全日本チャンピオンを決める天皇杯全日本選手権(天皇杯)が開幕した。1日目となるこの日、早大からは5人が出場。尾西大河(スポ2=佐賀・鳥栖工)が男子グレコローマンスタイル55キロ級で銅メダルを獲得し、片岡梨乃(社4=千葉・日体大柏)が2日目に行われる決勝への進出を決めた。
昨年の天皇杯決勝で高校生に敗れ、優勝を逃した尾西。今年こそはと臨んだが、準決勝でまさかの敗退となった。1回戦、準々決勝と勝ち上がり迎えた準決勝。相手は何度も対戦経験のある岡本景虎(専大クラブ)だった。第1ピリオドを2-0で折り返したが、第2ピリオドに入り同点に追い付かれる。追い付かれた直後にさらに3点を加えられ、そのまま5―2で敗戦を喫した。試合後に尾西は、「流れが悪くなって自分が取らないといけない時に、焦りなどで普段とは違う動きになってしまった」と振り返った。その後3位決定戦には勝利し、銅メダルを獲得した。
準決勝で逆転を狙って最後まで攻める尾西
北脇は本来男子グレコローマンスタイル97キロ級の選手だが、今大会は130キロ級に挑戦した。初戦の序盤は、自分よりもひと回り大きな相手に対して苦戦を強いられた。しかし、第2ピリオドに「⾃分より40キロ以上あるヤツを宙に回します」という宣言通りに投げ技を披露。そこからリズムをつかんで得点を重ね、11-6で初戦を突破した。準決勝では、昨年の天皇杯王者の奥村総太(自衛隊体育学校)に敗れ、3位決定戦に回ることになった。
準決勝で相手と組み合う北脇
女子53キロ級の片岡は、準決勝で大野真子(日体大)とぶつかる。片岡は大野に全日本学生選手権決勝で敗れており、因縁の相手とも言える。この試合も序盤から膠着(こうちゃく)した展開が続き、0-1の1点ビハインドで第2ピリオドに入る。第2ピリオドで相手がアクティビティタイムに点数を取れなかったため片岡に1点が入ると、そのまま逃げ切り勝利。2年連続で天皇杯の決勝に駒を進めた。
準々決勝で相手と組み合う片岡
また、男子フリースタイルは61キロ級の山口太一(スポ3=東京・自由ヶ丘学園)と74キロ級の山路健心(社2=和歌山北)が出場した。山口は、1回戦をテクニカルスペリオリティで勝ち上がり、準々決勝で小川航大(自衛隊体育学校)と対戦。第2ピリオドに猛追を見せたが、追いつくことはできずに8-10で敗れた。山路は初戦で鈴木大樹(山梨学院大)と対戦。実力のある相手に屈し、初戦敗退となった。
準々決勝で終盤に猛追を見せる山口
1回戦で相手と対峙(たいじ)する山路
優勝候補の一人だった尾西が不覚を取ったが、その後切り替えて銅メダルを獲得した。「来年につなげるために課題を克服することが、今の自分に一番必要なこと」。この敗戦を無駄にせず、さらに強くなって帰ってくることに期待したい。2日目は、片岡が決勝、北脇が3位決定戦に臨むほか、男子フリースタイル92キロ級に掛川零恩(社1=山口・豊浦)が出場する。
(記事 齋藤汰朗、横松さくら 写真 齋藤汰朗)
結果
男子フリースタイル
▽61キロ級
山口 準々決勝敗退
▽74キロ級
山路 1回戦敗退
男子グレコローマンスタイル
▽55キロ級
尾西 3位
▽130キロ級
北脇 準決勝敗退→2日目の3位決定戦へ進出
女子
▽53キロ級
片岡 2日目の決勝へ進出
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コメント
尾西大河(スポ2=佐賀・鳥栖工)
――今の心境を教えてください
自分が目標としていた結果ではなかったので、本当に応援してくれた方々やサポートしてくれた方に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
――1回戦から接戦でしたが、今日のご自身の調子はいかがでしたか
練習でできていたことが試合でできなかったり、相手に合わせて自分が良い流れでできなかったり、そういったことが多かったです。準決勝で負けて優勝の道は閉ざされましたが、しっかり3位決定戦は勝ってメダルを取ることが、応援してくれた方々やサポートしてくれた方々への礼儀だと思ったので、切り替えて挑みました。
――準決勝の相手は何度も対戦したことがある選手でしたが、自分の動きができなかった原因は何ですか
試合の6分間前に出るという練習でしていることはできましたが、流れが悪くなって自分が取らないといけない時に、焦りなどで普段とは違う動きになってしまい、そこが今回の負けにつながった原因だと思います。
――今後の目標や強化していきたい点を教えてください
試合で負けてコーチやトレーナーさんと話し、ずっと自分から前に出てポイントが取れたにも関わらず、相手をガブッた時にポイントを取れなかったり、自分が返せなかったりしたので、そこが負けた原因だと思います。1月から3月でそこを強化して、3月にはU23の予選会もあるのでまずはそこで優勝するのと、新たな課題ができたので来年につなげるために課題を克服することが、今の自分に一番必要なことだと思います