関東女子リーグ戦(関東リーグ)開幕から続く連勝を伸ばしたいワセダ、迎えたのは今季まだ白星を挙げられずリーグ最下位の関東学園大。立ち上がりからブロックをつくり守備を固めてくる相手に対しパスがつなげられず、得点を挙げられないまま前半を終える。流れを切り替えるべく臨んだ後半は得意とするサイド攻撃からチャンスをつくるも、決め切ることができず0-0の引き分け。全体を通して課題が多く見つかった試合となった。
格下相手に確実に白星を奪いたいところであったが、相手の守備ブロックに阻まれ、パスをつなぐことができない。チャンスが訪れたのは30分、DF大島瑞稀(社3=宮城・常盤木学園)とFW平國瑞希(スポ1=宮城・常盤木学園)がPA内でつなぎ落としたところをMF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)がミドルシュートを打つが惜しくも枠外。今季積極的に取り組んでいるワンタッチでのパスで崩そうとするも、ボールを前に運ぶことができずに苦戦を強いられた。また攻守の切り替えが遅れ始めると相手に抜かれカウンター攻撃からピンチを迎える。流れを変えることができないまま、無得点で前半を終了した。
三田のファインセーブで今季初の無失点に抑えた
巻き返しを狙う後半はトップ下にMF中井仁美(スポ1=兵庫・日ノ本)を起用、MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本)を2トップにあげゴールを奪おうとする。しかし再三ゴール前まで迫るも決定力に欠け、思うように試合を運べない状態が続く。試合終了間際の93分、相手選手のイエローカードによりFKの機会が訪れたが勝ち越し点を挙げることはできなかった。対する関東学園大は中盤でボールを奪うと個のスピードを生かし積極的に攻め寄り、息をのむ展開に。52分には高い位置でボールを奪われシュートを打たれるが、GK三田一紗代副将(社4=京都精華女子)の好セーブにより危機を回避。今季初の無失点で終えたが、きょうの守備を振り返って三田は「ファーストディフェンスが軽かったために抜かれ、その後のカバーもいなかったために崩された」と課題を挙げた。
後半途中出場でチームを活性化した中井
引いて守るというワセダが苦手とする相手に対応し切れず、思うような結果が出せなかった今節。試合後、選手は多くの課題を目の前に表情を暗くした。一方でDF小野田莉子主将は「良い経験になったので、これからに生かしたい」と述べ、前を向いた。次節に対戦する日テレ・メニーナは、第4節終了時点で6位と今季低迷している相手である。「絶対に負けてはならない相手だと思うので、しっかり勝ってまた連勝を続けたい」と中井は次節への意気込みを語った。
(記事 中澤奈々、写真 芦川葉子)
スターティングメンバ―
関東大学リーグ戦第5節 | ||||
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早大 | 0 | 0-0 0-0 |
0 | 関東学園大 |
【得点者】(早) (関) |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 前所属 | 学部学年 |
GK | 1 | 三田一紗代 | 京都精華 | 社4 |
DF | 3 | 大島茉莉花 | 鹿児島・神村学園 | スポ4 |
DF | ◎4 | 小野田莉子 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
DF | 12 | 大島瑞稀 | 宮城・常盤木学園 | 社3 |
DF | 17 | 堀川玲奈 | ジュブリーレ鹿児島 | スポ4 |
DF | 23 | 奥川千沙 | 静岡・藤枝順心 | スポ1 |
MF | 7 | 高木ひかり | 静岡・常葉学園橘 | スポ3 |
MF | →80分 | 高須咲帆 | 福井工大附属福井 | スポ4 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 兵庫・日ノ本学園 | 社3 |
MF | 13 | 山本摩也 | スフィーダ世田谷 | スポ3 |
FW | 14 | 一原梓 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
FW | 26 | 平國瑞希 | 宮城・常盤木学園 | スポ1 |
MF | →54分 | 中井仁美 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ1 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)
――関東女子リーグ戦での開幕からの連勝が途絶えてしまいました
全体として良い試合ではなくて、みんななかなかうまくいかなくてという部分もありました。でも無失点で抑えられたということもあるので、良いところは良かったところ、悪かったところは悪かったところでしっかり反省していけたらと思っています。
――今節の相手は今季白星無しの関東学園大でしたが、戦ってみていかがでしたか
相手は前に掛けてこないで真ん中から守備を固めてきているという状況の中で、こっちがうまく崩せなかったなというのがこのゲームの印象です。
――前半はワンタッチでパスをつなごうとする場面が多く見られました
崩す位置がどうしても低くなってしまい相手のブロックを崩せず、その前で崩すことが多くなってしまいました。ダイレクトパスを入れても低い位置でしか入れられてなかったので、もっと高い位置で相手の守備組織を崩すパスというのを入れていかないといけないなという風に感じました。
――守備面では、相手に抜かれてピンチを迎える場面もありました
相手の攻撃は少ない人数で速い攻撃で、というカウンターだったんですが、それに対して一人はつけてもカバーの位置が遠かったり速いボールに対して競ったセカンドボールが拾えなかったりという感じでした。そういう状況からピンチになってしまったと思います。
――攻撃に関して、前半無得点でしたが
前半も後半もゴールまでなかなか行けてなくて、縦に速く走り込んでいるのが一人とかで、枚数をうまく掛けられていないというのがありました。もっと私たちがやりたい、サイドで崩してクロスに対して2、3枚入ってくるという攻撃をしていけたら得点を奪えたと思います。きょうの試合ではそういう良さを出せなかったかなという感じです。
――前半を0―0で折り返し、後半に向けてハーフタイムに話したことはありますか
まず崩している位置が低いからもう少し高い位置でダイレクトパスなどを使ってサイドをえぐったりして、サイド攻撃からチャンスをつくっていきたいという話は出ました。あとは、相手は引いてきているのでなかなかいつもみたいに崩せる機会は減ってしまいますが、必ずチャンスはくると思っていたので、逃さずにいこうという話はしていました。
――後半の攻守の切り替えという面については疲れなどの影響もありましたか
いつもより遅くなっちゃったかなというのはあって、まずボールを奪われた選手がしっかり追うということができていなくてファーストがぼやけてしまいました。どうしても遅らせる守備ばかりになってしまったなというのはあります。
――前節の際に決定力が課題と仰っていましたが、今節見つかった課題はありますか
これからも引いてくる相手とのゲームというのはトーナメント戦などでも必ずあると思うし、それに対してどう崩していくのかというのが自分たちはまだできていないなというのがあります。今節はそういう相手との戦うのが初めてということで、良い経験になったと思うので、これから生かしていければと思います。
――次節は日テレ・メニーナとの試合となります。意気込みをお願いします
ベレーザでも戦っている選手が何人か出てくると思うんですけど、そういう選手にも個で負けないようにしたいです。目指しているのが皇后杯(皇后杯全日本女子選手権)優勝という目標なので、一人の選手とかにはやられないように、大学生として必ず勝ち切りたいと思います。
GK三田一紗代副将(社4=京都精華女子)
――きょうの試合を振り返って
全体的に前半の立ち上がりから全く良くなくて、それを最後まで引きずったのがきょうの点を取れなかった1番の理由だと思います。
――現在無勝の関東学園大相手に競った試合でしたが、相手の印象は
しっかり守ってくるし、ブロックしてワセダの攻撃を止めようというのが伝わりました。それで守ってからカウンターでしっかり狙ってくるチームだったので、自分たちがどう崩していくかというのをもっと試合中に改善していかなければと思いました。
――リーグ初の無失点で試合を終えましたが守備について
崩された部分もあったのですが、今日は絶対に無失点で抑えなければいけないと思ったので、それが実現できたことはDF陣とGKとして良かったのかなと思います。
――一方で相手にパスで抜かれて焦る場面もありましたが、GKから見たディフェンスの課題
ファーストディフェンスが軽くて、足の速い選手やうまい選手にスルスルと抜かれてしまいました。段々とラインも下がってファーストディフェンスに誰が行くのかとなった時に声を掛けれずに、そこで崩されてボールウォッチャーになり逆サイドがフリーになってしまっていました。そこはファーストディフェンスがいくならいくでしっかり止めなければと思いますし、もっとはっきりプレーしないといけないと思いました。GKとしてももっと声を出せたと思うので、そこはしっかり改善します。
――次節、メニーナ戦に向けて一言
メニーナは毎年不得意としている相手なので、そこできょうみたいにしっかり無失点で抑えることと、きょうとは違い大量得点で勝ちたいです。
MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)
――きょうの試合を振り返って
前半から自分たちのプレーができず、固められている相手に対して打開策というのも見つけられませんでした。後半から切り替えていこうという中でやったが点を取りきれず、チャンスもあったのでそこは悔しいです。
――リーグ最下位の関東学園大相手に苦戦していましたが、攻撃を振り返って
相手が引いてきた時の、アイディアや攻撃の仕方というのがこれからの課題だと思うのですが、そこの部分が出てしまった試合でした。
――試合の立ち上がりについて
関東学園大自身凄い勢いでプレーしようというのが伝わってきて、そこにスピードのある選手への対応を最初で把握しきれなかったのもありますし、そこで引いてしまってチーム内で間延びというのがありました。大きいプレーだったり、試合開始からの集中がしっかりしていれば1点は取れたかなと想います。
――攻守の切り替えについて
ハーフタイムで監督にも攻守の切り替えが遅いと言われましたし、裏を取られた選手に対しての距離が遠かったので、その取られた後に違う人が行くこともできなかったと思うので次の試合では改善したいです。
――次節、日テレ・メニーナ戦に向けて一言
勝つということを前提に必ずプレーするということと、今回は内容も良くなかったのでメニーナ戦では内容と結果が伴うようにしたいです。
MF中井仁美(スポ1=兵庫・日ノ本学園)
――今節の相手は関東学園大でしたが、スカウティングなどの段階でどのような準備をしてきましたか
相手は今季まだ一回も勝てていなくて自分たちは全勝なので、インカレ(全日本大学選手権)で当たることも考えて、きょう勝ち切って次に戦う時に気持ちの部分で勝った上で戦えるようにと挑みました。
――相手は立ち上がりからかなり引いて守ってくるような印象でしたが、ベンチから前半を見ていて
いままでの関東リーグ(関東女子リーグ戦)とは違ってセカンドボールを奪われることも多くて流れをつくれなかったので、自分が入ったらセカンドボールを奪うことを意識するのと、足元が多かったので2列目から裏に飛び出して得点に絡むプレーをしようと思っていました。
――実際に入ってみての連携の部分では
やっぱり点が入っていなかったので気持ちが焦ってしまう部分もあって、いつもだったら冷静につなげている部分もミスしてしまったりとかあったとは思います。
――今季初の無失点、と同時に無得点という試合でした。全体的に振り返ってみて
勝たなきゃいけない試合だったと思いますし、ああやって引かれる相手に対しても勝たなきゃ自分たちが目標としているインカレ(全日本大学選手権)や皇后杯(皇后杯全日本女子選手権)での優勝はできないと思うので、きょうの引き分けというのを生かして今後につなげていきます。
――大学に入学してチームに合流してから3カ月、ワセダでのプレーはいかがですか
自分はケガして離脱している時期があったので、実際にプレーしているのはまだ2カ月もないくらいだと思います。でも先輩とすごく仲が良いので、先輩と連携が合わなかったら言ってくれますし自分も言いやすいです。そういう関係がすごく良いと思います。
――ワセダは今季から3バックになりましたが、チームに合流してみて戦術面についてはいかがでしょうか
高校時代はサイドハーフかFWをやっていたので、今はトップ下で出させてもらっていて、中盤のボランチ2人と自分のところでマークのつき方が曖昧になってしまうことがありましたが、それも先輩たちが教えてくれて、最初よりは良くなってきたと思います。
――関東女子リーグ戦の開幕戦ではゴールを決めていました
その時はうれしかったんですけど、またすぐケガをして離脱してしまったので。今はまたしっかりやっていきたいと思います。
――今季の目標はありますか
せっかく先輩たちが良い環境をつくってくれていうので、遠慮せずに自分の良いところを出してチームの良さと融合させていけたらと思います。
――次節日テレ・メニーナ戦となります。意気込みをお願いします
相手は自分たちよりも年下だと思うので絶対に勝たなければいけない相手だと思います。しっかり勝ってまた連勝を続けられるように頑張りたいと思います。