関東女子リーグ戦(関東リーグ)後期第3節が行われ、首位に君臨する早大は関東学園大と対戦した。開始6分、FW大井美波(社2=大阪・大商学園)のヘディングシュートで先制に成功すると、36分にはFW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)のミドルシュートが決まり追加点を奪取。後半も優位に試合を進め、56分にはFW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)からの折り返しを受けた平國がこの日2ゴール目を決め、リードをさらに広げる。83分には、途中出場のMF柳澤紗希(スポ2=浦和レッズレディースユース)がとどめの一発を叩き込み、圧巻のゴールショーを締めくくった。最終スコアは4-0。攻守に格の違いを見せつけ、快勝を収めた。
ヘディングで先制ゴールを決めた大井
ここまでリーグ戦9試合を消化し8勝1分けと、圧倒的な成績で首位を独走する早大。この日も軽快なパスワークと素早いチェックで主導権を掌握すると、6分には幸先良く先制点を獲得した。左サイドでMF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)がタメをつくり、追い越してきた平國にスルーパス。その平國からのクロスを、相手DFとの競り合いを制した大井が頭で合わせ、ゴール右に押し込んだ。さらに36分、CKの混戦からルーズボールになると、これに反応した平國が右足を一閃(いっせん)。抑えのきいた見事なボレーシュートが決まり、貴重な追加点を奪い取った。
この日2ゴール1アシストと躍動した平國
2−0で迎えた後半。50分に高い位置でボールを奪われピンチを迎えたが、ここはDF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)がさすがのカバーリングを見せ、難を逃れた。するとその6分後、またしても『背番号9』がチームに追加点をもたらす。中村の絶妙なスルーパスに抜け出した河野が左サイドをドリブルで駆け上がり、グラウンダーのクロスを供給。相手DFを背負いながら受けた平國が、巧みなキープからシュートに持ち込み、リードを3点に広げた。その後も攻撃の手を緩めない早大は、立て続けにチャンスを演出。83分には、ボックス内でこぼれ球を拾った柳澤が華麗なキックフェイントで相手をかわし、最後は強烈なシュートをゴール左隅に突き刺した。終始ゲームを支配した早大が4−0で貫禄の圧勝。前人未到のリーグ戦8連覇へ、また一歩前進した。
まさに向かうところ敵なしだ。今季未だに無敗の早大は、河野、中村、FW熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)らを中心とした攻撃陣に加え、三浦、DF奥川千沙(スポ3=静岡・藤枝順心)らが統率する守備陣も抜群の安定感を誇る。選手層も厚く、よほどのことがない限り大崩れすることはないだろう。しかし、その分求められるものも大きい。もちろん、選手たちもそのことは自覚している。この日ゲームキャプテンを務めた中村は試合後、「まだまだこれから」と気を引き締め直し、こう続けた。「(昨年優勝できなかった)皇后杯(皇后杯全日本女子選手権)も含めた全大会で優勝して、『真の日本一』になることが目標です」。四冠を達成した昨季のチームを超えるためには『五冠』を達成するしかない。過去の自分を超えるため——。まずはしっかりと一つ目のタイトルを獲得し、さらに勢いに乗りたいところだ。
(記事 栗村智弘、写真 梶井夏葉、守屋郁宏)
スターティングメンバー
後期関東女子リーグ戦第3節 | ||||
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早大 | 4 | 2-0 2-0 |
0 | 関東学園大 |
【得点者】(早)6大井、36・56平國、83柳澤 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 木付優衣 | スポ2 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 2 | 渡部那月 | 社2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 32 | 中田有紀 | スポ1 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 8 | 中井仁美 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →76分 | 高瀬はな | スポ1 | ジェフ千葉レディースユース |
MF | ◎10 | 中村みづき | スポ3 | 浦和レッズレディース |
MF | →81分 | 山田彩未 | スポ2 | ジェフ千葉レディースユース |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ2 | 静岡・藤枝順心 |
FW | →67分 | 山田仁衣奈 | スポ1 | 大阪・大商学園 |
FW | 9 | 平國瑞希 | スポ3 | 宮城・常盤木学園 |
FW | 22 | 熊谷汐華 | スポ2 | 東京・十文字 |
FW | 26 | 大井美波 | 社2 | 大阪・大商学園 |
MF | →62分 | 柳澤紗希 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒) |
関東女子リーグ戦1部順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 早稲田大学 | 28 | 10 | 9 | 1 | 0 | 26 | 2 | +24 |
2 | 日テレ・メニーナ | 17 | 10 | 5 | 2 | 3 | 24 | 12 | +12 |
3 | 浦和レッズレディースユース | 17 | 10 | 5 | 2 | 3 | 17 | 11 | +6 |
4 | ジェフ市原・千葉レディースU-18 | 16 | 10 | 5 | 1 | 4 | 13 | 12 | +1 |
5 | 東京国際大学 | 14 | 10 | 4 | 2 | 4 | 9 | 15 | -6 |
6 | 関東学園大学 | 10 | 10 | 3 | 1 | 6 | 12 | 24 | -12 |
7 | 筑波大学 | 8 | 10 | 2 | 2 | 6 | 8 | 1 | -7 |
8 | 慶大 | 3 | 10 | 0 | 3 | 7 | 3 | 21 | -18 |
※後期第3節終了時点暫定 |
コメント
MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)
――きょうのご自身のプレーに関してはいかがでしょうか
何度か決定機をつくることはできたと思うんですけど、自分がボールを失ってしまったり、中で待っている選手にうまく合わせられなかったり、相手のゴール近くまで運べても、そこで効果的なパスやシュートをすることができなかったなと思います。シャドウなので組み立てに関してもそうですけど、もっと攻撃面でいいプレーができるようにしていきたいです。
――とはいえ、出場時間内に決まった3得点全てで起点となりましたね
自分がタメをつくることができて、それで周りの選手がサポートに来てくれたので、うまくチャンスにつなげることができたなと思います。ワセダの選手は一人一人のスキルが高いので、逆サイドの選手も含めて一人でも多くの選手が絡むことができれば、その分厚みのあるいい攻撃ができますし、自分自身もチャンスの場面でもっと関与していけるようにしたいと思います。
――今季から『背番号10』を背負ってプレーされていますが、中村選手ご自身はどういったプレーが求められていると感じますか
『10番』を背負っている以上は、もっと自分自身の得点を増やさなければいけないと思いますし、『10番』としてするべきプレーと、裏への飛び出しとか、そういう自分が得意とするプレーをうまく融合させていけるようにしていきたいです。
――今季はきょうのようにゲームキャプテンを務める試合もありますが、キャプテンマークを巻くことで気持ちに変化もあるのではないですか
そうですね、やっぱりより声は出していかなければという気持ちにはなります。もちろんキャプテンマークを巻いていないときもそうなんですけど、今がチームにとってどういう時間帯なのかとか、常に状況を察知してチームに伝えなければいけない立場にあると思っていて、これからもそういう発信をしっかりやっていけるように意識していきたいです。
――これでリーグ戦は9勝1分けとなりましたが、今季の強さの要因は何だと思いますか
スタッフの方とかからは、ことしのチームは奪われても前線からしっかりプレスをかけてリカバリーできるということは言ってもらえています。ただ自分自身としては、そこも含めてまだまだこれからというか、満足はしていないですね。きょうの試合でも危ない場面がありましたし、もちろんそういう際で体を張って防げるのは強みだとは思うのですが、より強い相手との試合では命取りになると思います。まだ夏前なので、ここからさらにチームとしての完成度を高めていきたいです。
――ここまで圧倒的だと逆に士気を保ったり、目標を追求し続けたりするのが難しいのではと思うのですが
自分たちの目標はやっぱり日本一で、それは大学日本一もそうなんですけど、きょねんベレーザ(日テレ・ベレーザ)に負けて(●0−5)優勝できなかった皇后杯(皇后杯全日本女子選手権)でも日本一になって、『真の日本一』になりたいというのがあります。それを見据えたとき、やっぱり今のままではまだまだだと思いますし、ベレーザレベルのチームには勝てないと思うので、もっと頑張っていかなければと思います。
――次戦は勝てば優勝が決まる試合になる可能性もありますが、どういった戦いを披露したいですか
東京国際大は、前回は大差で勝った相手ではあるんですけど、だからといって緩い気持ちで臨んでしまってはいい試合をすることはできないですし、相手もワセダに目の前で優勝させたくないという意地とか、そういう強い気持ちで臨んでくると思うので、難しいゲームになるだろうと思います。きょう出たいいプレーをしっかり継続して、勝てるように頑張っていきたいです。
FW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
きょうはまず仕掛けようという意識があって、最後に切り返さないでクロスで終わろうと思っていたので、最初のアシストで流れをつかめたのがよかったかなと思います。
――厳しい日程と暑さの中での試合だったと思うのですが
きょうもみんなで集中して、入りからしっかりアグレッシブに前から前から守備をしていこうと言っていたので、そこはちゃんとできたのかなと思います。
――きょうは2ゴール、1アシストということで、早慶サッカー定期戦(早慶サッカー)のときに挙げられていた課題も克服できたのではないですか
2得点とアシストできたのはよかったと思うんですけど、決めなきゃいけない1対1で決めきれなかったので、そこに関してはまだ課題があると思います。
――アシストの場面を振り返っていかがですか
なかみ(MF中村みづき、 スポ3=浦和レッズレディースユース)がボールを持った瞬間に、おとりにもなれるし、クロスを上げられる位置にいて、それで自分に出してくれて。みなみ(FW大井美波、社2=大阪・大商学園)が見えて、うまく中に蹴れたのでよかったです。
――ご自身の1得点目を振り返っていかがですか
1得点目はコーナーのこぼれからで、いつも仁美(MF中井、スポ3=兵庫・日ノ本学園)とこぼれを狙ってるんですけど、そこで絶対決めようって言ってて、実際に決め切れたのでよかったと思います。
――2得点目はいかがですか
2得点目は、朱里(FW河野、スポ2=静岡・藤枝順心)が中をえぐっていったので、とにかくニアに走っていこうと思って、それで相手が食いついてきたので、ターンしてシュートを打とうと思いました。
――決まっていればハットトリックというシーンもいくつかありましたが、その点についてはいかがでしょうか
そこがまだ自分の甘いところで、いつも3点目が決め切れないので、次はもっと貪欲にゴールを狙いにいって、決定機を逃さないようにしたいと思います。
――最後に次節に向けて、一言お願いします
次節もチームの勝利に貢献できるように、アシスト、ゴールを決めていきたいです。
FW大井美波(社2=大阪・大商学園)
――きょうの試合を振り返っていかがでしょうか
早い段階で先制点を取れて、流れがこっちに向いたのでよかったです。ですが、時間が経ってくると暑さなどの影響で緩い雰囲気になってしまったので、そこが改善点だと思います。
――確かに試合のテンポが遅い場面も見受けられました
受け手の動き出しが少なかったり、声も全体的に少なかったからだと思います。暑いのは全員同じなので、自分たちが相手よりも声を出したり動きを増やさないと、上のレベルでは勝てないと思います。
――前期で得点を許してしまった相手にどう戦っていこうと話し合っていたのでしょうか
前回の対戦では、相手のFWに抜け出されて失点しまって、きょうはしっかり相手についていこうと話し合っていました。
――きょうは大井選手の先制点でいい流れができたと思います。振り返っていかがでしょうか
いいボールが上がってきたので、自分のヘディングで決められてよかったです。今後もあのような場面で泥くさく決めていければと思います。
――関東リーグ後期に突入して、大井選手が得点に絡む場面が多く見受けられるようになりました。現在の調子はいかがですか
出させてもらっているので、だんだん味方と合うようになってきたりしています。要求したり要求されたりで課題はたくさんありますが、徐々に自分のしたいプレーができるようになってきていると思います。
――チームとしてはまだ今季無敗という状況です
最近スペースに抜け出す動きを練習でもやっているのですが、みんなの共通理解としてそういうプレーを増やしていけていると思います。みんな勝つだけではなくて、絶対に無失点で終わろうと話しています。誰かが引っ張らなければいけないのではなくて、みんなが自覚を持って引っ張っていかなければいけないという高い意識でプレーできていると思います。
――最後に次節に向けて意気込みをお願いします
次回の東京国際大戦も、きょうと同じ時間でホームで行われてとても暑くなるとは思いますが、相手よりも走って自分たちのサッカーができれば勝てると思います。
MF柳澤紗希(スポ2=浦和レッズレディースユース)
――きょうの試合を振り返って
きょうは暑い中でしたが、前期失点しているチームだし、絶対勝たなければいけないと思っていたので、チームとして勝てたこと、無失点で勝てたことがすごくよかったと思います。
――後半途中から出場機会が回ってきましたが、どのような指示を受けてピッチに入りましたか
きょうは全体的によかったんですけど、追加点を狙うように、もっとタッチ数を少なく、リズムよく展開していくっていうのを言われて入りました。
――試合終盤に追加点を決めました
前節の筑波大戦でPKを外してしまったので、きょうはどんなかたちでも点を入れようと思っていて、途中出場だからもうそこは絶対決めてやろうという気持ちでした。
――そのゴールシーンを振り返っていただけますか
仁衣奈(FW山田、スポ1=大阪・大商学園)が打つかなと思ったんですけど、そこは貪欲に(笑)。絶対決めてやると思って、自分で声かけて、思いっ切りシュートを打ちました。
――次節へ向けての意気込みをお願いします
夏場すごく暑くなってきたので、チームの総力戦になると思いますし、自分もどんなかたちでもまた得点を取れるように、あと次はスタメンで出られるように、また1週間調整していきたいと思います。