6得点で圧勝!ワセダの反撃が始まる

ア式蹴球女子

 関東大学女子リーグ戦(関カレ)は早くも折り返し地点。2試合連続で引き分け(△1-1神奈川大、△0-0筑波大)と結果を残せていないワセダは、勝ち点3を獲得するべく国士館大との戦いに挑んだ。立ち上がりから積極的に仕掛け、MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)のゴールを皮切りにゲームを支配する。MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)が追加点を決めたのち、一度はPKで差を縮められるも、再び松川、MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)らが立て続けにシュートをたたき込む。終わってみれば6-1の快勝。理想のスタイルを実現した実り多いゲームとなった。

 「試合の入り方を特に気を付けていた」(FW河野朱里、スポ1=静岡・藤枝順心)。前節の反省をもとに、ピッチを広く使い果敢に相手陣へ攻め狂う。6分、PA前でのこぼれ球に反応した正野がネットを突き刺す豪快な一撃。早くも先制点を決めたワセダは、テンポを緩めることなくパスを回していく。DF大島瑞稀(社4=宮城・常盤木学園)やMF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)が裏に抜け出し、スピードを生かした猛攻を体現。「意思疎通ができていた」(松川)と見事な連携で球を運び、幾度となくシュートを放つ。さらなるゴールの雰囲気を漂わせる選手たち。ワイドな展開を繰り広げ、無失点で前半を終えた。

立ち上がりに豪快な一撃を決めた正野

 迎えた後半も、ワセダは攻撃の足を止めない。53分、CKに松川が体ごと押し込み追加点獲得。喜びもつかの間、PKを決められるが心配無用であった。61分にはDF松原有沙(スポ2=大阪・大商学園)のFKに合わせた松川が2点目を決める。続いてバイタルエリアでFKを得た山本。キックは、曲線美を描き華麗にネットに吸い込まれた。「蹴った瞬間入ると思った」と自身も納得のガッツポーズ。動きが止まりつつある相手に対し、波に乗ったワセダは好機を手放さない。71分には抜け出した河野がシュートを決め、続いてゴール前で受けたDF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)がとどめの一発。終盤には余力を振り絞った国士館大にカウンターを仕掛けられるが、GK山田紅葉(スポ3=東京・十文字)が難なくキャッチし、最終ラインを割らせない。気付けば6得点で相手を一蹴。武蔵ヶ丘女子短大との次戦に向け大きな弾みをつけた。

セットプレーの決定機を逃さず、2得点獲得した松川

 第5節を終え、ワセダは関カレ2位につける。トップに立つ日体大との勝ち点差は4。優勝に向け、一歩も後に引けない状態が続く。しかし、ピッチを広く見据えたゲーム展開と、多くの選手が携える決定力といったアビリティーを武器に、前に突き進むのみ。「集中して無失点で勝利したい」(三浦)。エンジイレブンの反撃は、いま始まったばかりだ。

(記事 渡部歩美、写真 桝田大暉、米澤英輝)

スターティングメンバー

結果
関東大学女子リーグ戦第5節
早大 1-0
5-1
国士館大
【得点者】(早)6正野、53、61松川、66山本、71河野、80三浦(国)56三堀
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田紅葉 スポ3 東京・十文字
DF 大島瑞稀 社4 宮城・常盤木学園
DF 松原有沙 スポ2 大阪・大商学園
DF 34 三浦紗津紀 スポ1 浦和レッズレディースユース
DF 24 渡部那月 社1 兵庫・日ノ本学園
MF 高木ひかり スポ4 静岡・常葉学園橘
MF 6◎ 松川智 スポ4 大阪桐蔭
MF 10 正野可菜子 社4 兵庫・日ノ本学園
FW →77分 川原奈央 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF 15 中村みづき スポ2 浦和レッズレディース
MF 30 熊谷汐華 スポ1 東京・十文字
MF →64分 山本摩也 スポ4 スフィーダ世田谷
FW 31 河野朱里 スポ1 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)

――久しぶりに大量得点での勝利となりましたが、お気持ちはいかがですか

今シーズン初めてっていうぐらいの大量得点ができて、快勝できたのはうれしいですし、失点がちょっともったいなかったかなというのは思いました。

――松川選手も2得点決めていましたが、試合を振り返っていかがですか

前半は得点を取るのが早かったのですが、そこから相手に対応されてって感じでした。後半の入りは自分たちから前に行こうという声が出ていたので、5点を決められたということは自分たちの成長でもあるかなと感じました。

――ゲーム開始からワセダの攻撃に対する熱い思いを感じました。ゲームプランとしては

ワイドにタッチ数少なくというのが自分たちのやりたいことなので、それをやっていこうということを話していましたし、ハーフタイムでも共有していたのですが、前半の途中からはタッチ数が多くなってしまって相手に対応されてしまう場面が多くなってしまいました。ワイドにっていうのはできていたのですが、タッチ数を少なくという点で、周りとの関わりをもっとつくれたらよかったのかなと思いました。

――前節の筑波大戦(△0-0)での反省が生かされた戦いだったのでしょうか

そうですね。結構スピードを持ったサイドの選手が裏に抜け出すというシーンが多くて、スルーパスを出す選手や意思疎通ができていたのかなと感じました。

――松川選手の得点はどちらもセットプレーからとなりましたがシーンを振り返ってみていかがですか

1点目は突っ込んでったみたいな感じで(笑)、たまたま当たって入ったと感じました。2点目はアリサ(DF松原有沙、スポ2=大阪・大商学園)も自分もそこを狙っていたので、ピンポイントで合わせてくれたのでポンっと触るだけでよかったです。

――試合終盤にかけて相手の足も止まり始め、ワセダとしては攻撃を展開しやすかったのでしょうか

そうですね。最後らへんは攻められる時間もありましたが、自分たちのペースに持ち込めてシュートシーンも多くて、枠に収まるシーンも多かったので結果的に6-1で終われたのかなと思います。

――来週は武蔵ヶ丘女子短大との試合になりますが意気込みをお願いします

武蔵ヶ丘女子短大は関東女子リーグ戦(関東リーグ)は1勝1敗というかたちで終わっているので、必ず勝って2勝1敗で終わらせたいです。相手は足元が強いチームなので、そこで球際を強くプレッシャーかけて、きょうみたいな試合をできたらいいなと思います。

MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)

――ゴールが欲しい展開での途中出場となりましたが、どのようなことを意識しましたか

特に指示はなかったですが、落ち着いてやることと、自分的には(得点を)狙っていこうと思って入りました。

――その投入直後、豪快に叩き込んだ直接FKを振り返っていかがですか

(FKにつながる)ファールをもらう前、高木(MF高木ひかり、スポ4=静岡・常葉学園橘)からのボールを受けるタイミングが良く、高木もうまく出してくれたのでそこで決め切れればよかったのですが、得意な位置からファールをもらうことができました。絶対に入れようと思って、蹴った瞬間入るなと思いました。

――決めた瞬間、してやったりの表情を浮かべていましたね

そうですね(笑)。個人的に練習していた位置でしたし、あそこだったら100%決めるという意識は常にあるので、思い通りのコースに蹴れてドヤ顔してしまいました(笑)。

――前後半の立ち上がり10分間でそれぞれ得点できたのはチームとして一つ評価できる点ではないでしょうか

良いゲームをするときはいつも入りがよく、悪いゲームのときは入りに問題があるので、きょうは良い方向に流れました。全員が集中して前半から戦い、後半に相手が疲れて得点できるシーンが増えたので、チーム全体の戦い方がよかったと思います。

――大量得点で勝つことができたのはチームの流れ的にもよかったのではないでしょうか

前回(関東大学女子リーグ戦、筑波大戦)は0-0の引き分けだったんですけど、負けに等しい試合でチームの状態が一回下に下がってしまいました。きょうは気持ちを入れて臨み、いろいろな選手が点を取って勢い付けられたのでこれを次節にもつなげていきたいです。

――その中でも、欲を言えば前半の早い段階で追加点を取れればもっと楽な展開に持ち込めた印象がありますが

そうですね、結構チャンスもあったし攻撃のかたちをつくることはできていました。後は決めるところで決め切れなかっただけです。振り返れば、前半は無失点だったことは評価できるので、前半の戦い方が後半に生きたという部分で悪くはなかったと思います。

――次節に向けて抱負をお願いします

まずはチームが勝つことが一番大切です。武蔵ヶ丘女子短大はうまいですし、関東リーグでも苦戦している相手なので、ワセダが上回っているパワーや走力を生かしてきょうみたいにいろんな選手の活躍で勝てるようにがんばりたいです。

MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)

――今節最初のゴールを決められましたが、振り返ってみて

朱里(FW河野朱里、スポ1=静岡・藤枝順心)に入った時に朱里が自分に落としてくれると思ったので、走り込んで良かったです。

――大量6得点、その要因は

全体的に前半から運動量が多く、動き出しの質であったり判断も良かったからこういう結果になったのかなと思います。

――良いかたちでつないだ攻撃が多く見受けられましたが

試合前のときなどに、個々の良いところを引き出そうという話はしました。それができたことが攻撃の良さにつながったのかなと思います。

――相手は高さのあるチームでしたが

CKだと相手のキーパーが前に出てくるということは分かっていたので、ニアを攻めることなどバリエーションを変えていきました。

――DFも当たりが強かったと思いますが

そういうチームもこれから増えていくと思うので、そこでは負けていられないですしひとつの戦い方として勝つことを意識してできたのかなと思います。

――次節、武蔵ヶ丘女子短大戦への意気込み

今節は流れ的に良くできたので、それを引き続きチームとして勝ちにつなげられるようにまた1週間備えていきたいと思います。

DF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)

――大量6得点での勝利、振り返ってみていかがですか

前節が勝ちきれていなかったので、一安心しました。

――ご自身も、1得点挙げられていましたが

摩也さん(MF山本摩也副将、スポ4=スフィーダ世田谷)がボールを持ったときに絶対に自分に来るなと思いました。そう信じて下がらずにいたら本当にボールが来て、あとは触るだけでした。

――守備の最終ラインから積極的に攻撃参加されていますが、自身のプレーで考えることは

守備がメインというのはもちろんですが、攻撃のアクセントになればと思って後ろからも少しずつ攻撃したいと思ってプレーしています。

――自身のDFを振り返ってみて

前半後半1本、2本ずつピンチの場面があったのでそういうところは集中すればなくせると思っています。しっかりDFラインに集中して今後は無失点で終えたいと思います。

――国士館大は高さのあるチームでしだが

蹴ってくるボールも大きくて、競り合いが大変でした。チャレンジとカバーをしっかりできれば、そういったところも守れると思うのでしっかり皆で意識を合わせてやっていきたいと思います。

――次節への意気込み

武蔵ヶ丘女子短大は個人の技術がしっかりしているチームなので1対1で負けないというところと最後の場面でやられなければ失点はしないと思います。集中して無失点で勝利したいと思います。

FW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)

――きょうの試合を振り返ってください

最近、あまり内容の良くない試合が続いていたので、きょうは試合への入り方を特に気をつけていましたが、思っていた以上にいいかたちで試合に入ることができ、それが後半まで続けられたのが良かったのかな、と思います。

――1点にとどまった前半と打って変わって、後半は怒涛のゴールラッシュとなりました。ハーフタイムで何か変えた部分はありましたか

前半、後半で特に自分たちの中で大きな違いはありませんでしたが、前半と同じプレーを続けていたら相手が次第につかれてきて、それが得点ラッシュに続いたと思います。

――守備面でも中盤でボールを奪うことも多く、素晴らしいプレーを見せていました

試合途中からフォーメーションを相手が自由に動きにくい4-4-2に変更したことで、DFラインが相手に対応しやすくなったのかな、と思います。

――最後に次節への意気込みをお願いします

自分たちはタッチ数の少ないサッカーをするといいかたちで試合を進められるので次節も入りからタッチ数を少なくして、早めにファーストシュートを打つなどしていい試合にしたいと思います。