開幕戦で大勝!好スタートを切る

ア式蹴球女子

 いよいよ関東女子リーグ戦(関東リーグ)が幕を開けた。11月まで続く今大会においてはチームとしていかにレベルアップしていけるかが重要なポイントになってくる。その初戦、6連覇を狙うワセダは、昨季の全日本大学選手権(インカレ)でベスト4に入る快進撃を見せ今季から関東リーグ1部に昇格した東京国際大と対戦。試合はセットプレーからワセダが先制すると、MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)、FW川原奈央(スポ2=兵庫・日ノ本学園)らのゴールで得点を重ね、5-0で完勝した。

背番号10の役割を果たした正野

 昨季までの4バックから、3バックにフォーメーションを変え挑むワセダ。「より攻撃的に、強い相手に対してはより守備的に」(福島廣樹監督、昭45教卒)という意図を体現するための新たな布陣は功を奏した。開始早々、MF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)のCKが相手のミスを誘いオウンゴールで先制。15分には、豊富な運動量のDF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)が中盤でボールを奪うと、パスを受けた正野がそのまま相手DFをかわしシュート。チームに2点目をもたらした。流れをつかんだワセダは31分、MF大島茉莉花(スポ4=鹿児島・神村学園)の左サイド突破から山本が中盤で溜めをつくると、ゴール前絶好の位置に構えた川原が混戦を抜け出しゴール。そのまま3-0で前半を終える。

 前半だけで3点を奪ったワセダは、後半落ち着いたパス回しから好機をうかがう。そして67分、右サイドでロングパスを受けたMF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)がペナルティエリア内に折り返すと、正野が合わせシュート。正野はこの試合2ゴール目を奪う。さらに試合終了間際にはMF中井仁美(スポ1=兵庫・日ノ本学園)が大島茉のセンタリングに好反応。ゴール右隅に流し込みダメ押しの5点目を加えたところで終了のホイッスル。終始東京国際大を圧倒し、5-0で開幕戦を飾った。

ゴールを決めた中井(右)と喜ぶ松原の一年生先発コンビ

 「チームの雰囲気も良く、ミスしても補い合うことができた」(小野田)と語るように、チームとしての連係も及第点と言えよう。さらにこの試合で光っていたのは今季加入したばかりのルーキーの活躍だ。5点目を奪った中井だけでなく、背番号『5』を託されたDF松原有沙(スポ1=大阪・大商学園)には「チームの中心となって活躍してもらいたい」と福島監督も期待を寄せる。新しいチームづくりを経て、ワセダが最終的な目標として掲げるのは全日本大学選手権(インカレ)と皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)での優勝だ。そのためにはまずこのリーグ戦の優勝がカギとなってくるだろう。頂点に立つため、『結束』というスローガンのもと、戦いは続いていく。

(記事 伊藤なつ実、写真 松下優)

スターティングメンバ―

関東大学リーグ戦第1節
早大 3-0
2-0
東京国際大
【得点者】(早)11オウンゴール、15、67正野、31川原、87中井
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 三田一紗代 社4 京都精華女子
DF 大島茉莉花 スポ4 鹿児島・神村学園
DF ◎4 小野田莉子 スポ4 宮城・常盤木学園
DF 松原有沙 スポ1 大阪・大商学園
DF 23 奥川千沙 スポ1 静岡・藤枝順心
MF 高木ひかり スポ3 静岡・常葉学園橘
MF →51分 権野貴子 スポ4 宮城・常盤木学園
MF 10 正野可菜子 社3 兵庫・日ノ本学園
MF →75分 中井仁美 スポ1 兵庫・日ノ本学園
MF 12 大島瑞稀 社3 宮城・常盤木学園
MF 13 山本摩也 スポ3 スフィーダ世田谷
FW 11 川原奈央 スポ2 兵庫・日ノ本学園
FW →55分 平国瑞希 スポ1 宮城・常盤木学園
FW 14 一原梓 スポ4 宮城・常盤木学園
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

福島廣樹監督(昭45教卒)

――今季から監督を務められますが、結果やチームづくりに関して今季の目標をお聞かせください

結果としては、インカレ(全日本大学選手権)での優勝を第一目標としていて、また皇后杯(皇后杯全日本女子サッカー選手権)でも優勝したいと考えております。チームづくりとしては、強い相手でも戦える、つまり個人をベースとして戦術的に戦えるチームにしていきたいと思っております。

――今季からDFを3バックに変更した意図は

より攻撃的に、強い相手に対してはより守備的に、全員が攻撃にも守備にも関わっていけるように強い戦術的な意図を持ってやっていきたいと思っています。

――新チーム始動から約1カ月、チームの雰囲気や仕上がりはいかがですか

現段階での仕上がりは良いと思います。ただこの段階での仕上がりが直接インカレや高い目標に達するかといえば、まだまだ精度を上げていかなければいけないと思います。まだまだこれから鍛えていかなければいけない点はあります。具体的には厚い攻撃をする時のトップの仕掛け、あるいは飛び出しや精度の高いシュートをもっともっと詰めていきたいですね。

――今節、関東大学リーグ戦(関東リーグ)開幕戦から1年生を多く起用されましたが、その意図、そして評価はいかがですか

素晴らしい1年生たちが入ってきているので、こういう公式戦で彼女たちがやってくれるかどうか見てみたいという気持ちでした。上級生のレベルはある程度分かっているので、いかに1年生が溶け込んでチームとして成り立っているかを測るという目的がありました。

――開幕戦の評価は

1年生もチームとしても、その目標は達成できていると思います。まだまだ課題はありますけども、やろうとしている3バックでのバランスや得点に対する戦術的な突破ということもできていたので、満足しています。

――話は前後しますが、今季都大会不出場となった理由は

うちの選手は1年生も含め経験者が多くいるために、都大会で勝って満足するレベルではないです。都大会は試合時間も短いですし、それよりも強い相手との練習試合や紅白戦のほうがレベルが高いため、都大会に出る必要は無いと考えました。ワセダは大学生の中でもトップクラスですし、チャレンジリーグのチームに対しても引けを取らない実力を持っている選手たちです。より強い相手と戦いながら自分たちの課題を見つけていくという意味で、ノジマステラ神奈川相模原や日テレ・ベレーザ、メニーナ、ジェフ千葉レディースと練習試合を組んでおりました。

――1年生の中でも松原有沙選手は背番号5ということで、かなりの期待を掛けているのでしょうか

素晴らしい選手ですから、チームの中心となって活躍してもらいたいために5番をつけています。

――今季もインカレ優勝が最大の目標となりますが、その中でこの関東リーグという大会はどのような位置付けになりますか

関東リーグはご存じのように5連覇していますし、普通の戦い方をしていけば勝っていけると思いますが、それが目標ではなくてその中でチームづくりをしていくということですね。関東リーグは11月まで続いていきますし、その中で良い選手は伸ばし戦術も熟成させていきたいと思っております。

DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)

――3月に主将に就任してから約1カ月、チームの雰囲気はいかがでしょうか

ことしは学年関係なく風通しの良いチームにしようという目標を立てていて、そういうチームにできてはいるのかなと思います。試合に出ている出ていないに関係なく、みんなが一つの目標に向かっていけるようにという意味を込めて、スローガンに『結束』という言葉を選びました。

――新監督に福島廣樹氏(昭45教卒)が就任され、コーチ陣にも新しい方が来られるなど、新しいチームづくりが進んでいるかと思いますが

監督も風通しの良いチームにしようと言ってくれているので、選手と監督が話す機会も増えました。プレー面でも細かいところで、練習中でもすぐに止めてこだわってやってくれるので、そういう意味ではみんなの共通理解というのができているかなと思います。

――DFを今季から3バックに替えられましたが、いかがでしょうか

わたしが入った時からずっと同じ4-4-2でやってきましたが、今までそれで良い結果が出せたわけではなかったので、3-5-2に挑戦するのは面白いかなと最初に聞いた時は思いました。結果として、まだ1カ月ですがだんだんとみんなのイメージが合ってきているので、3バックは面白いかなと思います。サイドに開いたときに、今までよりも中に人数をかけられるといった点で、厚みが増えたのかなと思います。

――小野田選手ご自身としては、試合序盤からかなり前線へ上がるプレーが多く見られました。意識されていましたか

3バックって普通はそんなに上がる機会は無いはずなんですけど、チャンスかなと思ったので生かしてどんどん上がっていきました。そういうときはボランチの選手たちがバランスを取ってくれていたので、自分も思いっきりやりやすいです。

――前半で3点目以降は攻撃の勢いが少し衰えてしまったように感じましたが

相手が前に攻めてこないから何でだろうと思いながらやってはいましたが、回しながら自分たちのタイミングで中に当ててそこからというか、もう少しタイミングを見てできれば良かったかなと思います。

――DFとしても無失点、かつチームとしては5得点を挙げ、開幕戦としては及第点の試合内容でしたか

試合の中でのチームの雰囲気も良くて、ミスしても補い合うということができたので、そういう点では良かったかなと思います。

――全日本大学選手権(インカレ)や皇后杯全日本女子サッカー選手権(皇后杯)での優勝を今季の目標として挙げる中で、この関東女子リーグ戦(関東リーグ)での目標はどのようなものになっていきますか

もちろん(関東リーグで)6連覇を目指すというのはそうなんですが、最終的な目標はインカレと皇后杯の優勝なので、そこに向けたステップアップという位置付けでこの関東リーグを見ています。どこかでこけたとしても、自分たちでまた修正して最終的にその2つの大きな目標を達成できたらと思います。

――次節、ジェフ千葉レディースU-18への意気込みを

どういうタイミングで中にあて、さらに中でどう崩すのかということや、ロングボールだけになってしまっていたというきょうの課題をあと1週間で修正して、きょうよりも良いサッカーができればなと思います。

MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)

――きょうは5-0の完封勝利を収めることができました。振り返って

開幕戦ということでチームとしてはまだ出来上がってはいないんですけれども、それでも良い結果は出たのかなと思います。

――東京国際大は勢いのあるチームでしたが、どのような印象を持っていましたか

昨年戦ったときは勝っていたんですけど、インカレ(全日本学生女子選手権)では向こうのほうがいい結果を出していて。しっかり挑もうという気持ちでいました。

――ご自身の調子はいかがでしたか

結果的に見ると点を決めることができたので良かったと思います。ただもっと強いチームもありますし、直していかなければならないところも見つかりました。

――具体的には

パスミスや、自分のところで(ボールを)失うということがチームにとって苦しいことなので、そこを直していかなきゃいけないなという感じです。

――3年生で背番号10を付けることに関して、どのように捉えていますか

責任を感じないことはないですけど、まだまだ10番を付けられる選手ではないと思うので、これからそうなれるように頑張っていきたいです。

――得点シーンを振り返ってください

1点目は莉子さん(DF小野田莉子主将、スポ4=宮城・常盤木学園)が良いボールを出してくれて、あとは流すだけでした。2点目は、ファーストタッチをミスしてしまったんですけれども、ゴールエリア内で、点を取るということを試合前から意識していたので、決めることができたと思います。

――次節へ向けて一言お願いします

次もしっかりとチームに役立てるように結果を残していきたいです。きょう出た課題も改善できるように挑んでいきたいと思います。

FW川原奈央(スポ2=兵庫・日ノ本学園)

――開幕戦でしたが、試合を振り返っていかがですか

やっぱり最初の試合というのは気持ち的にも負けられないし、チーム一丸となって戦えたと思います。

――チームとしてはどのようなことを目標にしていましたか

絶対勝つことは当たり前なんですけど、内容的にはポゼッションして勝つことを意識して取り組んでいました。

――自身の得点シーンを振り返っていかがですか

前半の立ち上がりは全く自分が機能できていなくて流れを変えないといけないと思っていたので、思い切って飛び出した結果、あのようなゴールにつながったと思います。

――チームの仕上がりはどうですか

良かったです。しっかり連動してゴールに向かえて、フィニッシュまでいけたところです。

――相手は今季2部から昇格してきて勢いのあるチームでしたが、対戦してみた印象はいかがでしたか

もっと強いのかなと思っていたんですけど、そうでもなかったです。

――きょうの試合から見つかった課題や収穫点があれば教えてください

もっと体力を増やして、後半でも走り続けられる選手になりたいです。

――次節へ向けての意気込みをお願いします

きょうは1点しか決められなかったので、もっとたくさん点を取ってチームに貢献できるよう頑張りたいです。

DF松原有沙(スポ1=大阪・大商学園)

――ワセダに合流されてから約1カ月が経ちますが、チームに溶け込めてきましたか

チームにはもううまく溶け込めたとは思います。高校では4バックでしたが、3バックになって最初はポジショニングとかが悪い時もありましたが、それも1カ月経ってみんなで話し合いながらやってきたので、慣れてきました。

――入部していきなり背番号5を背負ったということで、監督を始めチームからの期待もあるかと思いますが、ご自身の役割をどのように考えていますか

その背番号をもらったからには、誰よりも頑張らなければいけないなあと思いながらプレーしています。

――開幕戦となりましたが、CBとして先発し無失点にも貢献しました。今節を振り返ってみて

失点は0に抑えることはできましたが、ちょっとしたマークの受け渡しや球際の緩さとかがあったので、そこは次の試合までには直していきたいと思っています。

――後半途中からはボランチとしてプレーしましたが、いかがでしたか

もっとパスを受けなければいけないんですけど、ちょっとそこがまだ入れていないことが多いので、自分がもらってそこから展開していけるようにしていきたいと思います。

――大学デビュー戦となりましたが、ご自身のプレーに点数を付けるとしたら

70点ぐらいです。ポゼッションや後ろでのボール回しとかは落ち着いてできたので、そこは良かったと思います。マイナス30点というのは、(ボールを)もらえるところでもらえなかったりマークの受け渡しや、指示の声というのを出していかなければいかないと思うので。

――次節への意気込みをお願いします

次も無失点に抑えることと、しっかり自分の長所を生かすプレーをしてチームに貢献できたらいいなあと思います。