関東女子リーグ戦(関東リーグ)も早いもので第5節を迎えた。2試合ぶりにホーム、早大東伏見グラウンドで対するのは日テレ・メニーナ(メニーナ)。序盤はパスが通らず思うような展開を繰り広げられなかったものの、31分にFW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)がヘディングで先制点を獲得。縦に抜ける動きで流れをつかんだ後半、MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)、MF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)の2得点で決定力を見せつける。一度はゴールを奪われてしまうが、4-1と大量得点で戦いを制した。
「少ないタッチ数でボールを回すことを意識してきた」(MF松川智主将、スポ4=大阪桐蔭)。武蔵ヶ丘女子短大(●0-1)敗戦から一週間―――。昨シーズン、関東リーグで唯一勝利を手にできなかったメニーナとの対戦に向け、万全の対策を講じてきたワセダ。開始直後は、相手のドリブルや足元の技術にやられ、なかなか中盤を突破できない。しかし迎えた31分。この日初めてとなるCKにDF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)がヘディングで折り返したところに河野がすかさず反応。頭で押し込み、大学公式戦初となるゴールを決める。「先制点を決めたチームが有利に立つ」(河野)の言葉通り、その後はワセダのボール保持率を高め、試合を折り返した。
公式戦初ゴールを決め、喜びをかみしめる河野
ワイドな攻撃を展開しようと挑んだ後半。50分、ワセダは素早いボール回しでチャンスをつくり出す。松川からボールを受けたDF大島瑞稀(社4=宮城・常盤木学園)の右クロスに高木がヘディング。2-0と差を広げる。その直後には再び高木がループシュートを放つが、これは惜しくもバーに直撃。時折相手のスピードあるドリブルにPAを脅かされるが、落ち着いたくさびのパスでゲームを支配する。しかし69分、相手にCKのチャンスを与え、一度はクリアするも、再び球を拾われるとそのままゴールを許してしまう。だが、ワセダは黙っていなかった。71分にはFW平國瑞希(スポ2=宮城・常盤木学園)のドリブルを熊谷が受け、そのままPAを突破し追加点を獲得。75分にはパスカットをMF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)がダイレクトでシュートに持ち込む。GKに弾かれゴールとはならなかったものの勢いは止まらない。縦へのパスを生かし、幾度も好機を演出する。試合終了間際には相手GKが前に飛び出たところを熊谷がすかさず押し込み、この日2得点目をかたちにした。気付けば4点を奪取したワセダ。ピッチに勝利の笑顔が広がった。
熊谷汐の2得点で勝利に大手をかけた
前節の課題をもとに、持ち味であるパス回しで得点を量産し、見事勝ち点3を手にした選手たち。しかし一方で、今季無失点で試合を終えたことが一度もない、といった課題が挙げられる。「全員でカバーして修正していけたら無得点につながる」(熊谷)。ワセダの結束力を存分に発揮し、次節こそ完全勝利をつかみとりたい。
(記事 渡部歩美、写真 松本理沙、桝田大暉)
スターティングメンバー
結果
関東女子リーグ戦第5節 | ||||
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早大 | 4 | 1-0 3-1 |
1 | 日テレ・メニーナ |
【得点者】(早)31河野、50高木、71、92熊谷汐(日)69嶋中 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 河邊花観 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 4 | 大島瑞稀 | 社4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ2 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 34 | 三浦紗津紀 | スポ1 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 24 | 渡部那月 | 社1 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 7 | 高木ひかり | スポ4 | 静岡・常葉学園橘 |
MF | →73分 | 三田村桃子 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 6◎ | 松川智 | スポ4 | 大阪桐蔭 |
FW | →83分 | 中村みづき | スポ2 | 浦和レッズレディース |
FW | 9 | 平國瑞希 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 11 | 川原奈央 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →69分 | 熊谷汐華 | スポ1 | 東京・十文字 |
FW | 31 | 河野朱里 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)
――前節の黒星から、チームとしてはどのようなトレーニングに励みましたか
パスをずらさずにしっかりつなぐ、ということを練習に取り組んで少ないタッチ数でボールを回すことを意識してきました。
――きょうの試合で生かすことはできましたか
はい、できました。
――序盤は、相手の足元にやられているシーンが多かったように思われましたが
そうですね。相手は小さくて足元がうまいということをわかっていたので、自分たちもそれに負けずに少ないタッチ数で速いパス回しでワイドに展開ということを意識してやっていたら得点も4点取ることができたのでよかったかなと思います。
――前半はなかなか中盤へのパスを打開できないシーンが見られましたが
くさびのパスというのが引っかかってしまって、下で回してるだけというシーンが数分続いてしまったというのがあるので、もう少しそこは改善すべき点かなと思います。
――後半はフリーのスペースを有効に活用し、ゲームを展開していましたが
前半に縦に抜けようとする動きが少なかったので、ハーフタイムでそこを修正して縦に抜ける動きを増やしていこうという話をしていたので、後半はできたのかなと感じました。
――昨シーズン勝てなかった相手だけに喜びは大きいものですか
そうですね。昨シーズンは2敗していたのでそこはやっぱり自分たちも最初から気持ちを入れて臨みましたし、相手チームは年下ということもあるのですが優れた技術というのを高く持っているのでそこでは自分たちも負けないようにと取り組んだことが成果に出たのかなと思います。
――4得点で勝った一方、きょうの試合でも失点をしてしまいましたがその点に関しては
自分たちの5戦を終えて、すべての試合で失点がつきものになってしまっているので来週は必ず無失点でいきたいと思いますし、そこは全員で共通理解を深めていって0失点で抑えることが自分たちのいまやるべきことなのかな、と思います。
――最後に次節、浦和レッズレディースユースとの試合への意気込みをお願いします
来週もUー18のユースということで自分たちよりも年下なのですが、しっかりパスを回してやってくる相手なので、それを上回るパス回しやワイドに使う攻撃をして得点していきたいも思います。あとは無失点で。頑張ります。
DF大島瑞稀(社4=宮城・常盤木学園)
――久しぶりの出場となりましたが、怪我明けで思うところはありましたか
復帰したてというのもありますが、一瞬の反応であったり、体力面や試合勘というのはまだ少し戻ってきていないなというのがあって、そこは今後の練習でしっかり戻していかないといけないところだと思います。
――右サイドバックということで、どのような意識で臨まれたのでしょうか
最初はしっかりカバーして裏をとられないよう意識しましたが、チャンスがあれば上がっていきたいなという思いでやっていました。
――今節の対戦相手であるメニーナには昨シーズン勝てていませんでしたが、きょうはどのような気持ちで臨まれましたか
メニーナは自分たちが毎年苦手としていて、小さくて細かくつないでくるチームなので、中盤からしっかりマークにつくことと、球際をつぶしていく意識をもって臨みました。
――きょうの試合では右サイドからの突破が目立ちましたが、前への意識は高かったのでしょうか
中盤の選手が下に降りてきてカバーに入ってくれていたので、上がることができたと思います。
――前半は相手に攻め込まれ、自陣でのプレーが多かったと思いますが、守備面での振り返りをお願いします
少し受け身になってしまったという部分があって、最初は立ち上がりが悪くまわされていて、相手のFWに速い選手がいて狙ってくるというところで、やっぱりもうちょっとケアであったり、あとはキッカーにもう少しプレッシャーにいけたらよかったかなと思います。
――次節にむけての意気込みをお願いします
次節はレッズレディースユースということで、練習試合をやったときに個の力が強く、1対1の場面で負けてしまっている部分があったので、球際を厳しくいってきょうみたいな試合をしていきたいと思います。
MF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)
――きょうは途中出場ということで、前半は外から見ていていかがでしたか
きょうの試合は負けられない試合だったので、出ている人たちの気持ちがプレーに出ていたと思います。暑い中走り負けないところや球際の強さを見て、自分も試合に出られたらそういったところを負けないようにしようと思いました。
――大量な得点での勝利でしたが
4点取れたことはとても良かったと思いますが、1失点してしまったことが悔やまれるので改善していかなければいけないと思います。
――その中の2得点は自身の得点でしたが
途中出場できて、ラスト20分のところで周りの選手よりも1番フレッシュだったのでいっぱい走って、絶対に点を取ろうという気持ちは持っていました。2得点できて良かったです。
――交代してファーストタッチでの得点でしたが
前に前にいこうと思っていて、ファーストタッチでゴールできたのはとても良かったです。
――足元のうまい選手がいる中で、チーム全体がDFで苦戦しているようでしたが
技術の面で個々がしっかりしているのでそこはやっぱり対応するのが難しかったです。しっかり体を当てたり、体格の大きさを多用していけたので良かったかなと思います。
――開幕から無失点で終えた試合がまだないということで、チームのDFについて
チームとしてやりたいDFのかたちはできていると思うので、細かいところのミスを全員でカバーして修正していけたら無得点につながると思います。
FW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)
――きょねんワセダは日テレ・メニーナ(メニーナ)に1勝も挙げられていないということで、チームで話したこと
きょねんの結果を気にしていて、ハーフタイムでもきょねん後半に3失点して負けたという話がありました。そういうこともあり、また後半から締め直していこうという話をしました。
――前半は苦戦しているようでしたが
自分としては押されてる印象はなく、五分五分と思っていました。先制点を決めた方が有利に立つと思っていたので、決められて良かったです。
――相手はプレスが強い印象でしたが
後ろを向いた状態だと当たりにきて、ファウルをもらえたから良いのですが、あそこでボールを失っていたらまずかったと思います。もう少し早めにパスコースを探すのと、相手は足元がうまかったのであまり飛び込まないようにして、コースを限定させてサイドで取らすというDFを意識しました。
――前半はセットプレーから自身の得点でしたが、振り返って
GKの目の前だったので、点を取る感じのポジションではなかったのですが、さつき(DF三浦紗津紀、スポ1=浦和レッズレディースユース)が折り返してくれて自分の上にきたのでシュートを打ちました。後ろにもう1人いたのですが、まだ自分は公式戦でゴールを決めてなかったので決めたいと思い、自分から行きました。得点できて良かったです。
――後半では3得点ということで、攻撃面について
自分の裏に抜ける動きが読まれ始めて、相手のDFが自分についてきていたので、そこの空いているスペースをしおか(MF熊谷汐華、スポ1=東京・十文字)とかが使ってくれたので、リズムが変わって良かったと思います。
――一方のDFについては
勝っている試合だと、たまに後半の序盤に集中が切れることが多くて点を入れた後のチームの雰囲気や集中力とかを声掛けしてずっと持続していければ良いと思います。