関東大学女子リーグ戦(関カレ)の開幕戦で慶大を破り、その勢いをつなげるべく迎えた第2節は東京国際大と対戦した。試合開始直後、FW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)が先制ゴールを決めると、その後もワセダは何度も好機を演出し相手ゴールに迫っていく。しかし、一瞬の隙を突かれてカウンターから失点。1-1で迎えた後半、開始早々にMF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)が相手ゴールネットを揺らし、追加点獲得に成功する。その後、再び同点とされるがMF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)が決勝ゴールを決め、接戦を制した
ワセダは試合開始直後から積極的に攻めていく。3分、MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)からゴール前でパスを受けた河野が得点を決める。「ファーストシュートを決める」(河野)という言葉通り、鮮やかな先制劇を見せた。13分には、MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)が浮かせたボールを河野が頭で合わせるも、相手GKに阻まれる。その後も高いボール保持率を誇り、攻撃の足を止めないワセダであったが、28分、ロングパスからカウンターを仕掛けられまさかの失点。しかし立ち止まっている時間などなかった。相手のとの差をつけるべく、幾度となくゴールに迫る。37分には、河野からのパスに反応したMF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)がフリーで決定的な機会を迎えるが得点までは一歩届かず。そのまま両チーム互いに譲らず、前半を1-1で折り返す。
後半開始早々、追加点を決めた熊谷汐
エンドが変わった後半。またもや開始直後に絶好のチャンスをつかむと、熊谷汐が左サイドを駆け上がり、豪快にゴールネットを揺らす。このまま突き放したいワセダだが、攻撃のリズムが単調になり、相手DFを崩すことができない。また、セカンドボールが取れない、カウンターにDFが付けないといった反応の遅れが目立つようになる。そして迎えた69分、相手のロングシュートがGK山田紅葉(スポ3=東京・十文字)の伸ばした手をかすめてゴールイン。再びゲームは振り出しに戻される。しかし、失点やミスの直後にこそ一層大きくなるピッチ上の選手たちの声。すぐに切り替えて次の1点を取りにいこうとする勝利への執念がプレーに表れる。そして迎えた74分、ワセダに好機が訪れる。相手DFの裏に抜け出した山本が相手GKとの一対一に持ち込むと、冷静に交わしシュート。「トレーニング期間でやってきた成果が出て良かった」(山本)と本人も手応えを感じるゴールとなった。ラストプレーには山田が相手のトップ選手とマンツーマンなりピンチを迎えたが、体を張ったナイスセーブ。なんとか逃げ切り、3-2で勝利を収めた。
相手GKを交わした山本のゴールでゲームが決まった!
主導権を握りながらも二度追いつかれる苦しい展開ではあったが、接戦を制し2連勝を飾ったワセダ。立ち上がりを攻めて得点を挙げ、追いつかれてもゴールを重ねる得点力は勝利に固執するチーム力を感じさせた。一方の守備面では不用意なかたちで失点を許す場面が目立ち、裏への対応やハイボールに対する処理といった課題に改めて向き合う必要を迫られる試合ともなった。次節はホーム・早大東伏見グラウンドで、神奈川大との一戦を迎える。昨年は最終節で日体大に敗れて優勝を逃し、悔しさを味わった関カレ。目標とする『全勝優勝』、そして『日本一』に向け、負けられない戦いが続く。
(記事 郡司幸耀、写真 橘高安津子、梶井夏葉)
スターティングメンバー
結果
関東大学女子リーグ戦第2節 | ||||
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早大 | 3 | 1-1 2-1 |
2 | 東京国際大 |
【得点者】(早)3河野、48熊谷、74山本(東)28、69小泉 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 山田紅葉 | スポ3 | 東京・十文字 |
DF | 24 | 渡部那月 | 社1 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 4 | 大島瑞稀 | 社4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 34 | 三浦紗津紀 | スポ1 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 14 | 菅原靖巴 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース | DF | →45分 | 堀口佳織 | スポ4 | 千葉・幕張総合 |
MF | 6◎ | 松川智 | スポ4 | 大阪桐蔭 |
MF | 7 | 高木ひかり | スポ4 | 静岡・常葉学園橘 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →45分 | 熊谷汐華 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 15 | 中村みづき | スポ2 | 浦和レッズレディース |
MF | →65分 | 山本摩也 | スポ4 | スフィーダ世田谷 |
FW | 11 | 川原奈央 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 31 | 河野朱里 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
FW | →79分 | 山田彩未 | スポ1 | ジェフ千葉レディースユース |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)
――きょうの試合は中3日で迎えましたが、コンディションはいかがでしたか
いつも通りのプレーができるように各自が整えてきたので、そんなに悪くはなかったと思います。
――きょうの会場は大きなスタジアムでしたが、いつもと変わりはありましたか
開幕戦も天然芝でやらせていただいて、その分慣れは感じましたし、ここのピッチもだいぶやりやすかったので、今までとは違う環境でしたがプレーしやすい場所でした。最高の環境でできたと思います。
――立ち上がりのゴールによって攻撃を展開しやすかったのでしょうか
立ち上がりに点が決まったのですが、その分前半終盤の失点は自分たちの課題ですし、前半を1-0で終えられなかったことは課題に挙がったのかなと感じました。
――ワセダが攻めている中で、カウンターや裏をつかれるシーンが見受けられましたが試合を振り返ってみていかがですか
中盤でボールを奪われて、そのまま大きく蹴られて裏、っていう展開が何度かあったのですが、やっぱりDFや中盤での声掛けをすることの重要性を感じました。走られると思ったら、ラインを1つ上げるか、1つ低くするか、という守備の判断が全体でできたらいいということを感じました。あと中盤でのプレスの甘さというのも感じたのでそこもきっちりプレスをかけていかなくてはならないと感じました。
――ワセダはパスサッカーが特徴であると思うのですが、今大会ではロングパスを有効に使った攻撃が見られます
パスをつなぐ中で、変化がなくてはいい攻撃にならないので大きくプレーをすることが必要だと思いますし、リズムを変えるという面で大きく展開というのは有効かなと思います。
――きょうの試合では、特に選手の声がピッチから飛び交っていました
そうですね。バタバタしてしまった試合だったので、その中で声掛けは絶対に必要になってくると思いますし、もっともっとピッチ内で指示の声だったり要求の声だったりを増やしていかなくてはならないと感じました。
――シーソーゲームのような展開になりましたが、追い付かれても追加点を挙げられるところにチームの得点力を感じました
中での焦りも少しはあったのですが、全員で攻撃に結びつけようというのはありましたし、守備面でも点を取られてもこれから失点しないための方法を話し合っていました。2点目は相手のロングシュートがうまかったのですが、その時でもその前のプレーで改善するところをこれから話し合わなくてはならないと思います。得点に関しても、3点取れたことはよかったのですが、前半のうちにシュートを打つ場面を増やしていけたらいいなと思いました。
――再び中3日で神奈川大との戦いを迎えますが、意気込みをお願いします
次は早大東伏見グラウンドでできるということで、久しぶりに東伏見での戦いとなりますが相手もパスをつないで、というサッカーをしてくるので、自分たちのサッカーがいかにできるか、というのを大事にしたいですし、自分自身もっと積極的にシュートを打っていきたいです。
MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)
――きょうの試合全体を振り返ってみていかがですか
開始3分のファーストシュートで点が取れて入りは良かったんですけど、徐々に相手が自分たちのサッカーに慣れて落ち着いてくる中で、リズムをつかみきれないまま追加点を奪うことができなかったので、追加点がもう少し早く取れれば楽な試合になったと思います。
――後半からの出場でしたが、ベンチからの指示はありましたか
はい、攻撃ではリズムが単調になっているからリズムを変えるように、守備ではセカンドボールを取れていないなど、ボールに対する反応が遅かったので守備から変えるようにと指示がありました。それと、点を取って来いと言われました。
――試合に入る前の心境は
ケガしてから試合に出れない時期が長く続いたので、結果を出そうと。そのために自分が求められているプレーをしっかりやろうと思っていました。
――4年生として臨む最後の関カレ(関東大学女子リーグ戦)に対する思いは
インカレ(全日本女子大学選手権)につながりますし、自分が出るにしろ出ないにしろチームを支えたいと思いが強いです。結果を出すことはもちろん、どうやってインカレにつなげるかが大事なので、サッカーでもオフでもチームを一つの方向に向けるように副将として引っ張ろうと思っています。
――結果にこだわるという言葉の通り、今日の試合では試合を決めるゴールを決めて勝利に貢献しましたが振り返っていかがですか
みんな疲れもあって狭いところでなんとか崩そうとしていたので自分が出たら裏を取ったり相手の背後に入るアクションを増やしたりして攻撃のリズムを変えながら自分で点を取りにいこうという思いがありました。相手の背後に抜け出す動きをトレーニング期間にやってきたのでそれがゴールという結果につながって本当に良かったです。
――DFでは相手のカウンターから裏を取られて失点する場面がありましたが
背後やハイボールへの対処はずっと課題にしてきたところで、しっかりと切り替えができるかが大事になっくるのでそこはしっかりと目を向けていきたいです。
――次戦への意気込みは
1番はチームが勝つこと。個人としてはどうやったらチームが勝つかを考えて勝利に貢献したいです。チームとしては全体で試合に向けて気持ちを入れられるようにトレーニングからしっかりやっていきたいと思います。
DF堀口佳織(スポ4=千葉・幕張総合)
――試合を振り返っていかがですか
点の取り合いみたいな試合になってしまったんですけど、チームとしては勝ちきれたことはよかったと思います。DFとしては、2失点してしまったということはちょっと内容的には良くなかったなと思います。
――流れはいかがでしたか
入りとしては、早い時間帯に点を取れたので、自分たちのペースで運べてたのかなと思うんですけど、簡単な一発で、裏に抜けられた時に失点してしまったというのがちょっと良くなかったなと思います。
――失点を振り返って
今年通して失点が多いということと、ラインコントロールや裏への対応がDFとして課題なので、そこをもう少しコミュニケーションをとって改善しなくてはいけないなと思います。
――中3日で迎える次節、神大戦に向けて
関カレ(関東大学女子リーグ戦)優勝に向けて一戦一戦大事になってくると思うので、一試合一試合、DFとしては、無失点というかたちで勝利につなげたいなと思います。
MF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)
――きょうの試合を振り返って
きょうの試合も負けられない試合ということで、入りから集中して入れていたと思います。前の試合でファーストシュートが遅いということが課題として出ていたので、きょうはファーストシュートを早く打てましたし、それが得点につながったのが大きかったと思います。
――途中出場の際にベンチから具体的な指示は出されましたか
私のストロングポイントである、縦への突破やドリブルでの仕掛けをどんどんして、チャンスや得点につなげろという指示でした。
――それを実行できたと思われますか
後半の立ち上がりにそれをどんどんチャレンジできて、個人的にも得点を決められたので良かったと思います。でもそれを45分間しっかり続けていけるようにしないといけないなと感じました。
――得点シーンを振り返って
ゴール前の厳しいシーンだったので、もう何も考えずにゴール狙っていこうと思って、思いっきりシュートを打ちました。
――2失点してしまったDFに関してはいかがでしょうか
相手の得点者も、自分たちが十分注意しなければいけない選手で、そこでまたやられてしまいましたし、2失点もしてしまったので、まだまだ課題はあるかなと思います。
――中3日で次の試合ですが、まず改善すべきことは何でしょうか
日程的にも結構厳しい試合になるんですけど、やっぱり失点を少なくするということは課題だと思います。今回はファーストシュートを早くするということを改善できたので、それは続けていって、最小限の失点で点をたくさん取れたらいいなと思います。
FW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)
――中3日での試合となりましたがコンディションはいかがでしたか
中3日でコンディションを初戦に戻すことは大変でしたが、アクティブレストとかを入れてよい状態に持っていくことができました。
――開始早々の先制点となりましたがそのシーンを振り返って
前回の試合での課題でファーストシュートが遅い、シュート数が少ないということが挙げられていたのでファーストシュートでシュートを決める、という気持ちで挑んだので実現できてよかったです。
――ボール保持率が高い中で相手からカウンターを仕掛けられた時の守備との連携についてはどのようにお考えですか
相手の2トップの選手がうまくて、それは分析でもみんなで話し合っていたのですが、やはり押さえきれないところがあったのでもっと具体的に試合前に話し合えればよかったなと思いました。
――同点に追い付かれても再び得点を重ねるところに得点力を感じましたが、試合を振り返っていかがですか
相手のDFはガツガツくるタイプではなかったので、崩しやすかったのですが自分たちが前に出た時に崩しの工夫が足りなくて、点が入れられなかっただけなので点はもっと取れたという印象です。
――きょうの試合で修正したい点はどのようなところですか
先制点のあとのセカンドシュートっていうか2本目のシュートが遅いのを修正するのと、悪い雰囲気になったときにもっと声を出してチーム全体で立ち直れるようにしたいです。
――今大会における河野選手の目標とは
試合に出られたら1試合につき1点は取れるようにしたいです。
――最後になりますが、神奈川大戦への意気込みをお願いします
体力を戻すことは大変ですが、きょうみたいに最初の15分くらいでシュートを決めるような流れをつくれるようにコンディションを整えていきたいと思います。