約1カ月の鍛錬期間を終え、いよいよ開幕を迎えた関東大学女子リーグ戦(関カレ)。立ち上がりこそ相手のプレスに苦しめられたものの、きょう初先発のMF村上真帆(スポ1=東京・十文字)の先制点を機に本来のア式蹴球部女子(ア女)のプレーが戻り、攻撃陣が爆発。終わってみれば5得点、そして無失点。完勝だった。
最初の10分はア女にとって我慢の時間となった。「プレスの速さに対して自分たちのプレーができなかった」(MF松原有紗主将、スポ4=大阪・大商学園)。最初からエンジン全開で向かってくる相手のディフェンスに手を焼き、なかなかボールを前に運ぶことができずにいた。しかし松原やMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)から相手の裏を狙ったFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)への縦パスが次第に通り始めると、9分にきょう初めてのCKを獲得。キッカー・MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)のボールに合わせたのはMF大井美波(社3=大阪・大商学園)だったが、これは惜しくも左に逸れてしまった。その後も惜しい場面が続く中、待望の先制点が生まれたのは25分だった。平國が右サイドを駆け上がり、そのセンタリングを冷静に流し込んだのは村上。きょう初先発を果たしたルーキーが期待に応える活躍を見せた。この先制点を機に本来の調子をとり戻したア女は怒涛の攻撃を開始する。32分、高い位置でボールを奪ったDF中田有紀(スポ2=兵庫・日ノ本学園)が左サイドで2人を振り切って河野へラストパス。そのシュートのこぼれ球を詰めていた松原がロングシュートで押し込んだが相手DFに阻まれた。右サイドからもいいかたちの崩しが見られたが、人数をかけて守る関東学園大を前になかなかゴールを割らせてもらえず。ところが前半終了間際、中村からのパスに抜け出した平國がゴール前のDF渡部那月(社3=兵庫・日ノ本学園)にパス。渡部が放ったふわりと浮かせた球は相手ゴールに吸い込まれた。ここで流れを完全に引き寄せたア女。さらなる得点への期待が高まった非常に良い雰囲気の中、試合を折り返すこととなった。
初先発となった村上、先制点という結果を残してみせた
エンドが変わった後半、ベンチが仕掛けた。大井に代えてこれまで右SBで起用されることが多かったDF冨田実侑(スポ1=岡山・作陽)を右サイドハーフの位置に投入。この作戦がさらにア女を勢いづけた。48分、中村と河野が息のあったコンビプレーが炸裂し、ゴールまであと一歩に迫るとその直後の4分、ボールを奪った河野が1人で抜け出し、GKとの一対一を冷静に決めて3点目。ストライカーが存在感を見せつけた。続く57分、58分にも冨田と河野が惜しいシュートで会場を沸かせると、60分には中村のシュートでだめ押しの4点目。試合を決定付けた。試合終盤に松原と中村がベンチに退いた後も、全員で集中を切らすことなく守備をつつけたア女。危ない場面はほとんどなく、終始安定したディフェンスを披露した。アディショナルタイムに冨田が長い距離を走って最後はGKをかわしてシュートを決めて試合終了。関カレ開幕戦で完封勝利と、最高のスタートを切った。
待ちに待った開幕戦。完勝だった
相手のシュートをわずか2本に抑えた守備はまさに圧巻だった。加えて5人が得点を挙げたという点で攻撃陣の層の厚さをあたらためて認識させられた。しかし、厳しい戦いはまだ始まったばかり。タイトなスケジュールの中で、着実に1つ1つ勝ちを積み重ねていかなくてはならない。「きょねん優勝できなかった分、ことしは1位でインカレにつなげたい」(松原)。11月まで続く関カレ。昨年の雪辱に燃えるア女の戦いぶりからこれからも目が離せない。
(記事 篠原希沙、写真 栗村智弘)
スターティングメンバー
関東大学女子リーグ戦 第1節 | ||||
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早大 | 5 | 2-0 3-0 |
0 | 関東学園大 |
【早大 得点者】25村上/44渡部/50河野/60中村/90+2冨田 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付優衣 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 15 | 中田有紀 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 2 | 渡部那月 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | ◎5 | 松原有紗 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
MF | →81分 | 安部由希子 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
MF | 27 | 村上真帆 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 9 | 平國瑞希 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | →65分 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ4 | 浦和レッズレディース |
MF | →70分 | 田中 実夏 | スポ2 | セレッソ大阪堺レディース |
MF | 17 | 大井美波 | 社3 | 大阪・大商学園 |
MF | →46分 | 冨田 実侑 | スポ1 | 岡山・作陽 |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
MF松原有紗主将(スポ4=大阪・大商学園)
――初戦、完勝でした。この結果についていかかがですか
最初の試合は大事だと思うので、しっかり5-0で勝てたというのは良かったです。あとシュートもあまり打たせずに無失点で完封できたのも流れに乗れるかなと思います。
――試合全体を振り返って
最初立ち上がりが良くなくて、相手のプレスの速さに対して自分たちのプレーができないというのが続いたんですけど、慣れてきてからは自分たちが試合を進めることができたかなと思います。あとはもう少しシュートを積極的に打てたら良かったと思いますが、守備の部分から集中して入ることができたので全体的には良かったと思います。
――5得点をあげました
きょうもいろんな人が点を取れたのはいいことだと思います。でももっとチャンスはあったので、決定力を上げていかないとだなと思います。1つ1つのシュートを確実に決めていけるようにもっと個人の意識を上げていこうと思います。
――無失点に終わることができました
何本か攻められそうな部分はあったんですけど切り替えが速くて、取られてもすぐに取り返すということができていたので、これからもこれは継続してやっていきたいと思います。
――きょう感じたチームの課題は
相手のプレスが弱くなってから一人一人が(ボールを)持つ時間が長くなって、それで相手のプレーに合わせるようなかたちになってしまったのでその部分に関しては少ないタッチで自分たちのサッカーを貫き通さなくてはいけないと思います。あとは1つ1つのパスのズレですね。右足に出すところ、左足にだすところ、そういったところをもっとこだわってやっていきたいです。
――ユニーバーシアードからの疲れはありましたか
1日オフがあったので、そんなに疲れはなかったです(笑)。
――いよいよ開幕した関カレですが、今後への意気込みをお願いします
日程がきついので、コンディションを整えるのとか難しいと思うんですけど、そういう時こそチーム全員でしっかりやっていきたいですし、やっぱりきょねん優勝できなかったぶん、ことしは1位でインカレにつなげたいと思っているので、目の前の試合に集中して全員で優勝を目指したいと思っています。
FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)
――きょうの試合はいかがでしたか
初戦で結果を出すことができて、チームもこれから波に乗っていける勝利になったと思います。
――5−0というスコアに関しては
もうちょっと取れたかなというのが正直な感想ですけど、無失点で抑えられたのはDF陣の自信にもつながると思いますし、次につながる試合になったと思います。
――関カレではどういった戦いをしていきたいですか
関カレはすごく日程が詰まっていて、皇后杯(予選)とかも入ってくる中で、すごくコンディショニングも難しいですし、インカレにもつながる、各大学がいつも以上に気合を入れてやってくる大会です。ワセダは去年関カレでは準優勝でしたけど、インカレでは優勝していて、その分他大学も勢いを持って試合に入ってくる中で、自分たちが受け身になっていては負けてしまうので、そういうところは難しいですけど、一試合一試合、自分たちの実力を出し切る必要がある大会だと思います。
――ユニバーシアードなどもあった中で、現在のご自身のコンディションに関しては
ユニバの方が(日程が)詰まってたので、そこでコンディショニングの面で学ぶこともありましたし、そこは生かしていけるかなと思います。
――疲れはありませんか
疲れはそんなに残ってないですね。
――やはりインカレは常に意識している大会の一つですか
そうですね。やっぱり同じ大学生には負けられないですし、連覇している分周りからの期待も高まってくる大会なので、このチームが始まってからインカレ優勝っていうのが一番の目標なので、そこはみんな常に目指しているところだと思います。
MF村上真帆(スポ1=東京・十文字)
――率直な感想をお願いします
きょうは初めてスタメンに起用されて、気負わずに自分のできる精一杯をやろうと思って臨みました。
――初スタメンは緊張しましたか
自分はあまり緊張する人ではないので、のびのびとやろうと思って、それができたかなと思います。
――試合全体を振り返って
点はちょくちょく入っていたんですけど、特に自分のところで簡単なミスが多かったかなと思います。パスミスとかあって、もっと大事にしておけば良かったなと思うところも多かったので、次が水曜日で日にちがないんですけど、修正できるところは全部して次戦に臨みたいなと思います。
――得点シーンを振り返って
やっぱり先制点は大事だと思っていたので、トップ下ということで常にシュートの意識は持って試合に臨んでいました。それが結果につながって良かったです。
――ユニバーシアードに出場したメンバーとの合わせなどについて
ユニバーシアードに行かれた方々は本当に上手で、みんなに合わせていただいたという感じでした。自分はその中に入ってやるだけという感じだったので、とてもやりやすくてすぐに馴染むことができました。
――きょう見つかったチームとして、個人としての課題は
チームとしては前線へのダイレクトとかでミスが目立ったり、大きなサイドへの展開が少し少なかったかなと思います。あとは決め切るところはしっかりとやり切ることができればもっと試合の流れが楽に来ていたかなと思いました。個人としては前半は守備も意識して速くボールに寄せたり、人一倍走ったりというのが自分の持ち味なので意識してやっていたんですけど、後半は少し走れなくなってしまって。なので、疲れを取って最後まで前半と同じようなプレーができるようにしたいです。
――きょうから開幕した関カレですが、どのようなリーグにしたいですか
昨年は1回負けてしまっているので、ことしは全勝して優勝したいと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
もし出ることができたら、きょう出たパスミスを減らすとか、後半まで走り切るということを改善して、少しでもチームに貢献できたらいいなと思います。