6-0、またもや大量得点、無失点での快勝だ。関東学園大のホームグラウンドでおこなわれた関東女子リーグ戦(関東リーグ)第4節。豪雨をもろともしないプレーで相手を翻弄(ほんろう)したア式蹴球部女子(ア女)は、前半に2得点、後半に4得点と攻撃陣が好調さをアピール。また、2試合連続の無失点と、守備面でも力の差を見せつけた。ア女の開幕からの勢いはとどまるところを知らないようだ。
試合開始からエンジン全開で相手ゴールに襲い掛かるア女は何度も絶好のチャンスを迎える。10分、13分にはFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)やFW大井美波(社3=大阪・大商学園)などが立て続けに惜しいシュートを放ち、得点の匂いを漂わせていた。19分、MF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)の強烈なシュートが弾かれたところを河野が落ち着いて拾い、サイドで待っていたMF松本茉奈加(スポ1=東京・十文字)がセンタリング。これにギリギリで飛び込んだのは大井。ついに先制に成功する。その後も多くのシュートを放つも、スリッピーなピッチコンディションからか、なかなか枠を捕らえることができない。このまま終わるかに思われた前半終了間際、自陣でボールを奪ったア女は素早い攻守の切り替えを見せ、一気にカウンターを仕掛ける。フリーでボールを受けた松本があげた完璧なセンタリングに再び大井が合わせて2-0。両サイドハーフコンビの活躍の光る45分間となった。
今リーグ初スタメンながら2アシストと大活躍の松本
降りしきる雨が強さを増す中、後半がキックオフ。またしても得点をあげたのはサイドからの攻撃だった。左サイドを駆け上がったMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)からのボールに頭で合わせたのはMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)。代わって入ったばかりの2人がすぐに結果を出した。このままゴールラッシュとなるかに思えたが、大雨によってできた水たまりで横パスが通らず、一方両サイドではボールが滑ってしまうなど、ピッチの状況に苦しめられる時間帯が続いた。しかし、「全員が集中して守れた結果」と松原主将が語るように、相手に付け入る隙を与えることはなかった。そして迎えた74分、河野と交代で入っていたFW山田仁衣奈(スポ2=大阪・大商学園)が豪快にヘディングシュートを決めると、その10分後にはMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)のCKをDF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)が頭に当てて5点目。アディショナルタイムには山田が自らゴール前に持ち込みシュート。6点と今季最多の得点をあげて、文句なしの4勝目となった。
この試合2得点の山田仁、チームの快勝に大きく貢献した
関東リーグ初スタメンとなった松本が2アシストを記録し、他にも代わって入った選手が得点やアシストなど多くの活躍を見せたこの試合。ア女の選手層の厚さを改めて証明したのではないだろうか。強力な新戦力の加入により、今年度のア女はポジション争いがいままで以上に激しくなっていることは間違いない。しかし、「合宿を通してチーム力もあがった」(松原主将)という言葉の通り、チーム全員で支えあって戦っていこうという雰囲気の良さがこの連勝という結果にきちんとつながっている。連勝街道を突き進むア女。これからもその戦いぶりに期待したい。
(記事 篠原希沙、写真 梶井夏葉)
スターティングメンバー
関東女子リーグ戦 第4節 | ||||
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早大 | 6 | 2-0 4-0 |
0 | 関東学園大 |
【早大 得点者】19,44大井・47平國・74,91山田・86三浦 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付優衣 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 15 | 中田有紀 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 2 | 渡部那月 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | →62分 | 冨田 実侑 | スポ1 | 岡山・作陽 |
MF | ◎5 | 松原有紗 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
MF | →77分 | 安倍由希子 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
MF | 33 | 田中 実夏 | スポ2 | セレッソ大阪堺レディース |
MF | 28 | 松本茉奈加 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | →46分 | 平國瑞希 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ4 | 浦和レッズレディース |
MF | 17 | 大井美波 | 社3 | 大阪・大商学園 |
MF | →46分 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 |
FW | →62分 | 山田仁衣奈 | スポ2 | 大阪・大商学園 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
MF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)
――4連勝となりました。いまの率直な感想をお願いします
相手が引いてきて、そこを攻めるっていうのはア女があまり得意としていない印象だったんですけど、前半のうちにしっかりとクロスから点数を決めることができて。それで流れに乗れて、6得点とれたのはよかったかなと思います。
――2試合連続の無失点という結果については
無失点にするのは難しいことなんですけど、2試合連続でできたのは全員がしっかりと集中して守った結果かなと思います。
――初スタメンとなったMF松本茉奈加選手(スポ1=東京・十文字)が2アシストの大活躍でしたね
1年生が新しく入ってきて、また攻撃力が上がったというか、サイドでスピードを生かしたプレーをしてくれていてよかったと思います。逆に自分たちも1年生たちの動きを生かせるようなプレーをしたいなと思います。
――きょうのご自身のプレーについてはいかがですか
あんまり中盤で受けることができなくて、ボールに触れなかったので、もう少し顔出ししないとだなという感じでした。シュートチャンスもたくさんあった中で決め切れなかったので、そこは改善しないとだなと。あと、ボールを奪われた後の切り替えだったり全部において遅かったので、もっと自分でアクションをおこしたり考えて動かないといけないなと感じました。きょうの自分のプレーには全然満足してないです。
――次戦は2位につけている日テレ・メニーナ戦となります
組織での技術だったり個人でのプレーで勝つというよりかは、一対一で負けないようにするであるとか、チーム力を意識してやっていきたいなと思います。
――話は変わりますが、尾瀬合宿はいかがでしたか
2チームに別れて各チーム試合をそれぞれしていたんですけど、チームの良いところを出せていて。その結果が決勝でAとBが当たるということにつながったかなと。決勝も今までにないくらい全員が強い気持ちを持ってやっていたので、とても良い試合ができたと思います。ゲーム以外では、毎年恒例の『山走り』をやりました(笑)。みんなでがんばろうという感じで、支え合って乗り越えることができたので、良い合宿だったなと思います。これをしっかり生かさないとだめだと思うので、みんなで思い出しながらじゃないですけど、がんばっていきたいなと思います。
MF松本茉奈加(スポ1=東京・十文字)
――大量得点での勝利となりました。きょうの試合を振り返っていかがですか
雨の中で、グラウンドの状況も良くない中で、自分達のサッカーができたのは良かったと思います。
――きょうの試合にはどのように臨まれましたか
自分の特徴を出して、チームに貢献できるように。あわよくば点が取れればいいなと。
――ご自身の特徴というのは
自分はスピードが持ち味なので、スピードを生かして起点を作れたら良かったかなと思います。
――雨の中という厳しいコンディションについてはいかがでしたか
雨の中での試合っていうのはきょうだけじゃないし、練習とかでもやっているので、グラウンド状況を見ながら、グラウンドに合ったプレーをして、自分達のサッカーをしようと思っていました。
――きょうの試合では2アシストで得点にもたくさん絡まれました。1点目を振り返っていかがですか。
逆サイドの美波さん(FW大井、社3=大阪・大商学園)が走っていたのが見えたので、そこにボール入ればいいなと思って、蹴りました。
――2点目も似たような形からの得点となりましたが、振り返っていかがですか
完全に自分もフリーでボールを受けれたので、しっかり中の人が合わせやすいボールを狙ってクロスをあげました。
――きょうの試合でご自身の課題等は見つかりましたか
ボールを受ける前、周りの選手がどう動いているかっていうのがまだ見えていなくて、ボールを持ってから考えてた部分が多かったので、オフの動きをしっかり考えて、自分がいいようにプレーできるようにしていきたいと思います。
――最後に次節に向けて一言お願いします
次の試合ではまず出るっていうのを目標にして、出たら点を決めたいと思います。