開幕戦を白星で飾り、ワセダは上々のスタートを切った。ホーム・東伏見の地で迎え撃つは、創部2年で1部リーグの舞台に駆け上がってきた新興勢力、東京国際大だ。試合はボールポゼッションで圧倒するワセダが次々と得点を挙げて、5―0と圧勝。着実に勝ち点3を手中に収める結果となった。
先制点を決めた福沢(左)
元日本女子サッカー代表であり現役引退後は女子サッカーの解説者としても活動するなど、お茶の間でもお馴染みの大竹七未氏が監督を務める東京国際大。体格の良い選手を揃え、コンパクトな陣形を保ってパスワークを封じにかかる相手に対し、ワセダは『幅』を使った攻撃で崩しにかかる。試合が動いたのは17分。右サイドから展開されたボールをMF渡井汐莉(スポ4=鹿児島・鳳凰)が受けると、左サイドから機を見てオーバーラップしたDF大島茉莉花(スポ3=鹿児島・神村学園)にスルーパス。大島茉が中に折り返したボールをMF福沢真菜美(スポ4=北海道・室蘭大谷)が冷静に流し込んで先制点をもたらした。勢いに乗るワセダは、31分に「2試合連続(ゴール)は初めてかもしれない」と語るDF千葉望愛(スポ4=浦和レッズレディースユース)のヘディングで追加点を挙げると、40分にもエースFW瀬口七海(スポ3=兵庫・日ノ本学園)がゴールネットを揺らす。攻守共に磐石の内容を見せ、3点リードで前半を折り返した。
途中出場ながら左サイドで躍動した権野
ゴール量産を目指し、さらに相手を畳み掛けにいくワセダ。後半から登場のMF権野貴子(スポ3=宮城・常磐木学園)が51分に自ら獲得したPKを左隅に決めて、チーム4点目を記録。59分には途中出場でアグレッシブな姿勢を見せるMF正野可菜子(社2=兵庫・日ノ本学園)、FW山本摩也(スポ2=スフィーダ世田谷)のパス交換で生まれたチャンスをMF大宮玲央奈(スポ4=浦和レッズレディースユース)が落ち着いてモノにし、5―0と大きく点差を広げることに成功した。その後はPKを失敗してしまい流れをやや相手に渡す形となったが、DF陣が東京国際大の攻撃をシャットアウト。うなだれるような暑さに集中を切らすことなく、リーグ戦2連勝を飾った。
選手たちの多くが口を揃えて語ったのは「スカウティング」という言葉。「相手のラインが高いので、裏を狙ったサイド攻撃を目指す」(権野)、「逆サイドのスペースが空く」(大宮)と相手の弱点をチームとして事前に分析。相手を横に揺さぶって、空いたサイドのスペースを的確について決まった1点目に象徴されるように、この大勝はスカウティングの賜物と言っても過言ではないはずだ。「今後リーグでもっと強い相手と戦うことになるので、まだまだこんなんじゃだめ」(DF石田みなみ、スポ4=静岡・常葉学園橘)と大勝にも浮かれる様子は微塵もない。トレーニングのみならずスカウティングでも入念な準備を重ねていけば、連勝街道は続いていくはずだ。
(記事 松坂和之進、写真 石原瑞季)
関東大学女子リーグ戦 | ||||
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早大 | 5 | 3-0 2-0 |
0 | 東京国際大 |
【得点者】(早)17福沢 31千葉望 40瀬口 51権野 59大宮 |
コメント
DF石田みなみ(スポ4=静岡・常葉学園橘)
――今節の相手は昇格組の東京国際大でしたが
この前の開幕戦を見ていてどんなチームでどんな戦い方をしてくるかということはある程度分かってチームでも共有していました。DFラインに身長の高い子がいるということで、単純にサイドに放り込んでも跳ね返されるだけだと思ったので、立ち上がりから繋いでいくことができたらもっと良かったんじゃないかなって思います。(プレスという点では)もっともっと強くかけてくる相手はいると思うので、今のレベルで簡単に失ってショートカウンターされてしまったところは改善していかないと、今後リーグでもっと強い相手と戦うことになるので、まだまだこんなんじゃだめだなって思います。
――ワセダは早い段階で先制しました
それより前にもチャンスはあったし、この1週間は前列からしっかり決めきるということにこだわりを持ってやってきたので、もっと早い段階でチャンスをものにできていれば試合の主導権を握れたと思います。
――3点を奪い後半に向けハーフタイムに話したことは
自分たちが昨年のインカレで敗れた日体大は、前節東京国際大に5―1で勝っていたので、3点じゃまだまだ足りないぞという意識で後半挑みました。DFラインは、相手に裏を取られることは前半無かったので、このままの意識で臨もうと話しました。
――後半は運動量の低下などはありましたか
後半に運動量が下がっちゃうのはある程度しょうがないというか、この暑さですし相手も下がっていると思ったので、DFラインや中盤でしっかりボールを回して、良いタイミングで2列目に飛び出してもらって決めるべきときに決めるということができれば、体力的な疲れだけでなくメンタル的な疲労も体の動きに大きく関わってきますし、試合のなかでも全員で最後までモチベーションを高く保つということができると思いました。
――関カレの目標は全勝はもちろん全試合通して無失点と伺いました
それはもう最大の目標でありますし、関カレは自分がワセダに入ってからもう3連覇してるので、自分たちの代で途絶えることが無いようにというのももちろんですし、私たちのDFラインは昨年からほぼ変わっていないので、リーグを通して4失点という昨年よりも失点を抑えるというのは最低目標で、最大の目標は無失点というのはこだわってやっていきたいです。
――関カレを通しての個人的な目標は
個人的にまだ良い動きはできていないと思うので、もっともっとアシストだったり自分からシュートを打ったりといった攻撃的な動きも監督に求められてると思います。守備はもちろんですが攻撃にも貢献していかないと、今後インカレなどの舞台で通用していかないと思うので、プレーの質や周りとのコミュニケーションを取る必要があるなって思います。
――次節は大東大戦となりますが、意気込みをお願いします
1週間という短い間ですがリーグ戦はこのペースでどんどん続いていくので、チームとして1週間でしっかり調整や改善はして、毎試合レベルアップしていくことが大事なんじゃないかなって思います。
MF大宮玲央奈(スポ4=浦和レッズレディースユース)
――試合を振り返って
無失点で勝てたので良かったと思います。
――かなりの猛暑の中での試合ということで難しさもあったと思いますが、なにか対策はありましたか
本当に暑かったので、自分たちで無駄なミスをしないで余計な体力を使わないようには意識してました。
――相手は平均身長が高かったですがチームとしての戦い方は
スカウティングで相手の身長が高いってことは分かってたんですけど、前半結構ハイボールを使って跳ね返される場面が多かったので、試合の中でしっかり自分たちの繋ぐサッカーをしようとは話し合って改善できました。
――相手のサイドの裏のスペースを有効に使って攻めていましたが
スカウティングで相手の開幕戦の試合を見てたんですけど、逆サイドのスペースが空くことがみんなの共通理解としてあったので、CBのこず(DF千葉梢恵主将、スポ4=宮城・常磐木学園)やみのり(DF千葉望愛、スポ4=浦和レッズレディースユース)から良いボールを使って逆サイドに展開していこうとは意識してました。
――無失点、そしてご自身の得点も含めて5―0の快勝でしたが
無失点は守備陣だけじゃなくてチーム全体として意識してることなんで、このままいければいいと思います。ただ攻撃面で決めなくちゃいけないところでまだまだ決めきれてなく、ことしは自分も含めて決定力が課題なのでそこをもうちょっと突き詰めなきゃいけないなと思います。
――次節への意気込みをお願いします
次節も得失点が関わってくることもあるので、なるべく多くの得点を奪って完封勝ちしたいです。
DF千葉望愛(スポ4=浦和レッズレディースユース)
――圧勝と言える内容だったと思いますが、大勝の要因を教えてください
ことしからスカウティングを始めたんですけど、その効果が出ているかなと思います。結構ワンサイドに寄せてくる分、逆サイドが空くチームだということは分かっていたので、サイドチェンジを用いてセンタリングからシュートに持ち込もうという狙いを持てました。
――サイドからの崩しを中心に5得点を挙げることができましたが、攻撃面ではどのような手応えを感じていますか
最初はボールも落ち着かなくて慌ただしかったんですけど、先ほど言った狙いというものを全員が意識できていたことは良かったです。ただ少し疲れていたときの、ちょっとしたミスといったものがあって、後半は自分たちで苦しい展開にしてしまった面もあったのは反省点です。終盤になって、どうやって落ち着いてボールを回していくかを考えていく必要があると感じました。
――きょうは2試合連続となるゴールも挙げられました
2試合連続はもしかしたら初めてかもしれませんね(笑)。MF渡井(汐莉、スポ4=鹿児島・鳳凰)が自分の所に狙って蹴るよということは言ってくれていたので、そこに飛び込んだらちゃんと来たし、梢恵(DF千葉梢恵主将、スポ4=宮城・常磐木学園)も前で潰れてくれたので、しっかり決められて良かったです。
――3試合連続ゴールを期待せずにはいられませんが
してみたいですけどね(笑)。CKでしか得点を狙えないんで、チャンスをモノにしたいとは思っています!(笑)
――2試合連続完封ということですが、ディフェンス面で感じたことは
きょうは相手がDFラインに対してあまりプレッシャーをかけてこなくて、それで余裕を持ててパスを回せたなと感じています。これから相手のレベルがどんどん上がってくるとプレスも速くなってくると思うので、もっと早い判断をして、中盤を経由しながら上手く展開していけるようにしたいですね。
――前節は4―4―2のシステムで試合に臨みましたが、今節は4―2―3―1のシステムで戦いましたね
4―2―3―1の方が2ボランチということもあり、味方が近くにいてくれてるので、パスコースにそんなに迷いが出ることは無いですね。ビルドアップのやりやすさという点では、きょうのシステムのほうがスムーズにいくのかなと感じています。
――次節は大東大との一戦となります。意気込みをお願いします
大東大に対しては、昨季は初戦で結構前半に苦しんだという印象があります。相手も気合入れてくると思うので、引き続きスカウティングでしっかりと分析をして、得点をきょうよりも取れるようにしていきたいと思います!
MF権野貴子(スポ3=宮城・常磐木学園)
――試合を振り返っていかがですか
スカウティングの中で、相手のラインが高いので、裏を狙ったサイド攻撃を目指してやろうって臨んでいました。
――今季の関カレは初出場となりました。前節のベンチ外は負傷か何かでしょうか
負傷はなかったのですが、その週に介護体験に行っていて、それでかなと思います。まずは得点を取りたいという思いで関カレ臨みましたし、今回はスカウティングで言ったようにサイドからの攻撃の中でゴールを取れればと思っていました。
――PKでの得点もありましたが攻撃参加に関しては
もっとスピードがある中でボールを受けて、ゴールを意識して受けてドリブルだったりしたいですし、クロスの精度も悪かったので、精度を上げていかなければと思いました。
――東京国際大の印象は
CBの47番は正面だったり高いボールは強かったので、そこにクロスを弾かれることが多かったので、やっぱりクロスの質は高めないといけないと思いました。
――権野選手の関カレでの目標などあったりしますか
やっぱりなるべく多く試合に出場して、得点に絡んでいくことですね。
――次節に向けて意気込みをお願いします
試合に出させてもらえたら、全力でプレーして得点に絡めるように頑張りたいと思います。