全員で勝ち取った勝利、2連覇達成!

ア式蹴球女子

 例年の2倍以上の観客が詰めかけた第16回早慶女子サッカー定期戦(早慶サッカー)。1プレーごとに歓声があがる盛りあがりを見せる中、ア式蹴球部女子(ア女)の選手たちがピッチで躍動した。終始ボールを支配し、果敢にケイオーゴールに襲いかかったエンジイレブン。試合は、エース・FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)の決めたゴールが決勝点となり1-0で見事早慶サッカー2連覇を達成した。

 立ち上がり、早慶戦という特別な舞台なだけに少し硬さの見えるア女。自陣でパスカットされたり、抜群の安定感でチームを支えているDF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)のバックパスがゴールポストに当たったりなど、ひやりとする場面もあった。大きなスタジアム、大きな歓声の中、連携不足で自らピンチを招いてしまっていたが、徐々に落ち着きを取り戻すと怒涛の攻撃を開始する。18分、DF奥川千沙副将(スポ4=静岡・藤枝順心)からのロングパスを受けたMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)がキープし、相手キーパーが出過ぎて無人になったゴールを河野が狙うも及ばず。その直後にはMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)がドリブル突破でケイオーゴールまで迫った。一方ケイオーも普段よりもかなりハイプレスをかける作戦に変えてきており、何としてでも勝ちにいくという姿勢を前面に出してきていた。しかし、「思っていた部分とは違ったけれど、それに関してはわりと早く適応できた」(中村)。そんな相手にも落ち着いて対応したア女はついに試合を動かす。29分、中井からのパスにに抜け出した平國のシュートが相手に当たり、CKを獲得するとそこから待望の先制点が生まれた。中村の蹴ったボールがゴール前にこぼれたところを河野が落ち着いてシュート。「FWとして1つは仕事ができたかなと思う」(河野)。ここぞという時に決めるエースがチームの勝利を大きく近づける1点をもぎ取った。この1点でさらにエンジンがかかったア女だったが、中村の強烈なミドルシュート、FKからの三浦のヘディングシュートはどちらも枠の上。追加点まであと一歩というところで前半を終えた。

MVPを獲得した河野、相手を圧倒した

 エンドが替わった後半、いきなり河野が魅せる。1人で抜け出して相手DFを振り切り勢いそのままにシュート。得点への期待がさらに高まった。迎え撃つケイオーはディフェンスラインが低くなり、選手間の距離が遠くなったためロングボールを放り込むことしかできない状況に。これにもア女の最終ラインがしっかりと対応し、攻撃の芽を摘んでいく。しかしここでアクシデントが発生。平國に代わって入ったばかりだった期待のルーキー・MF松本茉奈加(スポ1=東京・十文字)が無念の負傷退場となり、急遽MF柳澤紗希(スポ3=浦和レッズレディースユース)が投入された。また、三浦も怪我で一時的にピッチを離れるなど不測の事態が続いたこともありケイオーの逆襲に遭ったが、全員の意地でゴールを守りきった。その後もMF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)のロングシュートや、DF渡部那月(社3=兵庫・日ノ本学園)の精度の高いクロス、途中出場を果たしたDF稲山 菜月(スポ4=東京・十文字)のオーバーラップからのセンタリングなどでゴールを狙うも再びネットを揺らすことはできずにここで試合終了のホイッスル。最後まで攻め続けた選手たちに観客からは暖かい拍手が送られた。

チーム一丸となって勝利を勝ち取った

 ボールを支配し、常に攻め続けたエンジイレブン。多くの部分でケイオーとの格の違いを見せつけた。しかし、「もう少し点を取ってみなさんに紺碧をもっと歌わせてあげたかった」(奥川)。勝った喜びをかみしめながら、悔しさも口にする選手たち。独特な雰囲気に包まれた早慶サッカーで戦うことの難しさを改めて痛感させられたのではないだろうか。とは言っても無失点で勝ち切ることができたことは自信を持つべき事実だ。戦いの真っ最中である関東女子リーグでは、自力で悲願の9連覇を成し遂げるには残りの試合をすべて勝つしかないという苦境に立たされているア女。伝統の一戦で見せた勝利への貪欲さを残りの3試合にぶつけて、リーグ優勝を勝ち取って欲しいものだ。

2連覇達成に笑顔が弾けるア女の選手たち

(記事 篠原希沙、写真 梶井夏葉・守屋郁宏)


 

 

第16回早慶女子サッカー定期戦
早大 1-0
0-0
慶大
【早大 得点者】29河野
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付優衣 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 15 中田有紀 スポ2 兵庫・日ノ本学園
DF →85分 稲山 菜月 スポ4 東京・十文字
DF 三浦紗津紀 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF 奥川千沙 スポ4 静岡・藤枝順心
DF 渡部那月 社3 兵庫・日ノ本学園
MF ◎5 松原有紗 スポ4 大阪・大商学園
MF 中井仁美 スポ4 兵庫・日ノ本学園
MF 平國瑞希 スポ4 宮城・常盤木学園
MF →61分 松本茉奈加 スポ1 東京・十文字
MF →66分 柳澤 紗希 スポ3 浦和レッズレディースユース
MF 10 中村みづき スポ4 浦和レッズレディース
MF 11 熊谷汐華 スポ3 東京・十文字
MF →46分 大井美波 社3 大阪・大商学園
FW 河野朱里 スポ3 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)

福島廣樹監督(昭45教卒)

――1-0で連覇達成となりました。結果についていかがですか

やはり早慶戦は勝ちにこだわっているので、1-0でもいいんですけど、欲をいえば3-0、4-0で勝ちたかったなと思います。

――少しディフェンス面で危ない場面がありました

声かけをしているんだろうけれども、通っていなかった。こんな広いスタジアムですることもあまりないですし、応援の声もあったので。簡単だからこそミスをしてしまう、そのようなところを修正していかないといけないなと思います。

――FW河野 朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)選手が得点をあげました

本人はやる気満々で、期待はしていたんですけど、時間はたってしまっていますが、期待に応えてくれたと思います。

――最後の早慶戦となった4年生のほとんどがピッチに立つことができました

それぞれみんな力があるので、チームの中でも競争意識がありますし、1年生もMF松本茉奈加(スポ1=東京・十文字)が少し出て負傷してしまいましたが、全学年同じくらいの実力があるので、誰が出ても心配はしていません。

――関東リーグの次戦が中1日で控えています

あす休んですぐに関東学園大との試合がありますから、いかに体調を整えるかですね。関東リーグも9連覇がかかっているので、負けられない状況に追い込まれています。選手はやってくれると思いますが、月曜日、また勝利をおさめたいと思います。

※出場選手のコメントは後ほど掲載いたします