課題は残すも河野の一撃で開幕2連勝を飾る

ア式蹴球女子

 関東大学女子リーグ戦(関カレ)開幕戦から早3日、ホームで第2節が行われた。対するは大東大。「向こうは打倒ワセダで強い気持ちでやってくる中で、自分たちは迎え撃つような姿勢で試合に臨んでしまった部分があります」とFW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)が言うように、前半は相手に対し単調な攻撃となってしまい、何度も訪れたチャンスを生かせない。しかし後半開始直後の48分、FW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)の落としから河野がダイレクトで押し込み先制に成功。これが決勝点となり、開幕戦に引き続き第2節も白星となった。

河野がダイレクトで押し込み先制に成功

 この日最初のチャンスは開始1分に訪れた。MF柳澤紗希(スポ2=浦和レッズレディースユース)のFKをDF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)がヘディングで合わせるが惜しくもバーに阻まれてしまう。その後も立て続けにCKを得るなどチャンスをつくるが、生かすことができない。19分には右サイドを抜け出した平國が強烈なシュートを放つが相手GKにパンチングされ、そのこぼれ球をFW大井美波(スポ2=大阪・大商学園)がダイレクトで詰めるがこれも枠を捉え切れない。何度も惜しい場面が続き、選手たちの顔には悔しい表情が浮かび上がんだまま前半を折り返す。

U18日本代表に選出されたFW山田仁衣奈(スポ1=大阪・大商学園)が後半1トップを務めた

 気合を入れ直して挑んだ後半の立ち上がりの48分。相手ゴール前で混戦となったところに向かってサイドから駆け上がった河野が、平國からの落としをダイレクトで確実に合わせた。「(平國)瑞希ちゃんが打とうとしたのですが、そこを呼び止めて自分に落としてもらったので、決めないといけないなという思いで振り抜いたのがあのゴールでした」(河野)と、うまくコースを狙ったゴールで念願の先制点を獲得。その後は余裕を持ったプレーで早大が試合をコントロールしていく。終盤こそカウンターを狙われるなど危ない場面もあったが、この夏でさらに磨かれた全員守備で最後までゴールを守り切り、1-0で試合終了となった。

 開幕2連勝となったものの、関東女子リーグ戦で見せたような快勝とはならない早大。「まだ試合内容としては不満が残っています。勝っているけれども、ポゼッションでつなぐサッカーだけではいけないし、戦術的な判断が遅いです」と、福島廣樹監督(昭45教卒)は課題を挙げる。河野も、「もう少し緩急を付けて相手を突き放す動きやパスを正確に出せるような技術を付けないといけない」と語った。今後待ち受けるより高いレベルの戦いで勝つためには、一戦一戦で課題を明確にし、共通認識を高めていくことだが大切だ。次節の東洋大戦も中日が少ない中行われるが、常にチャレンジャーであるという気持ちを忘れずに、今節に続き勝利を収めてほしい。

(記事、写真 新庄佳恵)

スターティングメンバー

関東大学女子リーグ第2節
早大 0-0
1-0
大東大
【得点者】(早)48河野
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 木付優衣 スポ2 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 渡部那月 社2 兵庫・日ノ本学園
DF 奥川千沙 スポ3 静岡・藤枝順心
DF 三浦紗津紀 スポ2 浦和レッズレディースユース
DF 32 中田有紀 スポ1 兵庫・日ノ本学園
MF 柳澤紗希 スポ2 浦和レッズレディースユース
FW →HT 山田仁衣奈 スポ1 大阪・大商学園
MF 中井仁美 スポ3 兵庫・日ノ本学園
FW 平國瑞希 スポ3 宮城・常盤木学園
MF →63分 宮沢里彩 スポ4 FC岐阜BELTA
MF ◎10 中村みづき スポ3 浦和レッズレディース
FW →79分 阿部由希子 スポ2 宮城・聖和学園
FW 26 大井美波 社2 大阪・大商学園
FW 河野朱里 スポ2 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒)
コメント

福島廣樹監督(昭45教卒)

――開幕戦、第2節共に白星となりました。選手の戦いぶりは監督から見ていかがでしょうか

まだ試合内容としては不満が残っています。勝っているけども、やろうとしていることに関して言えば、ポゼッションでつなぐサッカーだけではいけないし、戦術的な判断が遅いです。例えば相手が足元ではなく裏だけを狙ってくる場合でも、自分たちは足元でも技術でも相手を上回らないといけません。開幕戦もきょうもそうでしたが、一生懸命ディフェンスをしても、足元ばかりにとらわれていたらだめであると選手には話しているのですが、なかなか実践できていないのでそこが不満点ですね。

――開幕戦、今節共に1得点ですが、もう少し点を取りたいというところでしょうか

そうですね。前半チャンスがあったのにそれが入らなかった。開幕戦も相当チャンスがあったのに点が入らなかった。そこを決めていればもっと楽な我々のサッカーができるのですが、相手として見れば「守ればなんとかなるかな」という気持ちにさせてしまうと思います。本当はそこをしっかりしたかったです。

――この夏はどの点に強化を図っていたのでしょうか

後ろからだけではなくて、前からの守備。それに対してディフェンスも一緒に反応をして全員で守備をしていくことです。そうすることによって、相手の高いディフェンスラインのところでカットできればシュートの攻撃をするということを、共通認識を高めていきました。

――開幕戦と今節は日本代表に呼ばれている中村選手と河野選手が得点を決めました

やっぱり選ばれると刺激になって、自分のことだけでなく余裕を持ったプレーができるので、もっともっとたくさん送り込んでいきたいと思っています。今度は山田仁衣奈がU-18に選ばれていますので、また一人レベルアップして帰ってくればいいなと思っています。

――後半は河野選手に代わって山田仁選手がトップを務めていました

山田仁衣奈をトップにして、(河野)朱里とは違うパフォーマンスを持っていますので、そこで収めてもらいました。少しでも経験させて誰が出ても遜色ないようなことにしたいと思っています。

――皇后杯関東予選の初戦の相手は神大となりました。初戦から厳しい戦いが予想されると思います

厳しい戦いになると思います。神大にはU-23が二人選ばれていますので、お互いに高いレベルでのサッカーとなりますが負けたくないです。神大もワセダには負けたくないと思っていますし、みんながそういう気持ちで戦う試合になると思います。

FW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)

――きょうの試合を振り返っていかがでしょうか

向こうは打倒ワセダで強い気持ちでやってくる中で、自分たちは迎え撃つような姿勢で試合に臨んでしまった部分があります。もう少し、自分たちが挑戦者という気持ちを忘れないで臨まないといけないなと思わされた試合でした。

――前半はなかなかチャンスを活かすことができませんでした

前半は自分たちのディフェンスラインでボールを回していたんですけど、横からスイッチとなるパスがなくて、みんなダラダラと動くだけになってしまったので、もう少し緩急を付けて相手を突き放す動きやパスを正確に出せるような技術を付けないといけないなと思います。

――後半開始直後、平國選手の落としからダイレクトで得点を決めました

サイドから上がってきて、混戦の中で(平國)瑞希ちゃんが打とうとしたのですが、そこを呼び止めて自分に落としてもらったので、決めないといけないなという思いで振り抜いたのがあのゴールでした。うまくコースを狙えたので良かったと思います。

――得点を決めた後はよりプレーに余裕が生まれていたと思います

得点を決めるといつもいい流れになるのできょうもそうでした。最後の方に相手のペースに少し飲まれてしまったので、どんなアクシデントが起ころうと、自分たちは平常心を保てるようなメンタルを強化しないといけないと思っています。

――次節の東洋大戦に向けて意気込みをお願いします

相手はきょうと同じような姿勢で臨んでくると思うので、自分たちがもっと最初からチャレンジャーの気持ちを持って試合に臨めるようにしたいです。中日は少ないですが、ちゃんと調節をしていきます。