1点を守り切り、悲願のインカレ3連覇達成!

ア式蹴球女子

 思わず身をすくめてしまうような寒空の中、大勢の観客が詰めかけた味の素フィールド西が丘。試合終了のホイッスルと共に、ア式蹴球部女子(ア女)の選手たちは一斉に安堵の表情を浮かべていた。東洋大に劇的な逆転勝利を収め、たどり着いた全日本大学女子選手権(インカレ)決勝という大舞台。対するは神奈川大だ。足元の上手い選手が多く、今季は2度引き分けるなど熱戦を演じてきた相手である。試合は序盤から早大ペースで進み、迎えた前半22分。大会MVPにも輝いたMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)がこぼれ球に素早く反応し、豪快に足を振り抜いた。この1点を守り切り、ア女は悲願のインカレ3連覇を達成した。

 「きょうは良い流れで入ることができた」(DF松原有沙主将、スポ4=大阪・大商学園)。この言葉通り、試合序盤から何度もチャンスをつくり出していく。試合開始わずか3分でCKを獲得すると、準決勝でも得点しているDF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)がゴール前でヘディング。惜しくも得点とはならなかったが、幸先のいい試合のスタートを感じさせた。そして勝負の分かれ目となったのが20分。良い位置からFKのチャンスを獲得すると、松原主将のピンポイントなキックに頭で合わせたのは、FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)。これがこぼれたところを、中村がしっかりとフォローし、ゴールネットを揺らした。「ここぞという時に(中村は)決めてくれる」(松原)。この大舞台でも持ち前の勝負強さを発揮した中村の得点で先制に成功した。そして、ここからも決して攻撃の手を緩めない。37分、再び中村がミドルレンジから強烈なシュートを放つも、これはゴールポストを直撃。追加得点を予想させるような攻撃を幾たびも見せるも、1-0で試合を折り返した。

待望の先制点に喜ぶ選手たち

 迎えた後半、再びチャンスをつくる。57分、準決勝で決勝点を挙げたMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)が左サイドを駆け抜け、上げたクロスに中村がダイレクトボレーで反応。オフサイドで得点とはならなかったが、抜群の連携プレーを見せた。さらに81分、獲得したFKを松原が直接狙う。50mを超える距離にも関わらず枠を捉えた。惜しくもキーパーに阻まれたものの、その迫力に会場からは歓声が上がった。また、攻撃に人数をかけ点を取りにくる相手に対して、ディフェンスラインを中心に攻撃の芽を潰していく。「最後は気持ちの部分だった」(MF柳澤紗季(スポ3=浦和レッズレディース)。勝利への強い執念が実を結び、最後まで相手に決してゴールラインを割らせることなく、1-0で試合終了。強さを見せつけ、インカレ3連覇を達成した。

大会MVPにも輝いた中村副将

 「本当に良かったなと、ほっとした」(松原)、「ほっとした気持ちが大きい」(三浦)。インカレ3連覇を達成しなければならないという大きな重圧に打ち勝ち、ここまで戦い抜くことは決して簡単ではない。だからこそ、喜びと同時に、大きな安堵を感じるのだろう。今季は関東大学女子リーグ戦で優勝を逃すなど、苦しい時期もあった。その中でも全員で戦い、再びつかみ取った『日本一』の座。松原主将率いる現体制としては最高のかたちでの締めくくりとなった。これから4年生はそれぞれ次のステージへと進んでいく。そして3年生以下の選手たちは約1カ月のオフ期間をへて、新チームとして再び走り出すこととなる。この貴重な経験を糧に、4月には一回りも二回りも成長した姿を見せてくれるだろう。

(記事 下長根沙羅 写真 田中佑茉、山下夢未、篠原希沙、大山遼佳)

創部史上初の3連覇達成だ!

全日本大学女子選手権 決勝
早大 1-0
0-0
神奈川大
【早大 得点者】20中村
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付優衣 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 奥川千沙 スポ4 静岡・藤枝順心
DF 三浦紗津紀 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF ◎5 松原有紗 スポ4 大阪・大商学園
DF 渡部那月 社3 兵庫・日ノ本学園
MF 柳澤 紗希 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF →64分 冨田 実侑 スポ1 岡山・作陽
MF 平國瑞希 スポ4 宮城・常盤木学園
MF 27 村上真帆 スポ1 東京・十文字
MF →58分 中井仁美 スポ4 兵庫・日ノ本学園
MF 10 中村みづき スポ4 浦和レッズレディース
MF 11 熊谷汐華 スポ3 東京・十文字
FW 河野朱里 スポ3 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
※出場選手のコメントは別記事にて掲載致します
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