終盤の3連発で大東大を攻略。関東制覇まであと一つ!

ア式蹴球女子

 前日の試合で見事な逆転勝利を収めたワセダ。皇后杯関東予選も残すはあと2戦。この日は大東大との準決勝に臨んだ。前半からボールポゼッションで相手を上回るも、決定的なシーンをつくるには至らない。0-0のまま迎えた後半も得点を奪えずにいたが、72分にFW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)がこぼれ球を押し込み先制すると、1分後にはMF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)がゴールを決め、点差を2点に広げる。さらに79分には、河野が右足で叩き込み、勝負あり。苦しい時間帯もあったが、終わってみれば3-0の完勝。あすの決勝へ向けて弾みをつけた。

 2日連続での試合ということもあり、疲労の蓄積が懸念されたが、序盤からそれを感じさせない軽快なパスワークを見せる。5分にはMF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)の右サイドからのクロスにMF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)がうまく飛び込んだが、シュートはゴール左に。その後もMF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)やMF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)を経由しゴールを目指したが、なかなか好機を演出することができない。結局スコアレスドローのまま前半を折り返すこととなった。

鋭いシュートで点差を広げた熊谷汐

 なんとしても先制したいワセダは、後半開始早々に決定機を得た。正野から華麗なサイドチェンジを受けた熊谷汐が左足で強烈なシュートを放つ。しかし、これは相手GKに弾かれ枠内に収まらない。その後も後半から起用された河野が攻撃の要となり、立て続けにシュートチャンスをつくっていく。だが、試合が進むにつれ、徐々に疲労の影響が出始めた。苦しい時間帯が続いたが、このまま終わらせるわけにはいかないワセダは、攻めの姿勢をさらに強めていく。そして72分、ついに均衡を破ることに成功した。正野がエリア内で相手をうまくかわしシュートを打つと、一度は相手GKのファインセーブに合う。だが、こぼれ球に詰めた河野が押し込み、待望の先制点を獲得。これで完全に勢いに乗ったワセダはその1分後に追加点を決める。河野、MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)とつなぎ、最後は熊谷汐がエリア内で左足を一閃。「イメージ通りのシュートが打てた」(熊谷汐)という言葉通り、鋭いボールをゴール右隅に突き刺した。試合終了間際には正野からのパスをうまくトラップした河野がとどめの一発。終盤のゴールラッシュで違いを見せつけたワセダが、見事決勝へと駒を進めた。

2得点を決め、喜びをあらわにする河野

 ついにここまでたどり着いた。皇后杯関東予選優勝まで残りあと1勝。相手は関東女子リーグ戦の前期に敗れた(●0-1)、宿敵・浦和レッズレディースユースだ。選手たちにとっては苦しい過密日程。しかし、ワセダの真の実力が問われるこの重要な一戦で、負けるわけにはいかない。「リベンジというかたちで絶対に勝ちたい」(松川)。残された80分間、持てる力を全て出し切り、頂点へと上り詰めたい。

(記事 栗村智弘、写真 新庄佳恵)

スターティングメンバー

結果
皇后杯関東予選準決勝
早大 0-0
3-0
大東大
【得点者】(早)72、79河野、73熊谷
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田紅葉 スポ3 東京・十文字
DF 大島瑞稀 社4 宮城・常盤木学園
DF →75分 堀口佳織 スポ4 千葉・幕張総合
DF 松原有沙 スポ2 大阪・大商学園
DF 34 三浦紗津紀 スポ1 浦和レッズレディースユース
DF 24 渡部那月 社1 兵庫・日ノ本学園
MF 高木ひかり スポ4 静岡・常葉学園橘
MF →73分 中井仁美 スポ2 兵庫・日ノ本学園
MF 6◎ 松川智 スポ4 大阪桐蔭
MF 10 正野可菜子 社4 兵庫・日ノ本学園
MF 15 中村みづき スポ2 浦和レッズレディース
MF →61分 山本摩也 スポ4 スフィーダ世田谷
MF 30 熊谷汐華 スポ1 東京・十文字
FW 32 山田彩未 スポ1 ジェフ千葉レディースユース
FW →40分 河野朱里 スポ1 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)

――決勝進出おめでとうございます。今のお気持ちをお願いします

自分たちが1年の時に、この予選で決勝に進んで優勝したのですが、それ以来なので素直にうれしいです。

――終始ワセダペースでしたね

前半は結構苦しい時間帯が続いたと思うのですが、自分たちのペースで回してるにも関わらずなかなかシュートまで行けず、ビッグチャンスもなくて相手に耐えられたという感じでした。後半も残り10分くらいまでゲームが動かなかったので、苦しい戦いが続いたのですがああいうところで3点点数を決められたことは良かったっちゃ良かったのですが、もっと早い段階で点を決められていたらよかったのかなと思います。

――シュートまで行こうという積極的な攻めの姿勢が見られました

自分的にはきのうよりミドルシュートを打てなかったので、もっと積極的にシュートを打つ位置にまで運んでいくことをしていかなくてはならないし、そこまで行けてないっていうのはまだ問題だと思うので、その前の段階で修正していくべきなのかなと感じました。

――後半は左サイドを用いた攻撃が印象的でした

相手も結構引いてきたので、それに対してワイドに使って、サイドでえぐれる選手がいたのでそこでえぐって速いボールを入れることを意識しました。

――連日の試合となっていますが、松川選手のコンディションはいかがですか

やっぱり疲れがないと言ったら嘘になりますが、自分で体を整えることをしなくてはならないし、責任だと思うのでその面ではあすまでに時間があるので、帰ってからしっかりコンディションを整えたいと思います。

――きょうは無失点での勝利となりましたが守備に関しては

押し込まれる場面は前半の数本くらいであったのですが、その時にチームの雰囲気的にもちょっと引き気味になってしまっていたので、もっと前から前からということを意識しなくてはならないし、はっきりできていなかったのでプレーの修正をしていかなくてはならないと思いました。

――ラスト10分のゴールラッシュで執念がかたちになりましたね

残り10分を切ったところで、シュートへの意識が強まったのですがもっと前の段階からその気持ちを強く持たなくてはならないと思います。

――相手は関東女子リーグ戦(関東リーグ)の前期で敗れた浦和レッズレディースユースですが

関東リーグの後期で挽回しようと思っていたのですが、今回戦えるチャンスをもらったので、リベンジというかたちで絶対勝ちに行きたいです。

――決勝戦に向けての意気込みをお願いします

きのうきょうと試合が続いたのですが、今ここにいるのはチーム全員ではなくて、あすは全員でフクダ電子アリーナの方に行けるので、その面ではチームとして一体感を持てる戦いだと思います。自分自身としてはきょうのような試合ではなくて、もっと積極的にミドルシュートを打って早い段階でのファーストシュートを意識していきたいです。

MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)

――3ー0という結果を振り返って一言お願いします

結果的にホッとしたなというのが一番です。

――試合内容はいかがでしたか

前半からチャンスはあったのですが、そこを決め切れずに自分たちで苦しい流れをつくってしまったかなという印象です。

――連戦となりましたが、コンディションの方はいかがでしたか

個人的には疲労感も感じることなくできたので、あしたも続けることができたらいいと思います。

――チームとしてはいかがでしたか

チームとしてもそんなに影響なくできていたと思います。交代選手もうまくチームのために動いてくれました。

――前半はボールを保持しながらも決め切ることができませんでしたが

前半は大東大も引いてきていてブロックというかたちになっているところで、前でボールを持つことがあまりできませんでした。それは自分たちのパスミスだったり、簡単にできるところで難しいプレーを選択してしまったりということも原因となっているのですが、ブロックに対しての工夫をもう少しできたら良かったのかなと思います。

――後半に入るに当たってハーフタイム中に監督やコーチから指示はありましたか

もっとサイドを使おうということと、サイドの深いところでプレーしていかなければならないということ、あとはミドルでもいいのでもう少しシュート数を増やしていこうということを言われました。

――1点目のシーンを振り返って、ゴール前でボールを持ったとき何を考えていましたか

自分自身もゴールを決めたかったので中にパスというよりももう一段階深い位置に持ち込んでシュートをするというイメージで打ちました。イメージ通りいけたところや最終的には点が入ったところは良かったのかもしれないのですが、シュートを打ってしっかり決め切らなければいけないかなと思います。

――シュートへの意識は常に持っていたという感じですか

あまり深い位置でボールを持つことが今回はできなかったので、そういうポジショニングというのはあしたに向けて修正しなければならないのかなと思います。

――3点目の場面ではロングパスでのアシストを決めていましたが振り返っていかがでしたか

朱里(FW河野朱里、スポ1=静岡・藤枝順心)もああいうところを狙ってくれる子なので、そこは蹴ったらいっちゃったので良かったです。

――3点目が入って試合が決まったという感じでしたね

そうですね。流れとしては自分たちも余裕を持ってできたのでそこで点を入れられたのは良かったと思います。

――きょうは2アシストとなりましたがいかがですか

結果的にはチームの役に立てたのは良かったのですが、次は得点したいです。

――次は決勝となりますが意気込みをお願いします

浦和レッズレディースユースには関東リーグでも負けているのでそこではしっかり勝てるようにみんなで戦いたいと思います。

MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)

――きょうの試合はいかがでしたか

きのうはボランチで出場していて、低い位置でのプレーになったので、うまく攻撃に関われなかったのですが、きょうはトップ下での出場だったので、FWとうまく連携をとって厚みのある攻撃をしようと思っていました。ですが、FWとの距離感もあまり良くなくて、サイドの選手とはある程度うまくやれたのですが、決定的なチャンスをつくることができなかったので、もう少しシュートの意識を持たなければならなかったと思います。

――きょうも色々なエリアに顔を出して、パスを引き出そうとされていたという印象です

そうですね、サイドチェンジを使っていこうという狙いがチームとしてあって、ボランチだけだと捕まってしまうので、ポジションを下げたりしながら、サイドチェンジにつなげていこうと思っていました。

――相手のバックラインの裏のスペースを狙ったりという場面もかなり見られましたが、やはり得点は狙っていましたか

有沙(DF松原有沙、スポ2=大阪・大商学園)がいいボールを蹴れることはわかっていましたし、そういった選手からボールを引き出したかったのですが、あまりうまく合わせることができなかったので、これからそこを調整していきたいです。

――ハーフタイムには監督(福島廣樹監督、昭45教卒)からどういった話がありましたか

前半うまくサイドチェンジを使って、ピッチを広く使えていたので、それを続けるようにという指示はありました。

――サッカーで2日連続公式戦というのはかなり珍しいと思うのですが、やはりかなりの疲労があるのでは

個人的にはきのうの試合に半分の時間しか出ていないので、まだまだ大丈夫なのですが、特にDFの選手でここまでフル出場してきた選手も多いので、そこの負担はかなりあると思います。

――きょうは苦しい時間帯も多い中、終わってみれば完勝でした。結果にホッとされているのではないですか

自分が下がってから連続で点が入ったので少し複雑ではありますが…(笑)。そこを除けば本当に勝ててよかったと思います(笑)。

――ただ中村選手のプレー内容自体は、そんなに悪いということはなかったように思いますが

いや、全然ダメでした(笑)。きのうもよくなくて、本当に申し訳ないんですけど、あしたは切り替えて本当に自分が頑張らなければいけないと思っています。

――ではそのあすの決勝戦への意気込みをお願いします

ここで勝てるかどうかで、ワセダの真価が問われると思いますし、あすの相手は古巣のレッズ(浦和レッズレディースユース)なので、やっぱり負けられないですし、気持ちを見せて、全力でやりきって、その結果として勝利を手にしたいと思います。

DF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)

――決勝進出おめでとうございます。今の率直なお気持ちは

素直にうれしいです。

――試合は終始ワセダペースでしたが振り返ってみていかがですか

どこかフワッと入ってしまったのがあったなと感じていて、あしたの試合には引きづらないようにしたいと思います。

――後半は、左サイドへの展開が多く見られました

サイドに展開してしっかり攻撃しようという指示がありました。必然的に、右ばっかり使っていると詰まってしまうので、逆にという感じで左に行ったのかなと思います。

――三浦選手はフル出場が続いていますが、コンディションはいかがですか

正直、きついのはあるのですが出られて、戦える喜びとかうれしさの方が勝っているので、いい経験をしてしっかり勝ちたいと思います。

――疲労がたまっている中で、どういったプレーを意識していますか

はっきり簡単にやれば失点ないと思うので、無失点で終える方法をDFラインで考えて、チーム全体で守備していきたいと思います。

――きのうの試合から、ボールを外に出すというプレーがよく見られます

リスクを考えすぎているというのがあるので、つなげるところはつなげた方がいいと感じます。失点するリスクと、つなげる、ということをしっかり考えてプレーしたいです。

――あすはどのようなプレーを心掛けたいですか

まずは変わらず無失点というのをみんなでやっていきたいと思うのと、個人的にはきのうきょうと点を取るチャンスがあった中で決められていないので、チームのための1点を決めたいと思います。

――タイトなスケジュールではありますが、最終戦に向けて意気込みをお願いします

相手が古巣の浦和レッズレディースユースなので、成長した姿を見せて、チームとしても関東で優勝したいと思うので気持ちを入れて戦いたいと思います。

MF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)

――試合を振り返って

きのうの試合はエンジンがかかったのが後半からだったのでそれが反省点でした。きょうの試合は前半から勝負を決めるつもりでいたのですが、それもうまくはまっていなくて入りはあまり良くありませんでた。でも後半は3点取れたのでそこは良かったと思います。

――うまくはまらなかった理由は何ですか

一つ一つのミスが多いことですね。細かいことなのですが、連携のところが影響していると思います。

――ミスは2日連続で試合を行う疲れから来るものだったのでしょうか

もちろん疲れもあるのですが、それを言いわけにしたらダメなので改善していかなければならないと思います。

――熊谷選手は前半からスペースに走る場面が多くみられましたが何か意識していたのですか

相手のサイドバックが前に上がってくるタイプだったので、逆にその裏を突こうということで空いているスペースを狙っていました。

――後半はその左サイドにパスが供給される回数が増えたように感じましたがいかがですか

前半に比べて後半の方が自分自身もボールを受けられたと思います。良い形で自分がフリーになって左サイドに展開されてきたボールをゴール前などに持ってきたりできたのは良かったと思います。

――後半開始直後には熊谷選手の惜しいシュートも見られましたが

良いかたちでパスをもらえたので思いっきりいこうということで思いっきり打ちました。

――2点目のシーンを振り返って、パスが熊谷選手のところに来たとき何を考えていましたか

自分は完全にフリーだったので摩也さん(MF山本摩也副将、スポ4=スフィーダ世田谷)がボールを持った時点で横で呼んでいました。そしたらボールが来たのでイメージ通りシュートが打てて良かったと思います。

――ゴールを決めたときのお気持ちは

すごくうれしかったです。追加点を取ってチームを落ち着かせたいという思いがあったので良かったです。

――3ー0の無失点で試合を終えることができましたがそれに関してはいかがですか

きのうは2失点していたのできょう0点に抑えられたのはとても大きいと思います。

――次は決勝ですが意気込みを思います

3連戦で体力的にも厳しい戦いとなると思うのですが、しっかりと勝ち切ることが大事だと思うので、全員で頑張りたいと思います。

FW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)

――決勝進出おめでとうございます。きょうの試合を振り返ってみていかがですか

後半から出場ということで、相手の状況や試合展開を見た後で自分が出たのでやりやすかったのですが、チームとして最初からもっと攻められたらよかったなと思います。

――きょうは3得点中2得点をされていましたが、それぞれのゴールシーンを振り返っていかがですか

1点目は自分でも予期せぬところにボールがきて、当たって入ったというくらいでした。2点目は、可菜子さん(MF正野可菜子、社4=兵庫・日ノ本学園)と上手く合わせて裏に飛び抜けてミートできたので良かったです。昨日の試合では、ビビってしまってゴール枠を外してしまったシュートがあったので、きょうはそうならないように、とりあえずボールにミートさせることを考えて打ちました。

――前半はなかなかシュートのチャンスを作り出せずにいましたが、外から見ていていかがでしたか

自分が前半から出ている試合でも、いまどういう状況なのかかがあまり分からないのですが、きょうはサイドを使えてなかったりパスミスが多いように感じましたね。自分がもし前半から出る試合があれば、気をつけていきたいと思っていました。

――河野選手の先制点から、一気にいい流れができていましたね

ワセダは1点目さえ入ればすぐ立て続けにゴールを取れる傾向があるので、その1点をもう少し早く取れたらよかったなと感じています。

――あすの決勝で勝つためのカギとは

最初の15分の入り方だと思います。チームがいままでやってきたことと、タッチ数を少なくしたり、攻守の切り替えもしっかりできれば前半で相手を崩せると思います。

――最後にあすに向けての意気込みをお願いします

もし試合に出るチャンスがあれば、個人的にはまず点を取れればいいなと思っていて、関東制覇できるように頑張っていきたいです。