高校生を圧倒!!まずは皇后杯出場の切符をつかむ

ア式蹴球女子

 立て込んだスケジュールの中で迎えた皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)関東予選。昨年は予選敗退に泣き、チーム一体となってこの戦いに向け闘志を燃やしてきた。初戦の相手は修徳高。高校生相手にフィジカルの強さを見せつけ、高いボール保持率を維持する。MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)が先制点を決めると、次々とゴールを重ね前半を4-0で折り返す。後半も試合を優位に進めるワセダであったが追加点とはならず。無失点勝利を挙げ、見事皇后杯出場権を獲得した。

正野のシュートを皮切りにゲームが始まった

 ことしは皇后杯に進めるチームが8枠に増え、初戦突破で本戦への切符を手にできるワセダ。試合の入りが重要となった。そんな中、開始早々にチャンスは訪れる。ゴール前でMF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)から左クロスを受けた正野。力強く押し込んだボールは、相手DFをかすめるも勢いそのままネットを揺らす。ファーストシュートを得点につなげ、理想のかたちでゲームのスタートを切った。11分には、相手GKが前に出ていた隙をMF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)が突き、ゴールを決める。試合の主導権を握ったワセダの勢いは止まらない。続く18分にはPA内での混戦でFW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)がこぼれ球を左ネットに押し込み3点目を獲得。その後も高校生相手に、「フィジカル面では絶対に負けないようにした」(DF渡部那月、社1=兵庫・日ノ本学園)と一瞬たりとも油断を許さない。攻め続けるワセダは、MF三田村桃子(スポ2=宮城・常盤木学園)、MF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)ら多くの選手がゴールへ迫る。そして迎えた28分、CKに中村が頭で合わせ再びネットを揺らすと、4-0と大きくリードを広げ試合を折り返した。

2得点を決め、勝利を決定づけた中村

 後半も、ワセダのペースで試合を繰り広げる。相手のファウルを誘いだし、多くのFKを手にする。55分には三田村がFKから直接ゴールへ目がけるも、わずかにバー上にそれ追加点とはならない。その後もタッチ数の少ないパス回しで積極的に攻撃を仕掛けるが、試合途中の雨の影響でスリッピーとなったピッチにうまく対応できず、枠内に収めることができない。77分にはCKからFW山田彩未(スポ1=ジェフ千葉レディースユース)がヘッドで合わせるもゴール上に。40分ハーフで行われた戦いは、気付けば80分が経過。後半はスコアが動かなかったものの、大きなピンチを迎えることなく完封勝利を収めた。

 「チームが引き締まって戦えた」(正野)。昨年は予選敗退と悔しさばかりが残った戦いであっただけに、初戦を難なく突破し、皇后杯出場権を獲得したことはチームに安堵(あんど)をもたらしたことであろう。しかし喜びもつかの間、翌週には横浜FCシーガルスとの戦いを控える。昨シーズンの今大会の初戦で倒した相手ではあるが、強敵であることに違いはない。チームの目標は「フレッシュな気持ちで行けるところまで行って勝つ」(中村)。エンジ魂を胸に、目指すべき場所に向かって突き進む。

(記事 渡部歩美、写真 松本理沙)

スターティングメンバー

結果
皇后杯関東予選
早大 4-0
0-0
修徳高
【得点者】(早)9正野、11、28中村、18河野
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田紅葉 スポ3 東京・十文字
DF 堀口佳織 スポ4 千葉・幕張総合
DF 大島瑞稀 社4 宮城・常盤木学園
DF 34 三浦紗津紀 スポ1 浦和レッズレディースユース
DF 24 渡部那月 社1 兵庫・日ノ本学園
MF 10 正野可菜子 社4 兵庫・日ノ本学園
MF →45分 中井仁美 スポ2 兵庫・日ノ本学園
MF 13 三田村桃子 スポ2 宮城・常盤木学園
MF →79分 松川智 スポ4 大阪桐蔭
MF 30 熊谷汐華 スポ1 東京・十文字
MF 15 中村みづき スポ2 浦和レッズレディース
MF →45分 安部由希子 スポ1 宮城・聖和学園
MF ◎8 山本摩也 スポ4 スフィーダ世田谷
FW 31 河野朱里 スポ1 静岡・藤枝順心
FW →66分 山田彩未 スポ1 ジェフ千葉レディースユース
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)

――まずは初戦突破、皇后杯本戦出場おめでとうございます

ことしは出場チームが増えたことで1回勝てば皇后杯本戦に出られるということを以前から知っていたので勝ててよかったです。

――相手は高校生ということで、普段とは違う相手でしたが戦ってみていかがでしたか

高校生だからもちろん勢いもあったし、ワセダを倒そうという気持ちの強さっていうのを感じました。実際にやってみてベンチワークもそうですし、応援などで相手の一体感を感じながらプレーする中でうまく跳ね返せるように意識してやりました。

――1点目のゴールはアシストに携わっていましたね

前半バタバタしていたのですが15分過ぎくらいからうまくボールを回せるようになりました。そこからいいかたちで相手を崩せたかなと思います。左サイドで崩して右サイドで仕留めるという理想のかたちだったのであればよかったなと思います。

――4点リードして前半を折り返しましたがゲームというのはつくりやすかったのでしょうか

後半の出来を見て分かるように、4点取ったあとのゲームっていうのがはっきりしなくて、どこかで気持ちがほっとしたのかなというのがありました。実際後半を振り返ってみると0-0ですし、4点取ったからいいというわけではなくてどうしたら良いのかというのを考えていかなくてはならないと思います。

――ハーフタイムではどのような話がありましたか

もうちょっと前で展開しようとか、いつも通りやりたいことをやっていこうという感じでした。

――山本選手はきょうフル出場でしたが試合全体を振り返って自身のプレーはいかがでしたか

関東大学女子リーグ戦(関カレ)では2戦連続で点を決めていて、個人的には調子が良い方向に向かっていると思います。ただきょうフル出場して点を取れなかったですし、もうちょっとゲームを自分がつくれる立場であると思うので、そういった部分では今日よくなかったと思うしまだまだだなと思います。でもこれで逆によくなると思うので、個人の準備やコンディションづくりをしっかりして、出れるにしろ出れないにしろしっかり勝てるようにチームに貢献したいと思います。

――次戦は東京国際大か横浜FCシーガルズとなりますが

どちらも当たったことある相手なのですが、強いて言えば横浜FCシーガルズはきょねん勝った相手なので、勝ち上がったらそれこそワセダを倒そうという気で来ると思うし、きょうよりもレベルが上がると思います。どちらが勝ち上がってきてもしっかり勝てるように準備をしていきたいと思います。

MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)

――試合に関して前半だけで4―0となりましたが、前半の攻撃面はいかがでしたか

最初の入り出しも割と良く、攻撃に枚数をかけることができ、シュートまで持っていけることが多かったのでその面で点も割と入ったのかなとは思います。

――ご自身も1得点をマークしましたが、そのシーンを振り返って

サイドの汐華(MF熊谷汐華、スポ1=東京・十文字)のところにボールが入って、前半のかたちとして割とあったのですが、それを決めることができて良かったです。

――裏へ抜けていくことが多かったことも良かった点でしょうか

そうですね。最初のうちは良かったのですが、だんだん攻め疲れというか、全部が全部そうなってしまったのは課題で、裏を狙いつつ回すことができたり時間をかけたりできたらもっと良かったのかなと思います。

――後半点が取れなかったのはひとつ反省点と言えそうですか

裏の抜け出しが少なくなってしまったというのと、ピッチがスリッピーになってしまったというのも考えていかないといけないところでミスが増えてしまったのかなと思います。ピッチがどうであれ、もう少し関わる人数を増やしていかないといけないのなと思います。

――6日の試合はドローでしたが、チームとしてそこからの切り替えはうまくいきましたか

皇后杯予選ということで負けたら終わりというところもあるので、余計チームが引き締まって戦えたかなと思います。去年も皇后杯予選で負けており、2年連続で同じことをしてはいけないと思うので。きょねんを経験している人は特に感じてプレーしていたと思います。

――ワセダは皇后杯に出て当たり前、というプレッシャーもまたあったのではないかなと思いますが

プレッシャーというよりも、きょねんは出ていないからこそことしは出たいですし、出てなでしこのチームとやって勝ちたいですし、そういう気持ちがみんな大きいと思います。

――この先のトーナメントは連戦となっていきますが、コンディション調整も大事になっていきそうですね

ワセダの中で連戦に弱いという部分が年々あるんですが、それは各自、チームとしてコンディションを整えていかないといけないですし、ここはチームの力をアップできるところだと思うので、みんなで戦えたらいいかなと思います。

MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)

――まずはトーナメントの初戦突破となりました。いまのお気持ちをお聞かせください

相手は高校生ですしトーナメントの初戦ということもあり、勝たなくてはいけない試合だったので、その試合に4点で勝てたのは良かったと思います。

――前半9分の得点を皮切りに、前半だけで4得点となりましたがチームの攻撃面はいかがでしたか

最初の方は相手もボールを蹴っていて、自分たちも立ち上がりは大きくやろうとしていたのでボールが落ち着かなかったと思うのですが、その分危ない場面はありませんでした。攻撃的な面では前への飛び出しがけっこう効いていたのですが、逆にそればかりになってしまい、前線に行った時に(選手間の距離が)伸び気味になってしまいました。ボランチがあまり組み立てに関われないことがあったので、自分のひとつ後ろにいた13番のMF三田村桃子(スポ2=宮城・常盤木学園)とラインを上げて、FWやサイドハーフに入った時にもうちょっと近い距離で関われたら良かったかなと思います。

――ワンツーで裏へ抜けていくシーンが多々見られましたが、それはチームでの意図だったということでしょうか

きょうは、というよりもワンツーでの攻撃はチームの中でも有効な手段として監督(福島廣樹監督、昭45教卒)からも話があったので、それはみんな意識していると思います。なるべく少ないタッチで出ていくという意味でもワンツーになったのでそう見えたのかなと思います。

――ご自身の攻撃面でのプレーはいかがでしたか

点が入る前から監督に「逆を見ろ」と言われていたんですけど、なかなか受けた時に逆を見れなかったのでダメだなと思いました。次回また試合に出る機会があれば、もっと逆を見れるようにしたいと思います。

――逆を見れなかったのは、相手のプレッシャーがタイトだったからということなのでしょうか

多分そのプレスがタイトということと、自分のトラップの問題点という部分が重なったかなと。本当に直さなきゃいけないなと思います。

――CKを頭で合わせましたが、練習からも意識しているプレーだったりするのでしょうか

紗津紀(DF三浦紗津紀、スポ1=浦和レッズレディースユース)が後ろにいて被っちゃったんですが、自分のところに来たので、えーいと。ヘディングシュートとかあまり無いので自分でもびっくりでしたね(笑)。

――前の試合(関東大学女子リーグ戦第3節△1―1神奈川大)ではシュート数も少なめでドローに終わりましたが、その反省点も共有していたりしたのでしょうか

前節もそうなんですけれど、なるべく積極的にシュートを打とうというのはチームの共通理解としてあったのですが、前節はそれが実行できなくて、またそれを強く意識するきっかけにできたという感じですね。

――このチームとして初めてのトーナメント戦でしたが

個人的には緊張しちゃうのでトーナメントはあまり好きではなくて(笑)。ちょっとでも受け身になると飲まれちゃいますし、ワセダはそういう傾向もあるので、受け身にならずチャレンジャーの気持ちで前からという姿勢でいけたらいいかなと思います。

――やはりトーナメントのプレッシャーは独特なものがありますか

やっぱり違いますね。リーグも勝たなければいけないのは間違いないんですけど、負けたら終わりという感覚がすごいですね。それが楽しみでもあるんですが。

――この勝利で皇后杯の本戦出場も決まりましたが、その点についてはどうでしょうか

自分はことしから入ったのできょねんの感じは分からないのですが、個人的に皇后杯の本戦に出るのは初めてで、自分はそういうチャレンジャーな気持ちもあります。フレッシュな気持ちを忘れずにチームとしても行けるところまで行って勝つというのが目標なので、そこをちゃんと実現できるようにやっていきたいと思います。

DF渡部那月(社1=兵庫・日ノ本学園)

――試合が終わっていまのお気持ちは

勝てたことによって、とりあえず皇后杯本戦への出場が決まってうれしいなと思います。

――試合終了直後、みなさんほっとした表情を見せていましたね

まず、前半の早いうちに得点できたのが良いかたちで試合運びができた要因かなと思います。ですが、もっと後半攻撃できたら良かったなと感じました。

――お話にもありましたように前半の大量得点に対し、後半はゴールすることができませんでしたね

後半は相手も対応してきたので、自分たちの攻撃の形をもう少し変えることができたら良かったのかなと思います。

――トーナメントの初戦ということで緊張はあったのでしょうか

リーグ戦と違って負けたら終わりの一発勝負なので緊張はしたのですが、その分みんなしっかりと気持ちを入れてできたと思います。

――きょうは高校生が相手でしたが、何を意識して挑みましたか

フィジカル面では絶対に負けないようにしました。また、経験は自分たちの方が上だと思うので、そこで相手よりも上回れたのは良かったなと思います。あとは、一対一で負けないことや、ロングキックとかは相手よりも飛ばすことを意識しました。

――今試合は無失点に抑えましたが、振り返っていかがですか

自分の対戦する相手はスピードがある選手と聞いていたので、まずはスピードに乗らせないように縦に仕掛けたときは粘り強くついていくということを意識していました。チームのディフェンスとしてはラインを高く上げて相手をけん制するということを意識していました。GKも声を出してくれたのでとてもやりやすかったです。

――渡部選手は左サイドで起用されていましたが、その意図は何だったのでしょうか

相手は右サイドの攻撃が中心でスピードもあるということだったので、自分が左になってしっかり守備から対応するよう挑みました。左でも右でもどちらでも活躍できる選手になりたいと思います。

――きょうの結果により皇后杯本戦への出場が決まりましたね

本戦の前にまだ予選があるので、そこをしっかり勝ち続けて本戦に勢いをつけていきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

来週も前半からしっかりと点を取れるように自分たちでリズムをつくって全員で勝ちにいきたいと思います。