苦戦を強いられるも勝ち点3を奪取

ア式蹴球女子

  関東女子リーグ戦(関東リーグ)第6節がアウェー・姉崎公園サッカー場にて行われた。4試合連続完封勝利と勢いに乗るア式蹴球部女子(ア女)はジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18と対戦。相手の高いラインとピッチコンディションに苦しみ連携が合わない場面が続くも、前半にはFW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)が2ゴール、後半にはMF山田仁衣奈(スポ3=大阪・大商学園)とMF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)がそれぞれゴールを決める。前半に失点しクリーンシートとはならなかったが、4-1で勝利。見事開幕6連勝を飾った。

 前節とは異なりMF安部由希子(スポ4=宮城・聖和学園)をボランチに、熊谷とリーグ戦初スタメンとなったMF並木千夏(スポ1=静岡・藤枝順心)をシャドーに置く4—1—4—1の布陣で挑んだア女。5分、ゴールキックをカットした河野が熊谷へつなぐと、熊谷が並木へクロス。しかし並木は相手に寄せられシュートに持ち込めない。また16分には並木からグラウンダークロスに反応したMF村上真帆(スポ2=東京・十文字)がシュートを狙うも、キーパーにセーブされた。その後はセカンドボールを拾えず、リズムをつかみ切れないア女。26分には相手にポスト直撃のミドルシュートを許すなど悪い流れが続いてしまう。この流れを断ち切ったのはやはりエースだった。29分、DF渡部那月(社4=兵庫・日ノ本学園)から熊谷へつなぐと、左足でアーリークロスを供給。そのボールに反応した河野がうまくトラップし、冷静にゴール右に流し込んだ。しかし喜びもつかの間。DF冨田実侑(スポ2=岡山・作陽)が低い位置でボールを失うと、そのまま持ち込まれ相手MFに豪快なミドルシュートを決められ同点とされる。「得点した後だったの気を引き締めてやらなければならなかった」と熊谷は振り返る。またも漂う嫌な雰囲気。ア女を救ったのはまたも河野だった。45分、スローインから安部がゴール前にアーリークロスをあげると、河野が右アウトサイドでシュート。ふわりとしたボールはキーパーの頭上を越えた。「自分がどうにかしなきゃなと思っていたところで見逃さずに点を取れたのは自分の中では収穫」と河野は手応えを口にした。拮抗(きっこう)した前半であったが、ア女は2-1とリードして折り返した。

公式戦初スタメンの並木

  「しっかり自分たちの流れに切り替えて持っていこう」(熊谷)と挑んだ後半。いきなり好機が訪れる。51分、エリア内でパスを受けた河野が豪快に左足を振り抜く。しかしこれは相手キーパーのスーパーセーブに阻まれ、追加点とはならなかった。すると53分、ゴール前で崩され相手にシュートを許す。ボールはゴールめがけて転がったが、幸運にもポストに当たりピンチを逃れた。劣勢での試合運びを余儀なくされたア女はボランチを2枚に増やし、普段の4—2—3—1の布陣に変更。すると77分、左サイドを切り込んだ村上がゴール前へクロス。そこに河野が走り込むも惜しくもタイミングが合わない。また79分には渡部がミドルシュートを放つも、ポストに嫌われた。徐々にペースをつかんだア女は84分にゴール前でFKを獲得する。キッカーは後半からの出場となった山田仁。狙いすまされたボールはきれいな弧を描きゴール右下に吸い込まれた。90分には村上のスルーパスを受けた熊谷がキーパーとの1対1を制しゴールネットを揺らした。劣勢の中でも粘りの守備で得点を許さなかったア女。後半に2点を追加し4-1で勝利を収めた。

エースの河野が2得点。嫌な流れを断ち切った

 今季一番苦しんだ試合であった。「練習の時から流れが悪く、あんまりいい雰囲気でできていなかった。悪い内容の試合になってしまった」(熊谷)、「(相手が)色んなリズムで攻めてきて、そこが予想外だった」(河野)と選手たちは振り返る。特に前半は中盤のバランスが崩れ、リズムがつかめない場面が目立った。それでも失点を最小限に抑え、4点を奪ったのはさすがの一言。苦しみながらも勝ち点3を獲得したことはチームにとって大きな収穫であろう。次節は日テレ・メニーナ戦。今節を制したア女に怖いものはない。

(記事 永池隼人、写真 下長根沙羅、守屋郁宏)

スターティングイレブン

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第24回関東女子リーグ戦
早大 2-1
2-0
ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
【得点】
(早大)29’、45’河野朱里、84’山田仁衣奈、90’熊谷汐華
(ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)31’中尾萌々
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付 優衣 スポ4 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 24 佐々木 呼子 スポ2 宮城・常盤木学園
DF 32 小林 菜々子 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 三浦 紗津紀 スポ4 浦和レッズレディースユース
DF 渡部 那月 社4 兵庫・日ノ本学園
MF 安部 由希子 スポ4 宮城・聖和学園
→69分 38 桝田 花蓮 スポ1 ちふれASエルフェン埼玉マリ
DF 15 冨田 実侑 スポ2 岡山・作陽
→52分 40 加藤 希 スポ1 アンジュヴィオレ広島
→84分 18 八神 友梨弥 スポ4 宮城・常盤木学園
MF 37 並木 千夏 スポ1 静岡・藤枝順心
→46分 山田 仁衣奈 スポ3 大阪・大商学園
MF 村上 真帆 スポ2 東京・十文字
MF ◎11 熊谷 汐華 スポ4 東京・十文字
FW 10 河野 朱里 スポ4 静岡・藤枝順心
◎=キャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)
コメント

MF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

木、金と練習の時から流れが悪くて、あんまりいい雰囲気でできてなかったんですけど、それを試合に持ち込んじゃって、前半は特に自分たちの流れを作れなかったのはありますね。

――きょうはどのような戦術で挑まれましたか

いつも通りやることは変わらないですけど、その中で無失点にこだわるということをけっこう言っていたので、失点してしまったことはチームとしての課題かなと思います。

――流れが悪かったという話がありましたが前半は攻撃の連携が合わなかった印象ですが振り返っていかがですか

練習でも合わないのが多くて、そこで修正できなかったのもそうですし、ピッチの真ん中がけっこう悪かったっていうのもあって、もっとサイドをうまく使えたら芝もいいので良かったかなと思います。

――悪い流れの中で1点目をアシストされましたが振り返っていかがですか

あれはいつも朱里(河野)と自分で狙ってる形なので、あれで悪い流れを変えられたら良かったんですけど、まあ点につながったのは良かったです。

――得点の直後に失点してしまいましたが振り返っていかがですか

失うところがやっぱり良くなかったのと、失い方も悪かったですし、その後のケアというかリスク管理のところが詰めが甘かったかなと。得点した後だったの気を引き締めてやらなければならなかったかなと思います。

――ハーフタイムで何か話されましたか

ちょっと流れが悪いので、しっかり自分たちの流れに切り替えて持っていこうというところと、あとはサイドを使ってということですね。自分が一回シャドーに移って仁衣奈(山田)がサイドハーフに入ったのでそこで流動的にやるということも話していました。

――後半は前半と比べてプレーしてみていかがでしたか

前半よりは流れは良くなったのかなとは思いますけど、守備ではまんないところがあったので、点は取れましたけど全体的には悪いまま終わってしまったかなという印象です。

――ダメ押しとなる4点目を決められましたが振り返っていかがですか

あれは真帆(村上)からいいボールが入ったので、キーパーと1対1でしたし決めれて良かったです。

――今期一番苦戦した試合に感じましたがいかがですか

そうですね、けっこう自分たちで苦しくしてしまった部分はあると思いますし、自分たちでやりたいことができなくて疲れちゃってという悪循環で続いてしまったので、そこで流れを変えられる大きなプレーを一回して相手をひっくり返すとか、そういうプレーを試合の中で修正してやっていけるようにやんなきゃなとは思います。

――練習からの悪いながれを試合に持ち込んでしまったのが今回の反省点でしょうか

そうですね。あとは悪い流れを試合中に断ち切ることとか、同じミスをしてしまったこころですね。

――最後に次戦に向けての意気込みをお願いします

きょうは悪い内容の試合になってしまったんですけど、勝てたことは良かったと思うので、引き続き勝てるように、いい練習をして迎えたいと思います。

FW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝純心)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

大体試合の大半が相手のペースで進んでしまったので、良くない試合だったなという印象です。

――きょうの戦術はどのようなものでしたか

スカウティングをした映像と、相手の戦い方がきょうは少し違って。自分たちのいつも通りのペースでやれば、相手特徴がないと思っていたので点は取れると思っていたし、(スカウティングでは)相手はただスペースに(ボールを)出してくるという感じでした。それをケアしようと臨んでいたのですが、戦い方が違ったのでそれに対応しなければならなかったなと今思います。

――違いとは具体的にどのような感じですか

相手が意外とドリブルで仕掛けてきたり、ボールを回す距離が近かったり遠かったり。色んなリズムで攻めてきたので、そこが予想外でした。

――前半は拮抗(きっこう)していましたが

ピッチもあまり良くなくて、そこに自分たちの技術が伴いませんでした。トラップだとかパスとかいつもと同じようにやってしまって、自分たちのミスがほぼ前半のペースにつながっていたと思います。

――その中でも先制点を決められました

自分はディフェンスをするというよりかは前で待って得点を決めるので、周りの悪いペースに流されないであのように点を入れられたのは良かったと思います。

――2点目はいかがでしたか

1点目と似たような感じでしたが、(先制直後に)追いつかれて、良くない雰囲気だったので自分がどうにかしなきゃなと思っていたところで良い流れがきたのでそこを見逃さずに点を取れたのは自分の中では収穫かなと思います。

――後半はいかがでしたか

メンバーも、とみー(冨田)が抜けたり、中盤の形が変わって、いろいろなことに順応しなきゃいけない中で芝に慣れない選手がいたり、相手の戦い方をどう攻略するのかを皆で共有できていなかったのでなあなあになっていたんですけど。失点をしなかったのはDFラインのおかげかなと思います。

――きょうは河野選手自身も守備をされていました

基本的には自分が下がるともっと重心が下がってしまうのであまり下がりたくなかったんですけど、相手がカウンターしてくる場面もあったので、自分が行くべき時にはしっかりディフェンスにいけたかなと思うんですけど、前からはめるディフェンスのスイッチが難しかったのでそこは改善しなければいけないと思います。

――来週は日テレ・メニーナ戦です。意気込みをお願いします

きょうのジェフと同等もしくはそれ以上に技術があるチームだと思うので、それに対して自分たちがどうアプローチするかとか自分たちのサッカーをするかというのをしっかり詰めていきたいと思います。

DF小林菜々子(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)

――前半を振り返って、思うような試合運びはできなかったのではないですか

ディフェンスでハマらない部分が多かったと思います。でも、声は出ていたので、修正はできるなというのはありました。

――セカンドボールの回収という点で苦戦したように見えました

中盤のバランスがよくなかったから、セカンド(ボール)も誰が行くかというのがはっきりしなかったです。そういう部分では、中盤のコミュニケーションとか、最終ラインでの声掛けというのは重要だなと思いました。

――チームとして浅い位置でのパス回しに課題が残ったように思います。相手の寄せの圧も感じていたのですか

初めは相手の勢いに対して、受けて立っていたという感じはあったと思います。

――後半は前半よりも安定した戦いぶりができたのではないですか

後半の途中からボランチの数が2枚になったりして、結構安定してきたなというのはありました。

――今季移籍してきて、現在5戦連続で先発出場、チームも連勝しています。現状をどう捉えていますか

(ジェフ時代は)一昨年にセンターバックをやってはいたんですけど、去年はFWをやっていました。ポジションが去年とは違って、そこに対して自分には課題がいっぱいあるので、それに向き合っていかないといけないなと思います。ア女には向き合える時間と環境があるので、もっと高い意識を持って頑張りたいです。

――関東リーグも次節で折り返しです。来週の試合に向けて意気込みをお願いします

一戦一戦気を抜かずにやれば、勝つことは難しいことではないと思っています。個人個人が課題を持って、日々練習をしていきたいと思います。