関東大学女子リーグ戦(関カレ)は早くも第3節を迎えた。開幕2連勝と勢いに乗るア式蹴球部女子(ア女)はきょうも勝ち点3を目指し帝京平成大と対戦した。立ち上がりから何度も好機を作るもののなかなか決めきれず苦しい展開が続くが、33分にDF中田有紀(スポ2=兵庫・日ノ本学園)のゴールで先制に成功。さらに42分にはFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)もゴールを決め、リードして前半を終える。さらに相手を圧倒したいア女であったが、後半は見せ場を多く作ることができずまさかの無得点。結果2-0でリーグ戦3連勝を飾った。
前半から波に乗りたいア女であったが、試合開始直後に相手に攻め込まれてしまう。しかし、ここはDF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)が対応しピンチを逃れる。ここから徐々にリズムをつかんだア女は7分にDF冨田実侑(スポ1=岡山・作陽)とMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)の連携で右サイドから崩しにかかる。最後はMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)がファーストシュートを放つもゴールとはならず。12分にはMF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)がアーリークロスを供給。これに反応した平國がヘディングシュートを狙うも惜しくもポストに嫌われ、決定機をものにすることができない。25分には松原が遠目の位置から果敢にミドルシュートを狙うが、むなしくクロスバーの上を超えた。両サイドから多くの好機を作り何度も相手陣地に攻め込むも、ラストパスのタイミングが合わずなかなか得点を奪えないア女。この嫌な雰囲気からチームを救ったのは左サイドから好機を演出してきた中田だった。松原からのパスを受け自ら左サイドを駆け上がり中へと切り込む。「1回クロスをあげようと思ったが中に枚数がいなかった」と中田。すぐさま右足を振りぬくと、ボールは綺麗な弧を描いてゴール右隅に吸い込まれた。42分には松原がボールを奪うとMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)へパス。中村は振り向きざまにミドルシュートを放つが惜しくも枠を捉えることができなかった。しかしその直後中村が空いたスペースを見逃さず右サイドへ展開し、パスを受けた冨田がグラウンダークロスを供給。これを河野が上手く収めてゴールを決めた。前半は2-0で終了。徐々に自分たちの攻撃ができるようになり、いい雰囲気で折り返した。
中田の気持ちよく決まったゴールは、集まった多くの観客を沸かせた
後半はMF中井仁美(スポ4=兵庫・日ノ本学園)を投入。「次の1点が大切だ」(松原)と相手を突き放したいア女は51分、相手のCKを防ぐとすぐさまカウンターをしかけ、中村が豪快に右足を振りぬくもクロスバーの上を超えた。2分後には中田のクロスを松原が頭で合わせるもミートできず。72分にはMF大井美波(社3=大阪・大商学園)を投入し攻撃の活性化を図るが、得点は奪えない。終了間際には中村からのパスを受けた松原がミドルシュートを打つもキーパーに阻まれた。「焦って自分たちの思考が止まってしまった」と河野。人数をかける相手の攻撃に苦戦しリズムをつかむことができなかった。結局、最後まで追加点を奪えず2-0で試合を終えた。
冷静に2点目を決めた河野
前節とは異なり前半しか得点を奪うことができなかったア女。後半は相手の雰囲気に飲まれてしまった。「(相手からは)チーム全員で点を取りにいくというのが自分にも伝わって来た。逆に自分たちにもそういう気持ちとか姿勢が必要だということを気づけた」と松原。この試合で勇志頂戦(勇ましい志を持って頂を目指して戦う)というチームスローガンを再確認できたのではないだろうか。攻撃面においてはきょうも得点につながったサイドからの崩しなど、より一層厚みを増しており、守備に至っても3試合連続で無失点を続けるなどチームの状態は悪くない。だからこそもっと自信をもって戦うべきである。どんなに相手に攻められようと自分たちは自分たちのサッカーを堂々とやる。ピッチで泥くさく戦い続けるア女の『勇姿』に注目だ。
(記事 永池隼人、写真 守屋郁宏・梶井夏葉)
スターティングメンバー
関東大学女子リーグ戦 第3節 | ||||
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早大 | 2 | 2-0 0-0 |
0 | 帝京平成大 |
【早大 得点者】34中田/43河野 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付優衣 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 15 | 中田有紀 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 2 | 渡部那月 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 29 | 冨田 実侑 | スポ1 | 岡山・作陽 |
MF | ◎5 | 松原有紗 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
MF | 6 | 柳澤 紗希 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
MF | →46分 | 中井仁美 | スポ4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 9 | 平國瑞希 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 11 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | →72分 | 大井美波 | 社3 | 大阪・大商学園 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ4 | 浦和レッズレディース |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
MF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)
――試合全体を振り返って
前半2ー0で折り返して、次の1点が大切だよと言って後半入ったんですけど、攻められることが多くて、セカンドも拾うことができずにどんどん下がってしまうという感じで。後半は課題がたくさん出たかなと思います。ただ、無失点で終わることができたのは良かった点かなとは思います。
――きょう出た課題について具体的には
相手が人数をかけて攻めてくる中で、どこから(相手のボールを)取りに行くのか、セカンドとかも取れなかったのは全体的に距離感が遠かったからかなと思うので、もっとコンパクトにしていかないといけないと思います。あとは取ったボールをすぐに失ってしまうことが多かったので、もう少し落ち着いて回せたら良かったかなと。
――次の1点が遠かったという感じでしょうか
3ー0になるか、2ー1になるかで全然気持ち的に違ってくるので、3点目はすごく大事だと思います。取ることもできずにとられもしなかったという感じですね。もっと点を取れるチャンスはあったので、決め切りたかったなと思います。
――松原選手ご自身の惜しいシュートもありました
個人的にはボールもあまりもらえず、ヘディングで負けてしまう部分とかもあったので良い評価ではないです。個人的な課題も水曜日の試合に向けて改善していきたいと思います。
――後半、攻め込まれてしまった要因は
相手の勢いがある中で、ボールを自分たちはすぐに失ってしまって。そこでもっとうまく回せたら流れをつかむことはできたかと思います。あとはセカンドボールを拾われて勢いでやられてしまったという印象です。
――相手の印象について
チーム全員で点を取りにいくというのが自分にも伝わって来ました。逆に自分たちにもそういう気持ちとか姿勢が必要だということを気づけたので、相手の良いところはまねしていきたいです。
――そんな中でも無失点に終わることができたのは収穫の1つではないでしょうか
相手のオフサイドに助けられたり、DFが体を張って守ってくれたりだとか、それはすごく良かったと思います。それをDFだけじゃなくて全員で球際だったりを厳しくやっていけたらいいかなと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
関東リーグ戦では引き分けてしまって。引いて守ってくる相手に対してどう攻めるかというのは自分たちの課題の1つであるので、この2日間でチーム内の共通理解を深めて大量得点、無失点で勝ち切りたいと思います。
MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)
――きょうの試合を振り返っていただけますか
後半に自分らがもう1点取れたら、もうちょっと楽にゲームを進められたとは思うんですけど、結構相手のペースで進められた時間が長くて、自分らがやるべきサッカーというのがなかなかできずに終わってしまいました。
――前後半で試合の色が違ったと思うんですけど、プレーしていても変化は感じましたか
相手がより蹴るようになって、それで自分らももっとつなげたと思うんですけど、焦って蹴ってしまって。間延びとは違うんですけど、一人一人の距離感が前半よりさらに広くなってしまって、セカンドボールをこっちが拾えず、なかなかリズムをつくれないという状況は続いてしまったかなと思います。
――慎重に攻めているように見えたんですが、相手の戦い方、たとえばカウンターへの対策とかとの兼ね合いもあったんですか
カウンターを警戒してというわけではないんですけど、もともとア女としてつなげるところはしっかりつないで、そこから展開して縦に行くというかたちをやりたいので、ビルドアップのところというのは、もちろん簡単に裏に出せるんならそれはその選択肢も全然いいと思うんですけど、つなげるところはつなぐというのは、チームとしてのかたちだと思うので。
――中盤に関しては、選手の組み合わせも含め、試行錯誤しているところなのですか
個人としてもなかなかうまくいかない点というのはあって、いろいろチャレンジしていきたいなと思って試合に臨んでいます。チームとしては、組み合わせが変わるからどうこうというのはあっちゃいけないと思うし、それはあまり無いと思うんですけど、もっと一人一人が味方の動きを見て感じて、また動き直したりだとか、特にシャドーとボランチにFWを加えた4人の関係というのをもっともっと意識して、流動的に、かつバランスを取りながら動いていかないといけないのかなと思います。
――過密日程の中での試合ですが、次戦に向けて
修正する日にちというのは少なくなってしまうんですけど、この試合で課題を見つけられたとは思うので、それを各々でもチームとしても、もう一回見直して、絶対にきょうの試合より良い試合をしなくちゃいけないと思うので、内容と結果がついてくる試合をしたいなと思います。
FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)
――お疲れ様です。まずは試合を振り返って率直な感想をお願いします
勝てて良かったというのが一番にあるんですけど、試合の締め方というか、前半は良かったんですけど、後半良くなかったので、修正しなきゃいけないなという方が大きいですね。
――後半ペースが変わってしまった原因となったのは、どういったところですか
相手が前半より勢いを増してきたのと、少し選手が変わってフレッシュな選手が入ってきたことで、ちょっとDFの対応が難しかったり、相手に勢いに乗られたことで、観客も多かったですし、雰囲気的にも押されているという印象を受けてしまったので、そこで焦って自分たちの思考が止まってしまったというのが今回のダメなポイントかなと思います。
――きょうの試合に入られる前のチームとしての課題意識や、試合の位置付けというのはいかがでしたか
いつも通りタッチ数少なくやることと、相手が勢いに乗ってくるので、特に前半の最初の方はどのチームでもそうなんですけど、そういうチームに対して、受け身にならないようにするというのは、意識してやっていました。
――ご自身の得点シーン振り返ってみて、いかがですか
もうちょっと決められるところはあったんですけど、あの得点はトミー(DF冨田実侑、スポ1=岡山・作陽)がクロスを上げてくれて、相手のDFも軽くスライディングしてきたので、それを見なして、GKも見て、シュートできたんじゃないかなと思います。
――個人としてのきょうの課題はいかがですか
前で的になることをきょうは意識してやっていたんですけど、前半は自分たちのペースでボールを回せていたので、受けられるシーンもあったんですけど、逆に後半、ああいう苦しい状況になった時でも、前で的になれないとチームの巻き返しがはかれないと思うので、前半できたということで、後半みたいな厳しい状況になった時に、自分ができるようにならなきゃいけないなというのが課題として残りました。
――次節に向けて、ひとことお願いします
今回出た課題が、前半でも後半でも自分たちのサッカーをするということと、相手のペースになった時に、どう自分たちがサッカーを変えて、みんなで試合中に改善していくかというところなので、次もそういう状況になったら、自分たちで改善できる力とコミュニケーションを増やしていかなきゃなと思います。
DF中田有紀(スポ2=兵庫・日ノ本学園)
――きょうの2-0という結果を振り返っていただけますか
無失点で勝ち切ることができたので、次の試合につなげることができたかなと思います。
――3試合連続で無失点が続いていますがどうとらえていますか
関東リーグでは失点が多く、その分だけ自分たちがピンチになってマイナスになるので、無失点ということにこだわってる中で無失点を続けていることはいいことだと思いますし、これからも無失点にこだわってやっていきたいです。
――きょうは左サイドから多くのクロスを供給していましたがどんな意識で攻撃に参加していましたか
チャンスがあれば2枚目から抜け出していこうかなという意識はありました。
――またきょうは待望の先制ゴールを決めました。クロスのイメージが強い中でのシュートでしたが狙っていましたか
1回クロスをあげようと思ったんですけど中に枚数がいなかったので、バイタルエリアで相手も足を出してきた瞬間だったので、シュートを打とうかなという意識はありました。
――前半も後半も立ち上がりに攻め込まれてしまいましたがどう改善していきたいですか
やっぱり自分たちが苦しい時間帯って90分間戦う中であると思うんですけど、そこで失点するんではなくて、泥くさく守ってプレーが変えられるといいと思います。
――次の試合ではきょうの反省を生かしてどんなサッカーをしたいですか
2点入れたんですけど、後半は特に押される場面が多くあって、その苦しい時間帯でバタバタしてしまったので、落ち着いたプレーと状況判断ができるように改善していって、次も無失点で勝ち点3を取りにいきたいと思います。