先週、関東女子選手権兼皇后杯関東予選(関東女子選手権)で優勝し、今季一つ目のタイトルを獲得したア式蹴球部女子(ア女)。勢いそのままに臨んだこの日の関東大学女子リーグ戦(関カレ)第5節でも、FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)やMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)らのゴールで7−0と圧勝。ホームで手堅く勝ち点3を積み上げた。
季節外れの強い日差しが、東伏見グラウンドに照りつけていた。体力が消耗する前に勝負を決めたいア女だったが、立ち上がりからオフサイドを頻発し、なかなか決定機を生み出すことができない。2週間前の関東女子選手権準決勝で5−0と完勝した東洋大を相手に、苦戦を強いられてしまうのか。暗雲が垂れ込み始めた36分、こう着状態を打ち破ったのは、頼れるエースだった。縦パスを受けた河野がヒールでうまく落とすと、そのパスに反応したMF村上真帆(スポ1=東京・十文字)が相手ディフェンスラインのギャップを突くスルーパスを供給。裏に抜け出した河野が冷静に相手GKとの一対一を制し、チームに待望の先制点をもたらした。さらに41分、長い距離をドリブルで突破した平國がボックス内右から、ゴールの天井を射抜く強烈なシュートを決め、リードを2点に広げる。DF中田有紀(スポ2=兵庫・日ノ本学園)が負傷交代するアクシデントがあったものの、余裕を持って前半を折り返した。
きょう2得点の河野。エースのゴールはチームを勢いづけた
前回の東洋大との対戦でハットトリックを達成したMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)を投入し、迎えた後半。その熊谷が早速決定的な働きをみせた。48分、熊谷からのグラウンダーのクロスがピンポイントで河野に渡ると、河野は相手GKが前に出てきたのを冷静に見極めループシュート。ふわりと宙に浮いたボールは、相手GKの頭上を越え、ゆっくりとゴールに吸い込まれた。このゴールで相手の反撃ムードを一蹴すると、その3分後には、河野のシュートのこぼれ球に走り込んできた村上がダイレクトで蹴り込み4−0。止まらない早大は63分、巧みなボールコントロールから相手DFの裏に抜け出したMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)が相手の息の根を止める一発を沈めた。87分には、途中出場のMF中井仁美(スポ4=兵庫・日ノ本学園)がカットインから見事なミドルシュートをゴール右隅に突き刺す。シーズン途中からFWにコンバートされた背番号8が、ストライカーの面目躍如といえる活躍を披露した。アディショナルタイムには、高校の2年先輩に当たる熊谷のアシストから、ルーキーのMF松本茉奈加(スポ1=東京・十文字)が押し込み、7−0で試合終了。役者そろい踏みの早大が完勝を収め、関カレの覇権奪還へ向けてまた一つ歩みを進めた。
途中出場の中井、素晴らしいゴールを決めた
相手が最終ラインを高く設定してきたことを逆手に取り、素早い展開からチャンスを次々に創出した。交代で出場した選手が献身的にボールを追いかけ、チーム全体の運動量を落とさなかったことも、大勝できた要因の一つだろう。この感触を忘れることなく、次節以降も圧倒的な強さをみせ続けることができるか。関カレも9試合中5試合を消化し、残り約3カ月となったア女の今シーズンは、いよいよ佳境を迎えようとしている。
(記事 栗村智弘、写真 篠原希沙)
スターティングメンバー
関東大学女子リーグ戦 第5節 | ||||
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早大 | 7 | 2-0 5-0 |
0 | 東洋大 |
【早大 得点者】36,48河野/41平國/51村上/63中村/87中井/90+1松本 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付優衣 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 15 | 中田有紀 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | →42分 | 冨田 実侑 | スポ1 | 岡山・作陽 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 2 | 渡部那月 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | ◎5 | 松原有紗 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
MF | 27 | 村上真帆 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 9 | 平國瑞希 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | →69分 | 松本茉奈加 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ4 | 浦和レッズレディース |
MF | 17 | 大井美波 | 社3 | 大阪・大商学園 |
MF | →46分 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 |
FW | →66分 | 中井仁美 | スポ4 | 兵庫・日ノ本学園 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
GK木付優衣(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)
――結果について
しっかり前が結果を残してくれて、点を取ってくれたので気持ち良く終われた試合だったと思います。
――前半と後半をそれぞれ振り返って
流れをうまく取れたのは良かったと思います。はじめに少しサイドを取られたりとかはあったんですけど、しっかり対応できていましたし、相手の攻撃に対してうまく順応できたのは良かったなと思います。後半の立ち上がりもすぐに点が取れて流れに乗ることができました。でも後半中盤あたりから流れを逆に持っていかれてしまって苦しい時間帯もあったんですけど、押し込まれた時にどうするかっていうのを最終ラインで話し合いながら、ここで一回ひっくり返そうだとか。そうやってしっかり変化をつけられたのが良かったかなと思います。
――無失点に抑えることができた要因は
いままで試合中にどうしよう、こうしようと具体的に案を出しながらやれることが少なかったんですが、きょうは給水の時とかもそうですけど話し合ってやっていけたのが良かったなと思います。
――素晴らしいセーブもありました。きょうのご自身のプレーについて
バーを叩かれたシュートは、自分自身、あそこはあまり得意なところではないんですけどしっかり対応して触れたのは良かったなと思います。あとは守備陣が体を張って守ってくれていたのでそれに応えないとという気持ちでやっていました。フィードの部分でも、ミスは多かったんですが、中盤に攻撃の起点となるようなボールを入れることができたのは成果かなと思います。
――逆にきょう見つかった課題などはありますか
メンバーが変わったりするので、その時に出ている人だけじゃなくて全員で守備の共通理解をもっと共有していくことが大切かなと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
相手のサッカーも変わってくると思うんですけど、自分たちもしっかりとコミュニケーションを取りながらうまいこと順応して、きょうと同じように大量得点無失点で勝ちたいと思います。
MF松本茉奈加(スポ1=東京・十文字)
――久しぶりの公式戦出場となりました、いまのお気持ちは
前はケガをしてしまったので、きょうはケガをしないようにして、自分の思い切ったプレーができたらいいなと思ってやっていました。
――緊張はありましたか
緊張しました(笑)。ガチガチという訳ではないんですけど、久しぶりの公式戦でしたし。チームの流れを変えられるようにというのを目標にして出たんですが、少し変えられたんじゃないかなと思います。
――交代する時にどのような指示がありましたか
中にいくとまたケガをすると(笑)。だから自分の得意な縦への仕掛けで勝負してこいと。ドリブルは少なかったんですけど、自分のプレーを出せたんじゃないかなとは思います。
――前半、ベンチから見ていたチームは
みんなすごい気持ちの入ったプレーで、負ける気はしなかったし、中も外も一生懸命だったので、自分もがんばらないとなって思ってました。
――後半5得点となった要因は
前半、相手も自分たちもがんばっていたので、後半に相手がバテたところをワセダが狙えたんじゃないかなと思います。
――得点シーンを振り返っていただけますか
あれは完全に先輩のボールが良かったので、あとは当てて決めるだけでした。
――十文字の先輩後輩コンビでの得点ですね
そうです(笑)。前にもあのようなシチュエーションがあったのでこれは来た、と思って(笑)。入って良かったです。
――次戦への意気込みをお願いします
出たら点を決めて、チームの流れを変えられるような選手になりたいです。