関東女子選手権兼皇后杯関東予選の3回戦。きょう勝てば皇后杯本戦の出場権を獲得することができるという重要な試合を迎えた。連戦を見据えてか、ア式蹴球部女子(ア女)はスターティングメンバーを大きく入れ替えて試合に臨んだ。前半、攻めているにも関わらずフィニッシュまでいくことができないという中なんとか得点を奪うと、一転して後半はPKなどでゴールを量産。5得点無失点の快勝で本戦へのチケットを手にした。
2回戦で決勝点をあげたFW山田仁衣奈(スポ2=大阪・大商学園)や、MF田中実夏(スポ2=セレッソ大阪堺レディース)などフレッシュなメンバーが顔をそろえた3回戦のア女。きょうキャプテンマークを巻いているMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)を中心に試合開始からパスがうまく回り、試合の主導権を握った。しかし、前半4分、中村からMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)にスルーパスが通り、相手の裏に入ることができたが中に人が足りず。15分にも中村からのパスに抜け出したDF中田有紀(スポ2=兵庫・日ノ本学園)のセンタリングに合わせたのはMF田中実夏(スポ2=セレッソ大阪堺レディース)。しかしこれも得点にはつながらなかった。22分には熊谷汐の仕掛けからのこぼれ球を中村が振り抜くがクロスバーに嫌われてしまう。安定した守備から着実にボールを前線に運び、いい崩しのかたちが作れていたものの、なかなかゴールに結びつかない時間が続いた。そろそろ先制点が欲しいア女だったが、ついに30分、待望のゴールが生まれた。中田からのクロスに田中が飛び込み頭に当てると、コースが替わったところを後ろから走りこんでいた山田仁が再び合わせてゴール。1点のリードで前半を折り返した。
先週の試合に引き続き得点をあげた山田仁(写真中央、背番号19番)
「前回の試合で後半開始時にすぐに失点をしてしまったので、それだけはしないように注意していた」(中村)。前回の反省を生かし、1点のリードに頼ることなくより一層気を引き締めて臨んだア女。中村や熊谷汐がロングシュートを果敢に打っていくと、MF安倍由希子選手(スポ3=宮城・聖和学園)もFKを直接狙うなど、勝利への執念をむき出しにしてゴールを目指した。すると56分、山田仁が相手のハンドを誘いPKを獲得。これを中村が落ち着いて決めて2—0とリードを広げた。61分にはペナルティーエリア内で山田仁が倒され、再びPKを獲得。今度は山田仁が決めてさらに日体大を突き放した。その3分後、右サイドハーフのMF冨田実侑(スポ1=岡山・作陽)が俊足を生かしてエンドラインでボールをキープし、センタリングをあげるが誰も触ることはできず。CKのチャンスも何度か迎えたがゴールまであと一歩という惜しい場面が続いた。このままのスコアで終了するかに思われた76分。きょう再三チャンスメイクをしていた熊谷汐がクロスに飛び込んでゴール。アディショナルタイムには途中出場のMF村上真帆(スポ1=東京・十文字)がヘディングシュートを決めてダメ押しの5点目。快勝で本戦の出場権をつかんだ。
キャプテンとしてチームを引っ張った中村副将
5得点、無失点と完勝したア女。相手との地力の差を見せつけた。また、「ピッチの中で話し合って攻撃のかたちなどを変えることができたのは良かった」と山田仁が振り返るように、きょうは試合の中でうまく問題点を修正し、後半の4得点という結果につなげることができた。「誰が出てもア女のサッカーはやれる。チーム全員で勝ちを目指して、しっかりと勝利をつかむことができた」(中村)。チームとしての成熟度がここに来てより一層上がったア女が目指すのは『優勝』、ただ1つ。次戦はあす、同じ会場にて行われる準決勝だ。勝って悲願の決勝の舞台にたどり着くことができるか。注目の一戦から目が離せない。
(記事・写真 篠原希沙)
スターティングメンバー
関東女子選手権 3回戦 | ||||
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早大 | 5 | 1-0 4-0 |
0 | 日体大サテライト |
【早大 得点者】30,61山田仁/56中村/76熊谷汐/80+3村上 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付優衣 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 15 | 中田有紀 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 20 | 高瀬はな | スポ2 | ジェフ千葉レディースユース |
DF | 2 | 渡部那月 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 安倍由希子 | スポ3 | 宮城・聖和学園 | |
MF | 33 | 田中 実夏 | スポ2 | セレッソ大阪堺レディース |
MF | →52分 | 村上真帆 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | ◎10 | 中村みづき | スポ4 | 浦和レッズレディース |
MF | →61分 | 柳澤 紗希 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
MF | 11 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | 29 | 冨田 実侑 | スポ1 | 岡山・作陽 |
FW | 19 | 山田仁衣奈 | スポ2 | 大阪・大商学園 |
MF | →71分 | 中井仁美 | スポ4 | 兵庫・日ノ本学園 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)
――結果について
きょうはいつもとメンバーが違ったんですけど、相手が日体大なので絶対に負けられないですし、誰が出てもア女のサッカーはやるということは言われていたので、チーム全員で勝ちを目指して、しっかりと勝利をつかむことができたかなと思います。
――前半、後半それぞれを振り返って
前半はなかなかシュートで終わるという場面が少なくて、攻めてはいるけど脅威となる攻撃にあと一歩欠けるという感じだったんですけど、そんな中点がとれたのは良かったなと思います。後半は、前回の試合ですぐに失点をしてしまったのでそこだけはしないように注意をしようとチームでは言っていました。そこで失点をせずに、追加点をしっかり取れたというのは前回からの成長かなと思います。
――メンバーががらっと替わった点について
みんなレベルが高いですし、自分も見習わないといけない部分とかもある選手ばかりなので。でもそんな中でも周りに合わせるとかではなくて、自分のいいところを出し合ってそこですり合わせてやろうと考えていました。
――逆にきょう見つかった課題は
攻撃に関してはシャドーとFW含めて同じ動きをしてしまったので、もう少しそこはお互いを見つつ、自分をもっと出していけたらと思います。全体的にそうなんですけど、見方をもっと見て自分の動きを変えることができたら良かったんじゃないかなと思います。
――PKも成功でしたね
自分PKがすごい苦手で、でもここで蹴っておかないとなと思って。みんなも蹴らせてくれたので、入って安心しました(笑)。
――ベンチに下がった後、外から見ていてのチームの印象
いつも出ている人たちがベンチというのが多かったんですけど、しっかり応援できていたと思いますし、外から見ていても(ピッチの)中の人たちはみんな勝ちにこだわってやっていたし、チームが一体となって勝利を目指せていたので、雰囲気は良かったかなと思います。
――あす行われます次戦に向けての意気込みを
負けられない試合が続くんで、どこが来るにしろ、絶対ア女のサッカーをさせないようには来ると思うんですけど、自分たちを出していけるようにがんばります。
FW山田仁衣奈(スポ2=大阪・大商学園)
――結果について
最近あまり点が取れていなくて、でもきょうはたくさん取って無失点で終われたのが良かったかなと思います。
――皇后杯本戦が決まりました
きょねんは負けてしまって優勝できなかったので、ことしはしっかり決勝まで残って優勝するために、ここから切り替えてやっていきたいと思います。
――きょう決めた2得点を振り返って
この前もそうなんですけど、全部いいボールが来て、PKになったやつも決定的なボールをみっちゃん(MF中村みづき副将、スポ4=浦和レッズレディース)が出してくれて。自分が取ったというよりもボールが良かったので、あとは決めるだけという感じでした(笑)。
――メンバーがかなり入れ替わっていましたね
いきなり替わることが多いので、準備はしていたんですけど、すごい久しぶりにスタメンで出て緊張はしていました。でもしっかり勝てて良かったです。
――前回に引き続き得点と、結果を残しています
FWなんで、点を取るのが仕事なので、皇后杯も含めてもっと点を取っていきたいと思います。
――新たに見つかった課題などはありましたか
シャドーの2人とFWが前半は同じ動きをしてしまっていて、攻撃が単調になってしまっていました。でも、後半はどっちかが抜けたらどっちかが残るというのをしっかり話せていたので。ピッチの中で話し合って攻撃のかたちなどを変えることができたのは良かった点ではないかなと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
あしたしっかり勝って、関東1位で本戦に上がれるようにがんばります。