どんよりとした空模様の下、関東大学女子リーグ(関カレ)第3節神奈川大戦が行われた。序盤から相手陣地に攻め込むとMF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)の先制点を皮切りに2点を先行し前半を折り返す。後半はセットプレーから失点を許し一時は相手のペースに持ち込まれる展開に。しかし最後は途中出場のMF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)がダメ押しゴール。4-1で勝利を収め、開幕からの連勝を3に伸ばした。
大量得点で圧勝した前節から中3日、エンジイレブンは前半開始から相手陣地に攻め込んでいく。3分、中央でパスを受けたMF松川智(スポ3=大阪桐蔭)がドリブルからこの日最初のシュート。早くも得意のパスサッカーで相手を翻弄(ほんろう)していくワセダ。先制点が生まれたのは10分。中盤で横パスをつなぎ左サイドのFW一原梓(スポ4=宮城・常盤木学園)から縦への浮き球が送られる。ここに抜け出したのはエースの権野。右足のアウトサイドでうまく合わせた技ありシュートに相手GKは一歩も動くことができない。ボールはゴール左隅に吸い込まれ、ワセダは幸先よく先制点を奪う。14分にはFW川原奈央(スポ2=兵庫・日ノ本学園)が相手のボールカットを拾うとドリブルから落ち着いてゴール左に流し込み、立て続けに2点目を奪う。その後相手に決定的なシュートを打たれるもGK三田一紗代副将(社4=京都精華女子)の好セーブで無失点で抑え、2-0で前半を折り返す。
3節連続得点を決めた権野
後半も攻め込むワセダは再び早い時間帯に追加点を挙げる。51分、MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)が中央でボールを奪うと間髪入れずにPA外から左足を振り抜く。強烈な一撃をゴールに突き刺しリードを3点に広げる。しかしここでペースダウンしてしまい試合は相手がボールを保持する展開に。セカンドボールを拾うことができず後手に回るワセダ。17分には左サイドを崩されクロスから相手FWにネットを揺らされる。ここはオフサイドの判定に救われるも、その直後の19分、ついにCKから失点を許してしまう。「(相手に)押されているペースをプレッシャーに感じてしまった」。MF高木ひかり(スポ3=静岡・常葉学園橘)が言うように、リードしながらも押し込まれる苦しい時間帯がつづく。しかし試合終了が見えてきた84分、途中出場のMF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)がダメ押しゴールを叩き込む。悪い流れを断ち切るとともに相手にとどめを刺す大きな1点となった。試合はそのまま4-1で終了のホイッスル。この勝利で連勝を3に伸ばし、関カレ優勝に向けてまた一つ歩みを進めた。
途中出場からダメ押しの4点目を決めた山本
長短のパスワークで相手陣地を縦横無尽に攻め込んだ前半とは一転、後半は相手に押し込まれ苦しんだこの一戦。しかし最後にゴールを奪い試合を終わらすことができるようになったのはこの夏の大きな成長だ。次節はアウェーでの東国大戦。関東女子リーグ戦後期開幕戦で苦戦した相手にどれだけ力を見せつけることできるか。エンジイレブンの戦いはこれからもつづく――。
(記事 桝田大暉、写真 渡部歩美)
スターティングイレブン
関東大学女子リーグ戦第3節 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 4 | 3-0 2-1 |
1 | 神奈川大 |
【得点者】(早)10権野、14川原、51正野、84山本 (神)横井 |
早大メンバー | ||||
---|---|---|---|---|
ポジション | 背番号 | 名前 | 前所属 | 学部学年 |
GK | 1◎ | 三田一紗代 | 京都精華女子 | 社4 |
DF | 3 | 大島茉莉花 | 鹿児島・神村学園 | スポ4 |
DF | 5 | 松原有沙 | 大阪・大商学園 | スポ1 |
DF | 23 | 奥川千沙 | 静岡・藤枝順心 | スポ1 |
MF | 6 | 松川智 | 大阪桐蔭 | スポ3 |
MF | 7 | 高木ひかり | 静岡・常葉学園橘 | スポ3 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 兵庫・日ノ本学園 | 社3 |
MF | 12 | 大島瑞稀 | 宮城・常盤木学園 | 社3 |
MF | →54分 | 山本摩也 | スフィーダ世田谷 | スポ3 |
FW | 14 | 一原梓 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
MF | →84分 | 中村仁美 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ1 |
MF | 8 | 権野貴子 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
FW | 11 | 川原奈央 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ2 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
MF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)
――試合を終えて今の気持ちは
4-1で勝ったことはうれしいのですが、試合の中で良い部分と悪い部分がはっきりしていたので、悪い部分は改善していかなくてはいけないと思いました。
――悪いところとは具体的にどういうところですか
失点してからずっと小さいプレーをしていたことですね。こういう時こそ大きいプレーをしなければいけないのですが、焦りがすごく出ていて小さいプレーをしていたなと思います。
――試合早々に先制点を決めたことについて
すごく良いボールが自分のもとに来たので、コースを変えようと思ってさらったら入ったのでよかったです。
――前半、パスがつながらない場面も見られました
FWがしっかり相手の裏へ流れることと、ディフェンスを大きくクリアして相手を裏返そうということを話していたのですがうまくできていなかったので、今後悪いプレーになったときにそこをもう少しできるように合わせていこうと思います。
――後半相手に押され失点する場面も見られましたが
試合の中で先ほど言ったことを話していたのですが、実際のプレーではできていなかったので、もう少し早くそういうことを全体で共通して実行できればいいなと思います。
――今節見えた課題はありますか
1試合通して良い部分と悪い部分があると思うので、悪い部分が出てきたときに良い方向に持っていけるように改善していきます。
――次節は関東女子リーグ戦で後期苦戦した東国大との試合ですが、意気込みをお願いします
今日分かった課題を修正して、また早い時点で点数を取って内容にもこだわり勝ちたいと思います。
MF高木ひかり(スポ3=静岡・常葉学園橘)
――試合を終えて全体の感想をお願いします
4―1で勝つことはできたんですけど、相手のペースになってしまって結構押し込まれる場面があって中盤がスカスカになってしまったので、もうちょっとそういうところを直していかないといけないなと感じた試合でした。
――ボランチからの効果的な縦パスがチャンスにつながった点を振り返っていかがですか
そういうパスを出していくのが仕事だと思っていますし、起点になりたいとも思っているのでそういう展開でチャンスを多く作れたのはよかったと思います。
――長期のケガから復帰した松川選手(MF松川智、スポ3=大阪桐蔭)とのコンビについてお聞かせください
二人とも結構攻撃にいきたいタイプで最初はバランスをとるのがすごく下手だったんですけど、何回も(試合を)重ねるうちに声を掛け合ってできるようになってきたなと思いますし、二人ともお互いのいいところを出し合えているんじゃないかと思います。
――攻めの緩急に関してチームで話し合ったことはありますか
今日はバタバタしていて、大きく蹴り出せという指示も出ている中で、中途半端にしか蹴り出せなくて攻撃ができないみたいな場面が多かったです。そういうのをちゃんとボールをロングで出せていたら緩急のところもちゃんとつながったはずですけど、今日はできなかったのでそれを次の試合につなげたいと思います。
――後半途中セカンドボールを拾えないなど相手にボールを保持された時間帯を振り返っていかがですか
(試合に)負けてはいなかったんですけど、自分たちが負けているというか押されているペースをプレッシャーに感じてしまったせいか、中途半端なクリアが多くポジショニングも悪くて相手に先に拾われてしまうという場面がありました。もうちょっと全体が落ち着いてプレーできていたらそういう場面も少なかったと思いますし、悪いときには声が出ていないという指示もあったので、声を出すとかバランスをとるといったことを全体で試合の流れの中で共通理解できていたらよかったのかなと思います。
――次節に向けて
ワセダはいつもアウェーが苦手と言われることが多いのでそういうことがないようにしっかり結果を残したいなと思います。
MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)
――4―1で試合を終えられましたが、この結果についてはどうお考えですか
得点としては4点取れたということで良かったと思うのですが、まだ決められるところがあったので、そこは決め切らなければいけないところですし、後半入る前のハーフタイムでは無失点でいこうという話だったのですが、1点入れられたことがもったいない試合でした。
――序盤からチームとしてゴールを決められましたが、出だしは順調でしたか
前半の20分30分までは良かったのですが、そこから足が止まってしまったりしたので、そこが課題だと思います。
――後半の初めにはゴールを決められましたが、振り返ってみていかがですか
良かったです。まぐれです。
――ご自身のプレー全体を振り返ってみて、いかがですか
自分的には納得がいかなくて、全体的にも個人的にも焦ったプレーが多いと感じたので、そこはまだまだだと思いました。
――神奈川大相手に、試合前はどういった対策をしようとしていましたか
相手はポゼッションサッカーをしてくるということだったので、攻守の切り替えなどしっかりといつも通りのプレーをしたら、いけるだろうといった話はしていました。
――中3日での試合となりましたが、体力的にきつい部分はありましたか
いままでなかったことだったので、結構難しい感じはあったかなとは思います。
――チーム全体として試合を振り返ってみていかがですか
やっぱり流れの悪い部分がところどころあったので、そこは自分たちがいかに改善できるのかということがこれからの課題だと思うので、そこをしっかりとやっていけたらなと思います。
――次戦はアウェーでの東国大との試合となりますが、意気込みをお願いします
どこで出るにも関わらずチームの役に立てるように、得点目指して頑張ります。
MF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)
――この夏取り組んできたことは何でしょうか
合宿ではとにかく走って体力の部分でもう一回あげていこうっていうこととと、ポジション別の練習では細かいところも取り組みました。
――関東大学女子リーグ戦(関カレ)は初出場でしたが
個人的に苦しい時期が続いていて、絶対にきょう出て点を取ってやろうと思ってましたし、こうやって結果を出して持続的に試合に出られたらいいなと思うので、もっと試合に出続けたいです。チームとしては、開幕3連勝できたのですごく良かったと思います。
――前半は3-0でしたが、ベンチから見ていていかがでしたか
入りはそんなに良くなかったんですけど点を取ってから流れが良くなかたり、ここ最近は前半に点を取れる試合が続いているので外から見ていて危なげないということはなかったです。
――後半の始めは相手のペースになり押し込まれる時間もありました
自分が入った時に良くない流れだったので、途中から入る自分みたいな選手が動き回ったり流れを変えなければいけないです。チームとしては、試合の中で悪い流れは必ずあると思うので、その中でどう断ち切るかというところです。今節の失点もセットプレーからでしたし、相手も勢いがあったので、課題をあげるとすればそういう勢いを持った相手をどう跳ね返すかというところだと思います。
――公式戦では初めてトップ下で出場しましたが、入る時に意識していたことは
最近はトップ下しかやっていなくて、監督にも思いっきりやれとは言われていたのでそこは気持ち込めて入りました。あとは、4点目決めれば少し楽になるかなと思ってそこは意識しました。
――ボランチからトップ下へのコンバートはいかがですか
個人的にトップ下の方がやりやすさはあるので、与えられたポジションでしっかり頑張っていきたいと思います。
――そして悪い流れを断ち切るような4点目でした
点狙っていこうとは思っていたので、今後も狙い続けようかなとは思います。
――次節の東国大は関東女子リーグ戦後期開幕戦で苦戦した相手ですが、意気込みをお願いします
チームとしては勝って4連勝することと、今まで出てきた課題を一つでも多く減らすことです。個人的には、結果を出すことでチームに貢献したいなと思います。
FW川原奈央(スポ2=兵庫・日ノ本学園)
――きょうの試合を振り返って
早い時間帯から得点を決めることができて、そのままチームの流れを持っていくことができたら良かったのですが、前半の30分くらいから相手に流れをつくらせてしまって危ない場面が何度かあったので、そこは改善していかなくてはならないと思いました。
――神奈川大の印象は
今まで、あまり名前を聞くことはなかったのですが強い1年生が入ってきたということを聞いていたのでしっかりと気持ちの面でも上回って勝ちに行こうと思いました。
――立ち上がりから積極的な攻撃をしていましたが、きょうの試合で特に意識していたことは何ですか
FWなので、シュートに対して強い気持ちで臨みました。
――得点を決めたシーンを振り返っていかがですか
崩しで取れたのではなくて、たまたま転がってきたものだったので、シュートを打つだけでした。取れてよかったです。
――4得点を挙げ、勝利を収めましたが失点シーンもありました。守備面での課題をお願いします
セットプレーがチームとして弱いと感じたので、そこで厳しく集中力を高めていかないとこれからも失点を食らってしまうので改善していかなくてはならないと思いました。
――次節に向けての意気込みをお願いします
東国大もとても良いチームなので、しっかりと気持ちを高めてチーム全体で勝ちにいきたいです。