【連載】『蹴大成』【女子部・第6回】千葉梢恵×渡井汐莉×友末唯

ア式蹴球女子

 ア式蹴球部女子の今季の挑戦も残るは全日本大学女子選手権(インカレ)のみ。本連載最終回を飾るのは、DF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常盤木学園)、MF渡井汐莉副将(スポ4=鹿児島・鳳凰)、MF友末唯主務(スポ4=東京・十文字)。ラストイヤーをここまで強い気持ちで走り続けてきた三選手、それぞれの立場からチームを支え、けん引してきた。全ては最後にみんなで笑って終わるため――。悲願へ向け突き進んできたシーズンを振り返る。

※この取材は12月21日に行われたものです。

『気持ちの強さ』

千葉梢

――3月から始まった今シーズンを振り返っていかがですか

千葉梢 今シーズンは本当にあっという間だったなというのが一番の感想です。チームとしては公式戦の負ける回数が少なかった点では良かったと思います。でも、関東女子リーグ戦(関東リーグ)での引き分けはすごく多かったです。それを反省したことで、関東大学女子リーグ戦(関カレ)では勝たなければいけないという気持ちが大きくなって、結果勝てたっていうのは良かったかなと思います。でも、皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)であまり思ったようなプレーができずに、ベスト8にも入れなかったというのが、いまの現状です。

渡井 こず(千葉梢)も言ってくれたように、ほとんど負けていないというところはチームとして評価できると思います。でも、負けて学ぶことって多くあると思います。そういう意味では昨年のインカレ決勝で悔しい思いをしてから、今シーズン入って、その思いを途中で切らしてしまう場面というのが何度もありましたが、そういうときにチームを立て直して良い方向に向かうということができていると思います。いまのところインカレ優勝という最大の目標に向かって、関カレ優勝や関東リーグ優勝という結果が出せているのはチームとして評価できると思います。

友末 二人が言っていたように、公式戦で負ける試合が少ないという点が良かったです。昨年はインカレなどの大きな試合で肩の力が入ってしまうことが多かったのですが、(ことしは)最初からスカウティングやミーティング方法を工夫し、関東リーグから関カレまで一つ一つの試合を絶対に勝ちに行くという意識で戦って、それが勝ちにつながって良かったと思います。あと、最初に負けた試合は皇后杯のための大事な試合だった日体大戦でした。それまで負けの経験が無かったので、そこで経験できて逆に良かったのかなと思います。

――新体制を迎えるにあたって、主将、副将、主務にはどのような経緯で就いたのですか

千葉梢 キャプテンをやるにあたって、自分も含めた何人かが立候補して、立候補していない4年生の中に、その人の良いところと悪いところなどを挙げてもらって、最終的に決めてもらったという形で決定しました。

渡井 自分も最初は主将に立候補していた身なのですが、いままでケガや自分の力不足で試合に出られなかったときにいろんな方々が言ってくださった言葉っていうのを思い返したとき、自分は主将として全員の前に立つよりも副将として主将の補えない部分を拾ってチームに還元することができたらなと思ったので副将に立候補しました。

友末 二人ほどドラマとか無いんですけど(笑)、昨年1年間副務をやっていて、3年生副務は4年生で主務をやることになっているので。2年生のときに副務をやるきっかけになったのは、そのときの主務の方に「唯に主務になって欲しい」というお話を頂いて、無事主務になることができました。そういう経緯です(笑)。

――日体大戦での敗戦はチームにどのような影響を与えましたか

友末 皇后杯予選の日体大戦でことし初の負け試合を経験しました。皇后杯予選は昨季優勝していたので何としても連覇しなくてはいけないという状況の中で負けてしまったのですが、あの日の試合の後、自分たちで試合についてミーティングを開きました。そこで試合の入り方などその日のみんなの状態があまり良くなかったよねという話だったので、試合に入る前の意識づくりからきちんとしなければいけないというのを全員でもう一度確認できました。そのおかげで次の公式戦から、日体大戦とは違う雰囲気で試合をすることができました。それから試合前、試合中、試合後の雰囲気が良い方向にがらりと変わったので、その点では良かったかなと思います。

渡井 唯が言ってくれたことが全てだと思うんですけど、その時期って、状況が悪くても何となく勝てていた部分があって、その中の敗戦だったので全部を見直すきっかけになりました。個人個人としてもそうですし、チームでどういう進め方で行くべきかというのを話し合うきっかけにもなったと思うので、そうした点では良かったかなと思います。

千葉梢 同じくです(笑)。

――日体大は試合をしてみて、強かったですか

千葉梢 強いというより、状況によって上手いプレーをします。無理はしないし、ガツガツ来るところは来るし、来ないところは来ないし。そういうのがはっきりしているチームだなと思います。強さや怖さはなかったですけど、上手いプレーが結構あったなというのが印象的です。

――今季印象に残っている試合はありますか

友末 印象に残っているという点で思い浮かんだのは、関カレの大東文化大戦(○1―0)です。昨季の順位からしたら、うちが上だったのですが、格下との対戦は相手のペースに合わせてしまうというところで少し苦手としていた面がありました。この大東大戦でも決められるところで決められなくて、ずっと苦しい状況が続いて、最後の最後にMF山本摩也(スポ2=スフィーダ世田谷)がビシッとフリーキックで決めてくれた瞬間はいま思い出しても心臓にくるような感じで(笑)。ブザービートのような終了間際の勝ち越し点だったので、グッときました。

渡井 自分の印象に残っている試合は皇后杯関東予選の日体大戦です。そこで自分のダメな部分が明確になって、自分が変わるきっかけになりました。自分の試合中の発言や行動がチームの雰囲気につながるというのをこの試合でとても感じて、自分の中でダメな部分を変えていこうと思うようになりました。

千葉梢 二人とも真面目に答えてるので(笑)。ちょっとあれですが、自分は特に関カレの武蔵丘女子短大戦(○3―0)ですね。この試合は大雨で全面水たまりで。(ボールを)蹴っても、「えっ!」みたいな(笑)。どうにもならない試合というか、人生の中でもとてもヤバい試合でした。そのおかげで武蔵丘女子短大にも勝てたと思っています(笑)。

――役職に就いてチームを支え、引っ張っていく中で苦労したことはありますか

渡井 自分は副将という立場でもあるのですが、同時にグラウンドマネージャーという役職に就いて、主に1日のメニューを計画したり、進めたりさせてもらっています。そのメニューによって目的というものがあって。例えば、その週末の試合のためだったり、自分たちの改善をするためだったり。その目的がみんなに浸透していないとき、どのように伝えていけばいいのかなと考えるのが、一番苦しかったです。やっぱり、目的を持って練習していかなければ、ただの練習になってしまって、自分たちの良さを出せなくなってしまうと思います。だから、そこをどうやってみんなに伝えていけばいいのかというのが、いまも一番苦労しているところです。

友末 苦労は掛けていることが多いんですけど(笑)。主務でありながら選手もやらせて頂いているので、練習前ギリギリまで主務の仕事などをやっていて、それで練習にパッと切り替えられないときがあって…。例えば、練習直前まで仕事とかが終わらなかったとき、あれはどうしようかなとか、あのこと後で監督に確認しなきゃとか、いろいろ考えてしまって、そこの部分の両立に結構苦労します。あと、部室はみんなでワイワイと和やかな感じなんですが、私一人だけで焦っていたり、ワタワタしている感じが出ちゃったりして、後でちょっと反省してます。特に自分の苦労は無いですけど、主務としてしっかりした感じが無いところを見せてしまいました。

――選手と主務の両立というのはやっぱり大変ですか

友末 大変というか、練習終わって家帰ってから、やらなければいけないことがたくさんあるっていうときに、超眠いんですよね(笑)。慣れないころは、机で寝て、朝っていうのが続いてしまって…。練習で疲れて眠いんですね(笑)。それで一時期、いろいろ締め切りとかあるので、大変なことになってしまいました。でもいまは体力もついて、強くなりました(笑)。眠気に勝ちました!

千葉梢 あんまり苦労したことはないかな。別にあんまり考えてないっていうのがあって、そんなに苦労したことはないですけど、結構自分はうるさくなっちゃう人なので、自分でわーわーうるさくなっちゃったときに、ふとキャプテンだと我に返ってちょっと苦しくなります。キャプテンとしてあるべきじゃないなと思ったときに、ああダメだったなというのを反省して。苦労という訳じゃないですけど、そういうことしか考えたことなかったです。なので、特にないです。

――友末選手はお二人から見てもワタワタしている主務さんですか(笑)

千葉梢・渡井 基本(笑)。

千葉梢 いや、でも、普通にやってるんですけど、追い込まれると、なんかね。

渡井 ワタワタしてる振りして、しっかりやってるんですよ。

――すばらしいですね

渡井 ギャップ(笑)。

千葉梢 でも一人でぷんすか怒るんです。すぐ怒る、ぷんすか(笑)。

一同 (笑)。

千葉梢 あ、また始まったなって。「あ、唯、いまあれだ」って(笑)。

友末 もう慣れさせちゃいました(笑)。

渡井 一応聞きますよ、「何かやることある?」って。でも絶対に「いや、大丈夫」って言うので、「じゃあいいや」って(笑)。

――今季振り返って、ことしのチームの強みと課題があれば教えて下さい

千葉梢 サッカーのプレーとかで言ったら難しいんですけど、みんな気持ちの面では強いかなと思っています。諦めない姿勢や頑張るぞという基本的な姿勢をことしのチームはみんな持っているかなと思います。逆に弱みは頑張るぞという気持ちが強い分失点したら、そこで折れやすいというところです。全員がそういうのを慣れていないというのもあってそこが弱いのかなと思います。

渡井 強みはサッカーに対する姿勢が強いところ。大学で女子サッカーやっている人誰もがサッカーやりたくて大学入っていると思うんですけど、その中でサッカーに対する思いが強いというのがワセダとしての強みかなと考えています。課題は、そのサッカーに対する思いが強い分、チームとしてという部分が足りてないかなと感じています。4年生で話したりするんですけど、味方が良いプレーをするために自分が犠牲になってプレーするというのが足りてなくて。それぞれがサッカーで活躍したいという思いが強い分、自分自分となってしまうところは課題かなと思います。

友末 では、先に弱みからで。個人的な意見なんですけど、このチームは負けてる試合や苦しい局面で、そんな状況でも頑張ろう、という掛け声の勢いを少し失ってしまうところがあるなと思います。どんなに負けていてもプレーに対して強く言うだけでなくて、前向きな「もっと頑張ろう!」という声掛けをして、点数では負けていても雰囲気では勝てるように、それがそのまま結果に結び付けられるようにしたい。そんな励ましの声がちょっと足りないかなと感じています。強みは、逆に苦しい局面でないときや、試合に限らず全体の練習中などで、4年生だけじゃなく、下からも、「頑張ろう!頑張ろう!」とか「行こう!行こう!」とかの声掛けがたくさん出るところです。それが、苦しい局面など全ての場面で浸透すれば、一番良いかなと感じます。

何もできなかったベレーザ戦

渡井

――皇后杯の日テレ・ベレーザ(ベレーザ)戦を振り返っていかがですか

渡井 ベレーザ戦は個人的には、何もできなかったなと感じています。なでしこリーグのレベルの高さもありましたし、実際自分のマッチアップだった原さん(MF原菜摘子)や阪口さん(MF阪口夢穂)のポジショニング一つとっても全然違いました。そこは自分も見習って、そういう高いレベルでやらなければいけないなと感じました。チームとしては、雰囲気が良くなかったというか…。さっき唯も課題として挙げてくれてたんですけど、苦しい状況になったときに、プレーに対する気持ちが強い分、そのプレーに対する要求も高くなってしまって、全員が上手く動けなかったなというのがあります。日体大戦でもそれが課題に出ていて、そこを改善しようと言っていたのに、ベレーザ戦で劣勢になってしまった状況の中、同じことをしてしまったのは、まだまだ自分たちの足りない部分でもありますし、インカレに向けて改善しなければいけない部分だと感じています。

千葉梢 ベレーザ戦を振り返ると、チームとして前半で4点取られてしまったというのは良くなかったかなと思っていて…。基本的にワセダは(ボールを)持ったらここっていうパスしか出さないんですけど、ベレーザの選手は(パスの選択肢を)2、3個持っているから、相手の状況によってパスのコースとかを変えてくるし、ディフェンスをしていてすごく読みづらかったです。「ここが取れる!」と思っても、他のところにパスを出されたり、そこにパスを出さなかったりだとかが上手くて、一言で言うと、とても疲れました。そういうわざと相手を動かして疲れさせるというのがとても上手かったなということをいままでやってきた中で一番感じました。やっぱり自分もそういう選手になりたいなと思いましたし、こういうチームを目指していかなければいけないなと思った試合でした。

友末 常に全力でやってくれているとは思うんですけど、ベレーザ戦はことし一番限界までプレーして疲れた試合だったんじゃないかなと思います。外から見ていても、ずっとダッシュしているんじゃないかっていう感じで。とにかくベレーザの選手は速くて強いので、後半の終わりくらいは、足を出すのがやっとというような選手もいたし、こっちが息の上がるくらい、みんな出し切っていて。結構見ていて辛かったんですよ、最後の方は。見ていて辛かったという試合はことし初めてでした。でも最後まで諦めちゃいけないっていうのは外の選手も一緒なので、見ていて辛い中でも、最後までみんなを信じるっていう気持ちはことしベレーザ戦が一番強かったかなと感じます。

――皇后杯は3年連続でベスト16敗退となってしまっている中で、目標としているベスト8には何が足りないのでしょうか

千葉梢 ベスト8になるためにはなでしこリーグ(Lリーグ)の強豪チームと当たってしまうので、そこに勝たなければなりません。だからそこに勝つためにも普段からLリーグのチームと練習試合などをして、もっとLリーグの独特の速さを体感できるようにしたいです。ことしもちょっとは練習試合を組んでいたんですけど、来年はもっと組んでいけたらいいかなと思います。

渡井 こずが言ってくれたように、経験ってすごく大事だと思います。ベレーザの中には代表に入って経験している選手も多いですし。そういった中で試合慣れしたりして、いつでも高いレベルでできるような経験を(私たちも)もっとしなければいけないなと感じました。

友末 二人と一緒で(笑)。逆の山で吉備国際大がLリーグ所属の浦和レッズレディースに勝っているんですけど、これは1年間培ったものもあると思います。毎年ここで大一番となるので、それまでに何度か(練習試合を)やって、ちょっとは慣れときたいというのがあります。まあ、二人と同じですね(笑)。やっぱり経験数が足りないなって思います。気持ちだけは勢いづいているんですけど、実際やってみると全然違うと思うので。もうちょっとなでしこリーグのチームと対戦したほうがいいのかなと思います。

友末

――友末選手は福井の1回戦のあと、1日残ってのスカウティングをされたとのことでしたが

友末 福井の日は全員じゃなくて、メンバーだけで行ったので、メンバー外の選手もいないですし、残るなら私かなと。ことしのチームはスカウティングをできるところまで取り組もうということを課題としていたので。皇后杯も絶対に負けられないので、スカウティングもきちんとやらなければというところで、残るなら私かなって。そういって私が残ったんですけど。福井の試合後に、私たちが1年生のとき4年生だった先輩の有町紗也香さん(平23スポ卒)が福井にいて。ご飯に連れて行っていただいて、福井の美味しいものいっぱい食べて、先輩の代はどうしていたかというような極意をたくさん聞いて。その代は私たちがいた4年間の中で唯一インカレ優勝を経験させてもらった代で、優勝した代がどのようなことをやっていたのかというようないろいろな秘訣を聞きました。黄金世代と呼ばれるような代だったので、やっぱり黄金世代は違うなというような話をいっぱい聞いて、わたしもチームにできることを最後まで全てやろうと思って。次の日のスカウティングに臨んだんですけど、スカウティングを1人でやっていて、寒いし、手と足が凍っちゃって。ビデオの三脚をみんなと別れるときに、荷物の奥深くに入れちゃったんですよ(笑)。なので三脚なしで、手でビデオ回してたら、手が凍えちゃって、メモも一回一回ビデオを置きながら(書いて)…。ちょっとやだなと思ったんですけど(笑)、次の対戦相手はあんまりやったことがなかった相手だったので、みんなで帰ってきてから分析できたので、ちょっとは良かったかなってホッとしました。

渡井 で?

友末 で、終わり(笑)。

渡井 長かったね。

――そのスカウティングはどうでしたか

千葉梢 もう、参考にさせていただきました(笑)。

「仲は良いんです!」

今季プレースキッカーを務めた渡井

――4年生はどんな学年ですか

友末 とりあえず個性が強い。

千葉梢 たぶん他の学年から見たら、4年生仲悪いなって思ってると思う(笑)。

――仲悪いのですか!?

千葉梢  いや、他の学年に比べたら集まったりわざわざごはん行ったりっていうのが無いんですよ!ミーティングとかはしてますけど、オフの日に集まって家でパーティーしたりしないですね。自分があまりそういうの好きじゃないし、他にもそういう人多いっていうのもあって。他の学年は焼肉行ったりパーティーしたりしてます。

友末 個々でごはん行ったりは結構しますけど、じゃあみんなで行こうってなったら絶対誰か行けないってなるし。あ、でもそういうのがすごい好きな人もいて、まあ千葉望愛(DF、スポ4=浦和レッズレディースユース)って言うんですけど(笑)。企画しようとはするんですけど、あんまり乗っからないっていうか…。でも本当みんな仲良いんですよ?誤解しないでくださいね!

千葉梢 自分はあんまり乗り気じゃない。

渡井 基本乗り気じゃないね。

友末 私は結構好きなんですけど、絶対この学年では企画しないです(笑)。企画しても絶対実行されないもんだと思って期待しないです。

千葉梢 仲は良いです!!誤解しないでください!

渡井 本当に企画するなら、3か月前には言っとかなきゃだよね。みんなバイトとか入れちゃうから。

友末 1か月前じゃ絶対遅いです。

渡井 みんな真面目なんですよ。バイトちゃんとして。

友末 まあでも3か月前はそれはそれで気持ちが薄れちゃう(笑)。モチベーションを維持できるなら、できるかもしれないですね。仲は良いですよ。

――個性的ということですが、面白い選手は誰ですか

友末 いろんなタイプの面白い人がいますね。難しいな…。本当にいつもくだらないことで盛り上がっていて、一番うるさいのは望愛ですね。

渡井 常に首突っ込んでくるよね。

千葉梢  望愛はヤバい。

友末 望愛が話してる間は何言っても本当に無駄で、本当に自分の話しかしないんですよ。もう話終わったと思って違う話してても、ちょっと横向くとまだしゃべってる!みたいな(笑)。

千葉梢  最近は、よく唯が望愛に話しかけられてて、なのに唯、望愛の話聞いてなくて(笑)。望愛悲しい顔してたよ(笑)。

友末 全然、もううるさいなとか本当に思ってないんですけど、もう脳みそが望愛の話を途中で聞くのやめてしまうというか、もういいかなってなってしまって。っていうぐらいずーっと話してます(笑)。

選手と主務の両立に励んだ友末

――卒業論文は何をテーマに書いたのでしょうか

友末 私は『なでしこリーグ所属のクラブのウェブサイト活用に関する研究』という題目で、なでしこリーグ所属チームの公式サイトを比較調査して、ドイツの女子のブンデスリーガのチームも一つ一つ見て比較して、なでしこリーグ発展のためにより良く充実させるには、という提言というかしこまったことやっちゃいました。ちゃんと40枚書きました。

千葉梢  『高強度ウォームアップがサッカーのキック技術に与える影響』というのをやったんですが、簡単に言うと、ボールを的に蹴って、その後に筋トレして、また蹴ったら正確性が増したよって言いたかった実験です。

渡井 私は『得点シーンにおける攻撃戦術の位置考察』というのをやりました。なでしこリーグの2012年度の全得点シーンと、ことしのア女の関東リーグと関カレの得点シーンを全部挙げて、それが例えばサイドからクロス挙げての得点だったりとかを全部調べてなでしこリーグとア女の違いを見つけて、皇后杯にもつながるんですけど、大学単独チームがなでしこリーグのチームに勝てていないので、どこが足りないのかっていうのを調べました。

――考察から足りないものはどこにありましたか

渡井 得点シーンしか見てないので明確なことは分からないんですけど、対戦相手の状況とかも踏まえてゴールに対する意識が、同じ局面でシュートを選択するのか確実にパスを出して味方選手にシュートしてもらうのか、というところで、なでしこリーグの選手の方が自分が点取るっていうシュートの意識が強いのかなという考察になりました。

――みなさんの卒業後の進路について

友末 私はサッカー関係の会社に勤めます。サッカー商品のメーカーと提携している会社で、サッカーに携わって生きていきます。

渡井 自分はサッカーを続けます。

千葉梢  みんなみたいに自分は決まっていなくて、サッカーをやるのか、もう一つ自分の中ですごくやりたいことがあって、そっちにするのかっていうのを悩んでいます。インカレ終わったら考えようと思っています。

「人生最大の大勝負」

チームを一年間統率した千葉梢

――最後のインカレに向けて、いまのチームの雰囲気は

千葉梢  ベレーザ戦終わってからあんまりチームとして変化はなくて。それが良いのか悪いのか分からないですけど、チーム状況的にはあんまり練習する機会も少なくてガッツリやれてないです。これからもう少し高めていきたいです。

渡井 練習中の球際というか、紅白戦とかでお互いにガツガツ行くべきところでは緊張感ある、終わった後に打撲が増えるくらいみんな真剣にできているのは良いところだと思っています。でもインカレに向けてって部分ではまだ足りてないのかなって思うので、あと数日しかないですけど上げていきたいですね。

友末 ベレーザに対しても同じ大学生に対しても自分たちのサッカーを貫くっていうのは、自分たちの大きなテーマでもあったので、日々の練習は変わらずコンスタントにやっていくということですね。あと、二人が言ったようにインカレへ特別な、あともう一歩ずつ、厳しいところは厳しく。その試合に勝ち切れるように、勝利につながっていくように、力みすぎずにサッカーに取り組んで、意識の高い練習をしたいなと思います。

――昨季はインカレ決勝で敗れ、悔しい幕切れとなりました。いま振り返っていかがですか

友末 私は決勝戦をスタンドから応援というかたちで見ていて、ピッチ上のことは分からないんですが、上から見ていていつものみんなじゃないというのは感じていて、応援はしていたんですけどスタンドでみんな結構焦っていて、必死で応援していました。いま振り返れば、もうちょっとみんなを信頼して、ピッチに届くくらい大きく背中を押せたら良かったと思いますし、スタンドからの焦りが伝わるとかって目に見えなくてもあると思うんですよ。だから昨年は外から見ていて焦りが出てしまったんですが、ことしはしっかりみんなを信じて、力になれたらなと思います。

渡井 個人的には決勝に向けてコンディションをしっかり整えることができなかったというのが反省で。準決勝で足をつってしまって、正直しっかり治りきっていない中で試合を迎えていました。その他の部分でも自分の自己管理について反省しなければいけないことがたくさんあったと感じています。チームも初めてっていうぐらい劣勢の状況になった時に、自分自身も含めて何か流れを変えるプレーっていうのが出せなかったので、そこを原点にことしもやってきたので、優勝しなければいけないと思っています。

千葉梢  サッカーのこととかは二人が言ってくれた通りで、一番自分が思ったのは、試合の後の優勝したチームと準優勝のチームですごく差があるなということです。同じ国立のピッチに立っているし、大学の全国1、2位を争う試合でも、優勝した日体大の選手には取材エリアで全員止められてインタビューされていて、ワセダの選手はそこ素通りで。そういうのを見ていて、優勝と準優勝の違いを改めて感じさせられましたね。

――組み合わせはいかがですか

渡井 決勝まではいかないといけないと感じました。

千葉梢  吉備国際大と日体大と逆だって思いました。

友末 静岡産業大にも当たるかもしれなくて、それって昨年と同じタイミングで当たるので、向こうからしたらリベンジになるし、ことしこそ勝って準決勝って思って来ると思うので、こっちもチャレンジャーとしてしっかり臨まなければいけないと思います。

――では最後に、インカレへ懸ける思いを教えてください

友末 周りからしたら大げさだと思われるかもしれないんですけど、本当に人生最大の大勝負、というか、命を懸けて優勝をもぎ取りたいので。…はい、もう優勝のために命懸けてます!!

千葉梢  …逆に軽いわ(笑)。

友末 逆に軽いか(笑)。

渡井 自分の中で、ワセダとしても自分としても優勝しかないと思っています。学生としての大会って本当に最後で、こんなに和気あいあいとサッカーやれるのって最後だと思っているので。まずは優勝するためにサッカーを楽しみたいと思います。それで、楽しんだ上で自分の特徴というのは常に出して行かなければいけないですし、一試合一試合の中で成長していかないと次にはつながらないので、反省と改善をしていきながら最後に西が丘で優勝カップをこずに掲げてもらえるように、自分は主将を支えます!

千葉梢  優勝優勝って硬くならなくていいし、自分はピッチに出たら普段通り自分らしいプレーをすることで、チームにすごく良い影響になると思うし、自分らしいプレーをすることが大事かなと思います。チームスポーツですけど、最後は個人だと思うので、個人がどれだけ自分らしさを出せるかどうか、が大事かなと。それで自然と優勝が付いてくればいいかなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 石原瑞季、松本理沙、近藤廉一郎)

左から友末、千葉梢、渡井

◆千葉・梢恵(ちば・こずえ)

1991年(平3)10月7日生まれ。身長167センチ。宮城・常磐木学園高出身。スポーツ科学部4年。オフに企画されるチームメイトとの集まりには「常に乗り気じゃない!」と言われていた千葉梢選手。たまには行ってあげてください!(笑)

◆渡井汐莉(わたい・しおり)

1991年(平3)10月5日生まれ。身長155センチ。鹿児島・鳳凰高出身。スポーツ科学部4年。卒業後もサッカーを続けるという渡井選手。きっと自らの卒業論文の考察を生かして、たくさんのゴールを決めてくれることでしょう!

◆友末唯(ともすえ・ゆい)

1992年(平4)2月4日生まれ。身長156センチ。東京・十文字高出身。スポーツ科学部4年。主務業について、「もっとかっこいい主務になりたかった」という友末選手。それでも「唯は生まれながらの主務」と言われ、チームメイトから絶対的な信頼を集める最高にかっこいい主務さんです!