まさに執念の決勝点!筑波大に前期の雪辱を果たす

ア式蹴球女子

 数々のゴールショーで大勝した後期開幕戦(慶大戦、○5-0)から1週間。迎えた第2節は、前期で唯一勝ち切れなかった(第3節△0ー0)相手、筑波大との対戦だ。「筑波大に対しては、メンタルで前期に勝ち切れなかった」と福島廣樹監督(昭45教卒)が振り返る前期の筑波戦。今節こそ何としてでも勝つという強い気持ちを持ち、序盤から持ち味とする攻守のハードワークで積極的にゴールを狙った。終盤までゴールに結び付かない時間が続いたが、83分、ついに早大が先制。MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)のクロスから、FW河野朱里(スポ2=静岡・藤岡順心)がヘディングで押し込んだゴールが決勝点となり、1ー0で無失点勝利を収めた。

試合終盤の河野のヘディングシュートが決勝点となった

 前半の立ち上がり、早大は相手の激しいプレスでなかなかボールを回せず、いつものようにリズムをつかめない。25分にはDF渡部那月(社2=兵庫・日ノ本学園)がオーバーラップから精度の高いクロスボールを供給するが、FW大井美波(社2=大阪・大商学園)のヘディングは相手GKの好セーブに防がれてしまう。32分に放ったFW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)の鋭いシュートも、惜しくもゴールポストに直撃。37分に立て続けに得たCKのチャンスも、いずれも生かすことができなかった。しかし、決定機を生かせない時間帯が続く中でも献身的なDF陣の守備、そしてGK木付優衣(スポ2=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)の的確なボール処理で危険な場面はつくらせず。スコアレスで前半を折り返した。

PKを獲得したMF柳澤紗希(スポ2=浦和レッズレディースユース)のシュートは、惜しくも相手GKにセーブされた

 後半開始早々、最初にチャンスをつくったのは早大。49分、中村が右サイドから駆け上がりシュートを放つ。惜しくもセーブされ、このこぼれ球を河野が詰めようとするがまたもや一歩届かず。61分にはFKを与えてしまうが、クロスボールを押し込まれたシュートはオフサイドの判定に。ピンチを逃れた早大はその後も攻撃の手を緩めず、果敢にゴールへ向かった。何度もシュートを放つが、どうしても欲しい1点が遠い。両者が何度もチャンスをつくりながらも続く一進一退の攻防。そんな中83分、中村の右サイドからのクロスに河野が頭で合わせたボールがゴールにねじ込まれ待望の先制点を獲得した。またもやスコアレスで終えるのかと思った終盤、最後の最後で早大が均衡を破った。85分には柳澤がPKを得るも、中央に蹴ったボールはGKに阻まれゴールはならず。追加点を得られないまま1-0で試合終了となった。

 炎天下の中とはいえども労を惜しまないハードワーク、そして勝利への思いの強さが功を奏した今節。筑波大を無失点で抑え、前期の雪辱を見事に果たした。「選手の取り組み、試合に対しての意気込みやメンタル面、一つも手を抜かないというのがことしの強さ」と福島監督が語るように、選手一人一人が決しておごらず、どこまでも高みを目指す姿勢が今季無敗という結果につながっているのだろう。この強みは、今後選手たちに待ち受けているよりハイレベルな戦いにも必ずや生かされるだろう。そしていよいよあした、年に一度のビッグイベントである早慶女子サッカー定期戦が等々力陸上競技場(等々力)で開催される。「定期戦ということで熱も違いますし、ケイオーには絶対に負けられない」(中村)。ここ2年はドローという悔しい結果を残しているが、ことしこそはエンジイレブンが決着をつけ、勝利の『紺碧の空』を等々力で響かせてみせる。

(記事、写真 新庄佳恵)

スターティングメンバー

後期関東女子リーグ戦第2節
早大 0-0
1-0
筑波大
【得点者】(早)83河野
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 木付優衣 スポ2 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
GK →90+3分 山田紅葉 スポ4 東京・十文字
DF 渡部那月 社2 兵庫・日ノ本学園
DF 奥川千沙 スポ3 静岡・藤枝順心
DF 三浦紗津紀 スポ2 浦和レッズレディースユース
DF 32 中田有紀 スポ1 兵庫・日ノ本学園
MF 中井仁美 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF ◎10 中村みづき スポ3 浦和レッズレディース
FW 河野朱里 スポ2 静岡・藤枝順心
FW 平國瑞希 スポ3 宮城・常盤木学園
MF →87分 安倍由希子 スポ2 宮城・聖和学園
FW 22 熊谷汐華 スポ2 東京・十文字
MF →57分 熊谷遥楓 スポ3 北海道大谷室蘭
FW 26 大井美波 社2 大阪・大商学園
MF →63分 柳澤紗希 スポ2 浦和レッズレディースユース
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒)
コメント

福島廣樹監督(昭45教卒

――本日の試合は福島監督から見ていかがでしたか

暑くなってきている中ですが、前期は筑波大に引き分けているのでどうしても勝ちたいと思っていました。結果として、高い評価をしていいと思っています。

――前期で引き分けた筑波大に対してどう戦っていくかについて、福島監督からはどんな指導をされたのでしょうか

特に筑波大だからというわけではないのですが、ハードワークをする、ショートカウンターを狙い、ア女のサイドの強さを生かす。そのようなサッカーをしようと話していました。筑波大に対しては、前期はメンタル面で勝ち切れなかったと思いますので、暑さに負けず、メンタル強化をしていくことについて話して試合に挑みました。

――残りの後期関東リーグでは、ア女としてどんな戦いをしていきたいですか

ハードワークをすることは、関東リーグだけでなく、関カレ(関東大学女子リーグ戦)、皇后杯、インカレ(全日本大学女子選手権)とつながってきますので、いまやっていることの精度を上げながら、強さを身に付けていきたいと思っています。

――これまで無敗ということで、チームとしてとても良い雰囲気でここまできていると思います

きょねんは関東リーグで4敗しているのですが、ことしはまだ無敗です。きょねんと比べて強さという点ではさほど変わりはないと思いますが、選手の取り組み、試合に対しての意気込みやメンタル面、一つも手を抜かないというのがことしの強さかなと思っています。

――最後に7月6日に控える早慶女子定期戦に向けて意気込みをお願いします

過去の早慶戦では実力的に上回っているとは思うのですが、2回連続引き分けということで、慶大は早慶戦の際は常にワセダに対抗心があります。慶大も非常にいいパフォーマンスをすると思いますが、負けません。関東リーグ前節の慶大戦では大勝していますけど、おごらずに、しっかりと真摯に受け止めてやっていきたいと思っています。

中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

筑波大は前期0-0だったので、絶対に勝って終わらなければいけないという目標でした。相手はカウンター狙いや、引き分け狙いのプレーが多かったので、そういう中でどういうプレーをすればいいのかを考えていたのですが、最初は結構みんな同じペースでボールを回していて、相手に回されている感じになってしまいました。後半はリズムを変えられるプレーが増えてきたので、それが点につながったと思いますし、ボールもよく回せるようになったと思います。

――筑波大に対してどう戦っていこうと試合前に話し合っていたのでしょうか

今回のメンバー、フォーメーションですとサイド攻撃ができるということだったので、サイドを使うことと、後ろのパス回しはタッチを少なく回すことを意識していました。

――先制点まで中村選手の惜しい場面が何度かありました

そうですね。個人的には前の選手なので点を決めなければいけなくて、そういうシーンもあったのですが決められなかったのは課題です。でも相手に攻め込まれる場面は、DFが頑張ってくれて、危ない場面もありましたが自分たちのGKまでいくことはなかったのでそこはすごく良かったかなと思います。

――中村選手のクロスから、河野選手のヘディングシュートで終盤にやっと先制できましたね

あの時間帯はどうしても点が欲しかったので、クロス、シュートといったやりきる攻撃とプレーを心がけていたのであのタイミングで自分が上げることができて、(河野)朱里もいいところにいて決めてくれたので良かったと思います。

――今試合の内容もチームにとって自信の付く内容だったと思います

そうですね。後期が始まてまだ2節ですが、しっかり無失点で勝ち切れたので、これを糧に今後も無失点のまま得点を積めるように頑張っていきます。

――最後に7月6日に控える早慶女子定期戦に向けて意気込みをお願いします

早慶戦は前節で大勝しましたが、定期戦ということで熱も違いますし、ケイオーということで絶対に負けられない相手だと思うので、個人としてもチームとしても勝ち切れるように頑張ります。