3―0の快勝で本戦出場を決める!

ア式蹴球女子

 前日の敗戦により皇后杯本戦出場へ向け後がなくなったワセダ、対するは今季2戦2勝と相性の良い浦和レッズレディースユース。試合は早い時間からペースを握ったワセダが何度もゴールを脅かすと、17分と18分に立て続けに得点し前半を2―0で折り返す。70分にはFW川原奈央(スポ1=兵庫・日ノ本学園)がドリブル突破からGKをかわして流し込み追加点を挙げ、3―0で勝利したワセダが皇后杯本戦への最後の切符を手にした。

先制点を決める瀬口

 準々決勝で宿敵・日体大に惜敗したワセダは、皇后杯出場権を懸けて浦和レッズレディースユースとの5・6位決定戦に臨んだ。パスを細かくつないでくる相手に対し、前線からプレスをかけてボールを奪い、シュートに持ち込む場面を多く生み出す。先制点は17分、DF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常盤木学園)が高い位置でカットすると、DF3枚に付かれながらもボールをキープしたFW瀬口七海(スポ3=兵庫・日ノ本)がGKをかわしフィニッシュ。1分後には瀬口が左サイドで粘って上げたクロスをMF正野可菜子(スポ2=兵庫・日ノ本学園)が押し込み2点目。その後もボールを支配し続け優位に前半を終える。

ダメ押しの3点目を決め、勝利に貢献した川原

 後半はゴールに迫られる場面があるも、粘り強いプレスで決定機はつくらせない。追加点は70分にMF渡井汐莉(スポ4=鹿児島・鳳凰)の縦パスからボールを受けた川原が敵陣の中央を突破。GKをさらりとかわし、「練習の中でも意識していた」(川原)と落ち着いて決め3点目。その後も後半から入ったDF堀口佳織(スポ2=千葉・幕張総合)が積極的なオーバーラップを見せると、FW一原梓(スポ3=宮城・常盤木学園)がゴールに迫るなど攻撃の手を緩めない。守っても「カバーリングもディフェンスライン全員でできていた」(千葉梢主将)と満足の出来で4試合ぶりの完封勝利となった。

 試合を終えた選手たちが口々に語ったのが『前日の敗戦からの気持ちの切り替え』であった。「きのうより動けていた」(千葉梢主将)、「雰囲気良く勝ち切れた」(MF大宮玲央奈、スポ4=浦和レッズレディースユース)など、組織力の高さが勝因と言える。大会3連覇は悔しくも断たれたものの、リベンジの舞台はまだ残されている。長年の目標『皇后杯ベスト8』に向け、本戦までの残り1か月、戦術面、技術面共にさらなるレベルアップが望まれる。

(記事 芦川葉子 写真 石原瑞季、佐藤拓郎)

関東女子選手権順位決定戦
早大 2-0
1-0
浦和レッズレディースユース
【得点者】(早)17瀬口 18正野 70川原
コメント

長岡義一監督(昭43商卒=京都・山城)
――関東女子選手権の戦いぶりはいかがでしたか
2回戦の日体大はなんとしても叩かなければいけない相手でしたから、正直言って悔しいなと思っています。実際に戦ってみてモチベーションを比べたときに、ア女より日体大の方が高かったですね。その辺りの差で点を入れられてしまって、決定機も3本ぐらいあったのに入らなかった。落ち込んだんですけど、勝負ってそんなもんかなと。関カレでもまた当たるんで、その時には倍返ししなきゃいけないですね。
――その他に日体大戦で感じた強化すべきポイントはありましたか
日体大戦でもきょうのように前からファーストディフェンス、セカンドディフェンスとやっていきたかったんですが、それがぼけてましたね。その辺がまずかったかなと思います。
――きょうの浦和レッズレディースユース戦ではいかがでしたか
きょうは割りと方向付けをしてくれてセカンドディフェンスも良い形が見られたんですが、まだ6割ぐらいかなと。その辺を今後の皇后杯、インカレへ向けて徹底していかないといけないですね。やっぱり前から奪うことができれば相手の陣地にガーッと詰めて、すぐシュートレンジなわけですよ。自陣に下がってゆったりしたサッカーをやっていたら時間がかかるんで、そこはいまワセダの選手にやらせているところですね。
――今後の強化プランは
関カレに加えて関東リーグも少し残っているのでそこで戦術面をしっかり作り上げて、皇后杯とインカレに臨みたいと、そう思っていますね。

DF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常盤木学園)
――試合を終えて感想をお願いします
勝てたので、とにかく皇后杯出場が決まって良かったです。きょうはきのうより全然動けていて、みんな気持ちが結構入る前にプラスに向かってたのかなって思います。
――皇后杯出場権を懸けた戦いとなりましたが、どう臨みましたか
きのうはゲーム中にみんなマイナス気味に思考がなってしまっていて、盛り上げる声とかも少なかったので、チーム全体で盛り上げていこうっていう話をしました。なのでそういう声がきょうは多かったと思います。きのうの敗戦のまま終わらせないようにっていうのをすごく意識していたので、切り替えがうまくいったのはよかったですね。
――相手の浦和レッズレディースユースは今季2戦2勝でしたが
予想通りつないでくるチームで、あんまり蹴らないとかがわかっていたのでやりやすかったです。
――きょうはDF小野田莉子(スポ3=宮城・常盤木学園)とセンターバックを組みましたが
国体で(宮城県代表として)一緒に組んでやっていたのでやりやすかったです。カバーリングとかもディフェンスライン全員でできていたので良かったと思います。
――皇后杯に向けて
自分たちの目標にしている『皇后杯ベスト8』というのは、昨年も2年前も負けてしまってまだ達成されていないので、それを達成させるためにも一戦一戦しっかり戦っていきたいと思います!

MF大宮玲央奈(スポ4=浦和レッズレディースユース)
――きょうの試合は3―0で勝利し、皇后杯の出場権獲得となりました。振り返って
きのうの試合中チームの雰囲気が少し悪くて、夜に選手たちだけでミーティングをしてチームでもっと盛り上げようということで臨んで、結果的に雰囲気も良く勝ちきれたので、すごく良かったと思います。
――浦和レッズレディースユースとは今季3度目の対戦でした。後方からパスを細かくつないでくるチームでしたが、印象はいかがでしたか
きょうもしっかりつないでくるなと思ったんですけど、ワセダの選手皆が頑張って走っていたので、潰せるところでしっかり潰せたのかなと思います。
――早い時間でリードを奪いたい中で、前半で2得点ということでしたが、いかがでしたか
前半でしっかり試合を決めたいと思っていたので、ちょっと押し込まれている中でも七海(FW瀬口、スポ3=兵庫・日ノ本学園)の個人技などで点を決めて、差をつけられたのは大きかったです。
――後半は相手も攻撃的にきたことでオープンな展開となり、チャンスも多くありましたが、1得点でした。いかがですか
得点は1点しか入らなかったんですけど、チームとしてやることはしっかりできていたと思うので、あとはちゃんと得点につなげるというところにこだわっていかないといけないのかなと思います。
――2トップと1トップを併用していますが、大宮選手がトップ下としてそれぞれで意識しているプレーはありますか
特にトップや後ろの人が気をつかってくれるので、自由にやってるんですけど、1トップの時は前線のプレスにしっかりいくということと、2トップの時は前線のプレスを予測して、追い込んでくれたところをしっかりと次のプレスにいくということを意識しています。
――攻撃に関してはいかがですか
両方言えることはしっかりとゴール前で絡むということは意識しています。
――今大会の総括をお願いします
正直優勝したかったという思いが強いんですけど、これが私たちの実力だと思いますし、最低限皇后杯本戦出場を決められたのは良かったと思います。

DF小野田莉子(スポ3=宮城・常盤木学園)
――きょうの試合を振り返っての感想をお願いします
絶対に負けられない試合だったので、久しぶりのDFでのプレーだったんですけど失点しないようにしようということを一番に考えてプレーしました。
――日体大戦を振り返って、チームとしてどのような反省があったのでしょうか
気持ちの部分だとかそういう面が日体大に負けていたのかなと感じた試合だったので、きょうはチーム全体で良い雰囲気で、みんなで気持ちを高めあってやろうと話し合いました。きのうと比べて良い意味で動きが変わったのかなと感じました。
――きょうの試合では久しぶりの無失点でしたが、ディフェンスに関してどのような部分を意識しましたか
相手の前線に足の速い選手がいたのでその選手に対して同じラインに並ばないというか、自分が優位なポジションを取れるようにと意識したのと、チャレンジ&カバーでお互いにカバーし合うことを意識しました。
――試合を通してチャンスを多くつくったオフェンス面はどのように見ていましたか
いつもより前線の選手たちの運動量がすごく多くて、高い位置でボールを奪った後にすぐに攻撃につなげていたのでいつもより点数が入る気がして、こっちも頑張ろうという気持ちになりました。
――きのうはFWとして、きょうはDFとして出場されましたが2試合を振り返っていかがですか
きのうは負けてる状態で出させてもらって、そういった状況の中で点を決めれなかったのは残念だったのですが、きょうはしっかりと切り替えてDFとしての役割は果たせたかなと思います。
――DFでのプレーとFWでのプレーではどちらがやりたい、などの希望はありますか
どっちも好きですね(笑)。DFの方が慣れているのでやりやすい部分はあるんですけど、FWはいつもディフェンスをやっていると点を取ることがないので、前線に居るとワクワクします(笑)。
――今後の戦いに向けての意気込みをお願いします
これからは負けられない戦いが続いていくと思うので、どこのポジションであってもチームから求められていることをできるようにやっていきたいです。

FW川原奈央(スポ1=兵庫・日ノ本学園)
――勝利という結果がとにかく求められた一戦でしたが、無事に皇后杯本戦を決められて今のお気持ちは
きのう日体大に負けてしまってきょう勝たなければ本戦に出られないので、ミーティングでは全員一丸となって戦おうと話していて、実際団結して戦えたので良かったです。
――相手は関東リーグでも戦っていて今季2戦2勝している浦和レッズレディースユースでしたが
本戦ではLリーグなどもっとうまい選手が出てくるので、ただ勝つことだけを目標にするのではなくて、自分たち自身をもっと成長させたいと思って挑みました。
――久しぶりのスタメン出場でしたが、立ち上がりはいかがでしたか
チームとしては、前線からしっかりプレスをかけられて前で奪いシュートまでできていたので良かったと思います。個人としては、点を入れられたことが何より良かったです。
――後半なかなか追加点が得られない中、3点目を決められましたが
練習の中でもきょうのようなパスからのシュートを意識していたので、試合の中でできて良かったです。
――3―0という結果については
前にレッズレディースユースと戦ったときは4―0だったので、やはりもっと点が欲しかったです。
――今大会を全体的に振り返ってみて
やはり日体大戦で負けてしまったことはチームとして反省しなければならないと思います。その中でパスやクロスが合わないところもあったんですが、この大会でミーティングを重ねてチームで話し合って、コンビネーションで崩したりできたりなどは、チームで成長できたところだと思います。
――皇后杯本戦ではよりレベルの高いチームと戦います。意気込みをお願いします
今回できなかったところは一人一人あると思うので、本戦まであと1ヶ月ありますがしっかり練習していって良い結果を残したいと思います。