創部史上初の全日本大学女子選手権(インカレ)3連覇をかけた戦いが幕を開けた。前回覇者として2回戦から登場したア式蹴球部女子(ア女)は札幌大と対戦。開始9分のPKでの先制点を皮切りに、7得点を挙げ試合を折り返す。後半に入りセットプレーから失点を許すも、攻撃の勢いは衰えることなく6点を追加。格の差を見せつけ準々決勝進出を決めた。
翌日に準々決勝が行われるため、ア女はMF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)やMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)など、半数近くの主力を温存して試合に臨んだ。スタメンに抜擢された選手たちは、インカレ初戦という大舞台の重圧に萎縮することなく、立ち上がりから積極的に仕掛ける。8分、この日アンカーの位置に入ったMF安部由希子(スポ3=宮城・聖和学園)からのパスに抜け出したMF大井美波(スポ3=大阪・大商学園)がペナルティエリア内で倒され、PKを獲得。これを大井が自ら落ち着いて流し込み、幸先よく先制点を挙げた。その直後の9分にはMF中井仁美(スポ4=兵庫・日ノ本学園)が中盤から持ち上がり、ミドルシュートを叩き込む。13分には、その中井が左サイドでこぼれ球を拾いクロス。これをFW山田仁衣奈(スポ2=大阪・大商学園)が頭で合わせ、早い時間帯で3−0とする。この後も相手陣内でボールを支配し続け、4点を追加。7−0で前半を終えた。
後半からキャプテンマークを巻いた稲山
後半に入ってもア女は攻勢を緩めない。55分にCKから失点を喫するも、後半開始と同時に投入されたMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)が躍動する。54分にアーリークロスでMF松本茉奈加のゴールをアシストすると、62分には自ら得たPKをきっちり決める。65分には松本のクロスからダイレクトボレーを叩き込み、立て続けに3得点に絡む活躍を見せた。その後もDF稲山菜月(スポ4=東京・十文字)のミドルシュートや、中井がハットトリック達成となるゴールを決め試合終了。計13得点を挙げ、大勝を収めた。
初戦にもかかわらず大勝したア女
スタメンを多く入れ替えたにもかかわらず試合を支配し続け、札幌大を全く寄せつけなかった。「誰が出ても大丈夫なチーム」だと、この日キャプテンマークを巻いたDF奥川千沙副将(スポ4=静岡・藤枝順心)は胸を張った。セットプレーでの脆さをまたもや露呈してしまったという不安要素はあるが、3連覇へ向け期待が膨らむ結果であることは間違いない。まずは笑顔で東伏見へ帰るために、次戦の静岡産業大戦でも勝利をつかむ。
(記事 森迫雄介 写真 大山遼佳、山下夢未、松富リサ、柴田侑佳)
スターティングメンバー
全日本大学女子選手権 2回戦 | ||||
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早大 | 13 | 7-0 6-1 |
1 | 札幌大 |
【早大 得点者】8,30大井/9,76,87中井/13,18,44山田仁/54松本/62,65熊谷汐/73稲山 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 21 | 鈴木佐和子 | スポ1 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 14 | 稲山 菜月 | スポ4 | 東京・十文字 |
DF | 3 | ◎奥川千沙 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
DF | →46分 | 高瀬はな | スポ2 | ジェフ千葉レディースユース |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 29 | 冨田 実侑 | スポ1 | 岡山・作陽 |
MF | 18 | 安部由希子 | スポ3 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 27 | 村上真帆 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | →46分 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | 8 | 中井仁美 | スポ4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 28 | 松本茉奈加 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 17 | 大井美波 | 社3 | 大阪・大商学園 |
FW | 19 | 山田仁衣奈 | スポ2 | 大阪・大商学園 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
DF奥川千沙副将(スポ4=静岡・藤枝順心)
――今のお気持ちは
初戦は苦戦すると思ってたので、固く気持ちを入れて臨んでいて、勝つことができたので良かったです。安心しています。
――難しいといっていた初戦で大勝となったのは大きいのではないでしょうか
みんなしっかり調子に乗らずといいますか、しっかり臨めてと思います。攻撃陣はしっかりと点を取る、守備陣はしっかり守るということを話して入ったので、それができたのでそれは良かったのかなと。
――4年生もDF稲山菜月(スポ4=東京・十文字)とMF中井仁美(スポ4=兵庫・日ノ本学園)がフル出場となりましたね
良かったです、ほんと。しっかり守っていたし、点も取ったし。活躍してくれて本当に良かったなと。誰が出ても大丈夫なチームだとは思っているので。その中で4年生が選ばれたというのは嬉しいです。
――きょうのチームのできはいかがでしたか
カウンターをここ最近練習していたんですけど、危ないシーンはほとんどなかったとはいえ、きょうも何回かされてしまって。まずはカウンターさせないってことと、カウンターされた時の対応ももっとつめることができるかなって思っているので、そこはやっていこうかなと思います。あとは攻撃面では点もたくさん取れたし良かったと思うんですけど、少し合わなかった部分とかがあるので、そこを合わせていけたらいいなと思います。
――あすへの意気込みをお願いします
東伏見で待ってる仲間たちとか、応援してくれてるひとたちとかがいるので、決しておごることなく。あすもしっかりと勝って行けたらいいなと思います。
DF稲山菜月(スポ4=東京・十文字)
――試合を振り返ってみていかがでしたか
立ち上がりすぐに点が入ったわけではなく、初戦だったこともあり最初は相手の様子を見ながらプレーをしていました。しっかりと点数を重ねることができ、いい流れでインカレのスタートを切れました。
――セットプレーでの失点を振り返ってみていかがでしたか
一瞬の隙を与えてしまい、マークの甘さも出てしまいました。失点の前に何点か取っていたので心の緩みが出てしまい、すごく悔しいです。
――ご自身の得点を振り返ってみていかがでしたか
正直ほとんど覚えていないです(笑)。試合が始まる前から点を取ることを目標にしていたので、それを達成することができてうれしいです。
――後半からキャプテンマークを付けていましたが、重みは違いましたか
今まで育成やトップではない試合でキャプテンマークを巻くことがありましたが、公式戦で巻くことは初めてだったので緊張しました。ですが、今まで4年生としてやってきたことに自信をもってチームを引っ張っていこうという気持ちでいました。
MF中井仁美(スポ4=兵庫・日ノ本学園)
――きょうは初戦でしたが、試合を振り返っていかがでしたか
東伏見に残ってる人達の分まで、しっかりチーム一体となって自分達が勝って帰れるように思っていました。
――結果についてはいかがですか
失点してしまったのが反省なんですけど、まずは結果が全てなので勝てて良かったです。
――セットプレーからの失点となりましたが、原因はなんだと思われますか
やはりマークが曖昧になってしまった部分が原因だと思います。
―見事なロングシュートを決められていましたが得点シーンの感想をお願いします
試合の最初は結構緊張していたので、シュートを打てば緊張がほぐれるかなと思って、思いっきり狙ったら入りました。嬉しかったです。
――最後の大会だと思いますが、この大会への意気込みを教えてください
絶対に3連覇をしたくて、4年生は最後でみんな気持ちも入っていると思うので、しっかりチームを引っ張っていけるようにがんばります。
――きょうはフル出場となりましたがいかがでしたか
最近はフル出場がなかったので、楽しかったです。次にしっかりとつなげることもできたので、良かったです。
――連戦となりますが、あすへの意気込みをお願いします
あすもしっかりチームで1つになって、全力で頑張ります。
MF大井美波(スポ3=大阪・大商学園)
――初戦を振り返っていかがですか
全然知らないチームだったので、そこに対して少し不安はあったんですけど、早いうちに点が取れてリラックスできていたので良かったです。
――作戦を立てたりはしたのでしょうか
特になくて、自分たちのサッカーをいつも通りにやろうという感じでした。
――チームとしてサイドに球を振る場面が多かった印象ですが、意識していたのですか
そうですね。サイドからの突破というのがア女の持ち味なので、みんな意識していつも通りやってくれていたのかなと思います。
――得点シーンをそれぞれ振り返っていかがですか
まずPKは高い位置でいいボールがいいかたちで入ってきたので、仕掛けようと思いました。2人目が来たときに股抜きしかないと思ってしっかり抜けたのと、相手が足を出してくれたのでラッキーな部分もあったと思います。2点目は、マツ(MF松本茉奈加、スポ1=東京・十文字)が絶対突破するのを信じて走っていました。仁衣奈(FW山田、スポ2=大阪・大商学園)が最初触れるかなと思ったんですけど触れなくて、自分のところにボールが転がってきたので詰めていて良かったです。3点目も、自分のところにボールが来ると思って走っていたので、ここも詰めていたのが良かったのかなと思います。
――今期課題としていたセットプレーからの失点でしたが、その点については
CKにしてしまったのもいけないんですけど、思ったよりボールが伸びてしまったのもあって、もう少し風とかも意識してポジションをとったりマークをしないといけないと感じました。そういう緩みで終わりたくはないので、きょうみたいなことは無いようにしないといけないと思います。
――連戦となりますが、あしたへの意気込みをお願いします
きょうはチームとしても個人としてもいいかたちでプレーできたので、そのイメージは持っておいたまま試合に臨みたいです。相手は変わりますし、どんなサッカーをしてくるのかは分からないんですけど、いつも通り自分たちのサッカーをしてリラックスして、個人としてもサイドからチャンスをつくっていきたいです。
FW山田仁衣奈(スポ2=大阪・大商学園)
――きょうは山田選手ご自身のゴールやアシストなどで多くの得点シーンに絡んでいらっしゃいました。振り返ってみていかがですか
インカレの大事な試合でしっかり決めきれたことは良かったですし、得点に絡めたことも個人として良かったと思います。
――きょう唯一の失点はセットプレーからでした。反省点はありますか。
無失点というのはインカレでは意識しています。その中でこうやって一点取られてしまったのは自分たちの集中が切れていたこともあると思います。自分はFWなんですが、こういう場面で点を取られないようにもっと中で引き締めていかないといけないなと思いました。
――あすの勝利で東京へ帰って準決勝に望むことになります。意気込みをお願いします。
東伏見に残っている人たちの分までしっかり勝って、東京へ帰りたいと思います。がんばります。
MF松本茉奈加(スポ1=東京・十文字)
――この試合を振り返って
初戦ということもあり、前半は緊張もあって、思うように自分のプレーが出来なかったです。でも、早い段階で先輩方が点を取ってくださり、自分のプレーを思い切ってできる状況を作ってもらえたのでやりやすかったです。
――きょうの相手はデータが少なかったと思いますがスカウティングを踏まえてどのように攻めていこうと話しましたか
長いボールを蹴ってくるし、きょうは風もあってボールが伸びてくるというのもあったので、攻守の切り替えが重要になってくるから、その部分をはっきりやろうと話し合いました。
――試合が進むにつれ持ち味を発揮し始めていたと思いますが、自分のプレーに点数をつけるとしたら
50点いかないぐらいですね。自分としてはもっとスピードを生かして、ドリブルしてゴールへ向かっていくことをしたかったのにできなかったので、自分としては全然満足してないんですけど、試合を通して点を取れたことは良かったと思います。
――サイドから崩していくシーンが多かったように思えました
サイド(の選手たち)は速いっていうのを全員が理解していたので、スピードを生かした攻撃をしようということになったのでサイドを使ったり、それで間が空くのなら間を使ったりと、状況に応じて攻めることができたと思っています。
――あした勝てば東京に帰って準決勝へ進めます
試合に出たとしても出なかったとしても、チームに貢献できるようにしたいです。4年生には支えてもらっているので、4年生と1日でも長くやるために一つひとつ大事にしていきたいと思います。