関東大学女子リーグ戦(関カレ)は第8節が行われ、逆転優勝を狙う早大はホーム・東伏見グラウンドで順大と対戦。試合開始から守りを固めてくる相手に対し、早大は圧倒的なポゼッションで攻め立てが、ゴールの遠い時間帯が続く。しかし迎えた71分、MF安部由希子(スポ1=宮城・聖和学園)が蹴ったCKをDF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)がヘディングで押し込み、ついに均衡を破った。その後も追加点を奪うべく、果敢に相手ゴールに迫る早大だったが、86分にセットプレーからまさかの失点を喫してしまう。試合は1−1のまま終了。頂点を目指すチームにとって、痛すぎる結果となってしまった。
「勝って日体大との直接対決に臨みたい」(MF山本摩也副将、スポ4=スフィーダ世田谷)と意気込み迎えた順大との一戦。この日も前半から高いボール保持率を維持し、相手守備陣のほころびを探る。21分、MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)のヒールパスをMF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)が折り返し、最後はMF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)がボックス手前でシュート。これは相手にブロックされたが、早大らしい崩しを見せた。26分には、右からのクロスをボックス内で受けた山本が、巧みな胸トラップからシュートへ持ち込む。だがゴール上にふかしてしまい、得点を奪えない。結局スコアの動かないまま前半を折り返し、勝負の行方は後半へと持ち越された。
右サイドから積極的に攻撃を仕掛けるDF大島瑞稀(社4=宮城・常盤木学園)
エンド変わって後半。是が非でも先制したい早大は57分、中村の右サイドからのアーリークロスに途中出場のFW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)がファーで飛び込むもわずかに合わない。さらに69分、左からのクロスを山本が見事な反転からシュートを打つも、相手GKにセーブされた。決めきれない嫌な時間帯が続いたが、その3分後、三浦がチームに待望の先制点をもたらした。安部の蹴った右CKはGKの頭上を越えファーサイドへ流れると、「感覚でファーに入った」(三浦)と振り返る見事なヘディングシュートを沈めた。リードを奪った早大は、相手の息の根を止めるべく、積極的に追加点を狙う。しかし86分、相手左サイドからのFKのこぼれ球を混戦の中で押し込まれ、よもやの失点。残されたわずかな時間、ラインを一気に押し上げ反撃に出たが、わずかに及ばず。勝ち点2を取りこぼす結果となってしまった。
下を向いている時間などない。優勝するには「勝利」、ただそれだけだ
「最後の場面で集中しきれなかった」(DF大島瑞稀、社4=宮城・常盤木学園)。ピッチを後にする選手たちの表情からは、隠しきれない悔しさがにじみ出ていた。だが下を向いてはいられない。次節は昨季全日本大学女子選手権王者・日体大との決戦だ。「結果は変えられないので、チーム一丸となって頑張る」(安部)。この悔しさをバネに、次節は必ずや勝利をつかんでくれるはずだ。
(記事 栗村智弘、写真 渡部歩美)
スターティングメンバー
結果
関東大学女子リーグ戦第8節 | ||||
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早大 | 1 | 0-0 1-1 |
1 | 順大 |
【得点者】(早)69三浦(順)86嶋田 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 山田紅葉 | スポ3 | 東京・十文字 |
DF | 4 | 大島瑞稀 | 社4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 5 | 松原有沙 | スポ2 | 大阪・大商学園 |
DF | 34 | 三浦紗津紀 | スポ1 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 24 | 渡部那月 | 社1 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 7 | 高木ひかり | スポ4 | 静岡・常葉学園橘 |
MF | 8◎ | 山本摩也 | スポ4 | スフィーダ世田谷 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 15 | 中村みづき | スポ2 | 浦和レッズレディース |
MF | →65分 | 安部由希子 | スポ1 | 宮城・聖和学園 |
FW | 11 | 川原奈央 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →81分 | 熊谷汐華 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 12 | 中井仁美 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →49分 | 河野朱里 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)
――率直ないまのお気持ちは
もったいないの一言です。
――きょうの試合はいかがでしたか
特に前半は悪い流れではなかったのですが、点が奪えないというところだけが課題で、ほんとにそこだけだったと思います。後半もボールを動かせていましたし、シュートまで行く場面も多かったので、全体的に内容の悪いゲームではなかったと思います。ただ、ああいったかたちで失点をしてしまって、あのFKを与える前のプレーも良くなかったですし、あの失点が本当に余計だったなと思います。
――前半に福島廣樹監督(昭45教卒)から直接指示を受ける場面がありましたが、どういった指示を受けましたか
人が入れ替わりながらゲームをつくっていくという部分で、流動的に動くようにという指示を受けました。
――引き分けてしまった原因は何だと思いますか
単純に追加点が奪えなくて、相手の気持ちを折れなかったということもありますし、切り取って考えてみれば失点したシーンだけが悪かったという話かもしれませんが、やはり追加点を取れなかったことが、最後自分たちで苦しくしてしまったというか、引き分けに持ち込まれてしまった原因だと思います。
――試合後涙を見せる選手もいましたが、やはりこの結果は悔しいですか
そうですね。日体大が前の試合で負けたことで、自力優勝の可能性が大きくなった中での試合でしたし、きょう勝ってその勢いで来週の直接対決に臨みたかったので、ホーム最終戦ということを考えても悔しいですね。ただ、自分は結果は結果だと思っているので、これで終わったわけではないですし、優勝の可能性もありますし、最後まで諦めずにやっていけば、必ず最後はいい結果になると信じて頑張りたいと思います。
――次節日体大戦への意気込みをお願いします
きょねんホームで負けて、すごく悔しい思いをした相手ですし、特別に意識してないと言えば嘘になりますけど、やはり日体大に勝ってこそ、インカレ(全日本大学女子選手権)や皇后杯(皇后杯全日本女子選手権)に向けてやっていけると思うので、本当に勝つこともそうですし、今までの思いも全部ぶつけて、勝って終わって次の大会に臨みたいです。戦術どうこうよりも、気持ちでぶつかっていきたいと思います。
DF大島瑞稀(社4=宮城・常盤木学園)
――引き分けという結果に終わりましたがいまのお気持ちをお願いします
前節で日体大が負けたことによって、自力優勝の可能性が見えてきました。きょうは本当に落としてはいけない試合だった中で、勝ち点1しか取れなかったことは残念です。課題が残る試合となりました。
――課題というのはどういったものですか
今節は、サイドから攻撃していってクロスを上げて攻めようと話し合っていました。そこで決め切れなかったことと、クロスの質や、試合の入り方もまだまだなところがありました。最後の場面も集中しきれなくて決められてしまったところが課題だと思います。
――前半は、右サイドからの展開が多く見られましたが大島選手はどのようなプレーを意識していましたか
クロスを上げ切ることを頭に入れていたのですが、そのことに意識しすぎてしまって、中に入るだけになってしまったり、最後に崩しきるということがあまりできていなかったと思うので、サイドでも人数をかけて崩しきるということをもう少ししたかったなと思います。
――相手は引いてきたという印象でしたが、チーム内ではどのような声かけをしていましたか
結構、高木(MF高木ひかり、スポ4=静岡・常葉学園橘)のところにマンマークが付いていて前半は高木をうまく使えなかったということもあって、周りから攻めるということを全員が意識していたと思います。しかし、攻撃のパターンが同じになってしまって、相手に慣れられてしまったというのがあります。
――同じ攻撃パターンになってしまった時に結果が残せない、という反省が多く挙げられていますがこれからのシーズンどのように克服していきたいですか
後半は、タッチ数とかも少なくなってリズムを変えた攻撃によって崩し始めたり、選手を入れ替えながらどんどん崩していけたと思うのでそれを続けるということと、そのバリエーションを試合の前半から出来るようにしていきたいです。
――最終節は日体大戦となりますが意気込みをお願いします
昨年は日体大戦で自分たちのサッカーができずに終わってしまいました。リベンジという気持ちを持って絶対に勝って終わりたいです。
DF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)
――悔しい引き分けとなってしまいました。今のお気持ちはいかがですか
あと一歩のところまでいけたのに、集中力が欠けてしまったのかなと思ってすごく悔しいです。
――きょうの試合を全体的に振り返ってみていかがですか
風が強い中で、自分もチームとしても思うようなプレーができなくて、すごく難しかったんですけどなんとか一点を取って守りきりたかったです。最後の詰めが甘かったのだと思います。
――具体的な敗因とは
やはり集中力や気持ちの強さがあと一歩足りなかったと思います。
――前半は高いボールの支配率を保っていながらもなかなか点には結びつきませんでしたね
シュートは前節と比べたら打とうという意識は感じられましたが、精度の部分が足りていないと思います。タッチ数を少なくやろうという戦術があった中で、何度か多くなってしまう場面もあったので、もっとそこを意識すればいい攻撃になれたのかなと思います。
――後半の先制点のシーンを振り返ってみていかがですか
後半は入る前にキッカーの摩也さん(MF山本摩也副将=スポ4=スフィーダ世田谷)とニアに入っていこうと共有していたのですが、感覚でバーに入ったら由希子(MF安倍由希子、スポ1=宮城・聖和学園)が蹴ってくれたので、折り返しでシュートをしたら入ったので良かったです。
――最終節に向けて意気込みをお願いします
なんといってもあと1戦で、優勝かどうかも決まってしまうので、気持ちの面と意識の共有をしてしっかりみんな一丸となって頑張っていきたいです。アウェイで難しい戦いになるのはわかっているので、チーム一丸となることが大事だと思うので、そういうところをしっかりとやって絶対に勝ちたいと思います。
MF安部由希子(スポ1=宮城・聖和学園)
――引き分けという結果に終わりましたが、試合を振り返っていかがですか
自分自身久しぶりの公式戦だったので、同点の展開で勝たないと優勝がない中で、緊張もあったのですが思いっ切りプレーしてチームに貢献しようと思って臨みました。
――久しぶりの公式戦となりましたが、その中で何か意識していたプレーはありましたか
自分は、仲間のチャンスをつくることが得意なので、CKであったりスルーパスであったりサイドチェンジであったりを意識しました。
――交代出場の選手が成績を残すことで、ワセダの攻撃力の層の厚さを感じさせますね
交代した選手が活躍して勝利していくシーンをずっとベンチから見ていたので、自分も途中交代があったら同じように結果を残すという良いイメージがあったのでチームの力に助けられたと思います。
――固めてくる相手に対するワセダの課題は何だと思いますか
足元足元になってしまって固められてしまって結局取られてしまうという展開になってしまったので、一歩大きく広くして、サイドからCKを取ってリズムをつくることが大事だと思います。
――最後に、最終節は日体大戦となりますが、意気込みをお願いします
きょうの結果は変えられないので、日体大戦に向けてチーム一丸となって頑張っていきたいです。