久しぶりの大勝となった前節から1週間がたち、今節は敵地・東京国際大のグラウンドに乗り込んだア式蹴球部女子(ア女)。いい流れを維持していきたいところだったが、引いて守る東京国際大相手に攻めあぐねてしまう。しかし、後半に入ると効果的な縦パスが通るようになり、好機を連発。ところが何度もクロスバーに阻まれるなどして結果はスコアレスドローに。先週とは一変して、1点が遠い試合となった。
前節、新しいシステムに挑戦後、初めての大量得点勝利に成功したア女。きょうもそのままの勢いで勝ち点を積み上げたいところだった。しかし、「思っていた以上に相手が引いていた」(MF中村みづき副将、スポ4=浦和レッズレディース)。パワーアップをしたア女の攻撃力を警戒してか、東京国際大は立ち上がりからがっちりと守りを固めていた。そんな相手に対してア女は苦戦を強いられる。攻撃のスイッチを入れるような縦パスがほとんど出せず、最終ラインで横パスをつなぐもどかしい時間が続く。DF渡部那月(社3=兵庫・日ノ本学園)とFW平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)の息のあったワンツーや、FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)のドリブルなどで突破口を見いだそうとするも、シュートで終わることができない。しかし、徐々に相手のDFの裏へ抜けるパスなどが通り始め、攻撃にリズムが戻ってくると、36分には左サイドを駆け上がったMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)が倒されてFKを獲得し、そこからさらにCKのチャンスを迎えた。ここでも空中戦での強さを見せつけ、DF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)が完璧に頭で合わせたが、惜しくも枠を捕らえることができず。互いに得点のないまま前半を折り返した。
平國の仕掛けから多くのチャンスが生まれた
前半のシュートは7本に終わっていたア女。「監督が相手のDFの頭を越すようなボールだとか、ディフェンスラインの裏を通すパスなどを強調していた。後半の始めはそれを体現できた」(河野)。ハーフタイムでしっかりと切り替えたチームは、チャンスを連発する。渡部のパスに反応した平國が裏へ抜け出し、早いタイミングで右足を振り抜いた。13分にも河野がボールを奪い、前線へパス。これをしっかりとキープした中村が放ったセンタリングにMF大井美波(社3=大阪・大商学園)が合わせたが、またもボールはゴールの枠の上へと飛んでいった。「先制点を取れずに焦ってしまい、悪い流れになってしまった」(三浦)。今リーグ初出場を果たしたDF佐々木呼子(スポ1=宮城・常磐木学園)なども積極的に前線へロングボールを供給するなど全員一丸となってゴールに向かっていたが、なかなかゴールネットを揺らすことができない。そしてチームメイトや観客が固唾を呑んで見守る中、0-0のまま試合はアディショナルタイムに突入。是が非でも点が欲しいア女だったが、中村の放ったシュートはクロスバーに阻まれ、跳ね返ったボールを詰めていた大井がヘディングするも、再びバーに当たってゴールとはならず。勝利の女神は最後までア女に微笑むことはなかった。
選手たちは悔しさをあらわにしていた
決定的なシュートがことごとくクロスバーに当たってしまうという不運に見舞われたア女だが、中村副将は「あそこでいれられないというのがいまの自分たちの実力」と語った。決定力という課題を容赦なく突き付けられたア女だが、下を向いている暇はない。土曜日にはケイオーとの伝統の一戦、そして中1日で関東リーグの後期4節が控えている。限られた時間の中でどれだけひとり一人が、チーム全体が課題を克服できるか。苦境に立たされたいま、9連覇を目指す女王の真価が問われている。
(記事・写真 篠原希沙)
スターティングメンバー
関東女子リーグ戦 後期第3節 | ||||
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早大 | 0 | 0-0 0-0 |
0 | 東京国際大 |
【早大 得点者】なし |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付優衣 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 15 | 中田有紀 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 2 | 渡部那月 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | →59分 | 佐々木呼子 | スポ1 | 宮城・常磐木学園 |
MF | ◎5 | 松原有紗 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
MF | 8 | 中井仁美 | スポ4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →46分 | 柳澤 紗希 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
MF | 9 | 平國瑞希 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ4 | 浦和レッズレディース |
MF | 11 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | →46分 | 大井美波 | 社3 | 大阪・大商学園 |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
MF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)
――率直な感想をお願いします
相手が引いてきていて、前半とか特に相手のペースに合わせてしまって自分たちの良さが出せずに得点もできなくて。後半は切り替えていこうということだったんですけど、相手がさらに引いてきて、シュートのチャンスとかは前半よりかは増えたんですけど決めきれなくて。勝たないといけない試合で勝てなかったなという感じです。
――きょうはチームとして、個人として具体的にどのようなことを意識して臨みましたか
いつも通り少ないタッチでつないで、サイドから崩していこうと言っていたんですけど、サイドに入ったとしても関わりが少なくて、あとは突破もできず、結局中に戻して相手に引かれるっていう悪循環になってしまいました。もっと裏を狙うことだったり、積極的に仕掛けることが必要だったかなと思います。個人的にも、前半はどのポジションを取るかで迷っていたんですけど、後半は高い位置をとって関わることができたかなと思います。でもまだまだ運動量は足りないですし、もっと関わって展開とか楔のパスとかを入れられるようにしたいです。
――後半の入りがかなり良かったのではないでしょうか
そうですね、シュートまでいける場面が増えました。後半入ってから攻撃のバリエーションも増えたし、スピードも上がってきてはいたんですけど、やっぱり最後の部分で決め切れないところとか、最後までプレーできていない部分があったので、改善していかないといけないなと思います。
――関東リーグの次戦は17日となります
中1日で疲労も取れない部分もあるかと思いますが、関東リーグでもう負けられないので、全試合勝てるように、まずは関東学園大戦でしっかり勝てるようにチーム一丸となってがんばりたいと思います。
MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)
――率直な感想をお願いします
きょうは優勝に向けて絶対に勝たないといけない試合だったんですが、引き分けてしまって、今後の試合を全部勝たないといけなくなってしまったので、自分たちの首を絞めてしまったかなという気持ちです。
――きょうはどのようなことを意識して試合に臨みましたか
前期の終わり頃からやっていることと変わらずに、少ないタッチで回していこうということだったんですけど、きょうは自分らが思っていた以上に相手が引いていて、それにも関わらずすごく低い位置で回してしまって。いつも通りのことをやろうとしてしまって、相手を見てサッカーができなかったなと思います。
――後半の入りは縦パスがスムーズにつながっていたように思いますが
前半は縦パスが入っていないということは選手間でも話していたので、DF、中盤から縦パスを立てていこうとは言っていました。後半はボランチを中心に縦パスを狙えていたので、前半よりかはいいリズムで攻撃できていたかなとは思います。
――クロスバーに何度も当たる悔しい場面もありました
そうですね。でもあそこでいれられないというのが自分たちの実力だと思いますし、足らない部分が多いなと思います。
――関東リーグの次戦は17日となります
これから関東リーグは勝たなければいけないと思うので、内容ももちろんなんですけど、とにかく結果にこだわって、9連覇というのを成し遂げるためにやらなければいけないことをチームとしてやっていきます。
FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)
――率直な感想をお願いします
ずっと攻めていたんですけど、崩し切れない、決め切れないなど、最後の決定的なところでの力不足を痛感しました。
――前半は横パスが多かったように思います。後半の入りは切り替えができたのでしょうか
監督が相手のDFの頭を越すようなボールだとか、ディフェンスラインの裏を通すパスだとかを強調しておっしゃっていて、後半の始めはそれを体現できたんじゃないかなと思います。
――疲れなども出て、かなり苦しい試合となったかと思います
みづきちゃんが少し疲れてきてそこを使い切れなかったり、みなみを生かし切れなかったりしてサイドをできなかった分、真ん中にかたよってしまって、狭いスペースでつなごうとしてしまいましたし、そこでも崩し切れるスキルがなかったかなと思います。
――相手の東京国際大の印象は
キーパーも含めて粘り強く守備をしてきて、ボールをとったら前に大きく蹴るというサッカーが徹底されていたなと思います。
――関東リーグの次戦は17日となります
調子も上がってきていると思います。自分たちは最下位の筑波大にしか勝てずに後期を折り返していて、順位的に下のチームにも勝てていないという現状なので、個々の力に頼らずに、チーム全体で相手に立ち向かえればいいなと思います。
DF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)
――率直な感想をお願いします
勝ちきれなくて悔しいです。
――きょうはどのようなことを意識して試合に臨みましたか
失点が続いているので、絶対に集中力を切らさないでやるというのと、点をたくさんとって勝ちたいと思っていたので、それができなくて残念です。
――最近失点がありましたが、きょうは無失点で終えることができました。これについては
前節、前々節、失点されてはいけない相手だったので、失点は自分たち次第かなと思っています。自分たちで改善していけばレベルアップしていけるのかなと思います。
――きょうの試合で見つかった課題はありますか
先制点をとる時間っていうのがサッカーでは大事かなと思っているので、きょうはそこがとれずに、焦ってという悪い流れになってしまったかなと思います。
――気持ち的にも苦しい試合でしたか
点をとれないと失点したら負けてしまうプレッシャーもありますし、勝てないですし、焦っちゃうのかなと思います。
――関東リーグの次戦は17日となります
ここで引き分けちゃったので、自力で優勝するには一戦一戦勝っていくしかないですし、結果にこだわっていきたいと思います。