皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)2回戦、ワセダは北信越第1代表のJAPANサッカーカレッジレディース(JSCL)と対戦した。13分にMF高木ひかり(スポ2=静岡・常葉学園橘)が力強いシュートを決めると、それを皮切りに前半で2得点、後半で1得点を奪い、4―0の大勝を収めた。次の3回戦では今季なでしこリーグ2位の強豪、日テレ・ベレーザと対戦する。
ラインを高く保ってプレーする相手チームに対し、繰り返されるオフサイドに苦しんだ前半。チームメイトの苛立ちを払拭(ふっしょく)するかのように高木が豪快なゴールをみせた。体勢を崩していた高木の前に転がってきたボール。素早く姿勢を立て直すと鋭いシュートをお見舞いし、相手を圧倒する。30分には相手GKにFW福沢真菜美(スポ4=北海道・室蘭大谷)が倒されPKを獲得。それをMF渡井汐莉副将(スポ4=鹿児島・鳳凰)が落ち着いて左隅に決め2点目を奪う。またアディショナルタイムには、混戦から抜け出した福沢が中央からのシュートでゴールネットを揺らし、3―0で前半を折り返した。
ドリブルを仕掛ける福沢
迎えた後半、少しプレーが停滞してしまう時間が続く。パスミスから相手に攻め込まれる展開も見られた。高木に代わりMF松川智(スポ2=大阪桐蔭)を投入し、流れを変えようとするワセダ。すると67分、中央でパスを受けた松川が相手DFに追われつつもボールをキープし、ゴール前で振り抜いて得点。後期初得点を決めガッツポーズを見せた。その後もFW一原梓(スポ3=宮城・常磐木学園)を投入するなど最後までアグレッシブな姿勢は崩さないまま4―0で試合終了のホイッスルが響いた。
松川のゴールを喜び合う選手たち
強豪の集う皇后杯においても、2回戦を4得点完封勝利と圧倒的な力の差を見せつけたワセダ。3回戦はいよいよなでしこリーグに所属する日テレ・ベレーザとの一戦を迎える。過去2年間の皇后杯、ワセダは3回戦に進出するもINAC神戸レオネッサに敗れ、2年連続でベスト16止まり。「次は本当にいままでとは違う戦いになってくる」(DF千葉梢恵主将、スポ4=宮城・常磐木学園)と話すようにワセダはチャレンジャーとして3回戦に臨む。悲願の皇后杯ベスト8ヘ――。全力を尽くし、勝利をつかみ取る。
(記事 森田夕貴 写真 辛嶋寛文)
ア式蹴球部女子
皇后杯全日本女子選手権2回戦 | ||||
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早大 | 4 | 3-0 1-0 |
0 | JSCL |
【得点者】(早)13高木30渡井45+4福沢67松川 |
早大メンバー | ||||
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位置 | 背番号 | 名前 | 前所属 | 学部学年 |
GK | 1 | 三田一紗代 | 京都精華 | 社3 |
DF | 2 | 石田みなみ | 静岡・常葉学園橘 | スポ4 |
DF | 3 | 千葉望愛 | 浦和レッズレディースユース | スポ4 |
DF | ◎4 | 千葉梢恵 | 宮城・常磐木学園 | スポ4 |
DF | →84分 | 小野田莉子 | 宮城・常磐木学園 | スポ3 |
DF | 13 | 大島茉莉花 | 鹿児島・神村学園 | スポ3 |
MF | 6 | 渡井汐莉 | 鹿児島・鳳凰 | スポ4 |
MF | 7 | 高木ひかり | 静岡・常葉学園橘 | スポ2 |
MF | →60分 | 松川智 | 大阪桐蔭 | スポ2 |
MF | 10 | 大宮玲央奈 | 浦和レッズレディースユース | スポ4 |
MF | 20 | 正野可菜子 | 兵庫・日ノ本学園 | 社2 |
MF | 8 | 福沢真菜美 | 北海道・室蘭大谷 | スポ4 |
FW | →72分 | 一原梓 | 宮城・常磐木学園 | スポ3 |
FW | →32分 | 川原奈央 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ3 | ◎はゲームキャプテン 監督は長岡義一監督(昭43商卒=京都・山城) |
コメント
DF千葉梢恵主将(スポ4=宮城・常盤木学園)
――試合を振り返っていかがですか
勝てたことがすごく大きくて、次のベレーザ戦へつなげることができたので良かったなと思います。
――相手チームへのスカウティングは
福井での初戦の翌日に(対戦相手の)試合があったんですけど、友末(DF友末唯、スポ4=東京・十文字)が福井で一日残ってくれてビデオに撮ってくれました。それをもとに自分たちでスカウティングして臨むことができました。ビデオの通り、あまり蹴らずに中でつないでくる相手で、自分たちに対しても戦い方を変えて来なかったので、スカウティング通りだったかなと思います。
――前半だけで3―0と圧倒しました
ゲームの内容的にも3―0以上の試合を展開することができたと思うので、もう少し点を取れたら良かったかなと思います。けど前半だけで3点取って、落ち着けたという部分も大きかったと思います。
――オフサイドを取られる場面が多く見受けられましたが
自分たちが裏を狙うことに対して、相手も変わらずに引いて来なかったので多くなりました。それでも、オフサイドになってしまうのもあったし、ならないのもあったので、自分たちのサッカーは変えずに続けていこうっていう話はしました。
――後半は試合を支配しつつも1ゴールと少し停滞もしましたが
やっぱり試合の中で相手の時間になってしまうところはあるので、その中でいかに耐えて、自分たちのボールに持ってくかということが大事になってくると思います。きょうは比較的自分たちに持っていけたんじゃないかなと思っています。
――見事3回戦進出を決め、次の相手は日テレ・ベレーザです
全力を尽くすのみなんですけど、自分自身すごく楽しみっていうのが大きいですね。次の試合に懸けるしかないし、そこで勝つしかないと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
次は本当にいままでと違う戦いになってくるし、なかなか通用しない場面も多くなってくると思います。それでもチャレンジャーとしてしっかり全力で挑んでいきたいと思います。
MF高木ひかり(スポ2=静岡・常葉学園橘)
――きょうの試合を振り返ってください
相手のラインがすごく高くて、背後を使おうという意識はあったんですけど、オフサイドがすごく多くてそこでなかなか点がとれなかったというのは今後課題になると思います。でもそのなかでも裏へ抜け出して良いチャンスが多くつくれたのは良かったと思います。
――1点目のシュートでチームが勢いづいたと思いますが、いかがでしたか
ボールが思わぬところにきて、転んでたんですけど決められて良かったというのと、自分的にも得点は取りたいなと思っていたので良かったです。
――オフサイドを多く取られてしまいましたが、プレーしていてやりにくかったなどありましたか
パサーに対してもらう側が早く受けたくて飛び出ることが多かったのでもう少しパサーのことを見ながら動けたらオフサイドは減らせたと思います。
――2点目のPKの経緯は
福沢(FW福沢真菜美、スポ4=北海道・室蘭大谷)がドリブルして相手のGKに引っかかったんですけどそのボールを川原(FW川原奈央、スポ1=兵庫・日ノ本学園)がシュートを打ってオフサイドをとったと思います。でも主審はその前に福沢がGKに引っかけられたのを反則としてとっていたのでPKになったんだと思います。
――今回の相手と対戦したことはありましたか
いえ、なかったと思います。
――ではスカウティングなどはどうやってなさいましたか
先週の日曜日に福井で対戦相手の試合があって、友末さん(DF友末唯、スポ4=東京・十文字)が残ってビデオを撮ってくれたのでそういう人の力もあって、ビデオをみんなで見ながら相手のここが弱いね、とかストロングポイントだねとか話し合いました。
――いよいよ来週は日テレ・ベレーザ戦ですが何か対策などはありますか
今週から対策などが始まると思うんですけど、ベレーザは若い選手が多くて個人技なども日本一あるチームだと思っていて、ワセダはそういう相手に対してあまり得意でないと思うので、どれだけ自分たちの力を発揮できるかが試合で大切だと思います。
――普段は攻め込まれることはあまりないと思いますが、なでしこリーグのチームと戦うにあたって守備面でも対策が必要になってくるのでしょうか
毎年3回戦になるとなでしこのチームに当たっていて、きょねんINAC神戸と当たったときに防戦一方でカウンターを狙うしかなかったので、守備の時間が長くなってしまうと思いますけど、相手も攻撃の時間が多くなっている分隙が多くなっていくのでそういうところを狙って行きたいと思います。
――では意気込みをお願いします
自分の点で勝ちたいです。
FW福沢真菜美(スポ4=北海道・室蘭大谷)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
オフサイドを結構取られてしまいました。ですが、点は取れてたので。2列目からの飛び出しもオフサイドがある中でも点を取っていけたので良かったです。
――裏を狙っていこうというのは試合前からの作戦だったのですか
いや、試合の中で相手のラインが高いねというのを話しててそこで決めましたね。
――ゴールシーンを振り返っていかがですか
オフサイドかなと思ったのですが、ヘディングで落としてくれたボールを決めることができて良かったです。
――2回戦突破ということですがここまでの感想としてはいかがですか
私たちの目標は皇后杯ベスト8なので。ここまで勝ち進んできても次勝たないと意味がないです。次は日テレ・ベレーザということで、簡単に勝てる相手ではないですがワセダのサッカーをやり通して勝ちたいです。
――最後にベレーザ戦に向けての意気込みをお願いします
厳しい試合になると思いますが、怖がらないで最後まで自分たちのサッカーを貫き通したいと思います。
MF松川智(スポ2=大阪桐蔭)
――試合を振り返っていかがですか
前半3点入っていて、自分が後半入るときまだ得点がゼロだったし、相手のラインが高かったのでドリブルして仕掛けたところで自分でしっかりシュートまでいこうと思っていました。
――ゴールを振り返って
望愛さん(DF千葉、スポ4=浦和レッズレディースユース)からロングパスが来て、相手もボールウオッチャーだったので裏が空いていて。ドリブルしてシュートっていうイメージはできていたので、シュートがキーパーのちょうど横を抜けたので良かったなと思います。
――前回の試合に続いてゴールに絡んでいますが、調子はいかがですか
そうですね、いま自分の中では結構良い方だと思っています。
――相手の印象は
ラインがとても高くて、オフサイドになりやすかったので、そこを逆に生かして裏のスペースを利用していけたらと思っていました。
――次戦は日テレ・ベレーザですが
ベレーザ相手で格上なんですけれど、みんなで声を掛けあって一週間準備していけたらと思います。
――3回戦に向けて意気込みをお願いします
試合もそうですが、チームでしっかり戦って、自分にできることをしてチームに貢献できたらいいなと思います。