攻撃陣沈黙…アップセット許し、初黒星

ア式蹴球女子

 関東大学女子リーグ戦(関カレ)は第4節を迎え、ア式蹴球部女子(ア女)は、東京国際大と対戦した。7月に関東女子リーグ戦(関東リーグ)で対戦した際(△0-0)も「ずっと攻めていたのに点が入らなくてという試合」(MF柳澤紗希、スポ3=浦和レッズレディースユース)だったが、この日も東京国際大の堅い守りを前に苦戦。ボール支配では圧倒的に上回ったが、なかなか得点できずにいると、75分に失点し、そのまま敗れた。開幕からの連勝は、3でストップした。

 この日の早大は、「サイドにうまく厚みを持たせてというイメージでやろうと言われていた」(DF渡部那月、社3=兵庫・日ノ本学園)。中央よりもサイドで起点をつくって攻める傾向にあったが、一方の東京国際大は、これを逆手に取るような守備を見せた。2トップが絶えずボールを追ってサイドに誘導し、そこで人数をかけて奪い切る。立ち上がりの早大は、なかなかパスの精度が高まらなかったことと、東京国際大の守備組織の完成度の高さから、思うようにペナルティーエリア内にボールを運べない。選手間でコミュニケーションも取るなどして、ようやく実ったのは23分だった。左から右に一本のパスでサイドを変えると、その流れから柳澤が縦パス。MF中村みづき(スポ4=浦和レッズレディース)がエリア内で抜け出したが、角度のない位置からのシュートは相手GKに阻まれた。その後、東京国際大の激しさは、時間が経過するにつれてやや弱くなり、ハーフコートゲーム気味の展開に。35分には、狙い通りに左サイドで5人が絡み、テンポよくボールをつないで好機を創出。40分にも右サイドからDF冨田実侑(スポ1=岡山・作陽)がクロスをあげると、ゴール前で1人潰れ、ファーサイドで待つFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)に決定機が訪れる。しかし、ことごとく得点にはつながらず、無得点で45分を終えた。

攻守にわたって奮闘した三浦

 後半に入っても、早大が圧倒的にボールを支配したが、やはりゴールが遠かった。54分、右サイドでボールを受けた河野がカットインからシュートを放ち、相手GKが弾いたボールを柳澤が詰めるが、相手DFにブロックされる。56分には河野、DF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)が立て続けにヘディングシュートを放つが、決まらない。この後、2度の選手交代を行い、さらに攻勢を強めたいところだったが、次第に相手を押し込む時間帯が過ぎ去り、迎えた75分だった。右サイドでセカンドボールを拾えず、その流れでアバウトにエリア内に放り込まれると、相手FW鈴木里歩(1年)に決められ失点。ワンチャンスをモノにされ、追いかける展開となった早大は、最後は三浦を前線に上げてパワープレーも行ったが、東京国際大の守備を崩せずに、痛い敗戦となった。

喜びを爆発させる東京国際大の選手達と肩を落とす河野、この負けを無駄にしてはならない

 アップセットを許してしまった。早大は、連戦による疲労が細かいミスを生んでいる可能性もあるが、結果的には同じ轍を踏むかたちとなった。東京国際大は粘り強く戦い、90分間集中を切らすことがなかった一方で、「悪い流れを変えられなかった」(柳澤)。混戦模様の関カレはいったん中断期間に入り、月曜日からは皇后杯出場をかけた関東女子選手権が始まる。一発勝負のトーナメント制では、きょうのような失敗は許されない。この日の敗戦を、新たに始まる戦いに向けた戒めと捉え、改めて一丸となって突き進んでいってほしい。

(記事 守屋郁宏、写真 篠原希沙)

スターティングメンバー

関東大学女子リーグ戦 第4節
早大 0-0
0-1
東京国際大
【早大 得点者】なし
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付優衣 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 15 中田有紀 スポ2 兵庫・日ノ本学園
DF 三浦紗津紀 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF 渡部那月 社3 兵庫・日ノ本学園
DF 29 冨田 実侑 スポ1 岡山・作陽
DF →81分 高瀬はな スポ2 ジェフ千葉レディースユース
MF ◎5 松原有紗 スポ4 大阪・大商学園
MF 柳澤 紗希 スポ3 浦和レッズレディースユース
MF →70分 中井仁美 スポ4 兵庫・日ノ本学園
MF 平國瑞希 スポ4 宮城・常盤木学園
MF 17 大井美波 社3 大阪・大商学園
MF →68分 熊谷汐華 スポ3 東京・十文字
MF 10 中村みづき スポ4 浦和レッズレディース
FW 河野朱里 スポ3 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

DF渡部那月(スポ3=兵庫・日ノ本学園)

――試合全体を振り返って

相手がしっかり引いて守ってきて、1対1とかでも最後までついて来るようなチームで、崩しきれなかったというか、点が取れなかったというのも負けた要因としてあると思うし、DFとしてはそこが悔いが残るところかなと思います。

――チームとして、きょうはどのように東京国際大に対してアプローチしようと考えていましたか

関東リーグでもそうでしたし、引いてくるというのは分かっていたので、サイドにうまく厚みを持たせてというイメージでやろうと監督の方から言われていました。前半の後半ではそれが少しはできていたかなとは思うんですが、そこで取り切れなかったというのが今後の課題かなと思います。

――他にも何か課題は見つかりましたか

うまくいかない時に、全体でもっと声をかけることです。少しバラバラになってしまっていた部分があるので、そういう時にチームがいかに1つになれるかというところだと思います。

――月曜日の皇后杯予選への意気込みをお願いします

トーナメント制で、負けてしまったらそこで終わりなので絶対に勝ち切って、予選優勝を目指してがんばります。

MF柳澤紗希(スポ3=浦和レッズレディースユース)

――試合を終えての感想を聞かせてください

とにかく悔しいだけです。攻めていたのに点が取れなかったのも情けないし、相手の前後半でシュート2本で1点決めたという決定力も、見習わなければならないなと感じました。

――試合の流れを振り返って

関東リーグの後期の東京国際大戦もずっと攻めていたのに点が入らなくてという試合があって、そういう試合にならないように心がけてゲームに入ったんですけど、同じ展開になってしまって、自分たちで悪い流れを変えられなかったっていうのが反省点です。

――立ち上がりはかなり相手が激しく来ていた中で、左サイドの選手たちで話し合って修正されていましたよね

どこのチームも(そうなんですけど、)立ち上がりは激しく来るというのはわかっていたので、もっとはっきりしたプレーというのを近くの選手と話し合ってやっていきました。

――サイドの追い越す動きがポイントになっていたように思いますが

監督の狙いもあったんで、そこは使える時は使って、結構チャンスにつながっている部分もあったので、もう少しそういう自分たちの特長を生かせればよかったんですけど、相手にハマってしまったので、もっとそこを極めるとか、他のかたちで崩すとか、もう少しひねりというか、アイデアがあればよかったなと思います。

――球際の部分は激しかったと思いますが

チームとして当たり前ではあるんですけど、1対1で絶対負けたくないという思いはあったし、そこは強く行こうと意識して入ったので、そこは良い部分も出せたとは思います。

――直後に控える皇后杯予選に向けて

皇后杯予選はいきなりトーナメントで、負けたら終わりの一発勝負なので、きょうみたいな試合がないように、日程的にも厳しいかもしれないですけど、自分自身もチームとしても切り替えて、また調子を上げていきたいと思います。