熱戦を繰り広げた早慶女子定期戦(女子定期戦)から、一夜。ア式蹴球部女子(ア女)は、休む間もなく関東女子リーグ戦(関東リーグ)第10節に臨み、関東学園大と対戦した。第3節で対戦した際は5-0と快勝したア女だが、今節は一進一退の攻防が続く。21分、FW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)のゴールで均衡を破ると、さらに後半開始直後に1点を追加。しかし、73分に相手のカウンターから失点してしまう。完封勝利とはならなかったものの、しっかり勝ち点3をつかみ取った。
「疲れはもちろんあったが、関東リーグでは言い訳ができない」(河野)。疲労が残る中、勝利にこだわって臨んだこの試合。女子定期戦からスターティングメンバ―を4人入れ替えて臨んだ。2分、DF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)から右サイドのMF阪本未周(スポ2=大阪・大商学園)が抜け出すが、途中でボールを失ってしまう。一方、関東学園大もパスをつないでクロスを上げるが、これをGK鈴木佐和子(スポ2=浦和レッズレディースユース)がキャッチ。互いに譲らない拮抗(きっこう)した展開の中で、局面を打開したのはエース・河野だった。21分、MF安部由希子(スポ4=宮城・聖和学園)と河野のワンツーで左サイドを完全に崩し、最後は河野がミドルシュートを決めた。前半の終盤には、2回CKを獲得。キッカー安部から、三浦を狙ったボールが供給されるが惜しくも決めきれず。1-0で前半が終了した。
先制点を決めたのはやはり河野だった
後半は、女子定期戦でMVPを獲得したDF渡部那月(社4=兵庫・日ノ本学園)とMF並木千夏(スポ1=静岡・藤枝順心)を投入した。そして、開始後わずか数秒。熊谷が得意のドリブルで持ち込み、角度のないところからシュートを放つ。このボールがゴールネットを揺らし、いきなり追加点を挙げた。「気合で入れた」(熊谷)。強い気持ちがこもった得点によって勢いが出たア女。この後も積極的にシュートを放っていく。しかし、給水を経た後の28分。わずかな隙をつかれ、相手のカウンターから失点してしまい、スコアは2-1となった。さらに38分、フリーになった相手がドリブルで攻め込み、そのままシュート。鈴木のナイスセーブで失点は免れたものの、ひやりとする場面であった。試合終了間際には、CKを獲得。こぼれ球を詰め、何度もシュートを放ったが決めきることができず、2-1で試合を終えた。
熊谷の得点シーン
疲労が残る中、連戦をどちらも制したア女。鈴木のファインセーブなど、下級生の活躍という明るい材料も見られた。しかし、河野は「前半に1点しか取れなかったことが課題」と試合を振り返る。前半は12本のシュートを放ったが、決まったのは1本。しかし守備では相手のシュート数をわずか1本に抑えているため、ア女の決定力が上がればもっと大差で勝つことができただろう。4月から戦ってきた関東リーグも、残りは4試合。ヤマ場を乗り越えた今、あとはもう一試合一試合に集中し、勝ちにこだわるだけだ。
(記事 下長根沙羅、写真 守屋郁宏)
スターティングイレブン
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並木が2試合連続ゴール!早慶戦へ弾みつける/第24回関東女子リーグ戦(2018.07.02)
第24回関東女子リーグ戦 | ||||
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早大 | 2 | 1-0 1-1 |
1 | 関東学園大 |
【得点】 (早大)21’河野朱里、46’熊谷汐華 (関東学園大)73’永盛美咲 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 鈴木 佐和子 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 24 | 佐々木 呼子 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 4 | 三浦 紗津紀 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 23 | 源関 清花 | スポ3 | ちふれASエルフェン埼玉 |
DF | 3 | 中田 有紀 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 5 | 安部 由希子 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
→46分 | 2 | 渡部 那月 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 6 | 柳澤 紗希 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
MF | 25 | 阪本 未周 | スポ2 | 大阪・大商学園 |
→46分 | 37 | 並木 千夏 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
MF | 7 | 村上 真帆 | スポ2 | 東京・十文字 |
MF | ◎11 | 熊谷 汐華 | スポ4 | 東京・十文字 |
FW | 10 | 河野 朱里 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
◎=キャプテン 監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘) |
コメント
MF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)
――早慶戦から24時間経たないうちにこの試合を迎えるというスケジュールでした。チームとしてどんなことを共有しましたか
早慶戦から連戦になるということで、きついものはあったんですけど、試合に出る人だけではなくてチームとして総力戦なんだとみんなで共有しました。リーグの優勝を早めに決めるためにも絶対に勝ちにいきたいという思いは、みんなで持ってやれていたと思います。
――試合の流れとしてはどういうふうに感じていましたか
なかなか攻める割には点が入らなくて、自分たちで結構苦しくしてしまったという印象はあります。けど、勝てたことは良かったかなと思います。
――やはり体力的に難しい部分はありましたか
そうですね(笑)。実際、結構きつかったですけど、今後皇后杯とかが始まればこういう戦いもまた出てくるし、きついとか言ってられないのかなというのはあるので、慣れていかないといけないなと思います。
――ご自身には後半開始直後の追加点がありました。立ち上がりは前に出ようという意識を持っていたのですか
そうですね。1点しか取れていなかったので、もう1点、2点取って相手を突き放したいというのがありました。まああれはサツ(DF三浦紗津紀、スポ4=浦和レッズレディースユース)からいいボールが来たので、もう気持ちというか、気合いで入れたという感じですかね。あんなに綺麗に入るとは思わなかったです。
――厳しい日程の中でも連勝を伸ばすことができました。来週以降も試合が続きますが
連戦で2試合とも勝ち切れたということは良かったですし、今後も気持ちを緩めずに10連覇がかかっているので、早めに決められるように次も絶対に勝ちたいと思います。
FW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)
――連戦でしたがコンディションはいかがでしたか
疲れはもちろんありました。ただそれは関東リーグでは言い訳ができないので、結果を出すことが全てだと思っているので、きょうはそれができたので良かったと思います。
――きょうの戦術はどのようなものでしたか
相手の分析はあまり細かくはしていなかったんですけど、そんなに前から(プレスを)かけてくるわけではなかったので、相手が引いたところを崩すという感じでした。自分の戦術的には、きょうは裏を狙うようにして相手のラインを下げさせることを意識していました。
――前半はいかがでしたか
きのうの早慶戦ではきのう序盤が受け身になってしまったので、監督にきょうは受け身にならないようにと言われていました。そこは意識して良い雰囲気で入れたんじゃないかなと思うんですけど、1点しか取れなかったのは課題かなと思います。
――先制点を決められました。得点シーン振り返っていかがですか
関東リーグが始まって、前節では(得点を)決められなくて、早慶戦でも(得点を)決められませんでした。それまで全部決めていたのですが、(得点を決めていないことで)不調と思われたくないですし、自分もそう思っていないので。きょうは絶対に決めなければいけないと思って臨んだので、苦しい展開で決められたのは良かったと思います。
――後半はいかがでしたか
後半始まってすぐにしお(熊谷)が決めてくれたので、心の余裕がある程度できました。その後、CKだったりFKだったりチャンスがいくつもあった中で、自分も含めて決められなかったので良くなかったし、失点シーンに関しては、全員のベクトルが前にいけなかったところでああいうふうにカウンターをくらったので、チームとしてその時間帯どのように戦うかというのは課題だと思います。
――最後に次節への意気込みをお願いします
いかに次の火曜日に心も体も切り替えるかっていうのが次の試合の結果につながると思うので、まず火曜日に向けて全員で頑張りたいと思います。