年に1度開催される早関定期戦もことしで第6回目を迎えた。過去5回全て勝利を収めているア式蹴球部女子(ア女)。ことしも序盤から終始相手ゴールへ襲い掛かり、圧倒的なサッカーを展開する。3分のMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)のゴールで先制し勢いにのったア女は、立て続けにFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)とDF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)もゴールを決め3点を追加。しかし40分にFKを直接決められ前半を4-1で折り返す。後半になっても攻撃の手を緩めないア女はMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)の得点などで4点を追加し、8-1で勝利。見事6年連続で定期戦を制した。
MF松原有紗主将(スポ4=大阪・大商学園)が「定期戦ということで勝ちにこだわって試合に入った」と言うように勝利を目指したア女であったが、キックオフ直後に右サイドから相手に攻め込まれてしまう。しかしDF渡部那月(社3=兵庫・日ノ本学園)のブロックでピンチを脱する。するとその直後、ア女にチャンスが。中村からのパスを受け左サイドに切り込んだ河野がシュート性のクロスを供給。こぼれたところを平國が押し込みファーストシュートで先制に成功する。9分には前線の選手の息の合った連携で右サイドを崩し、最後は河野がゴール。26分には中村のCKをDF奥川千沙副将(スポ4=静岡・藤枝順心)が落とし三浦がダイレクトボレー。さらに33分には松原のロブパスに反応した河野が冷静にゴールに流し込んだ。その後も攻め続けたア女であったが40分、相手のカウンターをDF陣が上手くつぶすことができずFKを与えてしまう。これをゴール右上に決められ失点。これで3試合連続での失点となった。このまま前半は4-1で終了。中央から両サイドへの展開で多くのチャンスを作ったア女が大きくリードをするかたちで試合を折り返した。
先制点をあげた平國、積極的な仕掛けをみせた
後半はDF稲山菜月(スポ4=東京・十文字)、MF中井仁美(スポ4=兵庫・日ノ本学園)、MF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)の3選手を投入。5分には河野、53分には松原がヘディングシュートを狙うも共にクロスバーの上を越えた。決定機を決め切れない嫌な流れを断ち切ったのは先制ゴールを決めた平國だった。61分、熊谷からのクロスをゴール左に流し込み待望の追加点。後半から代わって入った熊谷は攻撃の起点となり、左サイドから多くのチャンスを作った。86分には高い位置でボールを奪い、熊谷がスルーパス。これに中村が反応し豪快なシュートをゴールネットに突き刺した。78、93分には河野がゴール。後半も4ゴールを奪い相手を圧倒したア女。結果8-1で第6回早関定期戦は幕を閉じた。
4得点と大活躍の河野
「8得点できたんですけど、実際はもっと決め切るチャンスがあったと思う」(松原)、「去年のような厳しさ、締まりというのが試合中にあまり感じられない」(三浦)、「もっと課題を見つけて、インカレ優勝という目標のために経験を積んで強くなっていきたい」(河野)と試合には快勝したが、選手たちはまだまだ満足していない。これから夏の厳しい練習の中で決定力不足と守備の連携不足という2つの課題をいかに克服することができるか。進化を続けるア女に目が離せない。
(記事 永池隼人、写真 石井尚紀・森田和磨・梶井夏葉)
ペナント交換を行った両校
第6回 早関定期戦 | ||||
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早大 | 8 | 4-0 4-1 |
1 | 関学大 |
【早大 得点者】3,61平國/10,34,78,90+3河野/26三浦/86中村 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付優衣 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 15 | 中田有紀 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | →46分 | 稲山 菜月 | スポ4 | 東京・十文字 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 2 | 渡部那月 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | ◎5 | 松原有紗 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
MF | →63分 | 安部由希子 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
MF | 6 | 柳澤 紗希 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
MF | →46分 | 中井仁美 | スポ4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 9 | 平國瑞希 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ4 | 浦和レッズレディース |
MF | 17 | 大井美波 | 社3 | 大阪・大商学園 |
MF | →46分 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
MF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)
――感想をお願いします
定期戦ということで勝ちにこだわって試合に入ったんですけど、けっこう色んな人が点数を取ることができたのは良かったと思います。ただ、攻めているときのカウンターであったり、失点もカウンターだったので。そこはもっと改善していくべきだなと感じました。
――関西の大学との対戦は普段なかなかありませんが、これについては
関西の大学と試合をすることはなかなかないので、こうやってOBOGの方々の支援のおかげで毎年開催できているというのはありがたいことだなと思います。あとは自分も関西出身なので、相手に友達もいましたし。楽しくサッカーできました。
――8得点をあげた攻撃について
8得点できたんですけど、実際はもっと決め切るチャンスがあったと思います。これから関東大学女子リーグ戦(関カレ)や全日本学生選手権(インカレ)などではそういうチャンスを決め切っていかないと勝てないと思うので、もっと精度にこだわっていきたいと思います。
――失点の場面は相手のカウンターからでした
自分たちが攻めている中で、カウンター1本やられました。DFもボールにつられてしまって、逆サイドのケアができていなくて結果ファールとなってしまいました。もう少し自分も周りをみて上がれば良かったですし、そういうところの声掛けとかリスクマネジメントの部分をしっかりやれば良かったなと思います。
――きょうのご自身のプレーはいかがでしたか
いつもよりボールを受けることができて、大きく左右に展開したりだとかはできたんで良かったんですけど、まだまだ判断が遅かったり動き出しがなかったりで中で止まってしまっていることも多かったのでそこは改善していきたいです。
――ユニバーシアードが控えていますね
大学の代表として行かせてもらうんですけど、しっかりと自分のプレーができればいいなと思いますし、みんなを代表して行くので、もちろん優勝を目指してがんばりたいと思います。
――今後に向けての意気込みをお願いします
ユニバーシアードから帰ってきてすぐに関カレという感じなので、チームと合わせる時間も短いですが、これまでやってきたことを発揮できるように調整をしっかりできたらなと思います。あと、やはり関カレはきょねん負けてしまっているので、今年は絶対に優勝したいと思います。
DF奥川千沙副将(スポ4=静岡・藤枝順心)
――試合を振り返って、いかがですか
これから交流を深めていきたいという中で、もうちょっと点を決められたり、攻撃面でトライができたのと、課題が残ったところがあったので、次につなげたいなと思いました。
――トライができたというのはどういった部分でしょう
少ないタッチだったりとか、コンビネーションの部分で、いつも見てないコンビネーションが見れたりだとか、自分のポディションだけではなくて、違ったポディションに動いて、プレーしている選手が見れたりといったところですかね。
――チームとしては、この試合をどう捉えて臨まれましたか
これからもこういった交流戦が続いていく中で、関東と関西の架け橋になれば、と私自身は捉えていました。
――最後の早関定期戦(早関戦)はいかがでしたか
運営側としても色々やっていたので、そういった点では大変でした。でも、試合をしっかり勝ち切って、次に向けて課題を見つけられたので、それは次につなげていきたいですし、後輩たちが今後、この早関戦をつないでいってほしいと思います。
――ご自身の評価はいかがですか
5点満点中2.5点くらいですかね(笑)。
――どういった点で
集中力とか、指示の質やプレーの質をどんどん上げていかないと、強い相手に対しては通用しないなと思ったので、パス1つ、指示1つとっても、もっとこだわっていけたらなと思います。
――DF陣全体としての課題は
ディフェンスラインのコントロールだったり、一人一人の判断がまだ共有できてないところがあるので、なんで今そのポディショニングを取ったとか、そういう一つ一つをすり合わせていかないと、失点につながると思います。
――失点シーンを振り返って、いかがですか
カウンターからの対応ということで、そこでファールしてしまうことは仕方ないと思うんですけど、そうならないようにカバーの面でも、後ろでしっかり準備しておかないといけないなと。FKはもうちょっと練習して、GKとの連携とかしっかりしていきたいと思います。
――最後に、今後に向けて一言お願いします
課題も多く見つかりましたし、まだまだこれから合宿も含めて1カ月くらい時間もあるので、何が足りないのか、生活面から見直して、チーム全体で、レベルアップできたらいいなと思っています。
MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)
――きょうの結果についていかがですか
早関戦ということで伝統のある試合で絶対に勝たなければいけない試合で、内容としても圧倒しようということだったのでそれがある程度達成できたと思います。
――1年に一度の早関戦ということで特別な気持ちなどはありましたか
そもそも関西の大学と試合をする機会がなかなか無いので、自分たちにとっても相手にとっても良い機会になると思うのでそういう特別な雰囲気はありました。
――ご自身の得点シーンを振り返っていかがですか
中に朱里(FW河野、スポ3=静岡・藤枝順心)がいて、そこも考えたんですけどゴールが近かったので思いっきり打とうと思って打ったら入ったので良かったです。
――きょうの試合を通じてのご自身のプレーや、課題はいかがですか
相手のプレッシャーが緩い時とかは自由にできて、でもそういう時でもパスミスとか大きなパスが少しずれてしまったりしたのでそういうところはもっと自分たちで突き詰めていかなければいけないと思いますし、攻撃のリズムがなかなか変わらずダラダラした時間帯があったのでそういうところをどんどん自分のアクションでリズムを変えていけたらいいと思いました。
――9月から皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)や関カレがはじまりますが、意気込みは
もちろん関カレはインカレにつながる大事な大会ですし、実際そこで1位を取るというのはインカレに向けて絶対条件だと思いますし、皇后杯に関してもなでしこリーグのチームと本気で戦えるというのは皇后杯でしか無い舞台だと思うのでなでしこのチームと戦えるところまで絶対勝ち進んで、今まで以上に強いチームになれたらいいと思います。
MF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)
――8-1という結果でしたが、振り返ってみていかがでしたか
8点決めれたんですけど、もっと決められる箇所が何回もあったので、そこは課題かなと思いました
――早関戦は今まで負けていないと思いますが、意気込みはありましたか
伝統ある定期戦なので、しっかり勝ち切って後輩たちにもどんどん勝てるようなチームに、というのを伝えられるような試合にしたいと思いました。
――ご自身が2点決められたと思いますが、振り返ってみていかがでしたか
1点目はこぼれ球で誰でも決めれるようなシュートだったので(笑)。2点目も汐華(MF熊谷、スポ3=東京・十文字)がいいクロスをあげてくれたので、それを冷静に流し込めたのは良かったなと思います
――きょうのチームとしてのプレーを振りかえってもらってもいいですか
きょうもサイドからシンプルに攻撃っていう形で、自分もサイドからっていう部分では縦にしかけたり、いろんなプレーをするというのを心がけていたので、それが形になってよかったなっておもいます。
――秋の皇后杯全日本女子選手権関東予選(皇后杯予選)や関カレにむけて、チームの課題はどのような点だと思いますか
今までの試合とかを全部、反省点とかをふまえて、しっかりチーム全体で勝てるチームにできるように練習からしっかり取り組んでいきたいと思います。
DF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)
――きょうの結果について感想をお願いします
得点は結構取れたんですけど、1失点というところはやっぱり課題かなと思っています。
――内容について全体的に振り返っていただけますか
途中から相手のペースにちょっと合わせちゃったなというところがあって、自分たちができることを時間内にやり尽くせたのか(どうか)とは思います。
――三浦選手も1点を挙げました。最近セットプレーからの得点が増えていますね
本当は頭で狙っているというか、頭で決めたいんですけど、最近足でのゴールがなんか多いので、自分でも変な感じなんですけど(笑)。点を取るというところで言えば取れているので、これからもたくさん取っていきたいなと思います。
――守備についてですが、失点シーンにつながる相手のカウンターがありました。あのシーンの対応については
相手選手が大きくて、自分のところに(相手の)クリアボールで、ルーズボールが入ってきたんですけど、そこでの対応というのが、準備不足で前を向かれてしまって、そこから攻められてしまったので、あれは自分のミスかなと思います。
――失点が続いているという現状があります。その要因としてなにか感じているものはありますか
(個人個人の対応の部分なのか、チームとしての動きの部分なのか)それはどちらもあると思っていて、きょねんは失点が少なかったんですけど、きょねんのような厳しさ、締まりというのが試合中にあまり感じられないし、自分でも(厳しく)やっていかないといけないとは思っているんですけど、なかなかできていなくて。今シーズンこれから大事な時期になるので、改めてやっていかなきゃいけないなと思います。
――来月からは新たな大会が2つ始まります
獲れるタイトルは全部獲りにいきたいですし、きょねんもうちょっとで勝てそうだったなでしこリーグのノジマ(ノジマステラ神奈川相模原)であったり、そういう強いチームとできるところまで勝ち続けていきたいですし、一番大きいのは大学の中で1番というところに居続けなければいけないと思っているので、そういうところへ向かって、もっと自分たちで厳しくこだわって、やっていきたいと思います。
FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
前半も後半も3点以上とれて相手を引き離すことができたのは良かったですけど、前半の始めに攻め込まれてしまったこととフリーキックの失点はもったいなかったと思います。
――今まで負けてないという中でどのような意気込みで臨みましたか
どんな相手でも自分たちのサッカーを貫くことと課題を改善するために試合をしているので、定期戦だからといって気持ちは変わらないですし、やることも変わらずに試合に挑みました。
――ご自身のゴールを振り返っていただけますか
まあ大体みんながあわせてくれて自分が走りこんで、キーパーと1対1だったり、ちょっと触れば入るゴールだったですけど、タイミングは合ったのと相手のディフェンスラインがそろってないところで裏に抜けられたのはきょうの収穫だと思います。
――先制の場面でのクロスがシュート性に見えましたがゴールを狙ったのですか
ゴールを狙ったわけじゃなくて、中にやな(柳澤紗希、スポ3=浦和レッズレディースユース)がいて、最初ということもあったので勢いよく中に入れました。
――後半も多くのシュートチャンスがありましたがなかなか決め切れない場面もありましたそれについては
外してしまったほとんどがヘディングだったですけど、いいボール入れてくれた中でも迷ってシュートしていることが多くて、誰か後ろにいるんじゃないかって思いながらヘディングしていたので、自分が決めるっていう思いを持って打てばすべて入ったのかなと思います。
――チーム全体としての課題はきょうの試合を通じて見つかりましたか
最近の試合ずっとなんですけど必ず失点をしてしまっていて、それを続けてしまうとなれになって、1点とられてもいいやという気持ちが芽生えてしまうと思うので、どんな試合でも失点をしないことと、序盤から自分たちが相手を圧倒していきたいと思います。
――これから関カレと皇后杯予選と重要な試合が続きます。今後へ向けて意気込みをお願いします
最近いろいろな課題が出てきてるんですけど、課題がなければ自分たちは成長しないと思うので。これから強い相手とやっていく中でもっと課題を見つけて、インカレ優勝という目標のために経験を積んで強くなっていきたいです。