得るものの多い1勝!開幕戦で見事勝利

ア式蹴球女子

 関東女子リーグ戦(関東リーグ)がついに開幕。このリーグ8連覇という絶対王者として試合に臨んだア女だったが、まさかの先制を許してしまう。しかしすぐに追いつき、終わってみれば4得点の快勝。開幕戦を勝利で飾った。

 悲願の全日本学生選手権(インカレ)連覇を達成した1月からはや3ヶ月。女王としての真価が問われる一年間がスタートした。前半、強い向かい風を受ける側にエンドをとったア女。初戦ならではの緊張感からか足元の上手い神奈川大相手に思うようにパスを回せない。そして前半14分、カウンターを受け、痛恨の失点。まさかの先制を許す展開となった。しかし「まだまだ時間はたくさんある、まずは追いつこう」(MF松原有紗主将、スポ4=大阪・大商学園)。焦る選手は誰1人としていなかった。失点からわずか5分後、DF渡部那月(社3=兵庫・日ノ本学園)がゴール前まで運び、DF中田有紀(スポ2=兵庫・日ノ本学園)が折り返したボールを中央にいたMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)が振り抜き、強烈な同点シュートを叩き込んだ。この1点で息を吹き返したア女は怒涛の攻撃を見せ、良い流れのまま1-1で前半を折り返す。

守備でも攻撃でも活躍した中田

 「しっかり前からプレッシャーをかけることができた」(松原)。ハーフタイムの間に修正をした結果、立ち上がりに苦しんだ前半とは打って変わって、後半はア女のペースで試合が進んだ。中村、・FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)のホットラインは今シーズンも健在で、息のあったパス回しで相手を翻弄(ほんろう)。また1点目でアシストを記録した中田もオーバーラップなどで積極的な攻撃参加をみせる。MF中井仁美(スポ4=兵庫・日ノ本学園)もゴール前まで詰めることが多くなり、惜しいシュートが続いた。迎えた66分、ロングパスを受けて右サイドを駆け上がったMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)が放った絶妙なセンタリングに頭で合わせたのは河野。「信じて飛び込むだけだった」(河野)。頼れるエースが待望の逆転ゴールをチームにもたらした。後半途中で山田彩未(スポ3=ジェフ千葉レディースユース)と高瀬はな(スポ2=ジェフ千葉レディースユース)を投入し、さらに勢いづいたア女は河野の今試合2得点目となる追加点で引き離しにかかる。試合終盤、前かがみになったところを狙われ、ヒヤッとする場面が何度かあったものの、圧倒的なポゼッションで試合を支配した。後半開始時に代わって入っていたMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)が終了間際にダメ押しの4点目を決めて4-1。しっかり勝利という結果を残し、開幕戦を終えた。

開幕戦、2ゴールをあげた河野

 「開幕戦は絶対に負けられない。それぞれが強い気持ちで臨んだ結果」(中村)。立ち上がりの悪さから盛り返し、勝利をもぎ取る。あらためてア女の修正力を見た試合となった。しかし、きょうの試合内容に選手たちはまったく満足していない。「もっと内容の良い試合を」と河野は次戦への意気込みを語った。守備面や、ゲームへの入り方など多くの課題が浮き彫りとなった今試合。チームとして、個人として改善するべき点が多く見つかったことは、必ずや次の勝利へとつながるに違いない。次戦はアウェーでの筑波大との対戦だ。昨年度は2戦で1勝1分けとなっており、厳しい戦いが予想される。夢の9連覇達成への1つ目の山場、しっかりと勝ち点をものにしたい。

(記事 篠原希沙、写真 山下夢未)

スターティングメンバー

早大 1-1
3-0
神奈川大
【得点者】(早)19中村・66、83河野・91熊谷汐 (神)14山喜
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付優衣 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 15 中田有紀 スポ2 兵庫・日ノ本学園
DF 三浦紗津紀 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF 奥川千沙 スポ4 静岡・藤枝順心
DF 渡部那月 社3 兵庫・日ノ本学園
MF 中井仁美 スポ4 兵庫・日ノ本学園
MF →77分 高瀬はな スポ2 ジェフ千葉レディースユース
MF ◎5 松原有紗 スポ4 大阪・大商学園
FW 平國瑞希 スポ4 宮城・常盤木学園
MF →70分 山田彩未 スポ3 ジェフ千葉レディースユース
MF 10 中村みづき スポ4 浦和レッズレディース
MF 17 大井美南 社3 大阪・大商学園
MF →46分 熊谷汐華 スポ3 東京・十文字
FW 河野朱里 スポ3 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

DF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

立ち上がり自分たちのペースが作れないまま攻められる時間が多くて、あの様な形で失点してしまったんで、苦しい展開にはなりましたね。前半はほんと自分たちのプレーが全然できなかったなと思います。でも後半はしっかり切り替えて、厳しく行くところはきっちりいこうと話し合ったら、結構前からプレスしていけていて、その結果4点取って勝つことができてよかったと思います。

――失点してしまった場面ではどのような声かけをしましたか

チームの雰囲気もあまりよくなかったんですが、まだまだ時間もあったので、しっかりここから取り返そうという感じで声かけをしました。

――相手の神奈川大の印象はいかがでしたか

個人技がすごくて、裏に蹴ってきたり、足元でつないできたりということをしてくるので、一発ではいかないということを意識はしていたんですが、あまりカットできなかったりコースを狙われていたりしてうまく展開されてしまったという感じでした。そこはもっと改善していかないといけないなと思いました。

――きょうのご自身のプレーはいかがでしたか

監督からの指示で中盤で受けて、展開してほしいというように言われていて、展開できた部分もあったんですが、まだ合っていないところとか後半は動けなくなってしまったので、そう言った意味ではまだまだだなと思いました。

――主将となってチームに対しての意識は変わりましたか

主将なのでやはりチームをまとめなくてはいけないし、プレーでも引っ張っていかなくてはいけないと思いますし。もうがむしゃらにやって、その姿をみんなに見せていこうとおもっています。

――どんなリーグ戦にしたいですか

このリーグは8連覇してますし、その記録を自分らの代で止めるわけにはいかないですし、初戦は厳しい試合になりましたがこれからもこういう試合はあると思うので。そんな時でも自分たちのサッカーをして、改善するところはきっちりして、もっとチームとしても個人としてもいいプレーができるようにやっていきたいなと思います。

MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)

――開幕戦勝利おめでとうございます。どのような気持ちで臨まれましたか

開幕戦は絶対に負けられないということで、それぞれが強い気持ちで臨んだと思います。立ち上がりがあまり良くなかったんですけど、チームで盛り返して勝つことができたので良かったです。

――先制点を振り返っていかがですか

こぼれ球だったんですけど、きょうは絶対に自分が点を決めたいという思いがありました。いつもならゴール前ではポジションを取っていないんですけど、あの時はゴールの近くまで走ってこれていて、いいボールが転がってきて後は決めるだけだったので、みんなに感謝したいです。

――神奈川大の印象は

テクニックがあって、少ないタッチ数でボールを回したり縦の攻撃を展開してきたりと、攻撃のバリエーションが魅力的なチームだと思っています。いかにその攻撃を防げるかがカギになると思って試合に臨みました。

――どのように攻撃を防ぐか、チームとして何か対策は立てていましたか

全体としては特にないんですけど、今まで戦ってきた中で、それぞれが感じていた部分でもあると思います。きょうは各自でちゃんと(対策が)できていたと思います。

――きょうの試合で見つかった課題はありますか

自分がボールに行けてないところが多かったので、個人としては球際の部分をもっと改善しなければいけないと思います。チームとしては、裏への飛び出しをされる部分で、少し危ない場面もあったので、しっかりディフェンスを寄せるということを極めていきたいと思います。

――最高学年として意識していることはありますか

昨年度も4年生があまりピッチに立っていなかったので、それほど変わりはなくてやりやすさはあるんですけど、そこに甘えず、最高学年としての意識を持っていかなければいけないなと思っています。ただ、まだ形に表せていないので、この関東女子リーグ(関東リーグ)を通じて、チームを引っ張っていける存在になりたいです。

――最後に、次戦への意気込みをお願いします

今回見つかった守備面や少ないタッチ数で回すという攻撃面での課題を、この1週間でしっかり練習して、良い試合をして勝ちたいと思います。

FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)

――開幕戦、どのような気持ちで臨みましたか

開幕戦は今シーズンが始まる一番大事な試合だと思っているので、きょねん、一昨年も言っているんですが、やっぱり自分はFWなんで得点を取らないといけないという気持ちで臨みました。

――河野選手の1点目を振り返っていただけますか

中盤で自分が取ったものをみずきちゃんが振ってくれて。相手も付いてこれないような、自分にしか触れないすごい良いボールを出してくれて。もう信じて中に走りこむだけでした。

――2点目については

いつも自分は縦に抜けちゃうんですけど、みっちゃんが足元で我慢してって言ってくれてて、その場面でそれを意識したら足元にいいボールを出してくれて、キーパーと1対1になることができて。自分は1対1苦手なんで、しかも左足だったので結構緊張して打ちました(笑)。でも入ってくれたのでよかったです。

――開幕戦で2ゴールとなりました

個人としては2ゴール決めることができたとしてもチームとしてはあまり内容がよくなかったので、勝ったという結果よりも内容の方を重視して、きょうのことを生かしていかないとつぎもっと強い相手と戦った時に勝てないなと思い知らされました。

――神奈川大の印象は

毎試合最初に失点するっていうイメージがあって、今回もやられてしまって。そこをどう改善するかですね。関東女子大学リーグ戦(関カレ)でもインカレでも結構重要な試合で当たると思うので、そこを自分らの中で打開しないといけないなと。お互いこれかはもっと体力もあがると後半有利になれる可能性も低くなって行くと思うので。最初の競り合いで負けないようにしないといけないなと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

筑波大も自分たちのペースでやってくるチームなのでそのペースに巻き込まれることなく自分たちのサッカーをして、今回の改善点も生かして。もっと内容のいい試合にできたらなと思います。