打ち合いの末、課題と手応えの痛み分け

ア式蹴球女子

 関東大学女子リーグ戦(関カレ)第7節は、早大と勝ち点3の差で3位につける武蔵丘女子短大を、東伏見に迎えての一戦となった。両チームが積極的な姿勢を見せた試合は、序盤から打ち合いの様相。互いに1点ずつを奪って迎えた後半、早大は2度のビハインドを背負う苦しい展開に追い込まれたが、逆境を跳ね返して引き分けに持ち込んだ。

MF大井美波(スポ2=大阪・大商学園)のゴールでなんとか引き分けに持ち込んだ

 最後方からのつなぎでビルドアップを図る早大に対し、高い位置から積極的にプレスをかけ、速攻を狙う武蔵丘女子短大。立ち上がりは、慌ただしく攻守が入れ替わる展開となる。先手を取ったのは相手の勢いにやや圧倒され気味だった早大。12分、FW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)の落としをエリア手前でMF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)が受けると、左足でコントロールショットを放つ。これが鮮やかにゴール右隅へと決まり、先制に成功した。ところが、喜びも束の間。16分、最終ラインでのつなぎの中で生まれたミスを突かれ、あっさりと同点ゴールを許してしまう。20分を過ぎてからは、ややペースを落とした武蔵丘女子短大に対し、早大が主導権を握った。ただ、23分のCKで、DF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)のヘディングシュートが枠を外れると、それ以降はボールを保持しながらもなかなか決定機をつくれない。「攻撃をするときに人数をかけることができなかった」(中村)。もどかしい展開の中、40分には相手に決定機。ここはGK木付優衣(スポ2=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)のセーブでしのいだものの、後味が悪いまま前半を1-1で終えた。

MF園田瑞貴を起点とする相手に公式戦最多失点を喫した

 後半も立ち上がりは相手のペース。早大は、49分にポスト直撃のミドルシュートを浴びると、51分にもコンビネーションを交えた速攻でフィニッシュに持ち込まれる。起点になろうとする武蔵丘女子短大のMF園田瑞貴をつかまえられず、苦戦を強いられた。「(相手の変化に)試合の中で修正しきれなかった」(三浦)。66分に中盤でルーズボールを拾われ、その流れから失点を喫して追う展開になると、ここから試合は激しく動いた。直後の69分、左サイドの大井のパスから決定機。中央でボールを受けたMF平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)のシュートはGKに阻まれるが、こぼれ球を河野が詰めて同点とする。逆転の機運が高まった75分、一瞬の隙から30メートルを超えるロングシュートを沈められ、再びビハインドを背負ってしまうが、それでもすぐさま反撃。その4分後、FW山田仁衣奈(スポ1=大阪・大商学園)の落としから大井がエリア内で抜け出すと、豪快な左足シュートでGKとの1対1を制し、試合を再び振り出しに戻した。その後は両者ともに決定機を作ったが、スコアは動かず。勝ち点1を分け合うこととなった。

 今季初めて、公式戦での複数失点をしてしまった早大。「今まで甘かったところがこの試合で露呈してしまった」(三浦)。一発勝負となる皇后杯の初戦を1週間後に控える中で、守備面で不安の残る内容となってしまった。だが一方で、先週の神奈川大戦(〇4-1)に続いて、難敵から複数得点を奪うことに成功しており、攻撃面で結果が出ていることは自信となっているはず。とりわけ、ビハインドの状況で発揮された粘り強さは、負けたら終わりのトーナメント戦に向けて好材料といえるだろう。「きょう出た課題を練習で伸ばして、ア女らしいサッカーができたらいい」(中村)。自らのスタイルを貫き、一戦必勝の構えでプロチームに挑む。

(記事 守屋郁宏、写真 新庄佳恵)

スターティングメンバー

関東大学女子リーグ第7節
早大 1-1
2-2
武蔵丘女子短大
【得点者】(早)12中村、69河野、79大井(武)16・66園田、75八浪
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 木付優衣 スポ2 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 32 中田有紀 スポ1 兵庫・日ノ本学園
DF 奥川千沙 スポ3 静岡・藤枝順心

DF 渡部那月 社2 兵庫・日ノ本学園
MF 中井仁美 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF →79分 高瀬はな スポ1 ジェフ千葉レディースユース
DF 松原有紗 スポ3 大阪・大商学園
MF →80分 阿部由希子 スポ2 宮城・聖和学園
FW 平國瑞希 スポ3 宮城・常盤木学園
MF ◎10 中村みづき スポ3 浦和レッズレディース
MF 22 熊谷汐華 スポ2 東京・十文字
MF →HT 大井美波 社2 大阪・大商学園
FW 河野朱里 スポ2 静岡・藤枝順心
FW →69分 山田仁衣奈 スポ2 大阪・大商学園
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)

――ドローとなった本日の試合を振り返っていかがですか

前半後半共に、立ち上がりはしっかり入ろうということだったのですが、テンポが緩くなったりして相手にリズムをもたれてしまった部分がありました。そこは良くなかったと思いますが、決められた後にすぐ点を取り返したというのは良かったと思います。

――足元の技術が優れている選手が多い相手の印象はいかがでしたか

7番の選手を中心として足元の技術がある選手が多いので、不用意には飛び込めない雰囲気がありました。そこでダラダラとしてしまった守備になってしまって、シュートをされてしまったりしました。足元のうまい選手に対してどういった守備をしていくのかというのは一人ひとりの課題だと思います。

――3失点という数字に対してはどう受け止めていますか

先ほど、足元のうまい選手に対する守備についてお話ししましたが、そういうところで強くいけなかったり、長く相手にボールを持たせてしまいました。そこからゴールに持っていかれたりしてしまって、相手のシュートがうまかったということもあって失点につながってしまったと思います。

――今節の反省点は具体的に何でしょうか

こっちが攻撃をするときに人数をかけることができなかったのは前半後半一緒なのですが、前半は割と少ないパスで回せていました。しかし後半は急いでしまって、パスでの関わりが減ってしまったというのがあります。あと守備の部分で、どこでしっかり守るのかが曖昧になってしまったところもありました。点を取り切れるところでしっかり取っていきたいです。

――来週から始まる皇后杯に向けて意気込みをお願いします

皇后杯はトーナメントなので絶対に勝たないといけないということで、ア女はPKが多いのですが、しっかり試合で勝ち切りたいです。あとはきょう出た課題を練習で伸ばして、ア女らしいサッカーができたらいいと思います。

DF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)

――攻守の入れ替わりの激しい試合でした

そこで相手の方が上回っていたのかなと思います。

――相手は素早い攻めに良さを持っているチームでしたが、気をつけていたことは

足元がうまいこともわかっていましたし、自分は最終ラインの選手なので、一発でかわされないように、しっかり粘り強く対応しようっていうのは心がけてやっていました。

――そんな中で失点を重ねてしまったことをどう捉えていますか

今シーズンは失点が少ないまま来ていたんですけど、今まで甘かったところっていうのがこの試合で露呈してしまったかなという風に思っていて、改善していきたいと思います。

――球際や前に出る守備では良さも出ていたように思います

前半は潰せたっていうのはあったんですけど、(後半は)たぶん相手も修正してきていて、自分たちが試合の中で修正しきれなかったっていうのが大きいのかなって思います。

――ボール回しの部分で気を遣ったことはありますか

相手がしっかり前からかけてくるっていうのは試合前からわかっていたので、その中で自分たちがタッチ数少なく回していこうっていうのは思っていました。

――来週は皇后杯を戦うことになります。意気込みをお願いします

一発勝負の大会で、強い相手とできるってのは楽しみですし、こうしてきょう引き分けてしまったっていうのもしっかり改善して、一戦一戦しっかり戦っていきたいと思います。