールを持つ時間が減ってしまって、サイドは使えていたとは思うんですけど、ゴールまでが遠くて、シュート数が減ってしまったなという印象です。
――本日はOGの奥川(千沙、平30スポ卒=静岡・藤枝順心)選手とのマッチアップとなりました
ずっと一緒にやっていたので、特徴もわかっていたし、ちーさん(奥川)も自分の特徴をわかってるしというところで。やりづらさはなくて、バチバチできたかなとは思います。
――守備面を振り返っていただきたいのですが、本日は左サイドを多く崩された印象でした
そうですね、相手が自分たちのサイドバックの裏のスペースを狙ってきていて、どうしてもサイドにかける枚数が自分たちよりも多くて。自分たちも1人で2枚を見る状況が増えてしまって、最後もクロッサーに対して甘かったり、クロスをあげさせないのが一番だったんですけど、何度かやられてしまったことは今後の課題です。
――結果的にマークしていたセットプレーからの2失点となりましたが
警戒していたつもりではあったんですけど、相手には身長が高い選手が何人もいましたし、そこで自分たちがしっかり競る場面で、やられちゃいけないところでやらせてしまって。セットプレーは相手のストロングポイントだったと思うので守り切らないといけない場面だったんですけど、できなかったことは自分たちの弱さだったかなと思います。
――これからこの悔しさをどのように晴らしていきたいですか
関東リーグ(関東女子リーグ戦)の最終節もありますけど、大きなところはインカレ(全日本大学女子選手権)ということで。やっぱりこの負けを無駄にしてはいけないと思うので、きょう学べたこともたくさんあったし、課題もあったし、収穫もあったと思うので、それをもう一度チームで共有しながら、またみんなでレベルアップしてインカレに向かっていければなと思います。
GK木付優衣(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)
――2回戦敗退となりました。今のお気持ちはいかがですか
悔しいです。
――格上の相手ということで、固さや緊張はなかったですか
特には無かったです。固さは無く、そういう相手だったからこそチャレンジャーという気持ちで臨みました。
――勝利するためのプランはどのようなものでしたか
相手はセットプレーが強いことが分かっていたので、CKにはしあくないと思っていました。逆に、相手もCKで失点している試合が多かったので、そこでチャンスを作れればなと思っていました。相手もそれが分かっていて、こっちにCKを取らせないようにしていたと思うんですけど。
――CKから2失点となってしまいました
(CKは)相手も得意としている部分だと思うし、こっちも交代したばかりではっきりしていない部分があったのと、(ボールに)触られたらやられるということで自分がもっとトライしなければいけなかったと思います。
――この悔しさをどのように晴らしますか
あとはもうインカレだけになるんですけど、大学生を相手にしたって身長があったりフィジカルあるような大学生もいるので、同じような負け方をしないようにしあいです。良い形で終われるように、自分らのやり方をもう一回見直して日本一が取れるように頑張りたいと思います。
DF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)
――皇后杯にはどういった位置付けで臨みましたか
個人としてもチームとしても上を目指している中で、自分たちより上のカテゴリーにいる強い相手ですが、一戦一戦が挑戦ですし、やれる部分も自分の中でつかめたらいいのかなと思っていました。
――相手チームに対する攻略のプランは
フィジカルが強くて縦に速いサッカーをしてくるというのはスカウティングで分かっていたので、フィジカルでも自分たちができるところでしっかり戦うのと、(縦にボールを)蹴らせないことも意識していました。
――立ち上がりは悪くなかったと思いますが
前半は自分たちのやりたいことができていたと思いますが、後半相手が切り替えてきた中で耐えきれなかったなと思います。
――サイドに侵入を許しながら基本的に中央を固めていましたが、その守備のプランは試合前から用意していたものですか
そうですね、サイドを狙ってくるのはわかっていましたけど、中央をしっかり守ればやられないと考えがあった中で、1部リーグのチームはそこの部分の質が高いと思い知りました。
――最終的にセットプレーで失点を喫してしまいました
んー、まあ…。受け入れなければいけないですけど、悔しさというか…。それ以外では失点していない、同じ人に決められたという点でも、まだ受け入れられないです。失点は失点ですけど、やれる部分も自分で手応えは感じていましたし。難しいですね、守備って難しいなと感じました。
――前線に起点をつくれない時間帯が長引きましたが、最終ラインから見ていかがでしたか
みんながどういう攻撃をするのかという意識が交代選手含めバラバラだったので、全日本大学女子選手権(インカレ)に向けてみんなで合わせていかないと、きょうみたいに大事な試合で勝てないのかなと思います。