関東大学女子リーグ(関カレ)最終戦(●0ー3)で、強豪・日体大に完敗を喫してから早2週間。前節から長い期間を経て、ホーム・東伏見で関東女子リーグ(関東リーグ)最終戦が行われた。全日本大学女子選手権(インカレ)前最後の公式戦となった今試合。勝利を挙げ、インカレに向けて弾みをつけたい早大であったが、前期よりもチーム全体で完成度を高めてきた浦和レッズレディースユースに先制され、苦戦を強いられてしまう。後半でなんとか同点に追いついたものの、惜しくも逆転は叶わず。1ー1のドローで関東リーグを締めくくった。
自身公式戦初ゴールとなった中田のゴールで同点に追いついた
早大は立ち上がりから高いポゼッション率でボールを支配する。開始2分、MF中井仁美(スポ3=兵庫・日ノ本学園)が敵陣中央から、MF熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)に縦パスを送るも、これは惜しくも合わず。10分にはこの日最初のシュートを相手に打たれてしまう。U-17女子W杯で活躍を見せた、FW小嶋星良に何度も危ないシュートを打たれるなど、暗雲が漂った。すると26分、MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)とGK木付優衣(スポ2=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)の連携ミスから失点。バックパスをすかさずカットされ、先制を許してしまう。その後もCKやFKのチャンスを生かせず、シュートをほとんど打てないまま前半を折り返した。
気を入れなおして挑んだ後半。55分に左サイドをMF平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)がドリブルで駆け上がりシュートを放つ。これはポストに弾かれたものの、今度はDF中田有紀(スポ1=兵庫・日ノ本学園)が押し込み自身公式戦初ゴールを決めた。ピッチ上で満面の笑みで得点に歓喜するも、すぐに切り替えるエンジイレブン。56分には、スピードに定評のあるMF熊谷遥楓(スポ3=北海道大谷室蘭)を投入し、試合の流れを早大に傾けようと試みた。しかし、得意のサイド攻撃で攻め上がろうとするも単調な攻撃が続いてしまい、守備を徹底する相手陣に侵入できない。82分にはMF柳澤紗希(スポ2=浦和レッズレディースユース)が勢いよくミドルシュートを放ったが、大きく枠を外れてしまう。その後も追加点を得られないまま試合は終了。悔しいドローとなった。
関東リーグ8連覇となった
関東リーグでは8連覇を決め、タイトルを手に入れた早大。今季は『挑越』をスローガンに取り組んできたが、関カレ、関東女子選手権兼皇后杯全日本選手権関東予選では2連覇ならずと、昨年の結果に及ばないこともあった。それでも、悔しい思いをする度に、チーム内で課題を徹底し、共通理解を深めてきたア式蹴球部女子(ア女)。過去の自分よりも1つでも上をいく姿勢は変えず、この一年間『日本一』を目指し、『挑越』を体現してきた 。もう間も無く開幕しようとしているインカレへの思いを、中田は「本当に『日本一』を取りたいので、4年生のためにも、出場するからには泥臭く走って点を取って無失点で」と語った。既に対戦カードが発表されているが、関カレ開幕戦で辛勝した(○1-0)帝京平成大、第7節で痛み分けとなった(△3-3)武蔵丘女子短大、日体大などと、強敵揃いのカードとなることが予想される。それぞれの思いを胸に、チーム一丸となって、ア女がことしも『日本一』に躍り出てみせる。
(記事 新庄佳恵、写真 守屋郁宏)
スターティングメンバー
後期関東女子リーグ戦最終節 | ||||
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早大 | 1 | 0-1 1-0 |
1 | 浦和レッズレディースユース |
【得点者】(早)55中田(浦)26小嶋 |
早大メンバー | |||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 | |
GK | 16 | 木付優衣 | スポ2 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース | |
DF | 32 | 中田有紀 | スポ1 | 兵庫・日ノ本学園 | |
DF | 30 | 森田海 | スポ1 | JFAアカデミー福島 | |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース | |
DF | 2 | 渡部那月 | 社2 | 兵庫・日ノ本学園 | |
MF | 8 | 中井仁美 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 | |
MF | →64分 | 柳澤紗希 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース | |
MF | 31 | 高瀬はな | スポ1 | ジェフ千葉レディースユース | |
FW | 9 | 平國瑞希 | スポ3 | 宮城・常盤木学園 | |
MF | ◎10 | 中村みづき | スポ3 | 浦和レッズレディース | |
MF | 22 | 熊谷汐華 | スポ2 | 東京・十文字 | |
MF | →56分 | 熊谷遥楓 | スポ3 | 北海道大谷室蘭 | |
FW | 24 | 山田彩未 | スポ2 | ジェフ千葉レディースユース | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)
――関カレでの敗戦から2週間、どんな準備をしてきましたか
日体大との試合(関カレ第9節、●0-3)で自分たちの弱さが見えて、今週は走力の部分だったり、そういうところでもっと強さを持っていこうということでやるのと、あとはタッチ数というところにこだわってやっていて、きょうの試合も少ないタッチ数でやることを目指していたんですけど、あまりうまくそれを表現できなかったかなという感じです。
――きょうは中盤で相手の厳しい寄せがあって、なかなかゴールに迫れませんでした。やりづらさはありましたか
レッズも守備の部分をきっちりやってきていて、相手のディフェンスラインも常に揃っている状態だったりしていて、そういう中でどうやって崩すかって考えた時に、こっちはディフェンスラインでただ回しているだけだったり、相手のブロックがあるところの中を突けていなくて、外側をずっと回している状態で、たとえばサイドバックからフォワードっていうわかりやすい形でしかボールを入れることができなかったので、相手にとってやりやすい守備をさせてしまっていました。ビルドアップという部分でも、もっとボランチを使ってうまく展開したり、そこから縦の楔(くさび)っていうのを入れたりできたら良かったと思うんですけど、そういうパス回しの部分で今回は課題が見られました。
――試合全体を振り返っていただけますか
立ち上がり15分までは割と良い戦い方ができていたと思うんですけど、自分のミスになってしまうんですけど、失点をしてしまってからうまく立て直すことができなかったです。自分はそこでミスしてしまったので、もっと取り返すようなプレーだったり、今回ゲームキャプテンをやらせていただいてたので、そういう意味でもチームを鼓舞する声をもうちょっと出せたら良かったかなと思っています。そのままだらだら前半は行ってしまって、ただ後半はスイッチを入れ直して、点を取れたっていうのは良かったと思うんですけど、追加点を取ることができずに引き分けで終わってしまったのがすごく残念です。
――ゴールキーパーとフィールドプレーヤーの連携ミスが失点につながるシーンがここ数試合続いています
日体大戦ではディフェンスラインとゴールキーパーというところで意思疎通ができていなかったっていうのがあると思うんですけど、ただ今回のミスに関しては自分の持ち方もあまり良くなかったと思います。木付(GK木付優衣、スポ2=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)が呼んでたかどうかはわからないんですけど、自分の技術的なものだったり判断が悪かったので。日体大戦のときはコミュニケーション不足だったりっていうところが課題だったと思うんですけど、今回はそういうところよりも、ボールの持ち方だったり、強いて言うならディフェンスラインとか他の人の顔の出し方っていうところが課題かなと思います。
――インカレまで3週間ありますが、修正する部分や磨きをかけていきたい部分を教えてください
もう3週間しか無いんですけど、やっぱりこのままでは勝てないと思うので、しっかり初心に立ち返って、守備をもっとやらなきゃなっていうところを感じていて、攻守の切り替えだったり、セカンドボールを拾うことをもっと徹底的にできるようにしたいと思っています。ポゼッションの部分では相手の嫌な形であまり回すことができなかったので、単調な攻撃ではなく、もっと相手にとって嫌な攻撃っていうのを身につけられたらいいかなって思います。
――インカレに向け意気込みをお願いします
インカレは負けたら終わりなので、4年生とプレーできる残された時間というのも少ないので、しっかり自分が出せる力というのをその都度出し切って、チームとしても悔いが残らないサッカーっていうのを1試合1試合やっていきたいと思います。
DF中田有紀(スポ1=兵庫・日ノ本学園)
――悔しいドローとなった本日の試合を振り返っていかがでしょうか
前半はいい感じにリズムをつくれてボールを回せていたのですが、途中から崩れてしまい、自分たちのサッカーができなくなってしまいました。泥臭くてもシュートをするということができていなかったので、内容的にいいものではなかったなと思います。
――シュートをほとんど打てないまま前半を折り返しましたが、具体的な原因は何だとお考えですか
どれだけポゼッションができても、シュートを狙う意識があまりなかったというのが全体的にありました。ビルドアップの部分でも、まだまだサポートやタッチ数の面で変えていかないといけないなと思います。
――本日の相手の印象はいかがでしたか
自分たちよりも泥臭く、点やシュートをしようとしていて、縦の攻撃も速かったですし、相手の嫌がるようなことをしようとしていました。自分たちもやられて嫌でしたし、そういう点ではうまかったなと思います。
――試合を通して、積極的にサイドを駆け上がり攻撃参加をしている姿が印象的でした
自分の長所は、スピードを持って攻撃参加していくことが取り柄だと思っています。泥臭くても点に関わったり、守備の部分の一対一の強さだったり、そこは負けたくないです。意識の部分でも質の部分でも上げていきたいなと思います。
――失点シーンを振り返っていかがでしょうか
自分たちから苦しくなって失点するというのは本当に避けたいですし、無失点で抑えたいと思うので、1つ1つのパスであったり、集中力の切れであったり、そこを直していかないといけないと思いました。
――本日の中田選手の得点は、公式戦初ゴールでした
練習試合では得点を入れたりしていたのですが、公式戦で得点を入れることができたのは素直に嬉しかったです。ですが、勝てたわけではないので、もっと内容にもこだわって、結果を出していきたいです。
――試合後はみなさんでどのようなことを話し合っていたのですか
話し合っていたことは、ディフェンスラインでボールを回しているときも、ビルドアップの部分でボランチがディフェンスラインとの関わりというか、パス交換はできていて、ボランチへの縦へのパスであったり、一個飛ばしでのパスがなかったので、そこの部分でまだ改善できる点があります。パスや関わり、攻守の切り替えの部分も意識すればできると思うので、もっともっと練習で厳しくやっていきたいなと思いました。
――インカレに向けて意気込みをお願いします
ア女の目標である『日本一』というのは、チーム全体で意識してやっていると思うので、もっともっとお互いが高め合っていかなければいけないです。本当に『日本一』を取りたいので、4年生のためにも、出場するからには泥臭く走って点を取って無失点で、というスタイルは変えず、やっていきたいなと思います。